
経営者なら知っておきたい!いまさら聞けない「内部統制」ってなに?
「内部統制」と聞くと、「大企業のコンプライアンス対策」や「上場企業のための難しい制度」という印象を持たれる経営者も多いかもしれません。
しかし、実は中小企業やスタートアップこそ、早期から内部統制の仕組みを整えておくべきです。
なぜなら、内部統制は単なる“管理のための管理”ではなく、会社を守り、成長を加速させる土台だからです。
1. 内部統制とは?
ズバリ言います。
内部統制とは、企業が健全かつ効率的に運営されるように、業務や資金の流れを管理・監視する仕組みのことです。
法律上は、会社法や金融商品取引法に基づいて「業務の有効性・効率性」「財務報告の信頼性」「法令遵守」「資産保全」などを確保するための体制と定義されています。
要は、不正やミスを防ぎ、正しい情報のもとで経営判断ができる状態を作ることが目的です。
2. なぜ内部統制が必要なのか?
理由は3つあります。
① 不正・ミスの防止
資金の横領や持ち逃げ、架空請求、備品盗難などの不正は、管理体制が甘い企業で起こります。内部統制は「不正ができない環境」を作ることができます。
② 経営判断の精度向上
正しい財務データや業務データがなければ、戦略判断を誤ります。内部統制は情報の正確性を確保します。
③ 信用力アップ
金融機関や取引先から「管理の行き届いた会社」と評価され、融資条件や取引機会が有利になります。
3. 内部統制の4つの基本要素
① 統制環境
経営者の姿勢や企業文化。コンプライアンス重視や倫理意識の高さがここに含まれます。
② リスク評価
業務や資金の流れの中で、どこにリスクが潜んでいるかを洗い出し、優先順位をつけます。
③ 統制活動
実際の管理手続きやルール。例:経費精算は上長承認必須、在庫はダブルチェックなど。
④ 情報と伝達
必要な情報が関係者に迅速かつ正確に共有される体制。
4. 中小企業でもできる内部統制の始め方
ステップ① 業務の見える化
業務フローを図にして、誰が何をしているか明確にします。
ステップ② 権限と責任の明確化
契約、支払、承認などの権限を役職ごとに整理します。
ステップ③ チェック体制の二重化
1人だけで完結する業務を極力なくし、2人以上で確認できるようにします。
ステップ④ 定期的なモニタリング
会計や業務の定期チェックを行い、問題点を早期に発見します。
5. 成功事例
A社(製造業)
経費精算ルールと承認フローを見直し、不正経費がゼロに。あわせて資金繰り表を導入し、資金ショートリスクが大幅減。
B社(ITサービス)
情報共有ツールとマニュアルを整備し、業務の属人化を解消。急な退職があっても業務が滞らなくなった。
6. 内部統制の落とし穴
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形だけの運用:マニュアルはあるが実際には守られていない。
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過剰な管理:ルールが厳しすぎて業務スピードが低下する。
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更新されない仕組み:環境や事業内容が変わってもルールを見直さない。
内部統制は「守り」の仕組みですが、過剰になると「攻め」を阻害します。バランスが重要です。
7. 今日からできる内部統制チェックリスト
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契約・支払いの承認フローは明確か?
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資金や在庫の管理は複数人で確認できる体制か?
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業務マニュアルやルールは最新か?
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問題や不正の兆候を早期に察知できる仕組みがあるか?
まとめ
内部統制は、単なるお役所的な管理ではなく、会社を守り育てるための経営インフラです。
「まだ小さい会社だから必要ない」と思っていると、いざという時に痛い目を見ます。
経営者としては、シンプルでも機能する仕組みを早めに作り、成長とともにアップデートしていくことが大切です。
それが結果的に、資金繰りの安定、信用力の向上、そして経営の自由度を高めることにつながります。
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この記事を書いた人
中野裕哲/Nakano Hiroaki
起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、サーティファイドファイナンシャルプランナー・CFP(R)、1 級FP技能士。大正大学招聘教授(起業論、ゼミ等)
V-Spiritsグループ創業者。税理士法人V-Spiritsグループ代表。東京池袋を本拠に全国の起業家・経営者さんを応援!「ベストセラー起業本」の著者。著書20冊、累計25万部超。経済産業省後援「DREAMGATE」で12年連続相談件数日本一。
【まるごと起業支援(R)・経営支援】
起業コンサル(事業計画+融資+補助金+会社設立支援)+起業後の総合サポート(経理 税務 事業計画書 融資 補助金 助成金 人事 給与計算 社会保険 法務 許認可 公庫連携 認定支援機関)など
【略歴】
経営者である父の元に生まれ、幼き頃より経営者になることを目標として過ごす。バブル崩壊の影響を受け経営が悪化。一家離散に近い貧困状況を経験し、「経営者の支援」をライフワークとしたいと決意。それに役立ちそうな各種資格を学生時代を中心に取得。同じく経営者であるメンターの伯父より、単に書類や手続を追求する専門家としてではなく、視野を広げ「ビジネス」の現場での経験を元に経営者の「経営そのもの」を支援できるような専門家を目指すようアドバイスを受け、社会人生活をスタート。大手、中小、ベンチャー企業、会計事務所等で営業、経理、財務、人事、総務、管理職、経営陣等、ビジネスの「現場」での充実した修行の日々を送ったあと、2007年に独立。ほかにはない支援スタイルが起業家・経営者に受け入れられ、経済産業省「DREAM GATE」にて、面談相談12年連続日本一。補助金・助成金支援実績600件超。ベストセラー含む起業・経営本20冊を出版。累計25万部超。無料相談件数は全国から累計3000件を超す。
この記事を監修した人
多胡藤夫/Fujio Tago
元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。