
BCGマトリクスとは?意味・4象限・活用方法をわかりやすく解説|起業や新規事業にも活かせる考え方
BCGマトリクスとは、企業や事業、製品などを「市場成長率」と「市場シェア」という2つの軸で整理する、代表的な戦略フレームワークのひとつです。
BCGマトリクスとは?まずは基本をわかりやすく解説
BCGマトリクスの意味
BCGマトリクスとは、ボストン コンサルティング グループ(Boston Consulting Group)が提唱した、事業や製品を分類するための戦略フレームワークです。略して「BCG」と呼ばれています。
このフレームワークでは、複数の事業や製品を一定の基準で整理することで、どの分野に力を入れるべきか、どこで利益を確保するべきかを見えやすくしていきます。
経営やマーケティングの現場では、投資判断や事業ポートフォリオの見直しに使われることが多く、基本ツールとして広く知られています。難しそうに見えるかもしれませんが、考え方そのものは非常にシンプルです。
BCGマトリクスの2つの軸
BCGマトリクスでは、2つの軸を使って事業や製品を整理します。
ひとつは「市場成長率」です。これは、その市場が今どれだけ伸びているかを見る指標です。成長している市場なのか、すでに成熟している市場なのかを見極めるために使います。
もうひとつは「相対的市場シェア」です。こちらは、その市場の中で自社がどれくらいの強さを持っているかを見る指標です。簡単に言えば、競合と比べて自社が優位に立てているかどうかを見るためのものです。
なぜこの2軸なのか。ポイントはここです。市場が伸びているかどうかと、その中で勝てているかどうかがわかれば、今後どこに経営資源を配分するべきかが見えやすくなるからです。
BCGマトリクスが使われる理由
BCGマトリクスが使われる理由は、とても実務的です。
まず、事業全体を整理しやすくなります。複数の事業や商品があると、現場では「どれも大事」に見えてしまいがちです。しかし、一覧で可視化すると、それぞれの立ち位置の違いがよく見えてきます。
また、投資や経営資源の配分を考えやすいというメリットもあります。人、お金、時間には限りがあります。だからこそ、どこに集中し、どこは維持し、どこは見直すかを判断する材料が必要なのです。
さらに、自社の立ち位置を視覚的に理解しやすいのも大きな強みです。数字や感覚だけで判断するのではなく、全体を俯瞰して見ることができるため、意思決定の精度が上がりやすくなります。
BCGマトリクスの4つの分類(4象限)
花形(スター)
花形、いわゆるスターは、市場成長率が高く、なおかつ市場シェアも高い事業です。
伸びている市場でしっかり存在感を持っているため、将来の主力事業になりやすいポジションといえます。売上の拡大も期待しやすく、企業の未来を引っ張る存在になりやすいでしょう。
ただし、ここで注意したいのは、成長市場では競争も激しいという点です。シェアを維持し、さらに伸ばしていくためには、継続的な投資が必要になることが少なくありません。
金のなる木(キャッシュカウ)
金のなる木、いわゆるキャッシュカウは、市場成長率は低いものの、市場シェアが高い事業です。
すでに成熟した市場の中で安定的な地位を築いているため、比較的安定した収益を生みやすいのが特徴です。大きく伸びる余地は限られていても、利益面では非常に頼りになる存在です。
実務では、このキャッシュカウが他の事業を支える原資になることが多いです。新規事業や成長事業への投資資金を生み出す役割を果たす、まさに会社の土台となる存在だといえるでしょう。
問題児(クエスチョンマーク)
問題児、クエスチョンマークは、市場成長率は高い一方で、市場シェアが低い事業です。
成長市場にいるためチャンスはあります。しかし、現時点では競争上の優位性がまだ弱く、投資を続けるべきか、それとも撤退するべきかの判断が必要になります。
このポジションは、新規事業で特に重要です。というのも、新しい事業はたいてい最初からシェアが高いわけではないからです。これから伸びる可能性があるのか、それとも厳しいのか。そこを見極める必要があります。
負け犬(ドッグ)
負け犬、ドッグは、市場成長率も市場シェアも低い事業です。
一般的には、縮小・維持・撤退を検討しやすいポジションとされます。大きな成長も見込みにくく、利益面でも苦戦しやすいためです。
ただし、ここで短絡的に「全部やめるべきだ」と考えるのは少し危険です。たとえば、他事業との相乗効果がある場合や、特定の顧客層との接点として機能している場合など、戦略的な役割を持つケースもあります。見た目だけで判断せず、その事業が全体の中でどんな意味を持っているかまで考えることが大切です。
BCGマトリクスのメリットと限界
メリット
BCGマトリクスのメリットは、まず事業ポートフォリオを整理しやすいことです。複数の事業や商品を一枚の図で俯瞰できるため、全体像をつかみやすくなります。
また、競合との比較がしやすいという点も大きなメリットです。自社が市場の中でどの位置にいるのかを考えるきっかけになります。
さらに、投資判断や戦略立案に活用しやすい点も魅力です。どこを育て、どこで利益を確保し、どこを見直すかという経営判断の整理に役立ちます。
限界・注意点
一方で、BCGマトリクスには限界もあります。
まず、市場の変化が早いと評価が追いつかないことがあります。特に今の時代は、数年前の前提がすぐに通用しなくなることも珍しくありません。
また、顧客ニーズやブランド力、技術力、参入障壁といった重要な要素までは、十分に反映しきれないことがあります。つまり、2つの軸だけでは見えない現実もあるということです。
ですので、これだけで経営判断を完結させるのは危険です。BCGマトリクスはあくまで整理のための道具であり、万能の正解ではありません。他の分析や現場の実態とあわせて使うことが大切です。
BCGマトリクスの使い方|事業や製品をどう分析するのか
ステップ1:分析対象を決める
最初に行うのは、何を分析するのかを決めることです。
対象は、事業、製品、サービス、ブランドなどさまざまです。ここが曖昧だと、分析そのものがぼやけてしまいます。まずは「何を単位として整理するのか」をはっきりさせましょう。
ステップ2:市場成長率と市場シェアを把握する
次に、市場成長率と市場シェアを把握します。
自社データだけでなく、市場データや競合分析も必要になります。自分の感覚だけで判断すると、どうしても見え方が偏ってしまいます。客観的な数字をもとに、できるだけ冷静に状況を見ていきましょう。
ステップ3:4象限に配置する
数字が整理できたら、各事業や製品を4つの象限に配置します。
この作業によって、現状が見える化されます。感覚的には「うまくいっている」と思っていた事業が、実は成長余地に乏しかったり、逆にまだ小さいが将来性のある事業が見えてきたりします。
そして、どの事業に投資を集中すべきか、どこで利益を確保するべきかを考える土台が整います。
ステップ4:今後の戦略を決める
最後に、それぞれの事業について今後の方針を決めます。
選択肢としては、拡大、維持、収益最大化、撤退などがあります。すべてを同じように扱うのではなく、立ち位置に応じて戦い方を変えることが大切です。
ズバリ言いますと、BCGマトリクスの本当の価値は、分類することそのものではなく、その後の意思決定にあります。整理した結果を、実際の行動につなげてこそ意味があるのです。
なぜBCGマトリクスは起業や新規事業にも役立つのか
起業では「何に資源を投下するか」の判断が重要だから
起業の初期段階では、経営資源が限られています。お金も、人手も、時間も、潤沢にあるわけではありません。
そのため、思いついたアイデアすべてに投資することはできません。どの市場に可能性があるのか、どこに集中するべきかを見極める必要があります。
BCGマトリクスの考え方は、その整理に役立ちます。今の自分のアイデアが、成長市場にあるのか、競争優位をつくれそうなのかを冷静に見る視点を与えてくれるからです。
新規事業は“問題児”から始まることが多い
新規事業は、最初から花形になるわけではありません。立ち上げ段階では、市場シェアが低いのが普通です。ですから、多くの新規事業はクエスチョンマーク、つまり問題児の位置からスタートします。
ここで大事なのは、シェアが低いこと自体を悲観することではありません。重要なのは、その市場が伸びているか、そしてその中で勝てる見込みがあるかどうかです。
起業家に必要なのは、感覚や思いだけで突き進むことではなく、こうした分析視点を持ちながら判断していくことです。その積み重ねが、失敗の確率を下げてくれます。
既存企業だけでなく、これから起業する人にも有効
BCGマトリクスは、すでに多角化している企業だけに有効なものではありません。これから起業する人にも十分使えます。
たとえば、起業準備中の事業アイデアを整理したり、複数の案を比較したりする際に役立ちます。どの案が成長市場に近いのか、どの案なら優位性を築けそうかを見比べやすくなるからです。
さらに、将来どの事業を収益の柱にしていくのかという視点も持ちやすくなります。起業前の段階でこうした視点を持っておくことは、あとあと大きな差になります。
起業を成功させるには、フレームワークだけでなく実行支援も重要
事業アイデアが良くても、起業は分析だけでは進まない
ここはとても大事なポイントです。事業アイデアが良くても、分析だけで起業は前に進みません。
実際には、資金計画、市場調査、競合比較、集客設計、そして実行までのロードマップづくりが必要になります。つまり、頭の中で整理できたことを、現実の計画に落としていかなければならないのです。
フレームワークは非常に便利ですが、それだけで売上が立つわけではありません。行動に移せるレベルまで具体化することが欠かせません。
起業準備で悩みやすいポイント
起業準備では、多くの方が似たようなところで悩みます。
どの市場を狙うべきか、収益化の見込みはあるのか、競合との差別化はどうするのか、今のアイデアで本当に進めてよいのか。こうした悩みは、起業を真剣に考えている方ほど強くなります。
逆に言えば、悩むのは自然なことです。むしろ、その悩みをきちんと整理しながら前に進めることが大切です。
だからこそ、客観的に整理できる環境が大切
起業準備では、自分ひとりで考えていると判断が偏りやすくなります。思い入れが強いほど、見えていないリスクに気づきにくくなることもあります。
だからこそ、客観的に整理できる環境が大切です。専門家や支援サービスを活用することで、考えが整理され、次に何をすべきかが明確になりやすくなります。
特に起業の初期段階ほど、相談先の有無は大きな差になります。早い段階で方向性を整えることが、結果として遠回りを減らすことにもつながるのです。
BCGマトリクスをきっかけに、自分の事業アイデアを整理してみよう
BCGマトリクスを学ぶ意味は、知識を増やすことだけではありません。自分の事業アイデアを整理するきっかけにすることに、大きな価値があります。
自分の考えているビジネスは、どの市場にあるのか。競合と比べて優位性はあるのか。今後の成長は見込めるのか。どこに投資を集中するべきなのか。
こうした問いを自分に投げかけることで、「ただ何となく良さそう」という状態から一歩進みます。記事を読んで終わりではなく、自分ごととして考え始めることが大切です。
お気軽に、紙に書き出してみるだけでも構いません。整理すると、見えていなかった課題や可能性が浮かび上がってきます。
起業や新規事業の方向性に迷ったら、専門家に相談するのも有効
BCGマトリクスで整理すると、課題はかなり見えやすくなります。ですが、実際の起業ではそれだけで足りるわけではありません。
事業計画、資金面、集客戦略、競合との差別化など、考えるべきことはたくさんあります。しかも、それぞれがつながっています。
だからこそ、一人で抱え込まず、相談できる場を持つことはとても有効です。第三者の視点が入ることで、判断の精度はぐっと高まりやすくなります。迷ったときこそ、早めに整理することが大切です。
まとめ|BCGマトリクスは、起業前の事業整理にも役立つフレームワーク
BCGマトリクスは、市場成長率と市場シェアで事業を分類する考え方です。
既存企業の経営戦略に使われるイメージが強いですが、実は起業準備や新規事業の検討にも十分応用できます。特に、限られたリソースをどこに集中するかを考えるうえで、とても役立つフレームワークです。
ただし、分析だけで成功できるほど、起業は簡単ではありません。大切なのは、整理した内容を実行計画につなげていくことです。
BCGマトリクスをきっかけに、ぜひご自身の事業アイデアや方向性を見直してみてください。その一歩が、将来の大きな差につながるはずです。
起業や新規事業の進め方に迷っている方へ
事業アイデアの整理や市場分析、収益化の方向性に不安がある場合は、できるだけ早い段階で専門家に相談することが大切です。
BCGマトリクスのようなフレームワークを活用しながら、あなたのビジネスの可能性を、机上の空論ではなく具体的な形にしていきましょう。
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この記事を書いた人
小峰精公/Kiyotaka Komine
元朝日信用金庫 法人営業
資金繰り解決コンサルタント
V-Spirits総合研究所株式会社 常務取締役
大学卒業後、朝日信用金庫に入庫。朝日信用金庫での経験が原点となり、「銀行融資取引」や「資金繰り」の本質を企業へ伝えていくことがミッションだと確信する。
日本の99%は中小零細企業で成り立っている現状を痛感し、1社でも多くの企業の「資金繰り」の課題を解決していくことに専念する。
クライアント様がより良い商品やサービスを提供することができる環境づくりの一助となれるよう全身全霊を尽くす。

この記事を監修した人
多胡藤夫/Fujio Tago
元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。




























