
経営コンサルタントとして起業する人の公庫融資審査|見られるポイントと流れを一問一答で解説
会社員として培った経験を武器に、経営コンサルタントとして独立する。そんな計画を立てたとき、多くの方が最初にぶつかるのが「日本政策金融公庫の融資審査に通るのか」という不安です。コンサルティング業は店舗も大きな設備もいらない一方で、商品が「自分の知識と経験」という無形のサービスであるため、売上の根拠を数字で示しにくいという審査上の特有の難しさがあります。
この記事では、経営コンサルタントとして起業する方に向けて、日本政策金融公庫の融資審査で見られるポイント・審査の流れ・金利や限度額の目安を、Q&A形式で整理します。なお、金利・制度は変わりやすいため、本記事は執筆時点(2026年7月)の情報にもとづく一般的な解説です。申請前には日本政策金融公庫の公式情報を必ずご確認ください。
まず全体像:コンサル起業で使う制度と審査の仕組み
これから開業する経営コンサルタントの代表的な選択肢は、日本政策金融公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」です。政府系金融機関の制度のため、民間金融機関では対応が難しい創業初期のケースにも積極的に取り組んでいるのが特徴です。ポイントは次のとおりです。
- 創業期(新たに事業を始める方、または税務申告を2期終えていない方)は、原則として無担保・無保証人で利用できます。
- 審査では、事業として創業した実績がなくても、事業計画書と自己資金などをもとに判断されます。
- 融資限度額は7,200万円(うち運転資金4,800万円)です。コンサル業は設備が軽いため、実際の借入額は事務所関連費用と当面の運転資金が中心で、これより小さくなるのが一般的です。
ここからは、審査・数字・落ちたときの3つのテーマに分けて、よくある疑問に一問一答で答えていきます。
審査で見られるポイントに関するQ&A
Q. コンサルタントは融資審査で不利になりますか?
A. 「コンサルだから不利」と一律に扱われるわけではありません。ただし、無形のサービス業であるため、売上の根拠をどう示すかが他の業種以上に丁寧に見られる傾向があります。飲食店なら立地や席数から売上を推定できますが、コンサルは「誰が・いくらで・何件契約してくれるのか」を示す材料が本人の計画書しかありません。想定顧客単価×月間契約件数の組み立てと、その根拠(前職の人脈・見込み顧客との接点・専門分野の需要)を具体的に示せるかが評価の分かれ目になります。
Q. 前職の経験はどのように評価されますか?
A. コンサル業は「人の経験そのもの」が商品のため、前職での実務経験・専門性と、独立後の事業内容の一貫性が重要な評価材料になります。どの業界のどんな課題を解決してきたのか、その経験が独立後の商品・サービスにどうつながるのかを、計画書と面談で一貫して説明できるよう整理しておきましょう。逆に、前職とまったく関係のない分野でのコンサル開業は、計画の実現性を裏づける材料が乏しくなるため、説明の準備がより重要になります。
Q. 面談ではどんなことを聞かれますか?
A. 面談では、創業の動機、事業の経験・強み、売上見込みの根拠、自己資金の準備状況、資金の使いみちなどが中心になります。コンサルタントの場合は特に「最初の顧客はどこから来るのか」「契約が取れるまでの間どう持ちこたえるのか」という点を掘り下げられやすいと考えておきましょう。回答は創業計画書の記載と食い違わないことが大切です。書いた内容を自分の言葉で説明できるよう準備しておくと安心です。
Q. 自己資金はいくら必要ですか?
A. 現行制度では、自己資金の額や割合の要件は決まっていません。一方で、自己資金の額は審査の重要な判断材料であり、多いほど計画の堅実さが伝わって有利になりやすいのも事実です。面談時点で口座に確認できる形にしておきましょう。なお、創業前に自費で取得した資格や、テストマーケティングにかけた費用などは、一定範囲で「みなし自己資金」として評価されることがあります。領収書を保管しておくとよいでしょう。
金利・限度額・スケジュールに関するQ&A
Q. 金利はどのくらいですか?
A. 2026年6月1日現在、創業期(税務申告を2期終えていない場合)に利用するときの基準利率は年3.45〜5.15%です。さらに、創業期の方が利用する場合は、原則0.65%(雇用の拡大を図る場合は0.9%)の引下げが適用される可能性があります。「雇用の拡大を図る場合」は対象者の区分ではなく、引下げ幅が大きくなる条件にあたる点に注意してください。実際の適用利率や引下げの可否は、利用する制度・審査・条件により異なるため、申請先での確認が必要です。
Q. いくらまで借りられますか?返済期間は?
A. 新規開業・スタートアップ支援資金の融資限度額は7,200万円(うち運転資金4,800万円)です。ただしコンサル業の場合、大きな設備投資が不要な分、実際の申込額は当面の運転資金+開業初期費用で数百万円規模に収まるケースが多く、無理のない借入額にしやすい業態といえます。返済期間は同制度を利用する場合の例として、設備資金20年以内・運転資金原則10年以内で、元金の据置期間は5年以内で設定できます。据置期間中は利息のみの支払いとなるため、顧客獲得までに時間がかかる開業初期のキャッシュフローに余裕を持たせやすくなります(いずれも執筆時点の情報です)。
Q. 申請から入金までどのくらいかかりますか?
A. 書類提出後、おおむね3週間〜1か月が目安です。創業計画書・自己資金のエビデンス・本人確認書類などの準備期間も含めると、動き始めから合計2か月程度を見込んでおくと安全です。「独立日が決まっているのに資金が間に合わない」とならないよう、退職・開業のスケジュールから逆算して早めに準備を始めましょう。
審査に落ちたときに関するQ&A
Q. 一度審査に落ちると、次回の審査に影響しますか?
A.公庫内には審査に落ちた記録が残ります。そのため次の審査では、落ちたことを考慮に入れた形になるため、慎重に扱われる可能性があります。
Q. 否決されたらすぐ再申請してもよいですか?
A. 原因を潰さずに再申請しても、結果は変わりません。自己資金不足、事業計画の説得力不足、売上根拠の弱さなど、否決の理由を具体的に特定し、そこを改善したうえで再申請することが必要です。どこに原因があったのか自分では判断しづらい場合は、創業融資に詳しい専門家に計画書を見てもらうのも一つの方法です。
申請前に確認したいポイント
最後に、経営コンサルタントの創業融資でつまずきやすい点を整理します。
- 売上予測が希望的観測になっていないか:顧客ゼロの段階で過大な売上を置くと計画の信頼性が下がります。控えめでも根拠のある数字のほうが評価されやすい傾向です。
- 資金使途が説明できるか:資金使途は「事業に必要な支出」であることが前提です。個別の支出が対象になるか迷う場合は、申請先や専門家に確認しながら計画を整えましょう。
- 自己資金の出どころが説明できるか:面談時点で口座に確認でき、コツコツ準備した経緯を説明できる状態にしておきます。
- 計画書と面談の説明が一致しているか:数字や動機の食い違いは信頼性を損ないます。提出前に全体を読み返しておきましょう。
まとめ
経営コンサルタントの起業でも、日本政策金融公庫の創業融資は十分に活用できます。審査では、事業として創業した実績がなくても、事業計画書と自己資金などをもとに判断されるため、鍵になるのは「顧客単価×件数の根拠」と「前職の経験と事業の一貫性」を示すことです。金利や制度の内容は変わりやすいので、申請前に必ず公式の最新情報を確認してください。売上根拠の組み立てや計画書づくりに不安がある方は、審査する側の視点を知る専門家に早めに相談しながら準備を進めるのが、遠回りに見えて確実な近道です。
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融資を受けるには何から始めればいいの?といった疑問に対して適切なアドバイスを無料にて行っております。
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この記事を書いた人
小峰精公/Kiyotaka Komine
元朝日信用金庫 法人営業
資金繰り解決コンサルタント
V-Spirits総合研究所株式会社 常務取締役
大学卒業後、朝日信用金庫に入庫。朝日信用金庫での経験が原点となり、「銀行融資取引」や「資金繰り」の本質を企業へ伝えていくことがミッションだと確信する。
日本の99%は中小零細企業で成り立っている現状を痛感し、1社でも多くの企業の「資金繰り」の課題を解決していくことに専念する。
クライアント様がより良い商品やサービスを提供することができる環境づくりの一助となれるよう全身全霊を尽くす。

この記事を監修した人
多胡藤夫/Fujio Tago
元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。

この記事を監修した人

中野裕哲/Nakano Hiroaki
税理士法人V-Spiritsグループ代表/税理士/行政書士/特定社会保険労務士/採用定着士/ファイナンシャルプランナー/起業コンサルタント/経営コンサルタント/大正大学招聘教授
税理士法人V-Spiritsグループ代表の中野裕哲は、中小企業経営者のために、税務・会計だけでなく、採用、人事、資金繰り、融資、補助金、助成金、営業、Webマーケティング、売上導線設計まで横断的に支援する実戦型経営税理士です。
経営の悩みは、突き詰めると「人・金・売上」に集約されます。中野裕哲は、大企業人事部、人材紹介会社の採用エージェント、中小企業の財務責任者、大手不動産会社での営業、出版・Web制作による集客導線構築など、幅広い実務経験をもとに、経営者の意思決定を支援します。
【対応領域】
税理士顧問、社労士顧問、補助金支援、助成金支援、資金調達支援、採用力診断、売上導線診断、経営参謀顧問。税務・会計・決算・節税に加えて、経営分析、労務管理、社会保険、助成金、採用体制づくり、融資、補助金、事業計画、営業戦略、Webマーケティング、出版、メディア活用まで一体的に相談できます。
中野裕哲は、家業の倒産危機からの壮絶な貧乏体験を原点に、お金で苦しむ経営者をひとりにしないことを掲げています。資金繰り、採用、売上づくりの壁に対して、経営者目線で伴走します。
【主な実績】
- 起業支援・経営支援の豊富な実績
- 起業相談件数3,000件以上
- 資金調達支援1000件以上
- 大企業Webサイト多数監修
- 商業出版著書監修約32冊(累計30万部超)
V-Spiritsグループでは、融資・補助金・金融機関対応に詳しい社内役員チームも伴走します。元経済産業省系補助金審査員・事務局員、元日本政策金融公庫支店長、元信用金庫融資担当営業などの専門家が、補助金申請、事業計画、資金繰り、金融機関対応を実務面から支援します。
税理士顧問、社労士顧問、融資、補助金、助成金、採用、営業、マーケティングまで、経営者が本当に悩む領域をワンストップで相談できます。V-Spiritsグループは、起業支援・会社設立・創業融資・補助金助成金・税務会計・人事労務・許認可・経営顧問をワンストップで支援する、起業家・中小企業向けの専門家グループです。





























