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コラム

内定辞退を防ぐ方法:採用後に失わないためのフォロー施策

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内定辞退を防ぐ方法:採用後に失わないためのフォロー施策

「ようやく良い人材に内定を出せたのに、入社直前で辞退されてしまった」——中小企業の採用担当や経営者から、最も多く寄せられる悩みのひとつです。求人広告費や面接の工数をかけて内定にたどり着いても、辞退されればまた最初からやり直し。コストだけでなく、現場の士気にも響きます。

内定辞退には共通する「起こりやすい瞬間」と「効果的な打ち手」があります。本記事では、中小企業が今日から実践できる内定辞退防止のフォロー施策を、選考途中・内定直後・入社までの3つのフェーズに分けて整理します。

そもそも内定辞退はなぜ起こるのか

内定辞退の理由は人によって違うように見えますが、突き詰めるとおおむね次の4つに集約されます。

  • 他社内定との比較:給与・条件・成長機会・職場の雰囲気で他社のほうが魅力的に感じた
  • 会社や仕事への不安:選考中の情報が断片的で、入社後の働き方や評価制度が具体的に見えない
  • 家族・身近な人の反対:「聞いたことのない会社」「将来が見えない」と周囲から反対された
  • 志望度の低下:内定後の連絡が途絶えるなど、入社までの間に企業側の熱量が下がったと感じた

つまり内定辞退は、「他社と比較されて負ける」「不安を解消できない」「気持ちが冷める」という、コミュニケーション不足が積み重なった結果です。逆に言えば、選考から入社までの一連の流れを設計し直せば、辞退率は大きく下げられます。

フェーズ1:選考途中に「辞退の芽」を摘む

内定辞退対策は、内定を出してから始めるものではありません。選考中の関わり方こそが最大の伏線になります。

志望度を1次面接の時点でリサーチする

1次面接の後半で「他社の選考状況」「弊社の志望度(5段階で)」「働くうえで一番大事にしたいこと」を率直に聞いておきましょう。志望度が3以下、または他社選考が複数並行している段階で把握できれば、その後の面接で本人の志向に合わせた情報提供ができ、内定後の辞退リスクも下がります。

選考期間中に「会社を知ってもらう機会」を増やす

大企業と比べて中小企業は知名度の壁があります。求人票や採用ページだけでは伝わりきらない情報を、選考の合間に意図的に補強しましょう。

  • 面接後にオフィス案内・現場見学を組み込む
  • 配属予定の部署のメンバーと15分だけ雑談する場をつくる
  • 経営者から「うちが大事にしている価値観」を直接伝える

「人」と「現場」を見せることは、知名度の差を埋める一番強い手段です。

条件面の擦り合わせを内定前に終わらせる

「内定を出してから条件交渉が始まる」のは、辞退リスクが最も高いパターンです。給与・勤務地・残業の見込み・配属先候補など、本人にとって重要な条件は、最終面接の前に必ず擦り合わせておきましょう。本人が口に出していない不安が残ったまま内定を出すと、内定後の数週間で他社の条件と比較され、静かに辞退されます。

フェーズ2:内定直後48時間が勝負

内定通知を出した直後の48時間は、辞退対策において最も重要な時間帯です。学生・転職者は、複数社の内定が出揃った段階で「どこに行くか」を一気に決める傾向があります。

内定通知は「メール+電話+面談」の3点セットにする

メールだけで終わらせず、必ず電話でも内定を伝え、できれば対面またはオンラインで30分の面談を設定します。面談では次の3つを必ず話します。

  • なぜあなたを採用したいのか(評価された点を具体的に伝える)
  • 入社後の最初の3〜6か月でどんな仕事を任せるか
  • 今、不安や迷っていることはないか(聞き出す側に回る)

「あなたを必要としている」というメッセージが、評価された具体的な事実とセットで伝わると、応募者の心理的な置きどころが大きく変わります。

意思決定の期限を「相手の状況に合わせて」設定する

「2週間以内に返事を」と一方的に伝えるのではなく、「他社の選考状況はどうですか? いつごろまでに整理できそうですか?」と相手の状況をヒアリングしたうえで、期限を一緒に決めます。無理に短い期限を切ると「急かされた」とネガティブな印象になり、それ自体が辞退理由になります。

家族・身近な人への説明資料を用意する

新卒採用や若手転職では、本人が承諾しても家族の反対で辞退に至るケースが少なくありません。会社概要・代表挨拶・福利厚生・直近の業績などをまとめた1〜2ページのシンプルな資料を渡し、「ご家族にも見せてください」と伝えるだけで、家族の不安がかなり和らぎます。

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フェーズ3:内定承諾から入社までの「気持ちの維持」

承諾を得てからも、入社まで数か月〜半年の空白期間があります。この間に他社からのスカウトに揺れたり、心境の変化で辞退に至ったりするケースは想像以上に多いです。

月1回のコミュニケーションを「定期化」する

「気が向いたら連絡する」では続きません。「内定後1週間以内に電話」「翌月から月1回のメール・電話」「入社2か月前に面談」など、社内のルールとしてフォロースケジュールを固定しましょう。担当者が変わっても引き継げる形にしておくことが大切です。

内定者同士・先輩社員との接点をつくる

内定者同士の懇親会や、配属予定の先輩社員とのランチ・カジュアル面談は、内定者にとって「もう仲間がいる」という安心感に直結します。中小企業ではオンライン雑談会や、社内の月次会議の一部にオブザーバー参加してもらうといった、軽い形での接点づくりも有効です。

入社前研修・体験ワークは「重くしすぎない」

入社前に課題図書や課題提出を求めるケースがありますが、量や難易度が重すぎると逆効果です。学生時代の研究や本業がある転職者の場合、「入社後の負担が大きい会社」と受け取られ、辞退を後押ししてしまうことがあります。研修や課題は「1〜2時間で終わる、少し未来が楽しみになる内容」を心がけてください。

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内定辞退を「数値」で管理する

感覚で対策を続けていると、何が効いていて何が効いていないか分かりません。最低限、次の数字は月次で記録してください。

  • 内定通知数
  • 内定承諾数/承諾率
  • 承諾後の入社直前辞退数
  • 辞退理由(本人ヒアリングをもとに分類)

承諾率が伸びない場合、フェーズ1〜2のどこに穴があるかが見えてきます。たとえば「内定後の面談率が低い」「辞退理由に給与の比較が多い」など、原因に応じて手を打てるようになります。

よくある質問(FAQ)

Q1. 内定辞退の理由を本人に聞きづらいのですが、どうすればよいですか?

「今後の採用活動の参考にしたい」と前置きしたうえで、メールで3問だけ聞くフォームを用意するのがおすすめです。電話で詳細を聞き出そうとすると相手の負担が大きく、回答率が下がります。匿名アンケート形式でも構いません。

Q2. 内定者の引き止めに、給与や条件の上乗せは有効ですか?

条件面が辞退の唯一の理由である場合は短期的に効くこともありますが、根本的な解決にはなりません。条件で釣られた人材は、入社後も「もっと良い条件の会社」に流れるリスクが高いからです。条件交渉ではなく、入社後にどんな成長機会や役割があるかを伝えるほうが、長期的には定着につながります。

Q3. 1人の人事担当だけで内定者フォローを回しきれません

すべてを人事1人で背負わず、配属予定部署の現場リーダーや経営者も巻き込みましょう。「現場メンバーが月1回連絡する」「経営者が3か月に1回ランチに行く」など、役割を分散させると、内定者にとっても「会社全体が自分を歓迎してくれている」感覚になり、辞退率が下がります。

Q4. 内定承諾書は法的な拘束力がありますか?

内定承諾書はあくまで意思確認の意味合いが強く、強制力で辞退を防ぐ書類ではありません。承諾書のサインをゴールにせず、その後のフォローで気持ちを維持し続けることが本質的な防止策です。

まとめ:辞退対策は「仕組み」で勝つ

内定辞退を防ぐ施策は、特別なテクニックではなく「いつ・誰が・どんな情報を伝えるか」を仕組みとして設計することに尽きます。

  • 選考途中で会社・現場・条件を擦り合わせて、不安を残さない
  • 内定直後48時間で熱量を最大化し、相手の状況に合わせて意思決定を支援する
  • 内定承諾から入社までの空白期間に、月1回の接点と内定者同士のつながりを用意する
  • 承諾率・辞退理由を数値で記録し、原因に合わせて改善を続ける

本記事の内容は2026年5月時点の採用市況をもとに整理しています。労働法・採用関連制度は変更されることがあるため、雇用条件通知や承諾書の取り扱いは、必ず最新の制度に基づいて運用してください。中小企業ならではの「経営者の顔が見える」「現場との距離が近い」という強みを活かせば、内定辞退は確実に減らせます。自社内だけで対策が固まらない場合は、採用実務に精通した専門家への相談も選択肢に入れてみてください。


中野裕哲 採用定着関係紹介画像

この記事を監修した人


中野裕哲

中野裕哲/Nakano Hiroaki

起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、サーティファイドファイナンシャルプランナー・CFP(R)、1 級FP技能士。大正大学招聘教授(起業論、ゼミ等)

V-Spiritsグループ創業者。税理士法人V-Spiritsグループ代表。東京池袋を本拠に全国の起業家・経営者さんを応援!「ベストセラー起業本」の著者。著書20冊、累計25万部超。経済産業省後援「DREAMGATE」で12年連続相談件数日本一。

【まるごと起業支援(R)・経営支援】
起業コンサル(事業計画+融資+補助金+会社設立支援)+起業後の総合サポート(経理 税務 事業計画書 融資 補助金 助成金 人事 給与計算 社会保険 法務 許認可 公庫連携 認定支援機関)など

【略歴】
経営者である父の元に生まれ、幼き頃より経営者になることを目標として過ごす。バブル崩壊の影響を受け経営が悪化。一家離散に近い貧婚状況を経験し、「経営者の支援」をライフワークとしたいと決意。それに役立ちそうな各種資格を学生時代を中心に取得。

同じく経営者であるメンターの伯父より、単に書類や手続を追求する専門家としてではなく、視野を広げ「ビジネス」の現場での経験を元に経営者の「経営そのもの」を支援できるような専門家を目指すようアドバイスを受け、社会人生活をスタート。

大手、中小、ベンチャー企業、会計事務所等で営業、経理、財務、人事、総務、管理職、経営陣等、ビジネスの「現場」での充実した修行の日々を送ったあと、2007年に独立。

ほかにはない支援スタイルが起業家・経営者に受け入れられ、数々の実績を残しています。V-Spiritsグループは、起業支援・会社設立・創業融資・補助金助成金・税務会計・人事労務・許認可・経営顧問をワンストップで支援する、起業家・中小企業向けの専門家グループです。

  • 経済産業省「DREAM GATE」にて、面談相談12年連続日本一
  • 補助金・助成金支援実績600件超
  • ベストセラー含む起業・経営本20冊を出版(累計25万部超)
  • 無料相談件数は全国から累計3,000件超

この記事を書いた人

坂井 優介(Yusuke Sakai)

起業コンサルタント® / 採用定着士 / 行政書士法人V-Spirits 補助者

1988年東京都生まれ。転勤族の父の影響で幼少期を愛知・長野・岩手・埼玉で過ごす。転入するたびに方言や文化の違いをからかわれつつも、1週間もあれば現地に溶け込む適応力を身につける。

大学在学中に公認会計士試験にチャレンジするも挫折し、アルバイト先だった埼玉の大手学習塾に就職。塾業界特有の過酷な労働環境の中でも10年間勤務を続けるが、成果を上げても給与が変わらない状況に限界を感じ、在職中に会計士試験に再挑戦。再び挫折するも、学んだ会計知識を活かせる職場を求めて転職活動を開始。2021年にV-Spiritsグループに参画し、2022年よりV-Spirits総合研究所の常務取締役に就任。

現在は、中小企業の経営者向けに補助金・助成金の支援から採用定着の仕組みづくりまで幅広く担当。「制度を使いこなす中小企業を増やす」をテーマに、現場に寄り添ったサポートを行っている。

役職:V-Spirits総合研究所株式会社 常務取締役 / 税理士法人V-Spirits 業務部長 / 社会保険労務士法人V-Spirits 業務部長
担当業務:経済産業省系補助金支援・厚生労働省系助成金支援・マーケティング・人事労務・採用定着支援

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