
いまさら聞けない「イノベーター理論」ってなに?──商品がどう広がるかのカギは“人のタイプ”にあり!
新しい商品やサービスが世の中に登場したとき、それがどのように受け入れられて広まっていくのか。この“広まり方”を人のタイプ別に分けて考えるのが「イノベーター理論」です。
一見、難しそうな理論に聞こえるかもしれませんが、実は起業家や経営者にとって、ものすごく重要な考え方なんです。
今回は、「イノベーター理論って聞いたことはあるけどよくわからない…」という方のために、やさしく・具体的に解説していきますね。
① イノベーター理論とは?
イノベーター理論とは、「新商品や新技術が、どのような順番でどんな人たちに受け入れられていくか」を、5つのタイプに分けて分析する理論です。
具体的には以下のように分類されます。
タイプ | 割合(全体の中で) | 特徴 |
---|---|---|
イノベーター | 約2.5% | 新しいもの大好き!試すのが早い |
アーリーアダプター | 約13.5% | 流行に敏感で、周りに影響力があるリーダータイプ |
アーリーマジョリティ | 約34% | 世間の評価を見てから購入する、一般的な消費者層 |
レイトマジョリティ | 約34% | 流行に慎重。周囲のほとんどが使い始めてから動くタイプ |
ラガード | 約16% | 新しいものに強い抵抗感を持ち、最後まで動かない人たち |
このように、人はみんな一斉に動くのではなく、それぞれの“タイミング”と“心理”で動いていきます。
② なぜこの理論が大切なの?
「良い商品を作れば、すぐ売れる」と思っていませんか?
でも実際には、“どの層に向けて、どんなタイミングで情報を届けるか”がとても大事なんです。
イノベーター理論を知っておくと、
- 新商品をまず誰に知ってもらうべきか
- どの段階で広告費を増やすべきか
- 口コミをどう活かすべきか
といった「戦略」を立てやすくなります。
たとえば、まだ世に出たばかりのサービスを「アーリーマジョリティ」に訴えても、なかなか反応は得られません。それよりも、まずは“目利きのアーリーアダプター”に知ってもらうことが先決です。
③ アーリーアダプターの重要性
イノベーターは「面白そう!」と感じたらすぐに飛びついてくれます。でも彼らは少数派です。
本当に重要なのは、その次に続く「アーリーアダプター」の存在。彼らは、信頼されている“情報のインフルエンサー”でもあります。
彼らが「これ、いいよ」と発信してくれると、アーリーマジョリティたちも動き出すようになります。
つまり、「アーリーアダプターに刺さるメッセージ作り」こそが、普及のカギなんですね。
④ “キャズム”を乗り越えられるか?
イノベーター理論を語るうえで、忘れてはならないのが「キャズム」という考え方です。
キャズムとは、アーリーアダプターとアーリーマジョリティの間にある“深い溝”のこと。
この溝を乗り越えられずに、どんなに素晴らしい商品でも市場から消えていったものがたくさんあります。
なぜなら、アーリーマジョリティは慎重な性格。人の意見や評判をしっかり見てから動くからです。
この層に「安心」「信頼」「実績」を示せるような戦略やサポート体制がなければ、広がりはストップしてしまいます。
⑤ 起業家がこの理論から学ぶこと
起業家や新規事業に携わる方にとって、イノベーター理論は「商品普及の地図」のようなもの。
- ✔ まず、イノベーターやアーリーアダプターを探す
- ✔ 彼らに魅力的な情報を届ける
- ✔ 小さくても成功事例を作って、信頼を得る
- ✔ アーリーマジョリティに向けて安心感ある導線を設ける
このようにステップを踏んでいくことが、着実な拡大のカギになります。
■ まとめ:商品は「誰にどう届けるか」で未来が変わる
イノベーター理論は、「全員に一斉に売る」時代から「タイプ別に戦略を分ける」時代への転換を教えてくれます。
あなたの商品が、どの段階にあり、どの層に届けるべきか。そこを見極めて、しっかりと“広げていく計画”を立てていきましょう。
そして忘れてはいけないのは、“最初に応援してくれた人”たちを大切にすること。
彼らこそが、次の広がりの土台となってくれる、かけがえのない仲間なのです。
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この記事を書いた人
三浦高/Takashi Miura
元創業補助金(経済産業省系補助金)審査員・事務局員
中小企業診断士、起業コンサルタント®、
1級販売士、宅地建物取引主任者、
補助金コンサルタント、融資・資金調達コンサルタント、
産業能率大学 兼任教員
2024年現在、各種補助金の累計支援件数は300件を超える。
融資申請のノウハウも蓄積し、さらに磨きを掛けるべく日々事業計画書に向き合っている。
この記事を監修した人
多胡藤夫/Fujio Tago
元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。