
契約書は読んでからハンコを押す|商売人の当たり前
「転ばぬ先の杖」ということわざがあります。失敗する前に、あらかじめ備えておくという意味です。商売の世界では、契約書に印を押す前に、内容をしっかり読んでおくことが、この「転ばぬ先の杖」にあたります。今回は、個人事業主として商売を始める際に、契約書と向き合う基本的な姿勢について考えます。
読まずに押すことの怖さ
会社員のうちは、契約に関わる場面が限られ、内容を細かく確認する機会が少ない人もいます。しかし、個人事業主として商売を始めると、取引先との契約、仕事を依頼するときの契約など、契約書に向き合う場面が一気に増えます。内容を確認せずに印を押してしまうと、後から「そんな条件だとは知らなかった」という事態になりかねません。
読む習慣そのものが、商売人の基本
契約書を読む習慣は、特別な知識がなくても始められます。まず、何を、いつまでに、いくらで、という基本的な条件が自分の理解と合っているかを確認します。次に、支払いのタイミングや、トラブルが起きたときの対応について、どう書かれているかを一通り確認します。分からない言葉や表現があれば、そのままにせず、聞くか調べるかしてから判断する習慣が大切です。
分からないことは、専門家に確認する
契約書の内容が複雑で、自分では判断がつかない場合は、行政書士や弁護士などの専門家に確認することをすすめます。特に、金額が大きい契約や、長期にわたる契約については、一度専門家の目を通してもらうと安心です。すべての契約を専門家に見てもらう必要はありませんが、判断に迷う場面では、専門家への相談を選択肢に入れておくことが欠かせません。
会社員のうちから、読む練習をしておく
会社員のうちに、業務で契約書や規約を目にする機会があれば、内容を丁寧に読んでみる練習をしておくと、起業後に役立ちます。細かい言葉の意味まで理解できなくても、全体の構成や、確認すべき項目の大まかな見方を知っておくだけで、起業後の契約書との向き合い方がずいぶん変わります。

💬 執筆者の三浦から一言
相談の場でも、契約内容を自分の言葉で説明できる方は、トラブルが起きたときの対応も落ち着いている印象があります。内容をよく読まずに進めてしまう方ほど、後から困る場面に出会いやすいように見えます。確認の一手間が、結果として大きな安心につながっているようです。
急いでいるときほど、確認を飛ばしがちになる
取引のタイミングが迫っていると、時間に追われて、契約内容の確認をつい後回しにしてしまうことがあります。しかし、急いでいる場面こそ、確認を飛ばした結果のリスクが大きくなりやすい状況です。急いでいるときでも、最低限確認すべき項目をあらかじめ決めておくと、慌てた状態でも見落としを減らすことができます。
契約書を読むことは、相手への敬意にもなる
契約書を丁寧に読むことは、自分を守るためだけの作業ではありません。相手が時間をかけて用意した契約内容に、きちんと目を通す姿勢は、相手への敬意としても伝わります。読まずに印を押してしまうと、内容を軽く扱っているという印象を与えることもあり、逆に、丁寧に確認する姿勢は、信頼できる取引相手だという印象につながります。
口約束と契約書の違いを理解しておく
個人事業主の商売では、口約束だけで仕事を進めてしまう場面も出てきます。しかし、口約束は、後から「言った」「言わない」という水掛け論になりやすく、トラブルの原因になりがちです。簡単な内容でも、できるだけ書面やメールなど、記録に残る形でやり取りしておく習慣をつけておくと、後々のトラブルを未然に減らすことができます。
契約内容は、控えとして必ず残しておく
印を押した契約書は、控えを必ず自分の手元に残しておいてください。契約の内容を後から確認したいとき、控えがなければ、記憶だけを頼りにするしかなくなります。紙の契約書であれば、コピーをとっておく、電子的なやり取りであれば、データを分かりやすい場所に保存しておくなど、後から見返せる形を整えておくことが、将来の自分を助けることになります。
一度読んで分かったつもりにならない
契約書を一度読んで内容を理解したつもりでも、時間が経つと、細かい条件を忘れてしまうことがあります。特に、支払いのタイミングや更新の条件など、後になって確認が必要になる部分は、読んだあとにメモとして簡単にまとめておくと、必要なときにすぐ確認できます。読んだときの理解を、形として残しておく工夫も、商売人としての基本の一部です。
よくある質問
Q. 契約書のどこを最初に確認すればいいですか
A. まずは金額、期間、支払いのタイミングといった基本的な条件から確認してみてください。そのうえで、気になる部分があれば個別に確認していく進め方が分かりやすいです。
Q. 専門家に相談するタイミングはいつがいいですか
A. 印を押す前に相談するのが基本です。契約の内容に不安がある場合は、早めに専門家へ確認しておくと安心です。
まとめ:今日からできること
身近な契約書や規約を一つ、今日時間をとって読んでみてください。この習慣が、起業後の商売人としての基本を支える確かな力になります。読むこと自体に慣れておくことが、何よりの備えです。
【無料相談のご案内】
弊社は、V-Spiritsグループ代表の中野裕哲を中心に、中小企業診断士・元補助金審査員の三浦をはじめとした専門家チームが、業種を問わない幅広い起業・新規事業のご相談に対応しております。何から始めればいいかわからないという段階でも、適切なアドバイスを無料にて行っております。無料相談も行っているので、ぜひ一度ご相談ください。お問い合わせお待ちしております!

この記事を書いた人
三浦高/Takashi Miura
元創業補助金(経済産業省系補助金)審査員・事務局員
中小企業診断士、起業コンサルタント®、
1級販売士、宅地建物取引主任者、
融資・資金調達コンサルタント
行政書士法人V-Spirits 補助者
産業能率大学 兼任教員
2024年現在、各種補助金の累計支援件数は300件を超える。
融資申請のノウハウも蓄積し、さらに磨きを掛けるべく日々事業計画書に向き合っている。


この記事を監修した人
中野裕哲/Nakano Hiroaki
税理士法人V-Spiritsグループ代表/税理士/行政書士/特定社会保険労務士/採用定着士/ファイナンシャルプランナー/起業コンサルタント/経営コンサルタント/大正大学招聘教授
税理士法人V-Spiritsグループ代表の中野裕哲は、中小企業経営者のために、税務・会計だけでなく、採用、人事、資金繰り、融資、補助金、助成金、営業、Webマーケティング、売上導線設計まで横断的に支援する実戦型経営税理士です。
経営の悩みは、突き詰めると「人・金・売上」に集約されます。中野裕哲は、大企業人事部、人材紹介会社の採用エージェント、中小企業の財務責任者、大手不動産会社での営業、出版・Web制作による集客導線構築など、幅広い実務経験をもとに、経営者の意思決定を支援します。
【対応領域】
税理士顧問、社労士顧問、補助金支援、助成金支援、資金調達支援、採用力診断、売上導線診断、経営参謀顧問。税務・会計・決算・節税に加えて、経営分析、労務管理、社会保険、助成金、採用体制づくり、融資、補助金、事業計画、営業戦略、Webマーケティング、出版、メディア活用まで一体的に相談できます。
中野裕哲は、家業の倒産危機からの壮絶な貧乏体験を原点に、お金で苦しむ経営者をひとりにしないことを掲げています。資金繰り、採用、売上づくりの壁に対して、経営者目線で伴走します。
【主な実績】
- 起業支援・経営支援の豊富な実績
- 起業相談件数3,000件以上
- 資金調達支援1,000件以上
- 大企業Webサイト多数監修
- 商業出版著書監修約32冊(累計30万部超)
V-Spiritsグループでは、融資・補助金・金融機関対応に詳しい社内役員チームも伴走します。元経済産業省系補助金審査員・事務局員、元日本政策金融公庫支店長、元信用金庫融資担当営業などの専門家が、補助金申請、事業計画、資金繰り、金融機関対応を実務面から支援します。
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