
起業時の「資本金」設定、ズバリこう決める!プロが教える安心の資金戦略
こんにちは。起業コンサルタント®、税理士、行政書士、社会保険労務士、ファイナンシャルプランナーの中野裕哲です。
今回は、「資本金」についてじっくり解説いたします。起業家の皆さんが最初に直面するこの“謎の数字”、一体いくらにすればいいのか?どんな意味があるのか?ズバリ、安心できる実務ベースでご説明します。
第1章 そもそも「資本金」とは何か?
まずは基本から押さえておきましょう。
資本金とは、会社が事業を始めるにあたって、出資されたお金のこと。
このお金は会社の口座に預けられ、会社が自由に使える「元手」となります。つまり、「会社として最初に持っている“持ち金”」です。
資本金は、登記簿にも記載され、公に見える数字になります。だからこそ、ただの数字ではなく、会社の信用力にも大きく関わってくるんですね。
第2章 資本金の最低額は?法律のルールを確認
2006年の会社法改正により、資本金の最低額は大きく緩和されました。
株式会社・合同会社ともに、資本金1円でもOK!
これは制度上の話。ですが、実務的にはどうでしょうか?
ズバリ言います。
「資本金1円で起業」は現実的ではありません。
なぜなら、すぐに運転資金で消えてしまい、信用も得にくいからです。
第3章 資本金は多いほどいいのか?その功罪
◎資本金が多いメリット
- 金融機関や取引先からの信用度が上がる
- 許認可業種で「資本金額の要件」がある場合に対応できる
- 融資や補助金申請時のアピールポイントになる
△資本金が多すぎるデメリット
- 消費税の課税対象になる(※1000万円以上で2年目以降課税)
- 「お金がある会社」と見られ、無理な取引を迫られることも
- 一度決めた資本金を減らすのは手続きが大変
つまり、“ちょうどいい額”を選ぶことが大切なんですね。
第4章 ズバリ、資本金はいくらが妥当?
業種や事業規模にもよりますが、経験上、以下の金額感が一つの目安になります。
タイプ | 資本金目安 |
---|---|
フリーランス・個人受注型 | 50万円〜100万円 |
店舗系(飲食・美容など) | 100万円〜300万円 |
IT系・法人営業型 | 100万円〜500万円 |
許認可が必要な業種 | 法定要件を確認 |
特に、日本政策金融公庫や自治体の創業融資を予定している場合、「自己資金+資本金の総額」で審査されることが多いです。
第5章 資本金の“出どころ”と注意点
「資本金ってどこから用意するの?」という質問も多いです。
自己資金から出すのが基本
資本金は「出資」です。借金で用意したお金は、原則NG(ただし親族からの贈与等は可)。
- 給与からの貯金
- 退職金
- 保険の解約返戻金
などが一般的な原資になります。
また、複数人で出資する場合は、出資比率=持ち株比率=発言権や利益配分にも関わるため慎重に決めましょう。
第6章 資本金の「見せ方」と登記の注意点
登記簿に記載される資本金。この“見せ金”に要注意です。
金融機関は、登記だけでなく通帳や振込記録も確認します。
NG例
- 設立後すぐに資本金を全額引き出し、他口座に移す
- 他人名義の口座で準備する
- 一時的に借りて入金だけする
→ これらは「見せ金」とされ、融資審査でマイナス評価となることも。
OK例
- 設立用の新規口座に自己資金を入金
- 毎月の貯金履歴を残しておく
第7章 資本金と税務の関係
資本金は、実は税金や社会保険にも影響します。
消費税
- 資本金1000万円未満の会社は、原則として設立から2年間は免税事業者に。
法人住民税の均等割
- 資本金が多いと、均等割の税額が上がる自治体あり(特に資本金1000万円超)
FAQ:よくある質問
Q. 資本金1円でも本当に会社は作れますか?
→ はい、法的には可能です。ただし実務的には不利が多く、おすすめしません。
Q. 親にお金を借りて資本金にしてもいいですか?
→ 贈与であればOKですが、借入の場合は融資審査にマイナスになる可能性があります。
Q. 資本金を後から増やすことはできますか?
→ はい、増資という形で可能です。ただし登記手続きと費用がかかります。
Q. 資本金は現金でなくてもいいの?
→ 原則、現金出資が一般的です。現物出資(PCや車など)も可能ですが、評価や手続きが煩雑になります。
まとめ:資本金は“会社の顔”になる数字
資本金は、単なる「お金」ではなく、
- 起業家の覚悟
- 経営の安定性
- 社会的な信用力
を表す、大切な“会社の顔”となる数字です。
高すぎても低すぎてもNG。
あなたの事業規模や今後の展望に応じて、最適な金額を戦略的に決めていきましょう!
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この記事を書いた人
中野裕哲/Nakano Hiroaki
起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、サーティファイドファイナンシャルプランナー・CFP(R)、1 級FP技能士。大正大学招聘教授(起業論、ゼミ等)
V-Spiritsグループ創業者。税理士法人V-Spiritsグループ代表。東京池袋を本拠に全国の起業家・経営者さんを応援!「ベストセラー起業本」の著者。著書20冊、累計25万部超。経済産業省後援「DREAMGATE」で12年連続相談件数日本一。
【まるごと起業支援(R)・経営支援】
起業コンサル(事業計画+融資+補助金+会社設立支援)+起業後の総合サポート(経理 税務 事業計画書 融資 補助金 助成金 人事 給与計算 社会保険 法務 許認可 公庫連携 認定支援機関)など
【略歴】
経営者である父の元に生まれ、幼き頃より経営者になることを目標として過ごす。バブル崩壊の影響を受け経営が悪化。一家離散に近い貧困状況を経験し、「経営者の支援」をライフワークとしたいと決意。それに役立ちそうな各種資格を学生時代を中心に取得。同じく経営者であるメンターの伯父より、単に書類や手続を追求する専門家としてではなく、視野を広げ「ビジネス」の現場での経験を元に経営者の「経営そのもの」を支援できるような専門家を目指すようアドバイスを受け、社会人生活をスタート。大手、中小、ベンチャー企業、会計事務所等で営業、経理、財務、人事、総務、管理職、経営陣等、ビジネスの「現場」での充実した修行の日々を送ったあと、2007年に独立。ほかにはない支援スタイルが起業家・経営者に受け入れられ、経済産業省「DREAM GATE」にて、面談相談12年連続日本一。補助金・助成金支援実績600件超。ベストセラー含む起業・経営本20冊を出版。累計25万部超。無料相談件数は全国から累計3000件を超す。
この記事を監修した人
多胡藤夫/Fujio Tago
元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。