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コラム

整骨院の事業計画書の書き方|創業融資で押さえるポイント

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整骨院の創業融資を通す事業計画書の書き方|柔道整復師の開業で押さえる5つのポイント

整骨院・接骨院を開業するとき、多くの方が日本政策金融公庫などの創業融資を利用します。その審査でカギを握るのが「事業計画書(創業計画書)」です。開業前は事業の実績がないため、計画書の説得力がほぼそのまま審査結果に直結します。とはいえ「何をどこまで書けばいいのか分からない」という柔道整復師の方は少なくありません。

この記事では、これから整骨院の開業を考えている方に向けて、創業融資の事業計画書で押さえるべき5つのポイントを、整骨院ならではの事情を踏まえて解説します。なお融資の制度・金利・条件は変わりやすいため、本記事は2026年の執筆時点の情報をもとにしています。具体的な数字や要件は、申請前に日本政策金融公庫など申請先の最新情報をご確認ください。

整骨院の開業で事業計画書が重要な理由

創業融資は、まだ売上実績のない開業前後の事業者を対象とする融資です。だからこそ、過去の決算ではなく「これからどんな整骨院を、どう運営して、どうやって返済していくのか」を示す事業計画書が、審査の中心的な判断材料になります。

とくに整骨院は、施術者(柔道整復師)の経歴や技術、立地、保険診療(療養費)と自費メニューのバランスなど、計画の良し悪しを左右する要素が多い業種です。これらを数字と根拠でていねいに示せるかどうかが、融資の通りやすさを大きく左右します。

整骨院の創業融資の基本をおさえる

整骨院の開業資金を借りる代表的な選択肢が、日本政策金融公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」です。2024年3月に従来の「新創業融資制度」が廃止され、現在はこの制度が主力になっています。執筆時点(2026年)の主な内容は次のとおりです。

  • 融資限度額:7,200万円(うち運転資金4,800万円)。制度による
  • 担保・保証人:創業期の方は原則として無担保・無保証人で利用可能
  • 据置期間:元金返済の据置を5年以内で設定でき、据置期間中は利息のみの支払い
  • 申請から実行までの目安:書類提出後おおむね3週間〜1か月(準備を含めると合計2か月程度を見込むと安全)

金利(基準利率)は条件によって変動し、2026年6月1日現在では無担保・創業期(税務申告を2期終えていない場合)で年3.45〜5.15%が目安です。創業期の方が無担保で利用する場合は、原則0.65%(雇用の拡大を図る場合は0.9%)の引下げが適用される可能性があります。ただし適用可否は制度・審査・条件によって異なるため、最新の利率は申請先で必ず確認してください。

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整骨院の事業計画書の書き方|押さえるべき5つのポイント

ポイント1:コンセプトと強みを言語化する

まず「どんな整骨院にするのか」を明確にします。スポーツ外傷に強い、産後骨盤ケアに特化、地域の高齢者向けの機能訓練に注力など、ターゲットと提供価値をはっきりさせましょう。あわせて、柔道整復師としての実務経験年数、得意な施術、これまでに担当した患者層といった施術者本人の経歴も具体的に書きます。実績がない開業前だからこそ、「人」の信頼性が計画の説得力を支えます。

ポイント2:売上計画は根拠とセットで示す

売上は「平均単価 × 1日あたり来院数 × 営業日数」で組み立て、その数字の根拠を添えるのが基本です。整骨院の場合、保険診療(療養費)による施術料と、自費メニュー(保険外の手技・物販など)の比率を分けて示すと、収益の見通しが伝わりやすくなります。「近隣の人口や競合数からこの来院数を見込む」といった、立地や市場の裏付けを書き添えると、計画の現実味が高まります。希望的観測だけの強気すぎる数字は、かえって評価を下げる点に注意しましょう。

ポイント3:資金計画は設備・内装と運転資金を分けて積む

整骨院は、施術ベッド・電療機器・物理療法機器などの設備費と、内装工事費がまとまってかかります。これらは見積書をもとに「何にいくら必要か」を一つずつ積み上げます。あわせて重要なのが運転資金です。とくに保険診療の療養費は、施術してから実際に入金されるまでにタイムラグがあるため、その間の家賃・人件費・仕入れをまかなう運転資金を計画に織り込んでおく必要があります。設備資金だけで計画を組み、運転資金を見落とすのは典型的な失敗です。

ポイント4:自己資金を整理して示す

創業融資では、自己資金の額が審査の重要な判断材料になります。制度上「総額の何分の1が必須」といった固定の要件は定められていませんが、自己資金が多いほど計画への本気度が伝わり、有利になりやすいのが実情です。自己資金は面談の時点で口座に確認できる形にしておきましょう。また、開業前に自費で取得した資格や、先に購入した設備・備品などは「みなし自己資金」として一定範囲で評価されることがあるため、領収書を必ず保管しておくことをおすすめします。

ポイント5:無理のない返済計画を描く

借入額は「借りられるだけ借りる」のではなく、返済できる範囲で設計します。据置期間(最大5年以内)を活用すれば、開業初期の資金繰りに余裕を持たせられます。月々の返済額が、見込みの利益に対して過大になっていないかを必ず確認しましょう。返済原資(利益)と返済額の関係を計画書で示せると、貸し手にとっての安心材料になります。

整骨院ならではの注意点

競合となる整骨院・接骨院が多いエリアでは、「なぜ自院が選ばれるのか」を計画書で説明できることが特に重要です。差別化の軸(専門特化・立地・予約のしやすさなど)を具体的に示しましょう。

また、資金使途には「事業に必要な支出」しか計上できません。人件費や役員報酬は運転資金として計上できますが、経営者個人の生活費は対象外です。生活費を運転資金に紛れ込ませると、計画書の信頼性を損なうため避けましょう。なお、療養費の受領委任など保険請求に関わる手続きや、税務・会計の処理は専門的な領域です。判断に迷う部分は、自己流で進めず、管轄の窓口や税理士などの専門家に確認することをおすすめします。

よくある質問(FAQ)

Q. 整骨院の開業で自己資金はいくら必要ですか?

A. 制度上、自己資金の額や割合に決まった要件はありません。ただし自己資金が多いほど審査では有利になりやすいため、開業資金の一定割合を自己資金で用意できると計画の説得力が高まります。

Q. 審査に落ちると信用情報に傷がつきますか?

A.日本政策金融公庫は個人信用情報機関に加盟していますが、審査に落ちたこと自体が信用情報に記録されることはありません。一方で、公庫内には審査に落ちた記録が残ります。そのため次の審査では、落ちたことを考慮に入れた形になるため、慎重に扱われる可能性があります。

Q. 整骨院ではいくらまで借りられますか?

A. 新規開業・スタートアップ支援資金の限度額は7,200万円(うち運転資金4,800万円)ですが、実際の融資額は事業計画の内容や自己資金、返済の見通しによって決まります。限度額いっぱいを狙うより、必要額と返済可能額から逆算するのが現実的です。

まとめ

整骨院の創業融資は、事業計画書の完成度がそのまま審査結果を左右します。コンセプトと施術者の強み、根拠のある売上計画、設備と運転資金を分けた資金計画、整理された自己資金、無理のない返済計画——この5つを押さえることが、融資を通すための近道です。とくに整骨院は療養費の入金タイムラグや競合の多さといった業種特有の事情があるため、運転資金と差別化の説明を厚くしておくと安心です。事業計画書づくりや資金調達に不安がある場合は、創業融資の支援実績が豊富な専門家に早めに相談することをおすすめします。

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小峰

この記事を書いた人

小峰精公/Kiyotaka Komine

元朝日信用金庫 法人営業
資金繰り解決コンサルタント
V-Spirits総合研究所株式会社 常務取締役
大学卒業後、朝日信用金庫に入庫。朝日信用金庫での経験が原点となり、「銀行融資取引」や「資金繰り」の本質を企業へ伝えていくことがミッションだと確信する。
日本の99%は中小零細企業で成り立っている現状を痛感し、1社でも多くの企業の「資金繰り」の課題を解決していくことに専念する。
クライアント様がより良い商品やサービスを提供することができる環境づくりの一助となれるよう全身全霊を尽くす。

この記事を監修した人

多胡藤夫/Fujio Tago

元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。

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この記事を監修した人


中野裕哲

中野裕哲/Nakano Hiroaki

税理士法人V-Spiritsグループ代表/税理士/行政書士/特定社会保険労務士/採用定着士/ファイナンシャルプランナー/起業コンサルタント/経営コンサルタント/大正大学招聘教授

税理士法人V-Spiritsグループ代表の中野裕哲は、中小企業経営者のために、税務・会計だけでなく、採用、人事、資金繰り、融資、補助金、助成金、営業、Webマーケティング、売上導線設計まで横断的に支援する実戦型経営税理士です。

経営の悩みは、突き詰めると「人・金・売上」に集約されます。中野裕哲は、大企業人事部、人材紹介会社の採用エージェント、中小企業の財務責任者、大手不動産会社での営業、出版・Web制作による集客導線構築など、幅広い実務経験をもとに、経営者の意思決定を支援します。

【対応領域】
税理士顧問、社労士顧問、補助金支援、助成金支援、資金調達支援、採用力診断、売上導線診断、経営参謀顧問。税務・会計・決算・節税に加えて、経営分析、労務管理、社会保険、助成金、採用体制づくり、融資、補助金、事業計画、営業戦略、Webマーケティング、出版、メディア活用まで一体的に相談できます。

中野裕哲は、家業の倒産危機からの壮絶な貧乏体験を原点に、お金で苦しむ経営者をひとりにしないことを掲げています。資金繰り、採用、売上づくりの壁に対して、経営者目線で伴走します。

【主な実績】

  • 起業支援・経営支援の豊富な実績
  • 起業相談件数3,000件以上
  • 資金調達支援1000件以上
  • 大企業Webサイト多数監修
  • 商業出版著書監修約32冊(累計30万部超)

V-Spiritsグループでは、融資・補助金・金融機関対応に詳しい社内役員チームも伴走します。元経済産業省系補助金審査員・事務局員、元日本政策金融公庫支店長、元信用金庫融資担当営業などの専門家が、補助金申請、事業計画、資金繰り、金融機関対応を実務面から支援します。

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