
一年後に起業を目指すあなたへ──公庫融資という心強い味方
こんにちは、起業コンサルタント(R)、税理士・行政書士・CFP®の中野裕哲です。
「一年後に起業したいのですが、資金の準備が不安です…」
こんなご相談をよくいただきます。ズバリ申し上げますと、起業において「資金」は命綱です。そしてその資金調達手段として、多くの方が利用しているのが「日本政策金融公庫の創業融資」です。
今回は、起業予定の会社員の方に向けて、日本政策金融公庫の融資制度を活用するための実務的な準備ポイントを、丁寧にわかりやすく解説します。
目次
- 日本政策金融公庫ってどんなところ?
- なぜ会社員経験者に向いているのか?
- 公庫融資の基本的な流れ
- 必要書類とその準備
- 審査で見られる3つのポイント
- よくある落とし穴と対策
- 融資面談のリアル
- FAQ:よくある質問と回答
1. 日本政策金融公庫とは?
日本政策金融公庫(通称:公庫)は、政府が100%出資する金融機関です。民間金融機関と違い、利益追求よりも「国の政策目標の実現」が目的。そのため、創業時の「実績ゼロ」でも貸してくれる可能性がある、ありがたい存在なのです。
とくに「新規開業・スタートアップ支援資金」は、担保や保証人が不要で利用でき、創業初期の資金調達の王道です。
【例】
- 無担保・無保証人
- 融資限度額は7,200万円(うち運転資金4,800万円)
- 返済期間:運転資金10年以内、設備資金20年以内
2. なぜ会社員経験者に向いているのか?
実は、会社員時代の「職歴」が、審査においてプラスに評価されるケースが多いのです。特に次のような方は要チェック。
- 起業分野での勤務経験がある
- マネジメント経験がある
- 家計簿をきちんとつけていた人(←金銭管理能力のアピール)
つまり、これまでのキャリアをうまくアピールできれば、融資の通過率はグッと高まるのです。
3. 公庫融資の流れ:5ステップ
- 事業計画書の作成(これが最重要)
- 自己資金の準備(目安は必要資金の1/3以上)
- 必要書類の収集(後述)
- 申込書の提出(ネットまたは窓口)
- 面談・審査を経て融資実行
4. 準備する書類一覧
主な書類は以下の通りです:
- 事業計画書(収支予測・販路・競合分析など)
- 創業の動機や自己PR
- 通帳コピー(過去6〜12ヶ月分)
- 賃貸契約書のコピー(店舗・事務所がある場合)
- 見積書(設備資金を申請する場合)
これらはすべて「審査官が納得できるか」がポイント。自己資金の出所も、貯蓄履歴がないと認めてもらえません。
5. 審査官が見ている3つのポイント
1. 自己資金の妥当性
ちゃんと自力でコツコツ貯めたのか?親からの借金はNG(贈与なら可)。
2. 業界経験と計画の現実性
その業界での実務経験があるか、収支予測が現実的か。
3. 返済能力
利益が出て、毎月の返済に十分耐えられるか。
6. よくある落とし穴とその対策
- 落とし穴①:通帳にドンと入金→即出資
- →通帳の履歴から「誰からのお金か」が問われます。
- 落とし穴②:経験ゼロでの異業種起業
- →せめて副業などで実績を作る工夫を。
- 落とし穴③:事業計画が甘い
- →売上見込みの根拠、競合との差別化を明示しましょう。
7. 面談のリアル
面談は30〜60分程度。雑談風に進むこともありますが、油断大敵です。
- 事業への熱意と準備の度合いが見られます
- プランの矛盾を突かれたら即答できるよう準備
- スーツ着用・清潔感ある身だしなみもポイント
8. FAQ:よくある質問
Q. 自己資金が少ないと無理? →無理ではありませんが、希望額満額は厳しいです。割合に応じて減額されることも。
Q. 親からの援助は自己資金になりますか? →贈与ならOK。借金ならNG。通帳履歴で証明が必要です。
Q. 無職期間が長いですが不利ですか? →その間に準備していたこと(勉強・副業など)があればカバーできます。
Q. フランチャイズでも融資は通る? →フランチャイズ契約書、収支モデル、ロイヤリティの有無など詳細な情報が必要。
まとめ:今からできる3つの準備
- 毎月少しずつでも貯金し、通帳に記録を残す
- 起業分野の実務経験を積む or 副業で実績作り
- 事業計画書の作成に着手(まずはざっくりでOK)
起業の夢を実現するには、今からの一歩が大切です。
ズバリ言います。
「準備こそ、最大の武器」です!
わからない点、不安なことがあれば、お気軽にご相談くださいね。
【無料相談のご案内】
起業の手続きって何から始めればいいの?といった疑問に対して適切なアドバイスを無料にて行っております。
無料相談も行っているので、ぜひ一度、ご相談ください。お問い合わせお待ちしております!
この記事を書いた人
中野裕哲/Nakano Hiroaki
起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、サーティファイドファイナンシャルプランナー・CFP(R)、1 級FP技能士。大正大学招聘教授(起業論、ゼミ等)
V-Spiritsグループ創業者。税理士法人V-Spiritsグループ代表。東京池袋を本拠に全国の起業家・経営者さんを応援!「ベストセラー起業本」の著者。著書20冊、累計25万部超。経済産業省後援「DREAMGATE」で12年連続相談件数日本一。
【まるごと起業支援(R)・経営支援】
起業コンサル(事業計画+融資+補助金+会社設立支援)+起業後の総合サポート(経理 税務 事業計画書 融資 補助金 助成金 人事 給与計算 社会保険 法務 許認可 公庫連携 認定支援機関)など
【略歴】
経営者である父の元に生まれ、幼き頃より経営者になることを目標として過ごす。バブル崩壊の影響を受け経営が悪化。一家離散に近い貧困状況を経験し、「経営者の支援」をライフワークとしたいと決意。それに役立ちそうな各種資格を学生時代を中心に取得。同じく経営者であるメンターの伯父より、単に書類や手続を追求する専門家としてではなく、視野を広げ「ビジネス」の現場での経験を元に経営者の「経営そのもの」を支援できるような専門家を目指すようアドバイスを受け、社会人生活をスタート。大手、中小、ベンチャー企業、会計事務所等で営業、経理、財務、人事、総務、管理職、経営陣等、ビジネスの「現場」での充実した修行の日々を送ったあと、2007年に独立。ほかにはない支援スタイルが起業家・経営者に受け入れられ、経済産業省「DREAM GATE」にて、面談相談12年連続日本一。補助金・助成金支援実績600件超。ベストセラー含む起業・経営本20冊を出版。累計25万部超。無料相談件数は全国から累計3000件を超す。
この記事を監修した人
多胡藤夫/Fujio Tago
元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。