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コラム

起業前に不動産ローンを組んでも大丈夫?創業融資への影響とは

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起業前に不動産ローンを組んでも大丈夫?創業融資への影響とは

起業前に住宅ローンを組むと創業融資に影響する?見られ方を解説

会社員として起業の準備を進めている方から、起業前に組む住宅や不動産のローンが、その後の事業資金の借入に影響しないか心配だというご相談をいただくことがあります。具体的には、こんなご質問です。

起業の準備を進めていますが、その前に住宅や不動産のローンを組む予定があります。起業前にローンを組んでも、あとで事業の資金を借りるときに問題はないのでしょうか。

多胡藤夫

この記事を監修した人

多胡藤夫/Fujio Tago

元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。

日本政策金融公庫の支店長として創業融資の審査に携わってきた立場からお答えします。先に申し上げると、住宅や不動産のローンを起業前に組んでいるという事実だけで、事業資金の借入が受けられなくなるわけではありません。ただし、既存のローンがある状態は、審査でその方の返済余力をどう見るかに関わってきますので、順を追って説明します。

創業融資の審査では、同じ業種での勤務経験、自己資金、事業計画の具体性、資金使途と調達額の整合、信用情報(借入状況・返済遅延・税金や公共料金の未納など)といった項目をもとに判断されます(2026年8月時点で整理された考え方です)。このうち信用情報には、現在抱えている借入の状況も含まれます。つまり、住宅ローンを組んでいること自体が問題になるのではなく、その借入の返済状況や残高が、確認される項目の一つになるということです。

事業資金の審査では、事業計画が見込む売上や利益から、融資の返済に回せる金額(返済原資)があるかどうかを見ます。同時に、申込者個人がすでに抱えている返済がどの程度あるかも、総合的な返済余力を見るうえでの材料になり得ます。住宅ローンの返済額が大きいほど、個人としての返済負担は重くなりますので、審査の過程で収支全体を踏まえて確認される可能性があると考えておくとよいでしょう。これは「住宅ローンがあると融資を受けられない」ということではなく、「返済余力の見方に既存の借入が加味される」という理解のほうが実態に近いです。

事業計画の具体性という評価軸も、既存の借入の有無とは別に、それ自体で見られます。売上の根拠、原価や人件費の見積もり、資金使途と調達額が噛み合っているかといった点は、住宅ローンを組んでいるかどうかにかかわらず確認される項目です。既存の借入があるからといって事業計画そのものの評価が下がるわけではなく、逆に住宅ローンがないからといって計画の粗さが補われるわけでもありません。既存債務の有無と事業計画の中身は、別々に見られる項目だと捉えておくと整理しやすいです。

順番についてのご質問ですが、住宅ローンを先に組んでから事業資金を借りるのが良いか、事業資金を先に確保してから住宅ローンを検討するのが良いか、どちらが正解と決まっているわけではありません。ただ、実務の感覚としては、両方のローンを同時期に抱えることになる場合、それぞれの返済額を合わせた全体の収支を自分自身でも把握しておくことが、結果として審査に臨むときの説明のしやすさにつながります。事業計画書を作る段階で、個人の既存債務も含めた資金の流れを整理できていると、質問を受けたときにも答えやすくなります。

もう一点触れておきたいのが自己資金への影響です。自己資金の額や割合について、現在の制度上は固定の要件があるわけではありませんが、審査の重要な判断材料であることに変わりはありません。住宅ローンの頭金などにまとまった資金を使うと、その分、事業の自己資金として使える金額が減ることになります。起業前にローンを組む予定があるなら、頭金や諸費用にどれだけ資金を充てるかによって、事業の自己資金計画がどう変わるかも、合わせて考えておく価値があります。

私がこれまで見てきた中では、既存の借入があることそのものよりも、それを含めた全体の資金計画をきちんと説明できるかどうかで、面談時の印象が変わる場面が多くありました。住宅ローンを組む予定とタイミング、事業にあてる自己資金の見込み、事業計画上の返済原資、この3つを一度につなげて整理しておくと、審査の場でも落ち着いて説明できます。

具体的に手元で整理しておきたいのは、住宅ローンの返済額と残高、完済までの見込み年数、そして事業の資金計画のうえで月々どの程度を返済に回せそうかという見込みです。これらを並べて書き出しておくだけでも、事業資金の相談や面談の場で聞かれたときに、落ち着いて答えられるようになります。自己資金についても、いつからどのように貯めてきたかという形成過程が確認されることがありますので、住宅ローンの頭金に充てた分と事業に残す分を分けて記録しておくと、あとで説明がしやすくなります。

こうした資金計画の整理は、一人で進めると見落としが出やすい部分でもあります。住宅ローンを含めた資金計画を事業計画と合わせて整理したい場合は、創業前の資金計画相談を利用して、個人の既存債務と事業資金の両方を踏まえた収支を一度棚卸ししておくことをおすすめします。

住宅や不動産のローンを組む予定があることは、それ自体が事業資金の借入を遠ざける理由にはなりません。既存の借入を含めた返済余力がどう見られるかを理解し、タイミングと資金計画を自分の中で整理しておくことが、落ち着いて審査に臨むための準備になります。

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小峰

この記事を書いた人

小峰精公/Kiyotaka Komine

元朝日信用金庫 法人営業
資金繰り解決コンサルタント
V-Spirits総合研究所株式会社 常務取締役
大学卒業後、朝日信用金庫に入庫。朝日信用金庫での経験が原点となり、「銀行融資取引」や「資金繰り」の本質を企業へ伝えていくことがミッションだと確信する。
日本の99%は中小零細企業で成り立っている現状を痛感し、1社でも多くの企業の「資金繰り」の課題を解決していくことに専念する。
クライアント様がより良い商品やサービスを提供することができる環境づくりの一助となれるよう全身全霊を尽くす。

多胡藤夫

この記事を監修した人

多胡藤夫/Fujio Tago

元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
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中野裕哲紹介画像


中野裕哲

この記事を監修した人

中野裕哲/Nakano Hiroaki

税理士法人V-Spiritsグループ代表/税理士/行政書士/特定社会保険労務士/採用定着士/ファイナンシャルプランナー/起業コンサルタント/経営コンサルタント/大正大学招聘教授

税理士法人V-Spiritsグループ代表の中野裕哲は、中小企業経営者のために、税務・会計だけでなく、採用、人事、資金繰り、融資、補助金、助成金、営業、Webマーケティング、売上導線設計まで横断的に支援する実戦型経営税理士です。

経営の悩みは、突き詰めると「人・金・売上」に集約されます。中野裕哲は、大企業人事部、人材紹介会社の採用エージェント、中小企業の財務責任者、大手不動産会社での営業、出版・Web制作による集客導線構築など、幅広い実務経験をもとに、経営者の意思決定を支援します。

【対応領域】

税理士顧問、社労士顧問、補助金支援、助成金支援、資金調達支援、採用力診断、売上導線診断、経営参謀顧問。税務・会計・決算・節税に加えて、経営分析、労務管理、社会保険、助成金、採用体制づくり、融資、補助金、事業計画、営業戦略、Webマーケティング、出版、メディア活用まで一体的に相談できます。

中野裕哲は、家業の倒産危機からの壮絶な貧乏体験を原点に、お金で苦しむ経営者をひとりにしないことを掲げています。資金繰り、採用、売上づくりの壁に対して、経営者目線で伴走します。

【主な実績】

  • 起業支援・経営支援の豊富な実績
  • 起業相談件数3,000件以上
  • 資金調達支援1,000件以上
  • 大企業Webサイト多数監修
  • 商業出版著書監修約32冊(累計30万部超)

V-Spiritsグループでは、融資・補助金・金融機関対応に詳しい社内役員チームも伴走します。元経済産業省系補助金審査員・事務局員、元日本政策金融公庫支店長、元信用金庫融資担当営業などの専門家が、補助金申請、事業計画、資金繰り、金融機関対応を実務面から支援します。

税理士顧問、社労士顧問、融資、補助金、助成金、採用、営業、マーケティングまで、経営者が本当に悩む領域をワンストップで相談できます。V-Spiritsグループは、起業支援・会社設立・創業融資・補助金助成金・税務会計・人事労務・許認可・経営顧問をワンストップで支援する、起業家・中小企業向けの専門家グループです。

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