
ヨガスタジオ開業の創業融資ガイド|設備・内装費の内訳と資金調達の進め方
ヨガスタジオの開業を考えるとき、最初の関門になるのが「内装や設備にいくらかかり、その資金をどう用意するか」です。物件取得から床・鏡・空調・スタジオ備品まで、まとまった初期費用が必要になる一方、開業直後は会員が集まるまで売上が読みにくいため、自己資金だけでスタートするのは不安が残ります。そこで選択肢になるのが、日本政策金融公庫などの創業融資です。
この記事では、これからヨガスタジオを開く方に向けて、設備・内装費の考え方と、創業融資の基本的な仕組み・進め方を整理します。融資の数字は2026年6月時点の情報をもとにしていますが、金利や制度は変わりやすいため、申請前に必ず日本政策金融公庫の公式情報をご確認ください。
ヨガスタジオ開業にかかる費用の内訳
ヨガスタジオの開業費用は、大きく「設備資金」と「運転資金」に分けて考えると整理しやすくなります。設備資金は開業時に一度だけかかる初期投資、運転資金は開業後に毎月出ていくお金です。
- 設備資金(初期投資):内装工事、床材、壁面の鏡、空調・換気設備、音響、ヨガマットやプロップスなどの備品、受付まわりの什器
- 運転資金(開業後の運営費):家賃、人件費、水道光熱費、広告宣伝費、消耗品費など
ヨガスタジオは、床と鏡、空調にこだわるかどうかで内装費が大きく変わります。ホットヨガを想定するなら、断熱や加湿・空調の設備投資が重くなる点も見落とせません。融資を申し込む際は、これらの費用を見積書ベースで積み上げ、「何にいくら使うのか」を説明できる状態にしておくことが出発点になります。
創業融資とは|日本政策金融公庫の主な制度
創業融資とは、主に日本政策金融公庫が提供する、起業時の資金調達を目的とした融資制度です。政府系金融機関のため、民間金融機関では対応が難しいケースにも積極的に取り組むのが特徴です。無担保・無保証人での借り入れが原則として可能で、事業の実績がなくても、事業計画書と自己資金をもとに審査が行われます。
個人事業主・中小企業の創業時の代表的な選択肢が、日本政策金融公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」です。2024年3月に従来の「新創業融資制度」が廃止され、現在はこの制度が主力になっています。融資限度額は7,200万円(うち運転資金4,800万円)と、ヨガスタジオ開業に必要な規模は十分にカバーできる設計です。
設備資金と運転資金の分け方
創業融資を申し込むときは、資金使途を「設備資金」と「運転資金」に分けて申請します。ヨガスタジオなら、内装工事や備品などの初期投資が設備資金、開業後の家賃・人件費・広告費などが運転資金にあたります。
注意したいのは、運転資金として認められる範囲です。従業員の給与やインストラクターへの人件費、役員報酬は、事業活動に必要な経費として運転資金の対象になります。一方で、経営者自身の生活費は運転資金の対象になりません。資金使途はあくまで「事業に必要な支出」であることが前提のため、生活費を運転資金として申請するのは避けましょう。開業後しばらくは会員獲得に時間がかかることを見込み、数か月分の運転資金を計画に織り込んでおくと安心です。
金利・据置期間・スケジュールの目安
2026年6月1日現在の基準利率は、無担保で創業期(税務申告を2期終えていない場合)に利用するとき、年3.45〜5.15%です。創業期の方が無担保で利用する場合は、原則として0.65%(雇用の拡大を図る場合は0.9%)の引下げが適用される可能性があります。ただしこれは案内文上の一般的な説明で、実際の適用可否は利用する制度・審査・条件によって異なるため、申請先での確認が必要です。
元金返済の据置期間は5年以内で設定でき、据置期間中は利息のみの支払いになります。開業初期のキャッシュフローに余裕を持たせられるため、売上が立ち上がるまでの期間が読みにくいヨガスタジオでは有効に使いたい仕組みです。申請から融資実行までは、書類提出後おおむね3週間〜1か月が目安。書類準備も含めると、合計2か月程度を見込んでおくと余裕を持って進められます。
自己資金の考え方
「自己資金はいくら必要ですか」とよく聞かれますが、現行制度では自己資金の額や割合の要件は決まっていません。かつての新創業融資制度にあった「自己資金10分の1」のような固定の要件は、現在の制度にはありません。とはいえ、自己資金の額は審査の重要な判断材料であり、多いほど計画の実現性を示しやすく、有利になりやすい傾向があります。
また、開業前に自費で取得したヨガインストラクターの資格費用や、先に購入した備品・テストレッスンにかかった費用などは、いわゆる「みなし自己資金」として一定範囲で評価されることがあります。領収書は必ず保管しておきましょう。自己資金は、面談時点で口座に確認できる形にしておくことが基本です。
事業計画書で見られるポイント
創業融資では事業の実績がない分、事業計画書の説得力が審査結果を大きく左右します。ヨガスタジオの場合、立地と会員見込み、月会費の設定、損益分岐となる会員数、そして「なぜ続けて通ってもらえるのか」という差別化の根拠を、数字とともに示せるかが鍵です。設備・内装費の見積もりと、開業後の収支計画に一貫性があることも重要なチェックポイントになります。
よくある質問(FAQ)
Q. 内装費や設備費も融資の対象になりますか
はい、事業に必要な内装工事費や設備・備品の購入費は、設備資金として資金使途に含められます。見積書を用意し、何にいくら使うのかを説明できるようにしておきましょう。
Q. 自己資金ゼロでも申し込めますか
制度上、自己資金の額の要件は決まっていないため申し込み自体は可能ですが、自己資金が乏しいと計画の実現性を示しにくくなります。可能な範囲で自己資金を準備し、計画の根拠を厚くすることをおすすめします。
Q. ホットヨガで空調設備が高額になる場合はどうすればよいですか
設備投資が重くなる分、見積もりと収支計画の整合性がより問われます。設備の必要性と、それによって見込める集客・売上の関係を、計画書のなかで具体的に説明できるよう準備しておくとよいでしょう。
まとめ
ヨガスタジオ開業の資金は、内装・床・鏡・空調・備品といった設備資金と、開業後の家賃・人件費・広告費などの運転資金に分けて考えるのが基本です。創業融資では、これらを資金使途として整理し、自己資金と事業計画書で実現性を示すことが求められます。金利や制度は変わりやすいため、最新の公式情報を確認しながら、無理のない返済計画を組むことが大切です。V-Spiritsでは、フィットネス関連を含む幅広い業種の創業融資を支援しており(フィットネス分野は51件・2026年6月時点)、事業計画書の作成から金融機関対応まで伴走しています。
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この記事を書いた人
小峰精公/Kiyotaka Komine
元朝日信用金庫 法人営業
資金繰り解決コンサルタント
V-Spirits総合研究所株式会社 常務取締役
大学卒業後、朝日信用金庫に入庫。朝日信用金庫での経験が原点となり、「銀行融資取引」や「資金繰り」の本質を企業へ伝えていくことがミッションだと確信する。
日本の99%は中小零細企業で成り立っている現状を痛感し、1社でも多くの企業の「資金繰り」の課題を解決していくことに専念する。
クライアント様がより良い商品やサービスを提供することができる環境づくりの一助となれるよう全身全霊を尽くす。

この記事を監修した人
多胡藤夫/Fujio Tago
元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。

この記事を監修した人

中野裕哲/Nakano Hiroaki
税理士法人V-Spiritsグループ代表/税理士/行政書士/特定社会保険労務士/採用定着士/ファイナンシャルプランナー/起業コンサルタント/経営コンサルタント/大正大学招聘教授
税理士法人V-Spiritsグループ代表の中野裕哲は、中小企業経営者のために、税務・会計だけでなく、採用、人事、資金繰り、融資、補助金、助成金、営業、Webマーケティング、売上導線設計まで横断的に支援する実戦型経営税理士です。
経営の悩みは、突き詰めると「人・金・売上」に集約されます。中野裕哲は、大企業人事部、人材紹介会社の採用エージェント、中小企業の財務責任者、大手不動産会社での営業、出版・Web制作による集客導線構築など、幅広い実務経験をもとに、経営者の意思決定を支援します。
【対応領域】
税理士顧問、社労士顧問、補助金支援、助成金支援、資金調達支援、採用力診断、売上導線診断、経営参謀顧問。税務・会計・決算・節税に加えて、経営分析、労務管理、社会保険、助成金、採用体制づくり、融資、補助金、事業計画、営業戦略、Webマーケティング、出版、メディア活用まで一体的に相談できます。
中野裕哲は、家業の倒産危機からの壮絶な貧乏体験を原点に、お金で苦しむ経営者をひとりにしないことを掲げています。資金繰り、採用、売上づくりの壁に対して、経営者目線で伴走します。
【主な実績】
- 起業支援・経営支援の豊富な実績
- 起業相談件数3,000件以上
- 資金調達支援1000件以上
- 大企業Webサイト多数監修
- 商業出版著書監修約32冊(累計30万部超)
V-Spiritsグループでは、融資・補助金・金融機関対応に詳しい社内役員チームも伴走します。元経済産業省系補助金審査員・事務局員、元日本政策金融公庫支店長、元信用金庫融資担当営業などの専門家が、補助金申請、事業計画、資金繰り、金融機関対応を実務面から支援します。
税理士顧問、社労士顧問、融資、補助金、助成金、採用、営業、マーケティングまで、経営者が本当に悩む領域をワンストップで相談できます。V-Spiritsグループは、起業支援・会社設立・創業融資・補助金助成金・税務会計・人事労務・許認可・経営顧問をワンストップで支援する、起業家・中小企業向けの専門家グループです。





























