
起業したばかりでも補助金は申請できる?まず確認したい基本の考え方
「起業したばかりでも使える補助金はあるのだろうか」と検索して、補助金の一覧を見てみたものの、どれも規模が大きそうで自分に当てはまるのか分からなかった、という方は少なくありません。補助金という言葉でひとくくりにされていますが、実際には対象となる事業者の規模も、使える場面も制度ごとに大きく異なります。本記事では、起業準備中の方がまず知っておきたい「補助金はどんな規模感の事業者向けなのか」という大枠の整理と、「起業したばかり」という状態が補助金の対象になるかどうかの分かれ目について解説します。
結論:使える補助金はありますが、開業済みであることが前提です
先に結論からお伝えすると、「起業したばかり」の事業者でも対象になり得る補助金はあります。ただし、その多くは「開業届を出して事業を始めたあと」の事業者を対象にしており、まだ開業届を出していない、起業準備中の段階そのものを対象にした補助金は基本的にありません。つまり「起業したばかりかどうか」よりも「開業済みかどうか」が、補助金を使えるかどうかの最初の分かれ目になります。
多くの補助金は「既に事業をしている人」向けです
補助金と呼ばれる制度には、中小企業や中堅企業を対象にした、投資規模の大きいものが数多くあります。たとえば中小企業成長加速化補助金は売上100億円超を目指す中小企業向けで上限5億円、新事業進出・ものづくり商業サービス補助金の新事業進出枠は上限9,000万円、同じ補助金の革新的新製品・サービス枠は上限3,500万円という規模感です。ITツールの導入を支援するデジタル化・AI導入補助金も、通常枠の上限は450万円となっています。
これらはいずれも、すでに事業を運営している中小企業・小規模事業者が、新しい製品やサービス、設備、ITツールに投資する場面を想定した制度です。これから事業を立ち上げる人が、立ち上げ資金そのものとしてこれらの補助金を使うという設計にはなっていません。補助金の一覧を見て「規模が大きくて自分には合わない」と感じた場合、その感覚自体は間違っていないことが多いです。
補助金の名前だけを見ると、どれも「中小企業向け」とひとくくりに見えてしまいますが、実際には想定している投資額のレンジが制度ごとにまったく異なります。数十億円規模の大型投資を支援する制度から、数百万円規模の販路開拓を支援する制度まで幅があるため、まずは自社がこれから投じようとしている金額のレンジがどこに当たるのかを考えてみると、対象外の制度を早い段階で除外しやすくなります。
起業直後の規模感に合うのは小規模事業者持続化補助金です
数ある補助金の中で、起業して間もない事業者の規模感に比較的近いのが、小規模事業者持続化補助金です。対象は商業・サービス業で従業員5人以下、その他の業種で20人以下といった小規模事業者で、補助上限額は250万円です。先に挙げた成長加速化補助金やものづくり商業サービス補助金と比べると、投資額も事業規模も小さい事業者を想定した制度であることが分かります。販路開拓やECサイトの整備など、起業直後に取り組みやすい内容が対象になる点も、規模感が合いやすい理由のひとつです。
「起業したばかり」の分かれ目は開業届を出したかどうかです
ここで注意したいのが、小規模事業者持続化補助金であっても「起業したばかり」であれば誰でも対象になるわけではない、という点です。この補助金は、申請時点で開業していない創業予定者を対象外としています。つまり「起業したばかり」という言葉を、本人は「もう事業を始めている」という意味で使っていても、実際にはまだ開業届を提出していない準備段階である場合、この補助金は使えません。
逆に、開業届をすでに提出していれば、事業を始めてからの期間が短くても対象になり得ます。補助金の世界で「起業したばかりかどうか」を問われたときは、感覚的な「始めたばかり感」ではなく、開業届を出しているかどうかという事実で判断されると考えておくと整理しやすくなります。
補助金は名前より投資規模・投資目的で絞ると早いです
開業届を出したあとに補助金を探す場面でも、名前の似た制度が多く、一覧を見ただけではどれが自社に合うのか分かりにくいものです。そこで役に立つのが、投資規模と投資目的から絞り込む考え方です。数十億円規模の投資であれば大規模成長投資補助金、〜5億円規模であれば中小企業成長加速化補助金、〜9,000万円であれば新事業進出・ものづくり商業サービス補助金の新事業進出枠、〜250万円であれば小規模事業者持続化補助金、ITツールの導入であればデジタル化・AI導入補助金、というように、自社が投じようとしている金額と目的を先に決めてから制度名を調べると、候補が絞りやすくなります。
起業準備中で開業届を出す前の段階であれば、今すぐどの補助金を使うかを決める必要はありません。むしろ、開業後にどのくらいの規模の投資を考えているかを先に見積もっておき、開業届を出したタイミングで候補を絞り込む、という順番のほうが現実的です。
たとえば、開業後すぐにチラシやECサイトで販路を広げたいのであれば小規模事業者持続化補助金が候補になりますし、会計や受発注のITツールを導入したいのであればデジタル化・AI導入補助金が候補になります。逆に、数千万円単位の新しい事業展開や設備投資を考えているのであれば、新事業進出・ものづくり商業サービス補助金のような、より投資規模の大きい制度が候補になってきます。このように「何にいくら使うか」を起点に考えると、補助金一覧の中から自社に関係のある制度だけを拾い出しやすくなります。
まとめ
「起業したばかりでも補助金は申請できるか」という問いへの答えは、「開業済みであれば候補はあるが、未開業の段階そのものを対象にした補助金は基本的にない」というものです。多くの補助金は既に事業を運営している中小企業・小規模事業者向けで、起業直後の規模感に合いやすいのは小規模事業者持続化補助金ですが、この補助金も申請時点で未開業の創業予定者は対象外です。開業届を出したかどうかを最初の判断基準としたうえで、投資規模・投資目的から候補を絞り込んでいくと、自社に合う補助金を見つけやすくなります。制度ごとの細かな要件や申請手続きは変更されることもあるため、実際に申請を検討する段階では、最新の公募要領や専門家の案内を確認してください。
【無料相談のご案内】
弊社は、V-Spiritsグループ代表の中野裕哲を中心に、元補助金審査員の三浦をはじめとした各種専門家チームが全面的にサポートいたします。このケースは補助金の対象になるのか?といった疑問に対して適切なアドバイスを無料にて行っております。無料相談も行っているので、ぜひいちどご相談ください。お問い合わせお待ちしております!

この記事を書いた人
三浦高/Takashi Miura
元創業補助金(経済産業省系補助金)審査員・事務局員
中小企業診断士、起業コンサルタント®、
1級販売士、宅地建物取引主任者、
融資・資金調達コンサルタント
行政書士法人V-Spirits 補助者
産業能率大学 兼任教員
2024年現在、各種補助金の累計支援件数は300件を超える。
融資申請のノウハウも蓄積し、さらに磨きを掛けるべく日々事業計画書に向き合っている。


この記事を監修した人
中野裕哲/Nakano Hiroaki
税理士法人V-Spiritsグループ代表/税理士/行政書士/特定社会保険労務士/採用定着士/ファイナンシャルプランナー/起業コンサルタント/経営コンサルタント/大正大学招聘教授
税理士法人V-Spiritsグループ代表の中野裕哲は、中小企業経営者のために、税務・会計だけでなく、採用、人事、資金繰り、融資、補助金、助成金、営業、Webマーケティング、売上導線設計まで横断的に支援する実戦型経営税理士です。
経営の悩みは、突き詰めると「人・金・売上」に集約されます。中野裕哲は、大企業人事部、人材紹介会社の採用エージェント、中小企業の財務責任者、大手不動産会社での営業、出版・Web制作による集客導線構築など、幅広い実務経験をもとに、経営者の意思決定を支援します。
【対応領域】
税理士顧問、社労士顧問、補助金支援、助成金支援、資金調達支援、採用力診断、売上導線診断、経営参謀顧問。税務・会計・決算・節税に加えて、経営分析、労務管理、社会保険、助成金、採用体制づくり、融資、補助金、事業計画、営業戦略、Webマーケティング、出版、メディア活用まで一体的に相談できます。
中野裕哲は、家業の倒産危機からの壮絶な貧乏体験を原点に、お金で苦しむ経営者をひとりにしないことを掲げています。資金繰り、採用、売上づくりの壁に対して、経営者目線で伴走します。
【主な実績】
- 起業支援・経営支援の豊富な実績
- 起業相談件数3,000件以上
- 資金調達支援1,000件以上
- 大企業Webサイト多数監修
- 商業出版著書監修約32冊(累計30万部超)
V-Spiritsグループでは、融資・補助金・金融機関対応に詳しい社内役員チームも伴走します。元経済産業省系補助金審査員・事務局員、元日本政策金融公庫支店長、元信用金庫融資担当営業などの専門家が、補助金申請、事業計画、資金繰り、金融機関対応を実務面から支援します。
税理士顧問、社労士顧問、融資、補助金、助成金、採用、営業、マーケティングまで、経営者が本当に悩む領域をワンストップで相談できます。V-Spiritsグループは、起業支援・会社設立・創業融資・補助金助成金・税務会計・人事労務・許認可・経営顧問をワンストップで支援する、起業家・中小企業向けの専門家グループです。

💬 執筆者の三浦から一言
補助金の相談では「起業したばかりなので使えますか」という聞き方をよくされますが、実際に分かれ目になるのは開業届を出しているかどうかです。開業済みなら規模の小さい制度から検討でき、まだ準備中なら今は情報収集にとどめて、開業後に投資規模で絞り込むという順番で考えると、迷いにくくなります。
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