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コラム

動物病院のリピート率を上げる補助金|案内の自動化と発信物で使える制度が変わります

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ワクチン・健診の再来院を増やす投資に補助金は使えるか|動物病院の2つの入口

新しい飼い主さんは来院しているのに、ワクチンや健康診断の「次の1回」につながらない。開業して1〜3年目の動物病院から、こうしたご相談をいただくことがあります。案内のはがきを出す、予約と記録を仕組みで回す、飼い主向けのページを作り直すなど、打ち手には見当がついていて、残るのは費用の工面という段階です。

ここで補助金を検討するとき、制度名から探し始めると答えが出にくくなります。再来院を増やす投資は、補助金の側から見ると性格の違う2つに割れていて、どちらに寄せるかで申請の相手も、出せる金額の上限も、締切も変わるためです。この記事では、その分け方と、動物病院だからこそ効いてくる前提を整理します。

再来院を増やす投資は、補助金の側では2つに割れます

「リピート率を上げたい」という言い方は、院内では1つの目標として通じます。ところが補助金の申請書に落とすときは、同じ目標に向かう投資が次の2つに分かれます。

  • 業務側の投資……次回案内・予約・カルテ記録・在庫といった院内の手順を、ソフトやクラウドで回るようにするもの
  • 販促側の投資……飼い主さんに届く物を新しくつくるもの。はがきやチラシ、院のサイト、動画や写真といった発信物

この2つは、院長先生の頭の中では地続きです。案内を自動で出せるようにすれば、その案内文も作り直したくなるからです。しかし制度の側では別の入口になっていて、片方に重心を置いた計画のほうが筋が通ります。まず投資の重心がどちらにあるかを決めてから、制度を見に行く順番になります。

三浦高

💬 執筆者の三浦から一言

申請書を見る側にいたころ、経費をどの区分に入れるかから相談が始まることがよくありました。ただ、先に読まれるのは事業そのものの性格のほうです。区分を組み替えても事業の中身が変わらなければ、判断はあまり動きません。区分の当てはめは、やりたいことを決めたあとの作業だと考えていただくとよいと思います。

業務側に寄せるなら、デジタル化・AI導入補助金

次回案内の自動送信、予約の受付、カルテや処置記録の入力といった院内の手順をソフトで回す投資は、デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)の土俵です。補助上限は枠によって分かれており、通常枠450万円、インボイス枠350万円、複数者連携デジタル化・AI導入枠3,000万円と設定されています。

この制度で先に確認しておきたいのは、自分だけでは申請できない設計になっている点です。事務局に登録されたIT導入支援事業者(ベンダー等)の支援を受けて申請する前提で、導入するツールも登録品が前提になります。つまり「よさそうなソフトを見つけた」だけでは前に進まず、そのソフトが登録されているか、支援事業者が誰になるかを先に確かめる必要があります。

対象経費は、ソフトウェア購入費とクラウド利用料(最大2年分)、それに設定・研修・マニュアル作成・保守サポートといった導入関連費です。一方で、PC・タブレット等のハード単体購入は対象外です(対象ソフトとセットの類型で一部対象になります)。受付用のタブレットを何台か買う、という発想だけで組み立てると外れます。

販促側に寄せるなら、小規模事業者持続化補助金

案内はがき、飼い主向けのチラシ、院のサイトの作り直しといった「届ける物」をつくる投資は、小規模事業者持続化補助金の側です。補助率は2/3、補助上限は基本50万円で、インボイス特例で+50万円、賃金引上げ特例で+150万円、両方の特例の要件を満たせば最大250万円まで上乗せされます。

ただし、ここには経費区分ごとの天井があります。広報費は補助金交付申請額の上限が30万円(税込)で、広報費のみの申請は不可。ウェブサイト関連費も同じく上限30万円(税込)で、ウェブ関連費のみの申請は不可です。つまり「サイトを作り直すためだけに申請する」という組み立ては通りません。発信物の刷新は、別の販路開拓の取組と束ねて計画に載せる形になります。

手続きの面では、電子申請のみでGビズIDプライムが必須になること、商工会・商工会議所の支援を受けて進める前提であることが前段にあります。

💬 無料相談のご案内

補助金専門行政書士法人は、V-Spirits元補助金審査員の三浦を中心とした専門家チームが補助金支援を行っております。「このケースは補助金の対象になるのか?」といった疑問にも、無料でお答えしております。お気軽にご相談ください。

動物病院に効いてくる前提:自由診療であること

持続化補助金には、対象にならない経費の定めがあります。公募要領では「国が助成するほかの制度を利用している事業と重複する経費」は補助対象外とされ、その具体例として「保険適用診療にかかる経費」が明記されています。挙げられているのは、薬局・整骨院・鍼灸院等の保険診療で使用する機械や、保険診療の宣伝も兼ねるチラシ等です。

人の医療機関や薬局、整骨院がこの制度を検討するときは、ここが最初の関門になります。経費区分が広報費であっても機械装置等費であっても、保険適用診療にかかるものであれば外れるという考え方だからです。

動物医療には公的医療保険の仕組みがなく、診療費は飼い主さんの自己負担で成り立っています。ペット保険は民間の保険であって、公的医療保険とは別のものです。そのため「国が助成するほかの制度との重複」というこの論点で動物病院が引っかかる場面は、人の医療機関ほどは生じにくいと考えられます。

もっとも、これは「動物病院なら通る」という話ではありません。別のところに関門があります。

むしろ引っかかりやすいのは事業者側の要件

持続化補助金には、対象となる小規模事業者の範囲が業種ごとに決まっています。商業・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く)は常時使用する従業員5人以下、サービス業のうち宿泊業・娯楽業は20人以下、製造業その他は20人以下です。会社役員・個人事業主本人・同居の親族従業員・日雇い等はカウントしません。

動物病院で獣医師と動物看護師を雇い、受付やトリマーも置いている規模になると、この人数の線に触れる可能性が出てきます。院の規模が大きくなるほど、持続化ではなく業務側の制度を軸にしたほうが現実的になる、という関係です。

あわせて、公募要領には対象外になりやすい形態の一覧もあります。医師・歯科医師・助産師や医療法人、学校法人、社会福祉法人などが挙がっており、自院の法人形態がこの一覧に触れないかは申請前にご確認ください。

2つの入口を並べて見る

比べる観点 業務側(デジタル化・AI導入補助金) 販促側(小規模事業者持続化補助金)
向いている投資 次回案内・予約・記録をソフトで回す 案内物・チラシ・サイトなど届ける物をつくる
補助上限 通常枠450万円/インボイス枠350万円/複数者連携3,000万円 基本50万円、特例併用で最大250万円
経費区分の天井 ハード単体購入は対象外 広報費・ウェブサイト関連費は各30万円(税込)かつ単独申請不可
一緒に進める相手 登録されたIT導入支援事業者 商工会・商工会議所(事業支援計画書の発行)
従業員規模の制限 中小企業・小規模事業者等が中心 商業・サービス業は常時使用する従業員5人以下

金額の幅だけを見れば業務側が大きく見えますが、投資の中身が案内物の刷新に寄っているなら、無理にそちらへ寄せても計画が痩せます。院として何を変えるのかが先で、制度はそのあとに決まります。

申請の前に日程を逆算しておく

持続化補助金の第20回は、申請受付開始が2026年11月5日、申請受付締切が2026年12月15日17:00、採択発表は2027年3月頃の予定とされています。ここで見落としやすいのが、商工会・商工会議所が発行する事業支援計画書(様式4)の受付締切が2026年12月4日に置かれている点です。申請そのものの締切より前に、窓口へ依頼を済ませておく必要があります。

もう1つ、交付決定日前に行った発注・契約・支払は対象外です。採択の通知が来ただけでは事業を始められません。次のワクチン繁忙期に間に合わせたい、という理由で先に発注してしまうと、その分は補助の対象から外れます。

三浦高

💬 執筆者の三浦から一言

「うちはどの補助金が使えますか」というご質問を一番よくいただきます。制度名から入ると、どうしても比較の話で止まってしまいます。投資の規模と目的の2つを先に決めていただくと、候補は自然に絞れます。ご相談のときも、この2つが決まっているかどうかで、その日に進む距離がかなり変わってきます。

よくあるご質問

予約システムの月額利用料も対象になりますか

デジタル化・AI導入補助金では、クラウド利用料が最大2年分まで対象経費に含まれます。ただし対象は登録されたツールに限られるため、契約中のサービスがそのまま該当するとは限りません。支援事業者にご確認ください。

2つの制度を同時に使えますか

同じ経費を2つの制度で重ねて申請することはできません。投資の中身を分けたうえで、それぞれの要件と日程に合うかを個別に判断する形になります。

まとめ

ワクチンや健康診断の再来院を増やす投資は、補助金の側では「院内の手順をソフトで回す業務側」と「飼い主さんに届ける物をつくる販促側」に分かれます。業務側はデジタル化・AI導入補助金、販促側は小規模事業者持続化補助金が入口になり、申請の相手も上限も日程も別物です。

動物病院は自由診療で成り立っているため、人の医療機関が最初に当たる「保険適用診療にかかる経費は対象外」という関門には当たりにくい一方、持続化補助金では従業員5人以下という線に触れることがあります。院として何を変えるのかを先に決めてから制度を選ぶ順番でご検討ください。本記事の数字・日程は2026年8月時点の公募要領にもとづくもので、回次により変わります。

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弊社では、補助金専門行政書士法人V-Spiritsが補助金支援を行っております。元補助金審査員の三浦を中心とした各種専門家チームが全面的にサポートいたします。このケースは補助金の対象になるのか?といった疑問に対して適切なアドバイスを無料にて行っております。無料相談も行っているので、ぜひいちどご相談ください。お問い合わせお待ちしております!

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三浦高

この記事を書いた人

三浦高/Takashi Miura

元創業補助金(経済産業省系補助金)審査員・事務局員
中小企業診断士、起業コンサルタント®、
1級販売士、宅地建物取引主任者、
融資・資金調達コンサルタント
行政書士法人V-Spirits 補助者

産業能率大学 兼任教員
2024年現在、各種補助金の累計支援件数は300件を超える。

融資申請のノウハウも蓄積し、さらに磨きを掛けるべく日々事業計画書に向き合っている。

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中野裕哲

この記事を監修した人

中野裕哲/Nakano Hiroaki

税理士法人V-Spiritsグループ代表/税理士/行政書士/特定社会保険労務士/採用定着士/ファイナンシャルプランナー/起業コンサルタント/経営コンサルタント/大正大学招聘教授

税理士法人V-Spiritsグループ代表の中野裕哲は、中小企業経営者のために、税務・会計だけでなく、採用、人事、資金繰り、融資、補助金、助成金、営業、Webマーケティング、売上導線設計まで横断的に支援する実戦型経営税理士です。

経営の悩みは、突き詰めると「人・金・売上」に集約されます。中野裕哲は、大企業人事部、人材紹介会社の採用エージェント、中小企業の財務責任者、大手不動産会社での営業、出版・Web制作による集客導線構築など、幅広い実務経験をもとに、経営者の意思決定を支援します。

【対応領域】

税理士顧問、社労士顧問、補助金支援、助成金支援、資金調達支援、採用力診断、売上導線診断、経営参謀顧問。税務・会計・決算・節税に加えて、経営分析、労務管理、社会保険、助成金、採用体制づくり、融資、補助金、事業計画、営業戦略、Webマーケティング、出版、メディア活用まで一体的に相談できます。

中野裕哲は、家業の倒産危機からの壮絶な貧乏体験を原点に、お金で苦しむ経営者をひとりにしないことを掲げています。資金繰り、採用、売上づくりの壁に対して、経営者目線で伴走します。

【主な実績】

  • 起業支援・経営支援の豊富な実績
  • 起業相談件数3,000件以上
  • 資金調達支援1,000件以上
  • 大企業Webサイト多数監修
  • 商業出版著書監修約32冊(累計30万部超)

V-Spiritsグループでは、融資・補助金・金融機関対応に詳しい社内役員チームも伴走します。元経済産業省系補助金審査員・事務局員、元日本政策金融公庫支店長、元信用金庫融資担当営業などの専門家が、補助金申請、事業計画、資金繰り、金融機関対応を実務面から支援します。

税理士顧問、社労士顧問、融資、補助金、助成金、採用、営業、マーケティングまで、経営者が本当に悩む領域をワンストップで相談できます。V-Spiritsグループは、起業支援・会社設立・創業融資・補助金助成金・税務会計・人事労務・許認可・経営顧問をワンストップで支援する、起業家・中小企業向けの専門家グループです。

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