
自動包装機・自動梱包機の補助金は工程で選び方が変わります
自動包装機と自動梱包機、補助金の選び方はなぜ違うのか
「自動包装機 補助金」「自動梱包機 補助金」で検索すると、中小企業省力化投資補助金の制度紹介や申請手順の記事が並びます。ただ、そこでは「包装」と「梱包」がほぼ同じ工程として扱われていることが多く、実はここに申請段階でのつまずきが隠れています。包装は製品そのものを個包装・袋詰め・シールする製造工程の一部であり、梱包は段ボールの封函・結束・パレタイズといった出荷・物流工程です。工程が違えば、補助事業として説明すべき「何の生産性が上がるのか」も変わり、この整理を飛ばしたまま申請書を書くと、対象外や不採択につながることがあります。
包装機と梱包機を同じ「省力化」の物差しで語らないこと
包装機は、製品を袋詰め・シールして完成させる工程に入るため、製造ラインの一部として位置づけられます。一方の梱包機は、完成した製品を段ボールに詰めて封をし、結束・パレタイズして出荷するための設備で、製造よりも物流・出荷の工程に位置します。同じ「自動化」であっても、包装機の導入は製造プロセスの省力化として説明でき、梱包機の導入は出荷プロセスの省力化として説明できる、という違いがあります。
この違いを曖昧にしたまま「梱包・包装ラインを自動化したい」とひとくくりで申請書を書くと、審査側からは何の労働生産性がどう上がるのかが読み取りにくくなります。まずは自社が導入したいのが製造工程の設備なのか、出荷工程の設備なのかを分けて整理することが、制度選びの出発点になります。
落とし穴1:梱包機をカタログ注文型で申請しようとして「カタログ未掲載」で止まる
中小企業省力化投資補助金(カタログ注文型)は、公的に登録された省力化製品を導入することが前提の制度です。カタログに登録された省力化製品を導入することが前提で、汎用性・省力化効果が基準になります。カタログ製品以外の設備やオーダーメイド系機器は、この制度ではなく中小企業省力化投資補助金(一般型)の対象になります。梱包ラインを自社の搬送設備やパレタイズ工程に合わせてオーダーメイドで組む場合、カタログに掲載されている既製品とは別物として扱われる可能性があるため、まずカタログの登録有無を確認する必要があります。
もうひとつ見落とされがちなのが、中小企業省力化投資補助金(カタログ注文型)は中小企業等が販売事業者と共同で申請することが前提で、単独申請は原則できないという点です。梱包機・包装機を既存の設備商社経由で導入する場合はこの共同申請の枠組みに乗せやすいのですが、メーカーから直接購入する場合や複数の販売事業者が関わる場合は、誰と共同申請するかを早い段階で詰めておく必要があります。
労働生産性(付加価値÷従業員数)を年平均成長率3.0%以上向上させる計画も必要です。賃上げ目標を盛り込むと上限額の枠が拡大しますが、未達の場合は減額の対象になります。なお、この制度の補助上限額は従業員規模により異なるため、本記事では具体的な金額は示しません。申請時は最新の公募要領で確認してください。
落とし穴2:梱包機を単体導入して一般型に出したら「オーダーメイド性なし」で対象外になる
中小企業省力化投資補助金(一般型)は補助上限1億円で、カタログ掲載品をそのまま買うのではなく、自社の課題に合わせてどう省力化するかを計画で示す制度です。対象になるのは「オーダーメイド性のある設備」で、汎用設備であっても、省力化に資する汎用設備を複数組み合わせることでより高い省力化効果や付加価値を生み出す場合、または導入環境に応じて周辺機器や構成する機器の数・搭載する機能等が変わる場合であれば、オーダーメイド設備とみなされます。
ここでよくある誤解が、「単価50万円(税抜)以上の機械装置等を最低1つ」という設備投資の要件さえ満たせば対象になる、という思い込みです。実際は、単に汎用設備を単体で導入する事業は対象外とされており、50万円以上の要件を満たしていてもそれだけでは足りません。梱包機を1台単体で入れ替えるだけの計画では、この複数設備の組み合わせ等によるオーダーメイド性を示す事業計画が別途必要になります。
労働生産性を年平均+4.0%以上伸ばす3〜5年の事業計画も求められ、賃上げ目標が未達の場合は達成率に応じて返還が発生しうる点も、カタログ注文型の「減額」より重い扱いです。加えて、みなし大企業に該当する場合、直近3年の課税所得年平均が15億円を超える場合、実態確認ができない場合、従業員0名の場合、外部任せで主体性がない場合は対象外になりやすいとされています。
落とし穴3:包装フォーマットの刷新なのに「省力化」の申請書式で書いてしまう
包装工程の見直しが、既存商品の省力化ではなく、新しい個包装フォーマットや新商品ラインの立ち上げに近い場合は、選ぶべき制度そのものが変わります。新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 革新的新製品・サービス枠は、自社の技術力等を活かして顧客等に新たな価値を提供する新製品・新サービスを開発する取組が対象の枠です。補助上限は従業員規模別に、1〜5人は最大750万円、6〜20人は最大1,000万円、21〜50人は最大1,500万円、51人以上は最大2,500万円で、大幅賃上げ特例を適用した場合はそれぞれ最大850万円・1,250万円・2,500万円・3,500万円まで拡大します。補助下限は100万円です。
ただし、この枠は「新製品・新サービスの開発」を伴わない単なる設備導入は対象外で、既存製品・サービスの生産等プロセス改善もこの枠では対象外とされています。さらに、同業で既に相当程度普及している新製品・新サービスの開発も対象外です。つまり、単に包装機を新しくするだけの投資であれば省力化系の制度が筋であり、新しい個包装の形状や仕様そのものが顧客への新たな価値提供になっている場合に限って、この枠の検討が現実的になります。「省力化のはずが、実際は新製品開発だった」あるいはその逆というズレが、対象外・不採択の典型パターンです。
💬 執筆者の三浦から一言
ものづくり補助金と新事業進出補助金は2026年度に統合され、今は「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」の各枠になっています。今でも別々の制度として説明されている場面を見かけますが、包装機・梱包機の投資でこの枠を検討する際は、まず現在の正式名称と枠区分から確認するようにしてください。
落とし穴4:賃上げ目標未達のペナルティの重さを見誤る
賃上げ目標が未達だった場合の扱いは、制度によって重さが異なります。中小企業省力化投資補助金(カタログ注文型)では、賃上げ目標を盛り込んで上限枠を拡大した場合、未達なら減額の対象です。中小企業省力化投資補助金(一般型)では、賃上げ目標が要件そのものになっており、未達の場合は達成率に応じて返還が発生しうるとされています。新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 革新的新製品・サービス枠でも、一人当たり給与支給総額を年平均+3.5%以上伸ばすことが基本要件で、未達は返還につながります。
梱包機・包装機のどちらを導入するかだけでなく、賃上げ計画をどこまで背負えるかによっても、選ぶべき制度と申請後のリスクが変わってきます。目先の補助上限だけで制度を選ぶと、数年後の賃上げ未達で返還を求められる、という事態にもつながりかねません。
まとめ:申請前に「製造工程か、物流工程か」を一枚で整理する
自動包装機・自動梱包機の補助金選びで失敗しないためには、まず自社が自動化したいのが製造工程(包装)なのか出荷・物流工程(梱包)なのかを切り分け、その上でカタログ掲載品かオーダーメイド設備か、単なる省力化か新製品開発を伴うのかを整理することが出発点になります。この整理ができていれば、中小企業省力化投資補助金(カタログ注文型)、中小企業省力化投資補助金(一般型)、新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 革新的新製品・サービス枠のどれが自社の投資内容に合うかが見えてきます。制度ごとに賃上げ未達時のリスクも異なるため、最終的な判断は最新の公募要領を確認したうえで、専門家に相談しながら進めることをおすすめします。
【無料相談のご案内】
弊社では、補助金専門行政書士法人V-Spiritsが補助金支援を行っております。元補助金審査員の三浦を中心とした各種専門家チームが全面的にサポートいたします。このケースは補助金の対象になるのか?といった疑問に対して適切なアドバイスを無料にて行っております。無料相談も行っているので、ぜひいちどご相談ください。お問い合わせお待ちしております!

この記事を書いた人
三浦高/Takashi Miura
元創業補助金(経済産業省系補助金)審査員・事務局員
中小企業診断士、起業コンサルタント®、
1級販売士、宅地建物取引主任者、
融資・資金調達コンサルタント
行政書士法人V-Spirits 補助者
産業能率大学 兼任教員
2024年現在、各種補助金の累計支援件数は300件を超える。
融資申請のノウハウも蓄積し、さらに磨きを掛けるべく日々事業計画書に向き合っている。


この記事を監修した人
中野裕哲/Nakano Hiroaki
税理士法人V-Spiritsグループ代表/税理士/行政書士/特定社会保険労務士/採用定着士/ファイナンシャルプランナー/起業コンサルタント/経営コンサルタント/大正大学招聘教授
税理士法人V-Spiritsグループ代表の中野裕哲は、中小企業経営者のために、税務・会計だけでなく、採用、人事、資金繰り、融資、補助金、助成金、営業、Webマーケティング、売上導線設計まで横断的に支援する実戦型経営税理士です。
経営の悩みは、突き詰めると「人・金・売上」に集約されます。中野裕哲は、大企業人事部、人材紹介会社の採用エージェント、中小企業の財務責任者、大手不動産会社での営業、出版・Web制作による集客導線構築など、幅広い実務経験をもとに、経営者の意思決定を支援します。
【対応領域】
税理士顧問、社労士顧問、補助金支援、助成金支援、資金調達支援、採用力診断、売上導線診断、経営参謀顧問。税務・会計・決算・節税に加えて、経営分析、労務管理、社会保険、助成金、採用体制づくり、融資、補助金、事業計画、営業戦略、Webマーケティング、出版、メディア活用まで一体的に相談できます。
中野裕哲は、家業の倒産危機からの壮絶な貧乏体験を原点に、お金で苦しむ経営者をひとりにしないことを掲げています。資金繰り、採用、売上づくりの壁に対して、経営者目線で伴走します。
【主な実績】
- 起業支援・経営支援の豊富な実績
- 起業相談件数3,000件以上
- 資金調達支援1,000件以上
- 大企業Webサイト多数監修
- 商業出版著書監修約32冊(累計30万部超)
V-Spiritsグループでは、融資・補助金・金融機関対応に詳しい社内役員チームも伴走します。元経済産業省系補助金審査員・事務局員、元日本政策金融公庫支店長、元信用金庫融資担当営業などの専門家が、補助金申請、事業計画、資金繰り、金融機関対応を実務面から支援します。
税理士顧問、社労士顧問、融資、補助金、助成金、採用、営業、マーケティングまで、経営者が本当に悩む領域をワンストップで相談できます。V-Spiritsグループは、起業支援・会社設立・創業融資・補助金助成金・税務会計・人事労務・許認可・経営顧問をワンストップで支援する、起業家・中小企業向けの専門家グループです。




























