
真空包装機1台の導入は補助金の対象になる?疑問に答えます
惣菜や漬物、精肉、水産加工など、店舗併設または小規模な加工場をお持ちの食品事業者から「真空包装機を1台導入したいが、どの補助金が使えるのか」というご相談をよくいただきます。日持ちを伸ばして廃棄ロスを減らしたい、取引先から衛生面の要求が強まっているので対応したい、という動機で検討を始める方が多い印象です。検索すると「この機械は補助金の対象です」というメーカーや販売店の案内はたくさん見つかりますが、実際に申請が成立するかどうかは、機械そのものより「採択された後にどんな計画を守る必要があるか」で決まります。ここではよくある疑問を一問一答形式で整理します。
真空包装機1台だけの導入でも補助金は使えますか?
制度によって考え方が違います。小規模事業者持続化補助金は、機械装置等費として設備の購入費用を計上できる経費区分があり、単体の機械1台でも対象になり得ます。一方、中小企業省力化投資補助金(一般型)は、単に汎用設備を単体で導入するだけの事業は対象外です。省力化に資する汎用設備を複数組み合わせて省力化効果や付加価値を高める場合や、事業者ごとに周辺機器や搭載機能が変わる場合など、オーダーメイド性を示す事業計画があって初めて対象になります。真空包装機だけをそのまま導入する計画では、一般型の対象設備として認められにくい点に注意してください。
中小企業省力化投資補助金(一般型)で対象外になりやすいのはどんな場合ですか?
対象設備の考え方とは別に、事業者側の要件でも対象外になりやすい例が示されています。みなし大企業に該当する場合、直近3年の課税所得の年平均が15億円を超える場合、事業の実態が確認できない場合、従業員が0名の場合、計画づくりを外部任せにして主体性が見えない場合などです。設備投資は単価50万円(税抜)以上の機械装置等を最低1つ入れることも要件ですが、これは前述のオーダーメイド性の条件を満たした上での話であり、単価の条件を満たすだけでは対象になりません。
「この機械は補助金対象です」というメーカーの案内は何を意味していますか?
多くの場合、中小企業省力化投資補助金(カタログ注文型)を指しています。この制度は、公的に登録された省力化製品のカタログから選ぶことが前提で、中小企業側が販売事業者と共同で申請する仕組みです。単独申請は原則できません。また、労働生産性を年平均3.0%以上向上させる計画が必要で、未達の場合は減額の対象になります。賃上げ目標を盛り込むと上限額の枠は広がりますが、これも未達なら減額対象です。カタログに登録されていない設備やオーダーメイドの機器は、この制度ではなく一般型の対象になります。「対象です」という案内は、あくまでカタログ登録済み製品であることと、販売事業者との共同申請が前提であることをセットで理解しておく必要があります。
💬 執筆者の三浦から一言
「補助金対象の機械」という案内を見ると、そのまま買えば通ると思いがちですが、多くはカタログ登録済み製品を販売事業者と共同で申請する前提です。単独購入だと同じようには使えず、労働生産性を年平均3.0%伸ばす計画も要るので、まず申請の仕組み自体を確認する順番を意識してください。
廃棄ロス削減や取引先の衛生要求への対応という目的でも制度に合いますか?
小規模事業者持続化補助金は、自社で作った経営計画に基づく販路開拓と、それとセットで行う業務効率化の取組を支援する制度です。廃棄ロスを減らして衛生面の信頼を高めることは、販路を維持・拡大する取組の一環として位置づけやすいテーマです。省力化系の補助金は労働生産性の向上そのものが主目的なので、同じ真空包装機の導入でも、どちらの制度の言葉で事業計画を組み立てるかによって申請のしやすさが変わってきます。
個人事業主や従業員数名の小規模事業者でも申請できますか?
小規模事業者持続化補助金の対象になる従業員数の上限は業種で異なります。商業・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く)は常時使用する従業員5人以下、製造業その他は20人以下です。会社役員や個人事業主本人、同居の親族従業員、日雇いなどはこの人数に数えません。申請は電子申請のみで、GビズIDプライムの事前取得が必須です。郵送での申請はできません。従業員数名〜十数名規模の食品加工事業者であれば、多くの場合この範囲に収まります。なお、医師・歯科医師・助産師や、医療法人・宗教法人・学校法人・農事組合法人・社会福祉法人、一般社団・財団法人などは対象外になりやすい形態として挙げられています。食品加工業の一般的な法人・個人事業主は、このリストには当てはまらないケースがほとんどです。
採択されたら終わりですか?(採択後に求められること)
ここが見落とされやすいポイントです。制度ごとに、採択後に守る計画の中身が違います。小規模事業者持続化補助金は、事業効果の報告時に売上高・売上総利益が事業終了時と比較して増加が見込める事業であることが前提です。中小企業省力化投資補助金(カタログ注文型)は、労働生産性を年平均3.0%以上向上させる計画に加え、複数年度にわたる効果報告と取得資産の管理ルールを守る必要があり、未達の場合は減額、ルール違反があれば返納のリスクもあります。一般型は労働生産性を年平均4.0%以上伸ばす計画が必要で、賃上げ目標の未達は達成率に応じて返還が発生しうる、より重い設計です。「この機械は対象になるか」だけでなく「その先の計画を守れるか」まで見て制度を選ぶことが大切です。
💬 執筆者の三浦から一言
採択の可否ばかり気にされる方が多いのですが、実務でつまずくのはむしろ採択された後です。労働生産性や賃上げの数値目標、複数年度にわたる効果報告や資産管理の義務まで見越して計画を立てないと、あとから減額や返還につながることがあるので、申請前に確認しておく価値があります。
新しい商品ライン(真空パック惣菜など)を始める場合はどの制度が向いていますか?
既存の商品をそのまま真空包装するのではなく、新しい真空パック商品のラインを立ち上げるような場合は、新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 革新的新製品・サービス枠が選択肢になります。ただしこの枠は、自社の技術力を活かして新たな価値を提供する新製品・新サービスの開発が対象で、単なる設備・システム導入や既存製品の生産プロセス改善は対象外です。基本要件として、事業計画期間で付加価値額を年平均4.0%以上、一人当たり給与支給総額を年平均3.5%以上、事業場内最低賃金を地域別最低賃金プラス30円以上の水準に伸ばす計画が必要で、未達の場合は返還が発生します。補助上限は従業員規模で異なり、大幅賃上げ特例を使った最大値でも無条件に受け取れる金額ではない点に留意してください。機械1台の効率化ではなく、商品開発そのものが計画の柱になっているかどうかが判断の分かれ目です。同業他社ですでに広く普及している商品開発や、既存製品の生産プロセスを改善するだけの内容は、この枠では対象になりません。事業計画は申請者自身が作成することも前提で、外部にすべて任せた計画は不採択や採択取消の対象になり得ます。
ここまでに挙げた制度以外にも使える補助金はありますか?
申請先や事業内容によっては、ここで挙げた以外の制度が使える場合もあります。ただし制度ごとに対象要件や採択後の計画が大きく異なるため、この記事では社内で確認が取れている制度に絞って紹介しています。気になる制度がある場合は、商工会・商工会議所や専門家に個別に相談することをおすすめします。
まとめ
真空包装機の導入で補助金を検討するときは、「機械が対象になるか」ではなく「自社の目的と、採択後に守れる計画がどちらの制度に合っているか」で選ぶのが近道です。廃棄ロス削減や衛生対応が目的なら小規模事業者持続化補助金、カタログ登録済みの製品を即効性重視で導入するなら中小企業省力化投資補助金(カタログ注文型)、複数設備を組み合わせて省力化効果を高めるなら一般型、新しい商品ラインの開発が目的なら新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 革新的新製品・サービス枠、というように目的から逆算して制度を絞り込んでください。
【無料相談のご案内】
弊社では、補助金専門行政書士法人V-Spiritsが補助金支援を行っております。元補助金審査員の三浦を中心とした各種専門家チームが全面的にサポートいたします。このケースは補助金の対象になるのか?といった疑問に対して適切なアドバイスを無料にて行っております。無料相談も行っているので、ぜひいちどご相談ください。お問い合わせお待ちしております!

この記事を書いた人
三浦高/Takashi Miura
元創業補助金(経済産業省系補助金)審査員・事務局員
中小企業診断士、起業コンサルタント®、
1級販売士、宅地建物取引主任者、
融資・資金調達コンサルタント
行政書士法人V-Spirits 補助者
産業能率大学 兼任教員
2024年現在、各種補助金の累計支援件数は300件を超える。
融資申請のノウハウも蓄積し、さらに磨きを掛けるべく日々事業計画書に向き合っている。


この記事を監修した人
中野裕哲/Nakano Hiroaki
税理士法人V-Spiritsグループ代表/税理士/行政書士/特定社会保険労務士/採用定着士/ファイナンシャルプランナー/起業コンサルタント/経営コンサルタント/大正大学招聘教授
税理士法人V-Spiritsグループ代表の中野裕哲は、中小企業経営者のために、税務・会計だけでなく、採用、人事、資金繰り、融資、補助金、助成金、営業、Webマーケティング、売上導線設計まで横断的に支援する実戦型経営税理士です。
経営の悩みは、突き詰めると「人・金・売上」に集約されます。中野裕哲は、大企業人事部、人材紹介会社の採用エージェント、中小企業の財務責任者、大手不動産会社での営業、出版・Web制作による集客導線構築など、幅広い実務経験をもとに、経営者の意思決定を支援します。
【対応領域】
税理士顧問、社労士顧問、補助金支援、助成金支援、資金調達支援、採用力診断、売上導線診断、経営参謀顧問。税務・会計・決算・節税に加えて、経営分析、労務管理、社会保険、助成金、採用体制づくり、融資、補助金、事業計画、営業戦略、Webマーケティング、出版、メディア活用まで一体的に相談できます。
中野裕哲は、家業の倒産危機からの壮絶な貧乏体験を原点に、お金で苦しむ経営者をひとりにしないことを掲げています。資金繰り、採用、売上づくりの壁に対して、経営者目線で伴走します。
【主な実績】
- 起業支援・経営支援の豊富な実績
- 起業相談件数3,000件以上
- 資金調達支援1,000件以上
- 大企業Webサイト多数監修
- 商業出版著書監修約32冊(累計30万部超)
V-Spiritsグループでは、融資・補助金・金融機関対応に詳しい社内役員チームも伴走します。元経済産業省系補助金審査員・事務局員、元日本政策金融公庫支店長、元信用金庫融資担当営業などの専門家が、補助金申請、事業計画、資金繰り、金融機関対応を実務面から支援します。
税理士顧問、社労士顧問、融資、補助金、助成金、採用、営業、マーケティングまで、経営者が本当に悩む領域をワンストップで相談できます。V-Spiritsグループは、起業支援・会社設立・創業融資・補助金助成金・税務会計・人事労務・許認可・経営顧問をワンストップで支援する、起業家・中小企業向けの専門家グループです。




























