
経営者なら知っておきたい!いまさら聞けない「一貫性の原理」とは?
「最初は小さなお願いだったのに、気づけば大きな契約になっていた」
こうした経験は、営業現場でもよくあることです。そこには、人間の心理が深く関係しています。その代表的なものが一貫性の原理です。
1. 一貫性の原理とは?
ズバリ言います。
一貫性の原理とは、人は自分の過去の言動や態度と一貫した行動をとりたくなる心理傾向のことです。
心理学者ロバート・チャルディーニ氏が「影響力の武器」で紹介し、営業やマーケティングの世界で広く活用されています。
例えば、
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「試供品を使ってみませんか?」と提案 → 「はい」と答えた後に、本商品の購入提案を受けると断りづらくなる
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SNSで「このブランドが好き」と発信した後、そのブランドの新商品を買う確率が上がる
人は一度選んだ立場を貫こうとするため、小さな承諾から大きな行動につながりやすくなるのです。
2. なぜ経営者が知っておくべきか?
この原理は、顧客だけでなく、社員や取引先との関係にも影響します。
経営者として意識すると、
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顧客の成約率アップ
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社員のモチベーション維持
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長期的な取引関係の構築
といった効果が期待できます。
3. ビジネスでの活用例
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営業活動
無料セミナー参加 → 簡単なアンケート記入 → 個別相談 → 契約 -
ECサイト
無料会員登録 → メルマガ購読 → 限定クーポン利用 → 有料会員化 -
人材マネジメント
社員に小さな役割を任せる → 成果を評価 → さらに大きなプロジェクトを依頼
ポイントは、最初のハードルを低く設定し、小さな「YES」を積み重ねることです。
4. 実践ステップ
私が経営者に提案する一貫性の原理の導入手順は、次の通りです。
① 最初の小さな承諾を設計
無料体験、短時間のミーティング、低額商品など、参加や購入のハードルを下げます。
② 承諾を可視化
契約書や申込書だけでなく、SNSや口頭での発言も効果的です。「私はこれを選びました」と本人が表明することが重要です。
③ ステップアップの道筋を用意
次の行動が自然につながるように、商品ラインナップや提案の順番を設計します。
④ 一貫性を強化するコミュニケーション
過去の選択や行動を肯定し、「続けることが賢明だ」と感じてもらえるメッセージを送ります。
5. よくある失敗パターン
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最初の承諾が大きすぎる
ハードルが高いと最初の「YES」が得られず、流れが作れません。 -
次の提案が不自然
関連性のない商品やサービスを提案すると、一貫性が崩れます。 -
過剰な誘導で不信感を与える
顧客が「誘導されている」と感じると逆効果です。
6. 成功事例
ある学習塾は、「無料体験授業+簡単な習熟度テスト」からスタート。その後、「短期集中講座」→「年間契約コース」へと自然に誘導。初回体験から年間契約までの移行率が20%から35%に向上しました。
また、あるBtoBソフトウェア企業では、「無料トライアル+カスタマイズ相談」から導入提案につなげ、契約率を2倍に伸ばしました。
7. 今日からできる実務チェックリスト
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最初の承諾は十分に低ハードルになっているか?
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承諾を可視化する工夫をしているか?
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次の提案が自然な流れでつながっているか?
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顧客や社員の「続けたい気持ち」を強化しているか?
まとめ
一貫性の原理は、人間の深層心理に働きかける強力な武器です。
経営者としては、「いかにして小さなYESを積み重ね、自然な流れでゴールに導くか」がポイントになります。
大切なのは、顧客や社員が自ら進んで選んだと感じる状態を作ること。
この心理を理解し、実務に落とし込めば、営業力も組織力も大きく向上します。
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この記事を書いた人
中野裕哲/Nakano Hiroaki
起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、サーティファイドファイナンシャルプランナー・CFP(R)、1 級FP技能士。大正大学招聘教授(起業論、ゼミ等)
V-Spiritsグループ創業者。税理士法人V-Spiritsグループ代表。東京池袋を本拠に全国の起業家・経営者さんを応援!「ベストセラー起業本」の著者。著書20冊、累計25万部超。経済産業省後援「DREAMGATE」で12年連続相談件数日本一。
【まるごと起業支援(R)・経営支援】
起業コンサル(事業計画+融資+補助金+会社設立支援)+起業後の総合サポート(経理 税務 事業計画書 融資 補助金 助成金 人事 給与計算 社会保険 法務 許認可 公庫連携 認定支援機関)など
【略歴】
経営者である父の元に生まれ、幼き頃より経営者になることを目標として過ごす。バブル崩壊の影響を受け経営が悪化。一家離散に近い貧困状況を経験し、「経営者の支援」をライフワークとしたいと決意。それに役立ちそうな各種資格を学生時代を中心に取得。同じく経営者であるメンターの伯父より、単に書類や手続を追求する専門家としてではなく、視野を広げ「ビジネス」の現場での経験を元に経営者の「経営そのもの」を支援できるような専門家を目指すようアドバイスを受け、社会人生活をスタート。大手、中小、ベンチャー企業、会計事務所等で営業、経理、財務、人事、総務、管理職、経営陣等、ビジネスの「現場」での充実した修行の日々を送ったあと、2007年に独立。ほかにはない支援スタイルが起業家・経営者に受け入れられ、経済産業省「DREAM GATE」にて、面談相談12年連続日本一。補助金・助成金支援実績600件超。ベストセラー含む起業・経営本20冊を出版。累計25万部超。無料相談件数は全国から累計3000件を超す。
この記事を監修した人
多胡藤夫/Fujio Tago
元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。