
経営者なら知っておきたい!いまさら聞けない「イノベーションのジレンマ」ってなに?
「これまでのやり方で順調に成長してきたのに、新しい波に乗れず気づけば市場から取り残されていた…」
そんな事例は、歴史上の名企業でも数多く存在します。
その背景にあるのがイノベーションのジレンマです。
1. イノベーションのジレンマとは?
ズバリ言います。
イノベーションのジレンマとは、既存の顧客や事業を大切にするあまり、新しい技術や市場の変化に対応できず、結果的に競争力を失ってしまう現象です。
米国の経営学者クレイトン・クリステンセン氏が提唱した理論で、多くの業界で繰り返し見られます。
2. なぜ起こるのか?
理由はシンプルです。
企業はどうしても「現在の儲けを支える顧客」に集中します。
その結果、
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新技術、新ビジネスは「性能が低い」「利益率が低い」と判断し、後回しにする
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既存顧客が求める機能強化ばかり行う
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新しい市場やニッチ市場の成長を見誤る
こうして、やがて新興企業に市場を奪われるのです。
3. 実例で見るイノベーションのジレンマ
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フィルムカメラの大手
デジタルカメラ技術を持ちながらも「フィルム市場の利益」を守るため投入を遅らせ、シェアを失った。 -
携帯電話メーカー
スマートフォンの登場を「一部マニア向け」と軽視し、対応が遅れ市場撤退に追い込まれた。
どちらも、当時は合理的な経営判断に見えましたが、結果的には市場の変化に取り残されました。
4. 経営者が取るべき対応
イノベーションのジレンマを回避するには、「現在の利益」と「未来の成長」を同時に追う戦略が必要です。
① 破壊的イノベーションへの目配り
初期段階では性能が低くても、将来性のある技術やビジネスモデルに注目します。
② 別組織での実験
既存事業とは切り離した小規模チームで新しい市場を開拓します。
③ 顧客ニーズの多様化を前提に
既存顧客の声だけでなく、新規顧客や非顧客層のニーズを調査します。
④ 短期利益と長期成長のバランス
経営計画の中に、新規事業への投資枠を明確に確保します。
5. よくある失敗パターン
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既存事業の利益を優先しすぎる
新市場への進出を先送りする。 -
市場変化を過小評価
「うちの顧客はそんなもの求めない」と決めつける。 -
新規事業を既存事業の延長線で考える
破壊的イノベーションには新しい発想が必要です。
6. 成功事例
ある家電メーカーは、メイン事業である高性能家電の開発を継続しながら、別部門で低価格・簡易型モデルを新興国市場向けに投入。初期は利益が少なかったものの、5年後にはその部門が会社の成長の柱となりました。
また、あるIT企業は、既存の法人向けサービスに加え、個人向けアプリ市場に小規模参入。若年層ユーザーを獲得し、後に法人事業への顧客流入ルートを確立しました。
7. 今日からできる実務チェックリスト
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新興企業や異業種の動きにアンテナを張っているか?
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既存顧客以外のニーズを調査しているか?
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新市場への実験的投資枠を持っているか?
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既存事業と新規事業を混ぜずに運営できる体制があるか?
まとめ
イノベーションのジレンマは、決して大企業だけの問題ではありません。
中小企業やスタートアップでも、既存顧客への依存度が高いほど、新しい市場や技術への対応が遅れるリスクがあります。
経営者として大切なのは、「今の利益」と「未来の芽」の両方に投資する視点です。
破壊的イノベーションは最初は小さく見えますが、放置すれば既存事業を飲み込む波となります。
変化のスピードが加速する今こそ、柔軟な発想と挑戦の場を持つことが、企業の生き残りと成長のカギです。新規事業に関する補助金も大いに活用しましょう!
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この記事を書いた人
中野裕哲/Nakano Hiroaki
起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、サーティファイドファイナンシャルプランナー・CFP(R)、1 級FP技能士。大正大学招聘教授(起業論、ゼミ等)
V-Spiritsグループ創業者。税理士法人V-Spiritsグループ代表。東京池袋を本拠に全国の起業家・経営者さんを応援!「ベストセラー起業本」の著者。著書20冊、累計25万部超。経済産業省後援「DREAMGATE」で12年連続相談件数日本一。
【まるごと起業支援(R)・経営支援】
起業コンサル(事業計画+融資+補助金+会社設立支援)+起業後の総合サポート(経理 税務 事業計画書 融資 補助金 助成金 人事 給与計算 社会保険 法務 許認可 公庫連携 認定支援機関)など
【略歴】
経営者である父の元に生まれ、幼き頃より経営者になることを目標として過ごす。バブル崩壊の影響を受け経営が悪化。一家離散に近い貧困状況を経験し、「経営者の支援」をライフワークとしたいと決意。それに役立ちそうな各種資格を学生時代を中心に取得。同じく経営者であるメンターの伯父より、単に書類や手続を追求する専門家としてではなく、視野を広げ「ビジネス」の現場での経験を元に経営者の「経営そのもの」を支援できるような専門家を目指すようアドバイスを受け、社会人生活をスタート。大手、中小、ベンチャー企業、会計事務所等で営業、経理、財務、人事、総務、管理職、経営陣等、ビジネスの「現場」での充実した修行の日々を送ったあと、2007年に独立。ほかにはない支援スタイルが起業家・経営者に受け入れられ、経済産業省「DREAM GATE」にて、面談相談12年連続日本一。補助金・助成金支援実績600件超。ベストセラー含む起業・経営本20冊を出版。累計25万部超。無料相談件数は全国から累計3000件を超す。
この記事を監修した人
多胡藤夫/Fujio Tago
元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。