
税理士を「変えたい」と思う理由――信頼と相性、未来のための判断軸
「この先生、私に合っているだろうか…」
税理士との距離が少しずつ離れてきた方、あるいは不安や物足りなさを感じている方にとって、税理士を変える決断は意外と自然で、実は賢い選択でもあります。今回は、「変えたい」と思う背景や判断基準、失敗しない切り替え方まで、実務家視点で丁寧に解説します。
① 応答の遅さや連絡の取りにくさ
「先生からの返信がいつも遅い」「メールや電話をしても音沙汰なし」
こうしたコミュニケーションのストレスは、対応の重なり方や先生のキャパシティ不足が原因です。税務相談は決算や申告だけでなく、毎月の売上変動や経費項目の確認にも関わるため、“タイムリーなやり取り”があるかどうかは信頼の第一歩とも言えます。
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相談したいときにすぐつながる安心感
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書類を送った→いつまでに返答があるか明示されている安心
こうした対応がないと、顧問税理士としての基本が崩れている証でもあります。
② 提案が受け身で「今後の提案」がない
「申告はきちんとやってくれるけれど、節税や補助金の話が出てこない」
税理士に求められているのは、単なる手続き代行だけではありません。現在の業績や資金構成に応じたアドバイスや提案を受けられるかどうかが、パートナーとしての価値判断ポイントです。
たとえば、
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今期の利益額に応じた節税スキーム
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法人化タイミングの提案
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補助金・助成金の活用可能性
こういった前向きな提案がなければ、「変えたい」と思うのも無理はありません。
③ 税理士の専門性と自社とのミスマッチ
税理士には得意領域があります。たとえば、中小企業に強い・飲食業特化・不動産・海外取引など。専門外の業種に当てはまると、対応がうわべだけになってしまう危険があります。
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クラウド会計ソフトの使い方に弱い
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業界特有の経費処理に不安がある
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人事労務・補助金・創業支援などに対応できない
このように、自社のフェーズや業種と合わなくなってきたときが、切り替えのタイミングです。
④ 料金や契約内容が不透明/割高である
税理士の料金や業務範囲、課金体系は事務所や税理士法人によってまちまちです。
料金とサービス内容が合っているか、見直すことは経営にとっても大切です。
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見積もりと請求額に差がないか
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内容や条件が書面化されているか
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突発的な相談に対して都度料金になるか月額に含むか
こうした不安が続くと、変えたくなって当然です。
⑤ 相性やコミュニケーションスタイルの不一致
税理士はたんに税務処理する人ではなく、経営を支えるパートナーです。「言いたいことが伝わらない」「相談しづらい」「相手のテンションが合わない」という印象は、業務にも影響が出てしまいます。
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話しやすさ、態度、言葉のトーン
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会話が対等か上下関係か
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間に窓口担当を挟む構成に居心地がよいか
こうした“空気感”が合わないと、長く続きません。
⑥ 長期的視点や支援体制が不足している
コロナ禍のような突発的な経済の危機や税制改正など外部環境が複雑に変化する時代において、将来的な資金繰りや税制の変化への備え、業務効率化の提案があるかは重要です。
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クラウド会計ソフトの導入提案をしてくれるか
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テレワーク対応を踏まえたデータでのやりとりをしてくれるか
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情報提供や経営相談などの機会を設けているか
こうした未来志向の対応がないと、「税理士を変えたい」と思う理由になります。
✅変えたいと思っても焦らず進める4つのステップ
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現状の不満を洗い出す
・何が不安なのか明確にし、文章化(料金、レスポンス、提案など) -
複数の候補税理士と面談する
・業種・得意分野・守備範囲・経営自体への指導の有無・創業歴・対応体制・報酬体系を比較
・オンライン面談も比較対象にする -
試用期間またはスポット相談から始める
・顧問契約は半年~1年単位が一般的。
・まずスポットで試し、相性や専門性を確かめる -
契約条件や解約・切り替えの準備を怠らない
・解約時・残務処理・データ移管などの取り決め
・切替後のスムーズな引継ぎ体制を確認する
エピローグ:税理士との関係は“良いパートナーかどうか”が大事
税理士を変えるのは決してネガティブではありません。むしろ、「自分の課題に応じた最適なパートナーを選ぶ力がある」と示すステップでもあります。
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頼れる相手か、信頼できるか
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自分の事業と歩調を合わせられるか
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将来を見据えてサポートを強化してくれるか
そんな相手と付き合うことが、あなたの事業を「安心できる景色」に向けて一歩進めます。
無料相談も行っておりますので、「税理士を変えたい」「比較したい」という場合は、いつでもお気軽にお声がけください!
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無料相談も行っているので、ぜひ一度、ご相談ください。お問い合わせお待ちしております!
この記事を書いた人
中野裕哲/Nakano Hiroaki
起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、サーティファイドファイナンシャルプランナー・CFP(R)、1 級FP技能士。大正大学招聘教授(起業論、ゼミ等)
V-Spiritsグループ創業者。税理士法人V-Spiritsグループ代表。東京池袋を本拠に全国の起業家・経営者さんを応援!「ベストセラー起業本」の著者。著書20冊、累計25万部超。経済産業省後援「DREAMGATE」で12年連続相談件数日本一。
【まるごと起業支援(R)・経営支援】
起業コンサル(事業計画+融資+補助金+会社設立支援)+起業後の総合サポート(経理 税務 事業計画書 融資 補助金 助成金 人事 給与計算 社会保険 法務 許認可 公庫連携 認定支援機関)など
【略歴】
経営者である父の元に生まれ、幼き頃より経営者になることを目標として過ごす。バブル崩壊の影響を受け経営が悪化。一家離散に近い貧困状況を経験し、「経営者の支援」をライフワークとしたいと決意。それに役立ちそうな各種資格を学生時代を中心に取得。同じく経営者であるメンターの伯父より、単に書類や手続を追求する専門家としてではなく、視野を広げ「ビジネス」の現場での経験を元に経営者の「経営そのもの」を支援できるような専門家を目指すようアドバイスを受け、社会人生活をスタート。大手、中小、ベンチャー企業、会計事務所等で営業、経理、財務、人事、総務、管理職、経営陣等、ビジネスの「現場」での充実した修行の日々を送ったあと、2007年に独立。ほかにはない支援スタイルが起業家・経営者に受け入れられ、経済産業省「DREAM GATE」にて、面談相談12年連続日本一。補助金・助成金支援実績600件超。ベストセラー含む起業・経営本20冊を出版。累計25万部超。無料相談件数は全国から累計3000件を超す。
この記事を監修した人
多胡藤夫/Fujio Tago
元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。