
創業計画書 見本|公庫書式テンプレートと書き方ポイント
「創業計画書を初めて書くけれど、見本がないと書きづらい」「業種によって書き方は変わるの?」――起業直後の個人事業主や中小企業の経営者から、こうしたご相談をよくいただきます。
結論からお伝えすると、創業計画書の見本は日本政策金融公庫の公式サイトで業種別に無料公開されています。自分の業種に近い見本をダウンロードして、書式テンプレートと並べて見ることで、各項目の書き方の温度感がぐっとつかみやすくなります。
この記事では、創業計画書の見本(記入例)が手に入る場所、公庫が公開している業種別ラインアップ、見本を使うメリット、活用する際の注意点までを整理して解説します。本記事は2026年5月時点の公庫公開情報に基づいて執筆しています。
創業計画書の「見本」はどこで手に入る?
日本政策金融公庫の公式サイトが基本
創業計画書の見本(記入例)は、日本政策金融公庫(国民生活事業)の「各種書式ダウンロード」ページから無料でダウンロードできます。創業計画書本体のテンプレートと同じページに、業種別の記入例PDFが並んで掲載されています。
- 提供元:日本政策金融公庫 国民生活事業
- ファイル形式:PDF
- 料金:無料(会員登録不要)
- 用途:書き方の参考、項目ごとの記入イメージ作り
公庫の支店窓口でも、主要業種の記入例が紙で置かれています。インターネットからダウンロードできない場合は、最寄りの支店で確認するという選択肢もあります。
見本は「あくまで参考資料」|そのまま提出しない
見本はあくまで書き方をイメージしてもらうためのサンプルです。そのまま自社の数字や略歴に書き換えて提出するのではなく、「項目ごとに、どのレベルの粒度・温度感で書けばよいか」を確認するための材料として活用します。コピー&ペースト的な使い方では、面談時に深掘りされたときに答えられず、信頼性を損ねるリスクがあります。
公庫が公開している業種別の見本ラインアップ
公庫の公式サイトには、複数の業種について見本が用意されています。代表的なラインアップは次のとおりです。
- 洋風居酒屋(飲食業)
- 美容業
- 中古自動車販売業
- 婦人服・子供服小売業
- ソフトウェア開発業
- 内装工事業
- 学習塾
- 歯科診療所
- 介護サービス
飲食・小売・サービス・専門業・建設・IT・医療・介護と、業態の幅が広く揃っているのが特徴です。自分の業種が一致しなくても、近いビジネスモデルの見本を選べば、書き方の参考になります。
自分の業種と一致する見本がない場合
すべての業種の見本があるわけではありません。一致するものがない場合は、「ビジネスの仕組みが近い業種」を選ぶのがコツです。たとえば:
- カフェを開業 → 洋風居酒屋(飲食業)の見本を参考に
- 整体院を開業 → 美容業の見本を参考に(来店型サービスとして近い)
- ECショップを開業 → 婦人服・子供服小売業の見本を参考に
- Web制作会社を開業 → ソフトウェア開発業の見本を参考に
収益構造(在庫の有無、来店型かオンラインか、月額制かスポット型かなど)が近い業種を選ぶと、参考になる項目が多くなります。
見本を使うメリット3つ
1. 各項目の「書く量」と「具体性」の目安が分かる
創業計画書は項目ごとの記入欄が決まっており、書き慣れていないと「どのくらいの分量を書けばいいのか」「どこまで具体的に書くべきか」が判断できません。見本を見ると、「創業の動機」「経営者の略歴」「事業の見通し」など、各項目で書くべきボリューム感がつかめます。
2. 数字の組み立て方を学べる
特に「事業の見通し(月平均)」の数字の根拠の書き方は、初めて書く人がもっとも苦戦する部分です。見本では、売上を「客単価×客数×営業日数」のように分解して計算する形式が示されています。これを真似ることで、自社の数字も根拠ある形に整えやすくなります。
3. 「必要な資金と調達方法」の整え方の参考になる
左側に「必要な資金(設備資金・運転資金)」、右側に「調達方法(自己資金・親族からの借入・公庫からの借入)」を書く欄があります。左右の合計が一致するように内訳を整える必要がありますが、見本を見ると、業種ごとに設備投資が大きい・小さいなどの特徴も含めて、調達バランスの組み立て方が掴めます。
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見本の活用方法|記入の流れ
見本を使って自社の創業計画書を書くときは、次の手順で進めるとスムーズです。
- 公庫のサイトから書式テンプレート(Excel版またはPDF版)と業種別見本をダウンロード
- 見本を一通り読んで、全体像と各項目の温度感を把握
- 書式テンプレートを開いて、見本の構成を参考に上から順に記入
- 記入後、見本と並べて「足りない情報」「整合性が取れていない数字」をチェック
- 必要な資金と調達方法の合計が左右で一致しているか、事業の見通しの利益から返済原資が出せるかを最終確認
見本を一度だけ眺めるのではなく、記入を進めながら何度も見返すことが大切です。書きながら「ここはどのくらい詳しく書くべきか」と迷ったら、見本の該当箇所を確認する習慣をつけましょう。
見本を見るときに注意すべき4つのポイント
1. 数字をそのまま写さない
もっとも危険なのが、見本の売上・経費・借入金額をそのまま自社の計画書に転記してしまうことです。面談時に「なぜこの数字になっているか」と聞かれたときに答えられないと、計画全体の信頼性が崩れます。見本の数字はあくまで「書き方の例」と捉え、自社のリアルな数字に置き換えましょう。
2. 「動機」「略歴」は自分の言葉で書く
創業の動機や経営者の略歴は、本人にしか書けない内容です。見本の言い回しを真似るのではなく、自分の経験と一貫性が伝わるように書きます。特に「なぜ、いまこの事業を始めるのか」が読み手に伝わるかどうかが、最初に審査担当者が見るポイントです。
3. 業種が違えば項目の重みも違う
たとえば、飲食店の見本では設備資金の比重が大きく、ソフトウェア開発業の見本では人件費(運転資金)の比重が大きい、というように、業種ごとに重点項目が異なります。自分の業種の特徴を踏まえて、力点を置く項目を変えることが必要です。
4. 最新版を使う
公庫の書式は定期的に改定されます。古いブログ記事や個人サイト経由の見本ではなく、必ず公庫公式サイトの最新版を使いましょう。
創業計画書の見本に関するよくある質問
Q. 見本を真似て書けば、融資は通る?
見本どおりに書いたからといって、必ず通るわけではありません。融資の可否は計画の中身(数字の根拠、返済能力、経歴との一貫性)で判断されます。見本は「書き方の参考」であり、「合格答案」ではないと理解しておきましょう。
Q. 見本は紙でもらえる?
公庫の支店窓口で、主要業種の見本が紙で配布されている場合があります。インターネット環境がない方や、紙で並べて見たい方は、最寄りの支店で確認するとよいでしょう。
Q. 見本を見ても書けない場合は?
見本を見ても、自社の事業内容に置き換えられない場合、創業融資の支援実績がある専門家に相談する選択肢があります。第三者に話しながら整理することで、計画書に書くべき要素が明確になります。
まとめ|見本は「答え」ではなく「書き方の参考」として活用する
創業計画書の見本は、日本政策金融公庫の公式サイトから業種別に無料でダウンロードできます。9つ前後の業種について記入例が公開されており、自分の業種に近いものを選んで参考にすることで、書き方の温度感や数字の組み立て方がつかめます。
ただし、見本はあくまで参考資料です。数字や言い回しをそのまま写すのではなく、「自分の事業を、自分の数字と経験で書く」ことが、審査担当者に伝わる創業計画書の基本です。
見本を見ても自社の事業に落とし込めない場合や、数字の根拠の組み立て方に不安がある場合は、創業融資の支援実績がある専門家への相談も検討してみてください。
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この記事を書いた人
小峰精公/Kiyotaka Komine
元朝日信用金庫 法人営業
資金繰り解決コンサルタント
V-Spirits総合研究所株式会社 常務取締役
大学卒業後、朝日信用金庫に入庫。朝日信用金庫での経験が原点となり、「銀行融資取引」や「資金繰り」の本質を企業へ伝えていくことがミッションだと確信する。
日本の99%は中小零細企業で成り立っている現状を痛感し、1社でも多くの企業の「資金繰り」の課題を解決していくことに専念する。
クライアント様がより良い商品やサービスを提供することができる環境づくりの一助となれるよう全身全霊を尽くす。

この記事を監修した人
多胡藤夫/Fujio Tago
元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。

この記事を監修した人

中野裕哲/Nakano Hiroaki
税理士法人V-Spiritsグループ代表/税理士/行政書士/特定社会保険労務士/採用定着士/ファイナンシャルプランナー/起業コンサルタント/経営コンサルタント/大正大学招聘教授
税理士法人V-Spiritsグループ代表の中野裕哲は、中小企業経営者のために、税務・会計だけでなく、採用、人事、資金繰り、融資、補助金、助成金、営業、Webマーケティング、売上導線設計まで横断的に支援する実戦型経営税理士です。
経営の悩みは、突き詰めると「人・金・売上」に集約されます。中野裕哲は、大企業人事部、人材紹介会社の採用エージェント、中小企業の財務責任者、大手不動産会社での営業、出版・Web制作による集客導線構築など、幅広い実務経験をもとに、経営者の意思決定を支援します。
【対応領域】
税理士顧問、社労士顧問、補助金支援、助成金支援、資金調達支援、採用力診断、売上導線診断、経営参謀顧問。税務・会計・決算・節税に加えて、経営分析、労務管理、社会保険、助成金、採用体制づくり、融資、補助金、事業計画、営業戦略、Webマーケティング、出版、メディア活用まで一体的に相談できます。
中野裕哲は、家業の倒産危機からの壮絶な貧乏体験を原点に、お金で苦しむ経営者をひとりにしないことを掲げています。資金繰り、採用、売上づくりの壁に対して、経営者目線で伴走します。
【主な実績】
- 起業支援・経営支援の豊富な実績
- 起業相談件数3,000件以上
- 資金調達支援1000件以上
- 大企業Webサイト多数監修
- 商業出版著書監修約32冊(累計30万部超)
V-Spiritsグループでは、融資・補助金・金融機関対応に詳しい社内役員チームも伴走します。元経済産業省系補助金審査員・事務局員、元日本政策金融公庫支店長、元信用金庫融資担当営業などの専門家が、補助金申請、事業計画、資金繰り、金融機関対応を実務面から支援します。
税理士顧問、社労士顧問、融資、補助金、助成金、採用、営業、マーケティングまで、経営者が本当に悩む領域をワンストップで相談できます。V-Spiritsグループは、起業支援・会社設立・創業融資・補助金助成金・税務会計・人事労務・許認可・経営顧問をワンストップで支援する、起業家・中小企業向けの専門家グループです。




























