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コラム

日本政策金融公庫で飲食店開業資金を借りる方法

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飲食店の開業には、物件取得費や内装工事、厨房設備など、まとまった初期費用がかかります。その資金調達先として、開業前や開業直後でも利用しやすいのが日本政策金融公庫(以下、公庫)です。本記事では、飲食店の開業資金を公庫から借りる方法を、利用できる制度・必要資金の目安・申込みの流れ・審査で見られるポイントまで、これから開業する個人事業主の方にもわかりやすく解説します。(※本記事は2026年6月時点の情報です。制度内容は変更される場合があるため、最新情報は日本政策金融公庫の公式サイトで必ずご確認ください。)

なぜ飲食店の開業資金に日本政策金融公庫が向いているのか

日本政策金融公庫は、国が100%出資する政策金融機関で、中小企業や創業者の支援を目的の一つとしています。民間の銀行は、創業前で事業実績のない方への融資に慎重なことが多いのですが、公庫は創業支援に積極的なため、開業前や開業直後でも申し込める点が大きな特徴です。

飲食店は開業希望者が多い一方で競争も激しい業種です。だからこそ、初めての借入でも利用しやすく、固定金利で返済計画が立てやすい公庫は、最初の資金調達先として多くの開業者に選ばれています。

民間金融機関と比べたときの主なメリット

  • 創業前・実績ゼロの段階でも申し込める:これから開業する方を対象にした制度がある
  • 固定金利で返済計画が立てやすい:金利変動のリスクを抑えられる
  • 無担保・無保証人で利用できる制度がある:代表者の連帯保証を不要にできるケースがある
  • 据置期間を設定できる:開業直後の苦しい時期に元金の返済を猶予できる

飲食店開業で使える公庫の主な融資制度

これから飲食店を開業する方が中心的に利用するのが「新規開業・スタートアップ支援資金」です。創業者向けの主力制度で、おおまかな内容は次のとおりです。

  • 対象:新たに事業を始める方、または事業開始後おおむね7年以内の方
  • 融資限度額:7,200万円(うち運転資金4,800万円)
  • 返済期間:設備資金は20年以内、運転資金は10年以内(いずれも据置期間5年以内)

かつては「新創業融資制度」という別枠の制度がありましたが、2024年4月の見直しでこの新規開業資金に統合され、原則として自己資金要件が撤廃されました。これにより、制度上は自己資金がなくても申込みができる形になっています。ただし後述のとおり、審査で自己資金が見られなくなったわけではありません。

金利は、担保・保証の有無や適用される特例によって変わります。女性・若者・シニアの方や、一定の要件を満たす場合には金利の優遇を受けられることもあるため、自分が優遇の対象になるかを事前に確認しておくとよいでしょう。具体的な利率は変動するため、申込み前に公式サイトの最新の利率表で確認してください。

飲食店開業に必要な資金の目安

借入額を考える前に、まず「いくら必要なのか」を整理することが大切です。飲食店の開業資金は、大きく設備資金と運転資金に分けられます。

設備資金(開業時に一度かかる費用)

  • 物件取得費:保証金(敷金)・礼金・前家賃・仲介手数料など。家賃の6〜12カ月分が目安
  • 内装・外装工事費:スケルトン物件か居抜き物件かで大きく変わる。居抜きなら工事費を抑えやすい
  • 厨房設備・什器備品費:コンロ、冷蔵庫、製氷機、食器、テーブル・椅子など

運転資金(開業後しばらくの間に必要な費用)

家賃・人件費・仕入れ・水道光熱費など、毎月出ていくお金です。開業直後は売上が安定しないことが多いため、最低でも3〜6カ月分の運転資金を見込んでおくと安心です。手元資金が尽きると、黒字化を待たずに資金ショートを起こしてしまうため、運転資金は多めに見積もっておきましょう。

小規模な飲食店でも総額1,000万円前後、立地や規模によっては2,000万円を超えることもあります。この必要資金の総額から自己資金を差し引いた額が、借入で調達する金額の目安になります。

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弊社では、元日本政策金融公庫支店長の多胡や元信用金庫法人営業の小峰を中心とした専門家チームが、幅広い融資を含む資金調達支援・起業支援・経営支援を行っております。「何から始めればいいかわからない」という段階でもお気軽にご相談ください。

V-Spiritsでは年間1,000件以上の融資などの資金調達支援や起業・経営支援を行っております。専門チームが伴走支援を行います。

公庫の融資を受けるまでの5ステップ

飲食店の開業資金を公庫から借りる場合、申込みから着金までの流れはおおむね次のようになります。

  1. 必要資金と自己資金の整理:設備資金・運転資金の内訳を出し、自己資金でいくらまかなえるかを確認する
  2. 創業計画書(事業計画書)の作成:事業内容、売上の見通し、資金計画、返済計画をまとめる
  3. 公庫へ申込み:借入申込書と創業計画書、必要書類(見積書・通帳のコピー・本人確認書類など)を提出する
  4. 面談:担当者と面談し、事業計画や開業準備の状況について説明する
  5. 審査・融資実行:審査を経て融資が決定すると、指定口座へ着金する

申込みから着金までは、通常3週間〜1カ月程度が目安です。物件契約や内装工事のスケジュールと逆算し、資金が必要な時期に間に合うよう、早めに準備を始めることが大切です。

飲食店の融資審査で重視される3つのポイント

1. 自己資金

制度上の自己資金要件は撤廃されましたが、審査では引き続き自己資金が重視されます。コツコツ貯めてきた自己資金は、事業への本気度や計画性を示す材料になるためです。開業資金総額の2〜3割程度を目安に準備できると、評価が安定しやすくなります。

2. 事業計画書(創業計画書)の具体性

飲食店の審査では、売上の根拠が問われます。「席数×客単価×回転数×営業日数」といった形で、売上の見込みを数字で具体的に示せると説得力が高まります。希望的観測ではなく、近隣の競合状況や立地を踏まえた現実的な計画にすることがポイントです。

3. 飲食業の経験

同業種での勤務経験や調理・店舗運営の経験は、加点要素として評価されます。未経験で開業する場合は、その分を補うために、開業前の研修や信頼できるパートナー・スタッフの確保など、事業を運営できる体制を計画書で示すことが重要です。

よくある質問(FAQ)

Q. 自己資金がなくても飲食店の開業融資は受けられますか?

A. 2024年の制度見直しで自己資金要件は撤廃されたため、申込み自体は可能です。ただし審査では自己資金が引き続き重視されるため、自己資金が少ないと融資額が抑えられる傾向があります。事業計画書の精度を高めて補うことが現実的な対策です。

Q. 開業後でも公庫に申し込めますか?

A. 新規開業資金は、事業開始後おおむね7年以内の方も対象です。開業後の運転資金や追加の設備投資にも利用できます。

Q. 融資と補助金は併用できますか?

A. 融資と補助金は併用できます。ただし補助金は原則として後払い(精算払い)のため、先に支払いが発生する費用については、つなぎとして融資が必要になるケースもあります。資金繰り全体を見て組み合わせを検討しましょう。

Q. 申込みから融資実行までどのくらいかかりますか?

A. 通常は3週間〜1カ月程度が目安です。書類に不備があるとさらに時間がかかるため、創業計画書や必要書類は早めに整えておくことをおすすめします。

まとめ

飲食店の開業資金を調達するうえで、日本政策金融公庫は創業前でも利用しやすい心強い選択肢です。中心となる制度は「新規開業・スタートアップ支援資金」で、融資限度額は7,200万円(うち運転資金4,800万円)、返済期間も設備資金で最長20年と、無理のない返済計画を立てやすい内容になっています。2024年の見直しで自己資金要件は撤廃されましたが、審査では自己資金と事業計画書の精度が引き続き重要です。まずは必要資金と自己資金を整理し、売上根拠を具体的に示した創業計画書を準備することが、融資成功への第一歩です。資金計画や計画書づくりに不安がある場合は、早めに融資の専門家へ相談することをおすすめします。

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小峰

この記事を書いた人

小峰精公/Kiyotaka Komine

元朝日信用金庫 法人営業
資金繰り解決コンサルタント
V-Spirits総合研究所株式会社 常務取締役
大学卒業後、朝日信用金庫に入庫。朝日信用金庫での経験が原点となり、「銀行融資取引」や「資金繰り」の本質を企業へ伝えていくことがミッションだと確信する。
日本の99%は中小零細企業で成り立っている現状を痛感し、1社でも多くの企業の「資金繰り」の課題を解決していくことに専念する。
クライアント様がより良い商品やサービスを提供することができる環境づくりの一助となれるよう全身全霊を尽くす。

この記事を監修した人

多胡藤夫/Fujio Tago

元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。

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中野裕哲

中野裕哲/Nakano Hiroaki

税理士法人V-Spiritsグループ代表/税理士/行政書士/特定社会保険労務士/採用定着士/ファイナンシャルプランナー/起業コンサルタント/経営コンサルタント/大正大学招聘教授

税理士法人V-Spiritsグループ代表の中野裕哲は、中小企業経営者のために、税務・会計だけでなく、採用、人事、資金繰り、融資、補助金、助成金、営業、Webマーケティング、売上導線設計まで横断的に支援する実戦型経営税理士です。

経営の悩みは、突き詰めると「人・金・売上」に集約されます。中野裕哲は、大企業人事部、人材紹介会社の採用エージェント、中小企業の財務責任者、大手不動産会社での営業、出版・Web制作による集客導線構築など、幅広い実務経験をもとに、経営者の意思決定を支援します。

【対応領域】
税理士顧問、社労士顧問、補助金支援、助成金支援、資金調達支援、採用力診断、売上導線診断、経営参謀顧問。税務・会計・決算・節税に加えて、経営分析、労務管理、社会保険、助成金、採用体制づくり、融資、補助金、事業計画、営業戦略、Webマーケティング、出版、メディア活用まで一体的に相談できます。

中野裕哲は、家業の倒産危機からの壮絶な貧乏体験を原点に、お金で苦しむ経営者をひとりにしないことを掲げています。資金繰り、採用、売上づくりの壁に対して、経営者目線で伴走します。

【主な実績】

  • 起業支援・経営支援の豊富な実績
  • 起業相談件数3,000件以上
  • 資金調達支援1000件以上
  • 大企業Webサイト多数監修
  • 商業出版著書監修約32冊(累計30万部超)

V-Spiritsグループでは、融資・補助金・金融機関対応に詳しい社内役員チームも伴走します。元経済産業省系補助金審査員・事務局員、元日本政策金融公庫支店長、元信用金庫融資担当営業などの専門家が、補助金申請、事業計画、資金繰り、金融機関対応を実務面から支援します。

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