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コラム

運送会社の創業融資:トラック購入費はいくら借りられるか

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運送会社の創業融資|トラック購入費はいくら借りられる?自己資金と審査の目安を解説

運送会社を立ち上げるとき、最初に立ちはだかる大きな壁が「トラックをどう調達するか」です。1台数百万円する車両を自己資金だけでそろえるのは現実的ではなく、多くの方が創業融資の活用を検討します。本記事では、起業準備中の個人事業主・中小企業の方に向けて、トラック購入費が創業融資の対象になるのか、いくらまで借りられるのか、自己資金や審査で見られるポイント、緑ナンバー取得との進め方までを整理して解説します。なお、融資の制度や金利は変わりやすいため、本記事は執筆時点(2026年6月)の情報をもとにしています。最新の条件は日本政策金融公庫の公式情報もあわせてご確認ください。

運送会社の創業融資とは

創業融資とは、主に日本政策金融公庫が提供する、起業時の資金調達を目的とした融資制度のことです。政府系金融機関が提供するため、民間金融機関では対応が難しいケースにも積極的に取り組むのが大きな特徴で、運送業のように開業時にまとまった設備投資が必要な業種とも相性がよい制度です。

無担保・無保証人での借り入れが原則として可能であり、事業の実績がなくても事業計画書と自己資金をもとに審査が行われます。現在の主力制度は「新規開業・スタートアップ支援資金」で、融資限度額は7,200万円(うち運転資金4,800万円)と、運送会社の開業に必要な資金規模を十分カバーできる設計です。

トラック購入費は創業融資の対象になるのか

トラックは「設備資金」として申請できる

結論から言えば、事業に使うトラックの購入費は創業融資の対象になります。融資の資金使途は大きく「設備資金」と「運転資金」に分かれ、トラックや荷役機器、車庫の整備費などは設備資金に該当します。事業に直接使う車両であることが前提なので、申請の際は車両の見積書を用意し、「何のために」「どの車両を」「いくらで」購入するのかを明確に示すことが重要です。

新車と中古トラックで考え方が変わる

運送業では、初期費用を抑えるために中古トラックを選ぶケースも少なくありません。新車・中古のどちらでも融資の対象にできますが、金融機関は購入金額の妥当性を見ます。中古車の場合は販売店の見積書や車両情報をそろえ、相場と大きくかけ離れた金額になっていないかを説明できるようにしておきましょう。新車は価格が明確な一方で初期負担が大きく、中古は負担を抑えられる一方で故障リスクや耐用年数を計画にどう織り込むかがポイントになります。

トラック購入費はいくら借りられるのか

融資限度額と運転資金の枠

「新規開業・スタートアップ支援資金」の融資限度額は7,200万円で、このうち運転資金は4,800万円が上限です。トラック1台あたりの価格は車種によって幅がありますが、複数台をそろえる場合でも制度上の限度額に収まるケースがほとんどです。ただし限度額はあくまで上限であり、実際の融資額は事業計画の内容・自己資金・返済の見通しによって決まります。「限度額まで借りられる」わけではない点に注意してください。

自己資金の目安と借入額の決まり方

創業融資では、自己資金をどれだけ準備できているかが借入額に影響します。一般的に、必要資金の全額を借入でまかなおうとするより、ある程度の自己資金を用意したうえで不足分を融資で補う計画のほうが、審査での説得力が高まります。自己資金は申請時点で口座に確認できる形にしておくのが原則で、複数口座に分かれている場合は申請用のメイン口座に集約し、通帳ですぐ説明できる状態にしておくとスムーズです。

また、創業前に自費で取得した運行管理者などの資格費用や、事業準備のために購入した備品なども、一定範囲で「みなし自己資金」として評価されることがあります。領収書は必ず保管しておきましょう。

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緑ナンバー(運送事業許可)取得と融資の進め方

一般貨物自動車運送事業を営むには、いわゆる「緑ナンバー」を取得するための許可が必要です。許可の取得には営業所・車庫・車両・資金などの要件があり、運送会社の開業ではこの許可取得と創業融資の準備を並行して進めることになります。許可申請と資金調達はそれぞれ手続きが異なるため、スケジュールがずれて開業が遅れないよう、早い段階で全体の流れを設計しておくことが大切です。許認可の手続きには専門的な判断が必要な場面もあるため、行政書士などの専門家に相談しながら進めると安心です。

トラック購入費以外に必要な運転資金も見込んでおく

運送業は、車両をそろえれば終わりではありません。開業後すぐに売上が安定するとは限らず、入金までのタイムラグもあるため、燃料費・車両保険・人件費・駐車場代といった運転資金を一定期間分は手元に確保しておく必要があります。設備資金(トラック)だけでなく、開業から数か月分の運転資金もあわせて計画に組み込むことで、資金ショートを避けやすくなります。創業融資では設備資金と運転資金を同時に申請できるため、開業後のキャッシュフローを見据えた資金計画を立てましょう。

運送会社の事業計画書で見られるポイント

事業の実績がない創業時は、事業計画書の説得力がそのまま審査結果に直結します。運送業の場合、とくに次のような点を具体的な数字で示せるかが重要です。

  • 受注の見込み(元請けや荷主との取引予定、想定する荷物の種類)
  • 1台あたりの稼働率・走行距離・運賃単価の根拠
  • ドライバーの人数と人件費、外注を使う場合の費用
  • 燃料費や車両維持費など、台数の増加に応じて変わるコスト

「なんとなく売上が立つ」ではなく、台数×稼働×単価という形で売上の根拠を組み立てると、計画の信頼性が高まります。

申請から融資実行までのスケジュール

申請から融資実行までは、書類提出後おおむね3週間〜1か月程度が目安です。創業計画書・自己資金のエビデンス・車両や設備の見積書などの書類を整える時間を含めると、申請準備に1か月、審査・実行に1か月、合計2か月程度を見ておくと安全です。緑ナンバーの許可取得とも並行するため、開業希望日から逆算して早めに動き出すことをおすすめします。

金利については、2026年3月時点の基準利率が年3.25〜4.65%です。創業期に無担保で利用する場合は、原則として0.65%(雇用拡大を図る場合は0.9%)の引き下げが適用される可能性があります。元金返済の据置期間は5年以内で設定でき、据置期間中は利息のみの支払いとなるため、開業初期のキャッシュフローに余裕を持たせられます。金利・引き下げ条件は変動するため、申請時点の最新情報を必ず確認してください。

よくある質問(FAQ)

Q. 中古トラックでも創業融資の対象になりますか

はい、中古トラックも事業に使う車両であれば設備資金として申請できます。販売店の見積書や車両情報をそろえ、購入金額が相場から大きく外れていないことを説明できるようにしておくと、審査がスムーズになりやすいです。

Q. 自己資金がほとんどなくても運送会社の創業融資は受けられますか

自己資金が少ない場合でも申請は可能ですが、一般的には一定の自己資金があるほうが計画の説得力は高まります。「必ず借りられる」と断定はできないため、自己資金の準備状況も含めて、早めに専門家へ相談しながら計画を整えるとよいでしょう。

Q. 緑ナンバーの許可が下りる前に融資を申し込めますか

許可取得と融資準備は並行して進めるのが一般的です。ただし、許可の見込みや事業の実現可能性が計画に反映されている必要があります。スケジュールが複雑になりやすいため、許認可と資金調達の両方に詳しい専門家と進めると安心です。

まとめ

運送会社の創業融資では、トラックの購入費を「設備資金」として申請でき、運転資金とあわせて最大7,200万円(うち運転資金4,800万円)の枠の中で資金調達を計画できます。ただし限度額まで借りられるわけではなく、実際の融資額は自己資金や事業計画の説得力などによって決まります。新車・中古の選び方、緑ナンバー取得との並行スケジュール、開業後の運転資金まで含めて全体像を設計しておくことが、開業を成功させる鍵です。資金計画や事業計画書の作り込みに不安がある場合は、融資に強い専門家のサポートを受けながら進めることをおすすめします。

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小峰

この記事を書いた人

小峰精公/Kiyotaka Komine

元朝日信用金庫 法人営業
資金繰り解決コンサルタント
V-Spirits総合研究所株式会社 常務取締役
大学卒業後、朝日信用金庫に入庫。朝日信用金庫での経験が原点となり、「銀行融資取引」や「資金繰り」の本質を企業へ伝えていくことがミッションだと確信する。
日本の99%は中小零細企業で成り立っている現状を痛感し、1社でも多くの企業の「資金繰り」の課題を解決していくことに専念する。
クライアント様がより良い商品やサービスを提供することができる環境づくりの一助となれるよう全身全霊を尽くす。

この記事を監修した人

多胡藤夫/Fujio Tago

元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。

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中野裕哲

中野裕哲/Nakano Hiroaki

税理士法人V-Spiritsグループ代表/税理士/行政書士/特定社会保険労務士/採用定着士/ファイナンシャルプランナー/起業コンサルタント/経営コンサルタント/大正大学招聘教授

税理士法人V-Spiritsグループ代表の中野裕哲は、中小企業経営者のために、税務・会計だけでなく、採用、人事、資金繰り、融資、補助金、助成金、営業、Webマーケティング、売上導線設計まで横断的に支援する実戦型経営税理士です。

経営の悩みは、突き詰めると「人・金・売上」に集約されます。中野裕哲は、大企業人事部、人材紹介会社の採用エージェント、中小企業の財務責任者、大手不動産会社での営業、出版・Web制作による集客導線構築など、幅広い実務経験をもとに、経営者の意思決定を支援します。

【対応領域】
税理士顧問、社労士顧問、補助金支援、助成金支援、資金調達支援、採用力診断、売上導線診断、経営参謀顧問。税務・会計・決算・節税に加えて、経営分析、労務管理、社会保険、助成金、採用体制づくり、融資、補助金、事業計画、営業戦略、Webマーケティング、出版、メディア活用まで一体的に相談できます。

中野裕哲は、家業の倒産危機からの壮絶な貧乏体験を原点に、お金で苦しむ経営者をひとりにしないことを掲げています。資金繰り、採用、売上づくりの壁に対して、経営者目線で伴走します。

【主な実績】

  • 起業支援・経営支援の豊富な実績
  • 起業相談件数3,000件以上
  • 資金調達支援1000件以上
  • 大企業Webサイト多数監修
  • 商業出版著書監修約32冊(累計30万部超)

V-Spiritsグループでは、融資・補助金・金融機関対応に詳しい社内役員チームも伴走します。元経済産業省系補助金審査員・事務局員、元日本政策金融公庫支店長、元信用金庫融資担当営業などの専門家が、補助金申請、事業計画、資金繰り、金融機関対応を実務面から支援します。

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