
溶接機・溶接ロボットの導入費用を補助金で抑える方法と申請の条件
溶接機や溶接ロボットの導入は、製造現場の生産性を大きく左右する設備投資です。一方で、本格的な溶接ロボットや自動化ラインになると数百万円〜数千万円規模の費用がかかり、「補助金を使って負担を抑えられないか」と考える中小企業の経営者は少なくありません。
結論からいえば、溶接機・溶接ロボットの導入はものづくり補助金をはじめとした複数の補助金の対象になり得ます。ただし、どの補助金でも自由に買えるわけではなく、それぞれ「目的」と「要件」が決まっています。この記事では、溶接設備の導入に使える主な補助金と、ものづくり補助金で導入するための具体的な条件、申請の流れまでを、起業直後の方にも分かるように整理します。
溶接機・溶接ロボットの導入に補助金は使えるのか
使えます。溶接機・溶接ロボットは「機械装置」に該当するため、設備投資を支援する補助金の対象経費になりやすい設備です。特に次の2つが代表的な選択肢です。
- ものづくり補助金:革新的な製品・サービスの開発や生産プロセス改善のための設備投資を支援。新しい加工技術の内製化や高付加価値化を狙う溶接設備に向く
- 中小企業省力化投資補助金:人手不足の解消・省人化を目的とした設備導入を支援。溶接ロボットによる自動化で工数を削減するケースに向く
つまり、「新しい製品や加工に挑戦するための溶接設備」ならものづくり補助金、「人手をかけている溶接工程を自動化して省人化したい」なら省力化投資補助金、という整理が基本の考え方になります。このほか、自治体独自の設備投資補助金が用意されている地域もあります。
溶接設備で使える代表的な補助金「ものづくり補助金」とは
ものづくり補助金(正式名称:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金)は、中小企業・小規模事業者が生産性向上に資する革新的な設備投資やサービス開発を行う際に活用できる、経済産業省系の代表的な補助金です。
2026年も継続して実施されており、補助上限額は申請する枠によって異なりますが、通常枠で最大4,000万円程度、大幅な賃上げを行う事業者には上限を引き上げる特例が設けられています。補助率は中小企業で原則2分の1(小規模事業者・再生事業者などは3分の2)が基本です。
溶接機・溶接ロボットの場合、たとえば「これまで外注していた溶接工程を内製化し、より精度の高い製品を製造できるようにする」「新しい素材・形状の溶接に対応して受注領域を広げる」といった、生産プロセスや製品の高付加価値化につながる投資が評価されやすくなります。
なお、公募は数次に分けて行われ、公募回ごとに枠の構成や賃上げ要件などが見直されます。申請を検討する際は、必ず最新の公募要領で対象経費・補助率・締切を確認してください。
溶接ロボットの省人化なら「省力化投資補助金」も検討
溶接工程に人手を多く割いており、「人が採れない」「熟練工が高齢化している」といった課題が中心であれば、中小企業省力化投資補助金の活用も検討に値します。こちらは生産性向上というより省人化・人手不足対応に主眼を置いた制度で、ロボットによる自動化で削減できる労働時間を根拠に申請を組み立てます。
同じ溶接ロボットでも、「革新的な製品づくり」を打ち出すか「省人化」を打ち出すかで、適した補助金と事業計画の書き方が変わります。どちらが自社の実態に合うか迷う場合は、設備の使い方と狙う効果を整理したうえで判断するのが安全です。
ものづくり補助金で溶接機を導入するための条件
ものづくり補助金で溶接設備を導入するには、主に次の要件を満たす事業計画が求められます。
1. 革新的な取り組みであること
単なる老朽設備の更新や同等機の買い替えだけでは評価されにくく、「その設備によって従来できなかった加工・製品が実現する」「生産プロセスが大きく改善する」といった革新性を計画に落とし込む必要があります。
2. 付加価値額・給与支給総額などの数値目標
事業計画期間にわたり、付加価値額を年率平均で一定割合(おおむね3%以上)伸ばすこと、給与支給総額を増やすこと、事業場内最低賃金を引き上げることなどが基本要件として設定されています。要件の数値は公募回によって見直されるため、申請時点の公募要領で確認します。
3. 対象経費に該当すること
溶接機・溶接ロボット本体は「機械装置・システム構築費」として対象経費になり得ます。一方で、汎用的に使えるパソコンや事務用品などは対象外です。設備に付随する治具・ソフトウェア・据付費なども、要件を満たせば対象になる場合があります。
申請の流れと注意点
ものづくり補助金は電子申請(Jグランツ)で行うため、まずGビズIDプライムの取得が必要です。発行に時間がかかることがあるので、申請を考え始めた段階で早めに準備しておきましょう。大まかな流れは次のとおりです。
- GビズIDプライムの取得
- 事業計画書の作成(設備投資の内容・革新性・数値目標を記載)
- 公募期間内に電子申請
- 採択発表 → 交付申請 → 交付決定
- 交付決定後に発注・契約・設備導入(※交付決定前の発注は対象外になるため要注意)
- 事業実施 → 実績報告 → 補助金の請求・入金
特に注意したいのが、補助金は原則として後払い(精算払い)である点です。設備代金はいったん自社で立て替えて支払う必要があり、補助金が入金されるのは実績報告と確定検査が終わったあとになります。数千万円規模の溶接設備では一時的な資金負担が大きいため、つなぎの運転資金をどう確保するかもあわせて計画しておくことが重要です。
採択されやすくするためのポイント
- 導入効果を数字で示す:加工時間の短縮、不良率の低下、内製化による外注費削減などを定量的に書く
- 溶接設備でなければならない理由を明確にする:なぜその機種・スペックが必要かを、自社の受注計画と結びつけて説明する
- 賃上げ計画とセットで描く:生産性向上で生まれた原資を、どう従業員に還元するかまで踏み込む
- 交付決定前に発注しない:フライング発注は補助対象外になる代表的な失敗なので、スケジュール管理を徹底する
よくある質問(FAQ)
Q. 中古の溶接機でも補助金の対象になりますか?
補助金によって中古設備の扱いは異なります。ものづくり補助金では中古設備も一定の条件下で対象になる場合がありますが、複数見積など追加の要件が課されることがあります。最新の公募要領で必ず確認してください。
Q. 個人事業主でも申請できますか?
ものづくり補助金・省力化投資補助金とも、中小企業者に含まれる個人事業主も申請可能です。ただし開業して間もない場合、事業計画の説得力や数値目標の根拠づくりがより重要になります。
Q. 補助金と融資は併用できますか?
併用は可能です。むしろ補助金は後払いのため、設備代金の立て替えや運転資金として融資を組み合わせるケースは珍しくありません。資金繰り全体を見ながら、補助金と融資を組み合わせて設計するのが現実的です。
まとめ
溶接機・溶接ロボットの導入は、ものづくり補助金や省力化投資補助金を活用することで、自己負担を抑えながら進められる可能性があります。ポイントは、自社の狙い(高付加価値化か省人化か)に合った補助金を選び、革新性や数値目標、賃上げ計画まで含めて事業計画に落とし込むことです。
また、補助金は後払いであるため、設備代金の立て替えや採択後の資金繰りまで見据えた準備が欠かせません。「どの補助金が自社に向いているか」「対象経費になるか」の判断に迷う場合は、早めに専門家へ相談することで、申請の手戻りや要件の見落としを防ぎやすくなります。
【無料相談のご案内】
弊社では、補助金専門行政書士法人V-Spiritsが補助金支援を行っております。元補助金審査員の三浦を中心とした各種専門家チームが全面的にサポートいたします。このケースは補助金の対象になるのか?といった疑問に対して適切なアドバイスを無料にて行っております。無料相談も行っているので、ぜひいちどご相談ください。お問い合わせお待ちしております!

この記事を書いた人
三浦高/Takashi Miura
元創業補助金(経済産業省系補助金)審査員・事務局員
中小企業診断士、起業コンサルタント®、
1級販売士、宅地建物取引主任者、
融資・資金調達コンサルタント
行政書士法人V-Spirits 補助者
産業能率大学 兼任教員
2024年現在、各種補助金の累計支援件数は300件を超える。
融資申請のノウハウも蓄積し、さらに磨きを掛けるべく日々事業計画書に向き合っている。
この記事を監修した人

中野裕哲/Nakano Hiroaki
税理士法人V-Spiritsグループ代表/税理士/行政書士/特定社会保険労務士/採用定着士/ファイナンシャルプランナー/起業コンサルタント/経営コンサルタント/大正大学招聘教授
税理士法人V-Spiritsグループ代表の中野裕哲は、中小企業経営者のために、税務・会計だけでなく、採用、人事、資金繰り、融資、補助金、助成金、営業、Webマーケティング、売上導線設計まで横断的に支援する実戦型経営税理士です。
経営の悩みは、突き詰めると「人・金・売上」に集約されます。中野裕哲は、大企業人事部、人材紹介会社の採用エージェント、中小企業の財務責任者、大手不動産会社での営業、出版・Web制作による集客導線構築など、幅広い実務経験をもとに、経営者の意思決定を支援します。
【対応領域】
税理士顧問、社労士顧問、補助金支援、助成金支援、資金調達支援、採用力診断、売上導線診断、経営参謀顧問。税務・会計・決算・節税に加えて、経営分析、労務管理、社会保険、助成金、採用体制づくり、融資、補助金、事業計画、営業戦略、Webマーケティング、出版、メディア活用まで一体的に相談できます。
中野裕哲は、家業の倒産危機からの壮絶な貧乏体験を原点に、お金で苦しむ経営者をひとりにしないことを掲げています。資金繰り、採用、売上づくりの壁に対して、経営者目線で伴走します。
【主な実績】
- 起業支援・経営支援の豊富な実績
- 起業相談件数3,000件以上
- 資金調達支援1000件以上
- 大企業Webサイト多数監修
- 商業出版著書監修約32冊(累計30万部超)
V-Spiritsグループでは、融資・補助金・金融機関対応に詳しい社内役員チームも伴走します。元経済産業省系補助金審査員・事務局員、元日本政策金融公庫支店長、元信用金庫融資担当営業などの専門家が、補助金申請、事業計画、資金繰り、金融機関対応を実務面から支援します。
税理士顧問、社労士顧問、融資、補助金、助成金、採用、営業、マーケティングまで、経営者が本当に悩む領域をワンストップで相談できます。V-Spiritsグループは、起業支援・会社設立・創業融資・補助金助成金・税務会計・人事労務・許認可・経営顧問をワンストップで支援する、起業家・中小企業向けの専門家グループです。




























