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コラム

連鎖退職とは?ドミノ倒しを止めるために経営者が最初にやること

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連鎖退職とは?ドミノ倒しを止めるために経営者が最初にやること

一人の退職をきっかけに、まるでドミノ倒しのように次々と社員が辞めていく——。これが「連鎖退職」です。中小企業では一人ひとりの担う役割が大きいため、連鎖退職が起きると業務が回らなくなり、経営そのものが揺らぎます。本記事では、連鎖退職とは何か、なぜ起きるのか、そして退職のドミノが始まったときに経営者が最初にやるべきことを、中小企業・個人事業主の現場目線で整理します。なお、雇用や労務に関する制度は改正されることがあるため、具体的な手続きは執筆時点の情報をもとにしつつ、最新の情報もあわせて確認してください。

連鎖退職とは?なぜ「ドミノ倒し」が起きるのか

連鎖退職とは、ある社員の退職が引き金となって、短期間のうちに複数の社員が連続して退職していく現象を指します。最初の一人が辞めた時点では「たまたま」に見えても、その後に二人、三人と続くと、職場には「この会社は大丈夫なのか」という不安が広がります。退職は伝染しやすく、一度流れができると個人の頑張りでは止めにくいのが特徴です。

背景には、中小企業特有の事情があります。少人数で運営しているため、一人が抜けると残ったメンバーの業務量が一気に増え、その負担増がさらなる退職を呼ぶ——という悪循環が生まれやすいのです。

連鎖退職が起こる主な原因

  • 特定の人に業務が集中していた:辞めた人が担っていた仕事が残った人にのしかかり、負担増から次の退職につながる。
  • もともと不満がたまっていた:給与・評価・人間関係などへの不満が潜在しており、最初の退職が「自分も動いていい」という合図になる。
  • キーパーソンの退職:信頼されていた中堅社員やエース社員が辞めると、その人を慕っていたメンバーが続く。
  • 将来への不安:退職者が増えること自体が「会社の先行きが不安」というシグナルになり、優秀な人ほど早く動く。

連鎖退職を放置するとどうなるか

連鎖退職の怖さは、単に人数が減ることだけではありません。残ったメンバーの業務負担が増えて疲弊し、サービス品質や納期に影響が出ます。採用が追いつかず、慌てて採用すると今度はミスマッチによる早期離職を招き、さらに現場が荒れます。加えて、退職者が多い職場は求人市場でも評判が伝わりやすく、採用そのものが難しくなっていきます。つまり連鎖退職は、放置するほど「人が抜ける→残った人が辞める→採れない」という負のスパイラルに陥るのです。

こうした悪循環は、その場しのぎの対応では断ち切れません。「なぜ採れないのか」「なぜ辞めるのか」を切り分け、採用と定着の両面から仕組みとして立て直すことが必要になります。自社だけで構造を見極めるのが難しい場合は、採用・定着を専門に支援するサービスを活用するのも有効な選択肢です。

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経営者が最初にやるべきこと(止血の手順)

連鎖退職が始まったと感じたら、まずは「これ以上広げない」止血が最優先です。根本対策はその後で構いません。順番を意識して動きます。

1. まず事実を冷静に把握する

誰が、いつ、どんな理由で辞めたのかを整理します。可能であれば退職者に率直な退職理由をヒアリングし、共通項を探します。「給与」「評価」「人間関係」「業務量」など、どこに火種があるのかを特定することが出発点です。感情的に犯人探しをするのではなく、構造的な原因を見極める姿勢が大切です。

2. キーパーソンの離脱を防ぐ

残ってほしい中核メンバーには、できるだけ早く個別に話をします。退職を引き止めるための小手先の説得ではなく、不満や不安を率直に聞き、改善する意思と具体策を伝えることが重要です。キーパーソンが動くと連鎖が加速するため、ここは優先度を高くします。

3. 残るメンバーの不安をケアする

退職が続くと、残ったメンバーは「次は自分の番かも」「この会社は大丈夫か」と不安になります。経営者が現状をどう受け止め、何を変えようとしているのかを誠実に共有するだけでも、動揺は和らぎます。沈黙は不安を増幅させるため、情報を出し惜しみしないことがポイントです。

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根本対策:連鎖退職を繰り返さない組織づくり

止血ができたら、同じことを繰り返さないための仕組みづくりに移ります。特効薬はありませんが、次の観点が土台になります。

  • 業務の属人化を解消する:一人に集中している業務を分散・マニュアル化し、「誰かが抜けても回る」状態に近づける。
  • 評価と処遇の納得感を高める:頑張りが報われない状態は退職の温床。評価基準を明確にし、可能な範囲で処遇に反映する。
  • 入社後の定着支援(オンボーディング)を整える:新しく採った人が早期に辞めないよう、最初の数か月のフォロー体制をつくる。
  • 経営者と現場の対話を定例化する:不満が小さいうちに拾える仕組みがあれば、退職の連鎖は起きにくくなる。

採用と定着は本来セットで考えるべきテーマです。辞める原因を放置したまま採用だけ強化しても、入れた人がまた辞めてしまいます。「採れない・辞める」の両輪を同時に立て直す視点を持つことが、連鎖退職からの脱却につながります。

よくある質問(FAQ)

退職代行を使われて突然辞められた場合はどうすればいいですか?

まずは事務手続き(貸与品の返却、私物の扱い、離職票など)を淡々と進めます。感情的な対応はトラブルのもとです。そのうえで、なぜ本人が直接言えない状況になっていたのかを振り返り、職場の問題として捉え直すことが再発防止につながります。手続きの詳細は執筆時点の制度を前提にしているため、不明点は社労士など専門家に確認すると安心です。

引き止めは効果がありますか?

条件の上積みだけで引き止めても、根本の不満が残っていれば再び辞意につながりやすく、効果は限定的です。本人の不満・不安に向き合い、改善の意思と具体策を示すことが、引き止めよりも結果的に定着につながります。

何人辞めたら「連鎖退職」と考えるべきですか?

明確な人数の定義はありません。人数の多寡よりも「退職が退職を呼ぶ流れができているか」が重要です。立て続けに複数人が辞意を示した、キーパーソンが抜けた、といったサインが出たら、早めに止血に動くことをおすすめします。

まとめ

連鎖退職は、一人の退職をきっかけに退職が伝染し、中小企業の経営を揺るがす深刻な現象です。始まってしまったら、まずは事実把握・キーパーソンの離脱防止・残るメンバーの不安ケアという止血を優先し、そのうえで業務の属人化解消や評価・定着支援といった根本対策に進みます。大切なのは、採用と定着を切り離さず、両輪で組織を立て直す視点です。自社だけで原因の切り分けが難しいときは、採用・定着の専門家に相談しながら、再現性のある仕組みづくりを進めていきましょう。

中野裕哲 採用定着関係紹介画像

この記事を監修した人


中野裕哲

中野裕哲/Nakano Hiroaki

起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、サーティファイドファイナンシャルプランナー・CFP(R)、1 級FP技能士。大正大学招聘教授(起業論、ゼミ等)

V-Spiritsグループ創業者。税理士法人V-Spiritsグループ代表。東京池袋を本拠に全国の起業家・経営者さんを応援!「ベストセラー起業本」の著者。著書20冊、累計25万部超。経済産業省後援「DREAMGATE」で12年連続相談件数日本一。

【まるごと起業支援(R)・経営支援】
起業コンサル(事業計画+融資+補助金+会社設立支援)+起業後の総合サポート(経理 税務 事業計画書 融資 補助金 助成金 人事 給与計算 社会保険 法務 許認可 公庫連携 認定支援機関)など

【略歴】
経営者である父の元に生まれ、幼き頃より経営者になることを目標として過ごす。バブル崩壊の影響を受け経営が悪化。一家離散に近い貧婚状況を経験し、「経営者の支援」をライフワークとしたいと決意。それに役立ちそうな各種資格を学生時代を中心に取得。

同じく経営者であるメンターの伯父より、単に書類や手続を追求する専門家としてではなく、視野を広げ「ビジネス」の現場での経験を元に経営者の「経営そのもの」を支援できるような専門家を目指すようアドバイスを受け、社会人生活をスタート。

大手、中小、ベンチャー企業、会計事務所等で営業、経理、財務、人事、総務、管理職、経営陣等、ビジネスの「現場」での充実した修行の日々を送ったあと、2007年に独立。

ほかにはない支援スタイルが起業家・経営者に受け入れられ、数々の実績を残しています。V-Spiritsグループは、起業支援・会社設立・創業融資・補助金助成金・税務会計・人事労務・許認可・経営顧問をワンストップで支援する、起業家・中小企業向けの専門家グループです。

  • 経済産業省「DREAM GATE」にて、面談相談12年連続日本一
  • 補助金・助成金支援実績600件超
  • ベストセラー含む起業・経営本20冊を出版(累計25万部超)
  • 無料相談件数は全国から累計3,000件超

この記事を書いた人

坂井 優介(Yusuke Sakai)

起業コンサルタント® / 採用定着士 / 行政書士法人V-Spirits 補助者

1988年東京都生まれ。転勤族の父の影響で幼少期を愛知・長野・岩手・埼玉で過ごす。転入するたびに方言や文化の違いをからかわれつつも、1週間もあれば現地に溶け込む適応力を身につける。

大学在学中に公認会計士試験にチャレンジするも挫折し、アルバイト先だった埼玉の大手学習塾に就職。塾業界特有の過酷な労働環境の中でも10年間勤務を続けるが、成果を上げても給与が変わらない状況に限界を感じ、在職中に会計士試験に再挑戦。再び挫折するも、学んだ会計知識を活かせる職場を求めて転職活動を開始。2021年にV-Spiritsグループに参画し、2022年よりV-Spirits総合研究所の常務取締役に就任。

現在は、中小企業の経営者向けに補助金・助成金の支援から採用定着の仕組みづくりまで幅広く担当。「制度を使いこなす中小企業を増やす」をテーマに、現場に寄り添ったサポートを行っている。

役職:V-Spirits総合研究所株式会社 常務取締役 / 税理士法人V-Spirits 業務部長 / 社会保険労務士法人V-Spirits 業務部長
担当業務:経済産業省系補助金支援・厚生労働省系助成金支援・マーケティング・人事労務・採用定着支援

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