
経営者なら知っておきたい!いまさら聞けない「マイクロマネジメント」って何?
「部下が思うように動いてくれない」「任せると不安だから全部チェックしてしまう」
経営やマネジメントの現場で、こんな悩みを抱える方は少なくありません。
しかし、その解決策としてやってしまいがちなのがマイクロマネジメントです。
実はこれ、短期的には安心感を得られても、長期的には組織の成長を阻害する危険な管理スタイルなのです。
1. マイクロマネジメントとは?
ズバリ言います。
マイクロマネジメントとは、部下やチームの業務に対して過剰に細かく指示・監督・干渉する管理手法のことです。
例えば…
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細かい作業手順ややり方まで逐一指示する
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メールや資料の文言レベルまでチェックして修正指示
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報告や確認の頻度が異常に多い
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自分のやり方と違うとすぐ口出しする
要は「全部自分の思い通りにやってほしい」という管理です。
2. なぜマイクロマネジメントは起こるのか?
原因は主に3つです。
① 信頼不足
部下のスキルや判断力を信用できず、「任せられない」という心理が働きます。
② 過去の成功体験
自分のやり方で成果を上げてきたため、「これが正解」と思い込み、他の方法を受け入れにくくなります。
③ プレッシャーや不安
業績への責任や失敗への恐怖から、細部までコントロールしたくなる傾向があります。
3. マイクロマネジメントの弊害
① 部下の主体性を奪う
細かく管理されると、部下は自ら考え行動する力を失い、指示待ち人材になってしまいます。
② 成長スピードの低下
試行錯誤や失敗から学ぶ機会が減り、人材育成が進まなくなります。
③ 離職率の上昇
過剰な干渉はストレスの原因となり、優秀な人材ほど離れていきます。
④ 経営者の負担増
細部に時間を取られ、本来経営者がすべき戦略立案や意思決定に時間が割けなくなります。
4. マイクロマネジメントを防ぐ方法
ステップ① 成果基準で評価する
手順ややり方ではなく、最終的な成果やアウトプットで判断します。
ステップ② 権限委譲
意思決定の範囲を明確にし、現場に任せられる部分は任せます。
ステップ③ 情報共有の仕組み化
進捗や課題を共有できるツールや定例ミーティングを活用し、過度な口出しを減らします。
ステップ④ 失敗を許容する文化づくり
失敗は改善のチャンスと捉え、責めるのではなく学びにつなげます。
5. 成功事例
A社(広告代理店)
以前は代表が全案件の校正をしていましたが、チェックリストを作成して権限を部長に委譲。
結果、代表の業務時間が月30時間減り、部長の判断力が向上。
B社(製造業)
生産工程の細部まで口出ししていた工場長が、週1回の進捗会議方式に変更。
現場から改善提案が増え、生産効率が15%向上。
6. マイクロマネジメントと必要な管理の違い
重要なのは、放任とマイクロマネジメントの間を取ることです。
必要な情報共有や基準設定は行いながら、細部の方法は現場に任せます。
経営者や管理職の役割は「方向を示し、必要な支援をすること」であって、「すべてを操作すること」ではありません。
7. 今日からできるチェックリスト
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部下の仕事を手順レベルまで指示していないか?
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報告や確認を必要以上に求めていないか?
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成果よりもやり方を重視していないか?
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任せられる範囲を明確にしているか?
まとめ
マイクロマネジメントは、経営者にとって「安心材料」のように見えて、実は組織の成長を止めるブレーキです。
信頼と権限委譲をベースに、現場が自ら考え動ける環境を作ることこそが、会社を成長させる近道です。
経営者は「すべてを自分で動かす人」から「人を動かす環境を作る人」へ。
今日から、マイクロマネジメントからの脱却を意識してみましょう。
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この記事を書いた人
中野裕哲/Nakano Hiroaki
起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、サーティファイドファイナンシャルプランナー・CFP(R)、1 級FP技能士。大正大学招聘教授(起業論、ゼミ等)
V-Spiritsグループ創業者。税理士法人V-Spiritsグループ代表。東京池袋を本拠に全国の起業家・経営者さんを応援!「ベストセラー起業本」の著者。著書20冊、累計25万部超。経済産業省後援「DREAMGATE」で12年連続相談件数日本一。
【まるごと起業支援(R)・経営支援】
起業コンサル(事業計画+融資+補助金+会社設立支援)+起業後の総合サポート(経理 税務 事業計画書 融資 補助金 助成金 人事 給与計算 社会保険 法務 許認可 公庫連携 認定支援機関)など
【略歴】
経営者である父の元に生まれ、幼き頃より経営者になることを目標として過ごす。バブル崩壊の影響を受け経営が悪化。一家離散に近い貧困状況を経験し、「経営者の支援」をライフワークとしたいと決意。それに役立ちそうな各種資格を学生時代を中心に取得。同じく経営者であるメンターの伯父より、単に書類や手続を追求する専門家としてではなく、視野を広げ「ビジネス」の現場での経験を元に経営者の「経営そのもの」を支援できるような専門家を目指すようアドバイスを受け、社会人生活をスタート。大手、中小、ベンチャー企業、会計事務所等で営業、経理、財務、人事、総務、管理職、経営陣等、ビジネスの「現場」での充実した修行の日々を送ったあと、2007年に独立。ほかにはない支援スタイルが起業家・経営者に受け入れられ、経済産業省「DREAM GATE」にて、面談相談12年連続日本一。補助金・助成金支援実績600件超。ベストセラー含む起業・経営本20冊を出版。累計25万部超。無料相談件数は全国から累計3000件を超す。
この記事を監修した人
多胡藤夫/Fujio Tago
元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。