
人手不足を解消した中小企業の成功事例5選:何を変えたのか
「求人を出しても応募が来ない」「採用してもすぐ辞める」——人手不足に悩む中小企業の経営者にとって、これは日々の経営を圧迫する切実な問題です。一方で、同じ環境にありながら人手不足を着実に解消している会社も存在します。両者を分けるのは、特別な予算ではなく「どこに手を打ったか」という打ち手の違いです。本記事では、人手不足を解消した中小企業に共通する改善パターンを5つの事例として整理し、自社に取り入れるための進め方をわかりやすく解説します。なお、雇用関連の制度は変更されやすいため、助成金などを活用する際は執筆時点の最新情報を確認してください。
なぜ中小企業の人手不足は深刻化しているのか
少子高齢化による労働人口の減少に加え、大企業の採用意欲の高まりや賃金水準の上昇が続き、中小企業は「採用市場で選ばれにくい」構造に置かれています。さらに、入社後の受け入れ体制が整っていないために早期離職が起こり、採用と退職を繰り返す悪循環に陥っているケースも少なくありません。人手不足は「採用ができない問題」だけでなく、「定着しない問題」と一体で考える必要があります。
人手不足を解消した中小企業の成功事例5選
ここでは、実際に状況を改善した中小企業によく見られる5つの代表的なパターンを紹介します。いずれも大きな投資ではなく、現状の見直しから始められる打ち手です。
事例1:求人原稿を見直して応募数を回復した(飲食業)
応募が来ない原因の多くは、求人原稿が「条件の羅列」にとどまっていることにあります。あるケースでは、仕事の魅力や働く人の声、入社後の成長イメージを具体的に盛り込み、ターゲットとなる求職者像を一人に絞って書き直したところ、応募数が回復しました。給与を上げなくても、見せ方を変えるだけで反応が変わることは珍しくありません。
事例2:応募への初動対応をスピード化して採用決定率を上げた(小売業)
求職者は複数の会社に同時に応募しています。応募から連絡までに数日かかると、その間に他社で決まってしまいます。応募があったら24時間以内に連絡する体制に変えただけで、面接設定率と採用決定率が改善したケースがあります。コストをかけずに今日から取り組める典型的な打ち手です。
事例3:受け入れ体制(オンボーディング)を整えて早期離職を防いだ(介護業)
「採用できても3か月以内に辞める」という悩みは、入社後の受け入れ体制の不備が原因であることが多いものです。教育担当を決め、最初の数か月の育成スケジュールを明確にし、定期的な面談を設けたことで、早期離職が大きく減った事例があります。定着は採用と同じくらい重要な経営課題です。
事例4:省力化投資で「人を増やさず回る」体制をつくった(製造業)
採用が難しいなら、業務そのものを減らすという発想も有効です。自動化設備やデジタルツールを導入して一人あたりの作業負担を減らし、少ない人数でも回る体制に切り替えたケースがあります。省力化投資には補助金が活用できる場合もあり、採用と省力化を両輪で進めることが人手不足解消の近道になります。
事例5:評価・処遇を見直して定着率を改善した(建設業)
「頑張っても評価されない」と感じると、社員は辞めていきます。評価基準を明確にし、賃上げの原資を確保したうえで処遇に反映したことで、ベテラン社員の流出が止まった事例があります。賃上げには助成金を活用できる場面もあり、原資づくりとあわせて検討する価値があります。
成功事例に共通する「何を変えたのか」
5つの事例に共通するのは、次の3つの視点です。
- 採用の「入口」を変える:求人原稿の見せ方や応募後の初動対応など、求職者と最初に接する部分を改善する。
- 定着の「受け皿」を変える:入社後の教育・面談・評価の仕組みを整え、辞めない環境をつくる。
- 仕事の「量」を変える:省力化投資で業務量そのものを減らし、少人数でも回る体制にする。
重要なのは、これらを単発の施策ではなく、つながった「仕組み」として回すことです。求人改善で人を集めても受け皿がなければ辞めてしまい、逆に定着策だけでは入口が細いままです。採用から定着までを一連の流れとして設計することが、人手不足解消の本質と言えます。こうした仕組みづくりを、自社だけで進めるのが難しい場合は、専門家の伴走を活用するのも有効な選択肢です。
採用・定着の戦略と仕組みづくりをまるごとサポート
V-Spiritsの採用定着支援サービスでは、給与・条件の競合リサーチ、求人原稿の改善、応募後24時間以内の初動対応など、採用がうまくいく会社が実践している型を全国2,000社超の支援実績をもとに採用定着士が伴走で組み立てます。「なぜ採れないのか」「なぜ辞めるのか」を現場目線で診断し、5ステップで仕組み化します。
自社で取り組むときの進め方
いきなりすべてを変える必要はありません。まずは「採用の入口」「定着の受け皿」「仕事の量」のうち、自社で最も課題が大きい部分を一つ選び、小さく改善することから始めましょう。求人原稿の見直しや初動対応の改善はコストがかからず、すぐに着手できます。そのうえで、教育体制や評価制度、省力化投資といった中長期の施策へと広げていくと、無理なく仕組みを定着させられます。賃上げや採用に使える助成金、省力化投資に使える補助金もあわせて検討すると、資金面の負担を抑えながら改善を進められます。
まとめ
人手不足を解消した中小企業は、特別なことをしているわけではありません。採用の入口を整え、定着の受け皿をつくり、仕事の量そのものを見直す——この3つを「仕組み」としてつなげて回しているのが共通点です。まずは自社の最大の課題から一歩を踏み出し、必要に応じて助成金・補助金や専門家の支援を組み合わせることで、人手不足の悪循環から抜け出すことができます。

この記事を監修した人

中野裕哲/Nakano Hiroaki
起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、サーティファイドファイナンシャルプランナー・CFP(R)、1 級FP技能士。大正大学招聘教授(起業論、ゼミ等)
V-Spiritsグループ創業者。税理士法人V-Spiritsグループ代表。東京池袋を本拠に全国の起業家・経営者さんを応援!「ベストセラー起業本」の著者。著書20冊、累計25万部超。経済産業省後援「DREAMGATE」で12年連続相談件数日本一。
【まるごと起業支援(R)・経営支援】
起業コンサル(事業計画+融資+補助金+会社設立支援)+起業後の総合サポート(経理 税務 事業計画書 融資 補助金 助成金 人事 給与計算 社会保険 法務 許認可 公庫連携 認定支援機関)など
【略歴】
経営者である父の元に生まれ、幼き頃より経営者になることを目標として過ごす。バブル崩壊の影響を受け経営が悪化。一家離散に近い貧婚状況を経験し、「経営者の支援」をライフワークとしたいと決意。それに役立ちそうな各種資格を学生時代を中心に取得。
同じく経営者であるメンターの伯父より、単に書類や手続を追求する専門家としてではなく、視野を広げ「ビジネス」の現場での経験を元に経営者の「経営そのもの」を支援できるような専門家を目指すようアドバイスを受け、社会人生活をスタート。
大手、中小、ベンチャー企業、会計事務所等で営業、経理、財務、人事、総務、管理職、経営陣等、ビジネスの「現場」での充実した修行の日々を送ったあと、2007年に独立。
ほかにはない支援スタイルが起業家・経営者に受け入れられ、数々の実績を残しています。V-Spiritsグループは、起業支援・会社設立・創業融資・補助金助成金・税務会計・人事労務・許認可・経営顧問をワンストップで支援する、起業家・中小企業向けの専門家グループです。
- 経済産業省「DREAM GATE」にて、面談相談12年連続日本一
- 補助金・助成金支援実績600件超
- ベストセラー含む起業・経営本20冊を出版(累計25万部超)
- 無料相談件数は全国から累計3,000件超
この記事を書いた人
坂井 優介(Yusuke Sakai)
起業コンサルタント® / 採用定着士 / 行政書士法人V-Spirits 補助者
1988年東京都生まれ。転勤族の父の影響で幼少期を愛知・長野・岩手・埼玉で過ごす。転入するたびに方言や文化の違いをからかわれつつも、1週間もあれば現地に溶け込む適応力を身につける。
大学在学中に公認会計士試験にチャレンジするも挫折し、アルバイト先だった埼玉の大手学習塾に就職。塾業界特有の過酷な労働環境の中でも10年間勤務を続けるが、成果を上げても給与が変わらない状況に限界を感じ、在職中に会計士試験に再挑戦。再び挫折するも、学んだ会計知識を活かせる職場を求めて転職活動を開始。2021年にV-Spiritsグループに参画し、2022年よりV-Spirits総合研究所の常務取締役に就任。
現在は、中小企業の経営者向けに補助金・助成金の支援から採用定着の仕組みづくりまで幅広く担当。「制度を使いこなす中小企業を増やす」をテーマに、現場に寄り添ったサポートを行っている。
役職:V-Spirits総合研究所株式会社 常務取締役 / 税理士法人V-Spirits 業務部長 / 社会保険労務士法人V-Spirits 業務部長
担当業務:経済産業省系補助金支援・厚生労働省系助成金支援・マーケティング・人事労務・採用定着支援




























