
ファイバーレーザー溶接機の補助金は投資額の数字で選ぶ
板金や製缶、金属加工の現場では、溶接工の高齢化や採用の難しさから、外注に出していた溶接や手作業の溶接をレーザー溶接機に置き換えて内製化したいという相談が増えています。ただしファイバーレーザー溶接機は1台1,000万円規模の投資になることが多く、まず考えるべきは「対象になるかどうか」ではなく「自社の見積額がどの制度の枠に収まるか」です。補助金には制度ごとに補助下限・規模別の上限・補助率という3つの数字があり、この数字に自社の見積額を当てはめると、選ぶべき制度はかなり絞り込めます。
投資額のレンジで最初に絞り込む
金属加工の設備投資で候補になる制度は主に2つです。新製品や新サービスの開発を伴う投資であれば、新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 革新的新製品・サービス枠が候補になります。既存の溶接工程を省力化・自動化する投資であれば、中小企業省力化投資補助金(一般型)が候補になります。どちらも金額の下限と上限が決まっているため、見積額がその範囲に収まっているかを先に確認します。範囲から外れている場合は、制度そのものを見直す必要があります。

💬 執筆者の三浦から一言
審査する側にいた経験から言うと、制度は名前で選ぶより先に投資額と目的で絞り込むほうが早いです。上限だけでなく下限もあり、革新的新製品・サービス枠は100万円に届かない計画だとこの枠には乗りません。まず見積額を先に出し、それから枠に当てはめる順番で考えると迷いが減ります。
革新的新製品・サービス枠の数字と対象外になる境目
新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 革新的新製品・サービス枠の補助上限は、従業員規模によって1〜5人は750万円、6〜20人は1,000万円、21〜50人は1,500万円、51人以上は2,500万円です。給与支給総額の年平均成長率が6.0%以上、事業場内最低賃金が地域別最低賃金より50円以上高い水準という大幅賃上げ特例を満たすと、それぞれ850万円、1,250万円、2,500万円、最大3,500万円まで引き上がります。補助下限は100万円で、これより小さい投資はこの枠には乗りません。補助率は中小企業者が1/2、小規模企業や小規模事業者、再生事業者は2/3です。この枠で見落とされやすいのは、単なる設備導入では対象にならない点です。制度の対象は新製品や新サービスの開発を伴う投資に限られていて、既存製品の生産プロセス改善だけを目的にした投資は対象外になります。溶接機の導入理由が「工程を短縮したい」「内製化して外注費を減らしたい」だけであれば、新製品開発の要件を満たすかどうかを事業計画の中で明確にする必要があります。
省力化投資補助金(一般型)の数字とオーダーメイド性の判定
中小企業省力化投資補助金(一般型)の補助上限は1億円です。対象になる設備は単価50万円(税抜)以上の機械装置等を最低1つ含む必要がありますが、この要件を満たすだけでは対象になりません。求められているのは「オーダーメイド性のある設備」で、汎用設備を単体で導入するだけの事業は対象外です。省力化に資する複数の設備を組み合わせることで高い効果や付加価値を生み出す場合、あるいは自社の導入環境に応じて周辺機器や構成する機器の数、搭載する機能が変わる場合は、汎用設備であってもオーダーメイド設備とみなされ対象になります。ファイバーレーザー溶接機は、集じん設備や搬送設備など周辺機器と組み合わせて自社の工程に合わせて構成することが多いため、この判定基準に当てはめて事業計画を組み立てる余地があります。単体の機械だけを購入する計画では対象外になりやすい点は理解しておく必要があります。このほか、労働生産性を年平均4.0%以上伸ばす計画が求められ、みなし大企業に該当する場合や、直近3年の課税所得の平均が15億円を超える場合、従業員が0名の場合、事業計画を外部任せにして自社の主体性が確認できない場合は対象外になりやすいとされています。
カタログ注文型に触れるときの注意
中小企業省力化投資補助金(カタログ注文型)という枠もあります。あらかじめ登録された機器をカタログから選んで導入する制度で、補助上限は従業員規模によって段階的に設定されています。上限額は改定される時期があるため、この記事では具体的な金額を示さず、申請の直前に最新の公募要領で確認することを前提にしてください。賃上げの目標は労働生産性プラス3.0%で、一般型と違い、未達の場合は返還ではなく減額という扱いになります。ファイバーレーザー溶接機がカタログに登録された機種として扱われているかどうかで、一般型とどちらを選ぶかが変わります。
賃上げ要件と返還・減額リスクを見積もりに織り込む
制度を選ぶときは、上限や下限だけでなく、賃上げ要件を満たせなかったときのリスクの重さも数字として見ておく必要があります。新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 革新的新製品・サービス枠は、給与支給総額の年平均成長率3.5%以上という基本要件が未達だと返還の対象になります。中小企業省力化投資補助金(一般型)も労働生産性4.0%以上の目標が未達だと返還が発生し得ます。一方、中小企業省力化投資補助金(カタログ注文型)は労働生産性プラス3.0%の目標が未達でも扱いは減額です。同じ賃上げ・生産性の未達でも制度によって重さが違うため、見積額だけでなく事業計画の達成可能性まで含めて数字を当てはめる作業が、投資額の大きい溶接機導入ではそのまま計画の安全性につながります。
自社の見積額をどう当てはめるか
実際の手順は次のとおりです。まず溶接機本体と周辺設備(集じん設備や搬送設備、電気工事など)を含めた見積総額を確定します。次にその金額が100万円以上かどうかで革新的新製品・新サービス枠の下限を満たすかを確認し、従業員規模から求められる上限と照らします。あわせて、投資の目的が新製品・新サービスの開発なのか、既存工程の省力化なのかを整理し、前者なら革新的新製品・新サービス枠、後者ならオーダーメイド性の要件を満たせるかを確認したうえで中小企業省力化投資補助金(一般型)を検討します。金額が小さく、カタログに登録された機種で導入できる場合はカタログ注文型も選択肢になりますが、上限額は最新の公募要領で確認します。最後に、それぞれの賃上げ・生産性要件を自社の事業計画で達成できる見込みがあるかを確認し、達成できなければ返還や減額のリスクを織り込んで意思決定します。
見積書を作る段階では、機械装置そのものの価格だけでなく、集じん設備や搬送設備、電気工事といった周辺費目も対象経費に含められるかを事業者側で仕分けておくと、下限・上限の判定がぶれません。革新的新製品・サービス枠を検討する場合は、従業員数が1〜5人なら750万円、6〜20人なら1,000万円、21〜50人なら1,500万円、51人以上なら2,500万円という上限の中で、自社の見積額がどの区分に収まるかをまず当てはめます。大幅賃上げ特例の水準まで見込めるなら、それぞれ850万円、1,250万円、2,500万円、最大3,500万円までの上限で再計算します。省力化投資補助金(一般型)を検討する場合は、上限1億円という枠の広さよりも先に、単価50万円以上の設備を軸にした複数設備の組み合わせでオーダーメイド性を示せるかどうかで判断が分かれます。この判断は事業計画の書き方次第で変わるため、見積額の当てはめと同時に、周辺機器の構成や導入環境ごとの違いを計画書に落とし込めるかも確認しておきます。
【無料相談のご案内】
弊社では、補助金専門行政書士法人V-Spiritsが補助金支援を行っております。元補助金審査員の三浦を中心とした各種専門家チームが全面的にサポートいたします。このケースは補助金の対象になるのか?といった疑問に対して適切なアドバイスを無料にて行っております。無料相談も行っているので、ぜひいちどご相談ください。お問い合わせお待ちしております!

この記事を書いた人
三浦高/Takashi Miura
元創業補助金(経済産業省系補助金)審査員・事務局員
中小企業診断士、起業コンサルタント®、
1級販売士、宅地建物取引主任者、
融資・資金調達コンサルタント
行政書士法人V-Spirits 補助者
産業能率大学 兼任教員
2024年現在、各種補助金の累計支援件数は300件を超える。
融資申請のノウハウも蓄積し、さらに磨きを掛けるべく日々事業計画書に向き合っている。


この記事を監修した人
中野裕哲/Nakano Hiroaki
税理士法人V-Spiritsグループ代表/税理士/行政書士/特定社会保険労務士/採用定着士/ファイナンシャルプランナー/起業コンサルタント/経営コンサルタント/大正大学招聘教授
税理士法人V-Spiritsグループ代表の中野裕哲は、中小企業経営者のために、税務・会計だけでなく、採用、人事、資金繰り、融資、補助金、助成金、営業、Webマーケティング、売上導線設計まで横断的に支援する実戦型経営税理士です。
経営の悩みは、突き詰めると「人・金・売上」に集約されます。中野裕哲は、大企業人事部、人材紹介会社の採用エージェント、中小企業の財務責任者、大手不動産会社での営業、出版・Web制作による集客導線構築など、幅広い実務経験をもとに、経営者の意思決定を支援します。
【対応領域】
税理士顧問、社労士顧問、補助金支援、助成金支援、資金調達支援、採用力診断、売上導線診断、経営参謀顧問。税務・会計・決算・節税に加えて、経営分析、労務管理、社会保険、助成金、採用体制づくり、融資、補助金、事業計画、営業戦略、Webマーケティング、出版、メディア活用まで一体的に相談できます。
中野裕哲は、家業の倒産危機からの壮絶な貧乏体験を原点に、お金で苦しむ経営者をひとりにしないことを掲げています。資金繰り、採用、売上づくりの壁に対して、経営者目線で伴走します。
【主な実績】
- 起業支援・経営支援の豊富な実績
- 起業相談件数3,000件以上
- 資金調達支援1,000件以上
- 大企業Webサイト多数監修
- 商業出版著書監修約32冊(累計30万部超)
V-Spiritsグループでは、融資・補助金・金融機関対応に詳しい社内役員チームも伴走します。元経済産業省系補助金審査員・事務局員、元日本政策金融公庫支店長、元信用金庫融資担当営業などの専門家が、補助金申請、事業計画、資金繰り、金融機関対応を実務面から支援します。
税理士顧問、社労士顧問、融資、補助金、助成金、採用、営業、マーケティングまで、経営者が本当に悩む領域をワンストップで相談できます。V-Spiritsグループは、起業支援・会社設立・創業融資・補助金助成金・税務会計・人事労務・許認可・経営顧問をワンストップで支援する、起業家・中小企業向けの専門家グループです。




























