
ファクタリングは資金繰り改善に向いている?個人事業主の判断基準
ホームページ制作やシステム開発を手がける個人事業主の方から、入金までの期間の長さに関するご相談をよくいただきます。今回はこんな質問をいただきました。
「ホームページやシステムを作る仕事をしていますが、入金までの期間が長く資金繰りが苦しいです。ファクタリングで早く現金化できないか考えています。」

この記事を書いた人
小峰精公/Kiyotaka Komine
元朝日信用金庫 法人営業
資金繰り解決コンサルタント
V-Spirits総合研究所株式会社 常務取締役
大学卒業後、朝日信用金庫に入庫。朝日信用金庫での経験が原点となり、「銀行融資取引」や「資金繰り」の本質を企業へ伝えていくことがミッションだと確信する。
日本の99%は中小零細企業で成り立っている現状を痛感し、1社でも多くの企業の「資金繰り」の課題を解決していくことに専念する。
クライアント様がより良い商品やサービスを提供することができる環境づくりの一助となれるよう全身全霊を尽くす。
私は朝日信用金庫で法人営業を担当し、長年、融資を出す側の立場で中小事業者の資金繰りを見てきました。ホームページ制作やシステム開発のお仕事は、検収が完了してから請求書を出し、末日締め翌月末払いといった形で入金されるまでに1か月以上かかる契約が珍しくありません。納品した時点ではすでに作業は終わっているのに、手元の現金はまだ増えていない、という状態が続きやすい業種だと感じています。
ファクタリングは、まだ入金されていない請求書(売掛債権)を業者に買い取ってもらい、期日より先に現金を受け取る仕組みです。入金待ちの請求書がそのまま現金になるので、急な支払いに追われている場面では、たしかに早さという点で頼りになります。審査のスピードが速いサービスが多く、融資のように決算書を複数期分じっくり見られるわけではないため、直近の業績が苦しい時期でも利用しやすいという特徴があります。
ただ、ここで必ず押さえておいていただきたいのが、手数料の重さです。ファクタリングの手数料は、請求書の金額に対して差し引かれる形で設定されますが、その対象期間は数週間から数か月程度と短いことがほとんどです。たとえば請求書の金額が100万円で手数料が3万円だとしても、入金までの期間がもともと1か月程度の取引であれば、その3万円という負担を年率に置き換えると、見た目の数字よりもかなり重い水準になります。繰り返し利用すると、受け取れる現金が目減りした状態がずっと続き、資金繰りがむしろ苦しくなってしまうこともあります。私が融資の相談を受けていた頃も、ファクタリングを何度も使った後に、手元のお金がさらに厳しくなって相談に来られた事業者の方を見てきました。
そこで比較していただきたいのが、融資という選択肢です。創業期向けの公的な融資制度を例に挙げると、2026年9月1日現在、無担保かつ税務申告を2期終えていない事業者向けの基準利率はおおむね年3.75〜5.35%という水準です(担保を設定できる場合はさらに低い水準になります)。この年単位の利率と、数週間から数か月という短期間に設定されるファクタリングの手数料を同じ土台で比べてみると、資金を確保するコストとしては融資の方が軽く済む可能性が高いと言えます。もちろん融資は申込から実行まで一定の時間がかかりますし審査もありますので、今日明日に現金が必要という場面にそのまま当てはめられるわけではありません。ですが、資金繰りの苦しさが一時的なものではなく、今後も繰り返し起こりそうだと感じているなら、必要になる前の段階で融資の相談に動いておくほうが、結果として手数料の負担を避けられます。
もう一つ、ファクタリングに頼る前に見直していただきたいのが、取引先との支払条件です。検収から請求、入金までの期間が長いことが資金繰りの苦しさの根本原因になっているなら、請求のタイミングを前倒しにしてもらえないか、着手金や中間金を一部もらえないか、支払サイトを短くしてもらえないかといった相談を取引先にしてみる余地があります。システム開発の案件では、契約時に着手金を一部受け取り、検収後に残りを請求する形に変えるだけで、入金までの期間がぐっと短くなることもあります。手数料を払って現金化する前に、入金のタイミングそのものを早められないか、一度取引先と話してみる価値はあります。
どちらが向いているかを判断するときは、次の点を確認してみてください。まず、本当に数日以内に現金が必要なほど差し迫っているのか。次に、その資金不足が今回限りのものか、それとも毎月のように繰り返し起きているか。繰り返し起きているなら、ファクタリングで都度手数料を払うより、融資で資金に余裕を持たせるほうが長い目で見て負担は軽くなります。さらに、取引先との関係上、支払条件の相談を切り出せる余地があるかどうかも確認材料になります。長年の付き合いがある取引先であれば、請求のタイミングについて一度相談してみるだけで状況が変わることもあります。
実際に相談を受ける際は、まず直近数か月分の入金予定と支出予定を並べた資金繰り表を一緒に確認し、資金が不足するタイミングとその金額を具体的に把握するところから始めます。そのうえで、融資で埋める部分と、取引先との支払条件の見直しで解消できる部分を分けて整理すると、手数料の負担を抱えずに済む範囲が見えてきます。急いで現金化できる手段があると分かっているだけで、実際には使わずに乗り切れることも少なくありません。
整理すると、ファクタリングが向いているのは、本当に数日以内に現金が必要で、かつその必要が一時的なものである場面です。一方で、資金繰りの苦しさが構造的なもの、つまり入金サイトの長さが毎回のように負担になっているのであれば、手数料を払い続けるよりも、融資でコストを抑えながら資金を確保する、あるいは取引先との支払条件を見直して資金繰りの構造そのものを変える方が、長い目で見て負担が軽くなることが多いです。どちらが向いているかは、現在の資金繰りの状況や取引先との関係によっても変わってきますので、資金繰り表を一緒に見ながら、融資と支払条件の見直し、両方の選択肢を整理するところから相談していただくのがよいかと思います。
目の前の資金不足は焦りが先に立ちますが、手数料の負担が重い手段を選んでしまうと、後になってさらに苦しくなることもあります。まずは資金繰りの状況を整理し、融資や支払条件の見直しも含めて比較しながら、無理のない形を一緒に考えていきましょう。
【無料相談のご案内】
融資を受けるには何から始めればいいの?といった疑問に対して適切なアドバイスを無料にて行っております。
無料相談も行っているので、ぜひ一度、ご相談ください。お問い合わせお待ちしております!

この記事を書いた人
小峰精公/Kiyotaka Komine
元朝日信用金庫 法人営業
資金繰り解決コンサルタント
V-Spirits総合研究所株式会社 常務取締役
大学卒業後、朝日信用金庫に入庫。朝日信用金庫での経験が原点となり、「銀行融資取引」や「資金繰り」の本質を企業へ伝えていくことがミッションだと確信する。
日本の99%は中小零細企業で成り立っている現状を痛感し、1社でも多くの企業の「資金繰り」の課題を解決していくことに専念する。
クライアント様がより良い商品やサービスを提供することができる環境づくりの一助となれるよう全身全霊を尽くす。

この記事を監修した人
多胡藤夫/Fujio Tago
元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。


この記事を監修した人
中野裕哲/Nakano Hiroaki
税理士法人V-Spiritsグループ代表/税理士/行政書士/特定社会保険労務士/採用定着士/ファイナンシャルプランナー/起業コンサルタント/経営コンサルタント/大正大学招聘教授
税理士法人V-Spiritsグループ代表の中野裕哲は、中小企業経営者のために、税務・会計だけでなく、採用、人事、資金繰り、融資、補助金、助成金、営業、Webマーケティング、売上導線設計まで横断的に支援する実戦型経営税理士です。
経営の悩みは、突き詰めると「人・金・売上」に集約されます。中野裕哲は、大企業人事部、人材紹介会社の採用エージェント、中小企業の財務責任者、大手不動産会社での営業、出版・Web制作による集客導線構築など、幅広い実務経験をもとに、経営者の意思決定を支援します。
【対応領域】
税理士顧問、社労士顧問、補助金支援、助成金支援、資金調達支援、採用力診断、売上導線診断、経営参謀顧問。税務・会計・決算・節税に加えて、経営分析、労務管理、社会保険、助成金、採用体制づくり、融資、補助金、事業計画、営業戦略、Webマーケティング、出版、メディア活用まで一体的に相談できます。
中野裕哲は、家業の倒産危機からの壮絶な貧乏体験を原点に、お金で苦しむ経営者をひとりにしないことを掲げています。資金繰り、採用、売上づくりの壁に対して、経営者目線で伴走します。
【主な実績】
- 起業支援・経営支援の豊富な実績
- 起業相談件数3,000件以上
- 資金調達支援1,000件以上
- 大企業Webサイト多数監修
- 商業出版著書監修約32冊(累計30万部超)
V-Spiritsグループでは、融資・補助金・金融機関対応に詳しい社内役員チームも伴走します。元経済産業省系補助金審査員・事務局員、元日本政策金融公庫支店長、元信用金庫融資担当営業などの専門家が、補助金申請、事業計画、資金繰り、金融機関対応を実務面から支援します。
税理士顧問、社労士顧問、融資、補助金、助成金、採用、営業、マーケティングまで、経営者が本当に悩む領域をワンストップで相談できます。V-Spiritsグループは、起業支援・会社設立・創業融資・補助金助成金・税務会計・人事労務・許認可・経営顧問をワンストップで支援する、起業家・中小企業向けの専門家グループです。





























