
個人事業主のための新規顧客開拓の進め方
個人事業の新規開拓が進まないときの考え方
個人事業として独立した後、こんなご相談をよくいただきます。
「個人事業をしていますが、新しいお客様がなかなか増えません。新規開拓はどう進めればいいでしょうか?」

この記事を書いた人
三浦高/Takashi Miura
元創業補助金(経済産業省系補助金)審査員・事務局員
中小企業診断士、起業コンサルタント®、
1級販売士、宅地建物取引主任者、
融資・資金調達コンサルタント
行政書士法人V-Spirits 補助者
産業能率大学 兼任教員
2024年現在、各種補助金の累計支援件数は300件を超える。
融資申請のノウハウも蓄積し、さらに磨きを掛けるべく日々事業計画書に向き合っている。
中小企業診断士の三浦です。業種を問わず起業相談をお受けする立場から、新規開拓について考え方の順番をお伝えします。
既存のお客様だけで経営が成り立っている間は心に余裕がありますが、その状態がいつまでも続くとは限りません。お客様の事業の都合で取引が終わったり、必要とされる仕事の内容が変わったりすることは、個人事業である以上どうしても避けられません。だからこそ、既存客への対応に追われている時期であっても、新規開拓の手を完全に止めないことが大切です。とはいえ、闇雲に動いても疲れるだけですので、まずは取り組む順番を整理してお話しします。
まずターゲットを絞り込みます
新規開拓が進まないと感じたとき、最初に見直していただきたいのはターゲットの絞り込みです。独立当初は「誰でもお客様になってほしい」という気持ちが強く、サービス内容や発信の言葉を広く曖昧にしてしまいがちです。しかし、相手を広げるほど、実は一人ひとりに刺さる言葉は弱くなります。
どんな業種のお客様に、どんな場面で、どんな悩みを解決しているのか。これを一度、具体的な一人の顔が思い浮かぶくらいまで絞り込んでみてください。例えば「中小企業の経営者」ではなく「従業員5名前後で、経理を自分でやっている製造業の社長」といった粒度です。ターゲットが具体的になると、発信する内容も、既存のお客様に紹介をお願いするときの説明も、ぐっと的を絞りやすくなります。既存客だけでは先細りするのではないかという不安は、多くの個人事業主の方が同じように抱えていますが、ターゲットが曖昧なまま手を広げ続けることが、実は遠回りになっているケースが少なくありません。
ターゲットを絞り込む際は、これまで取引してきたお客様を振り返ってみるのが近道です。満足度が高かった仕事、依頼から成約までがスムーズだった仕事に共通する特徴を洗い出してみると、自分が本来得意としている相手像が見えてきます。ターゲットを絞ると依頼が減るのではと心配される方もいらっしゃいますが、むしろ的が絞られた分だけ発信や紹介の精度が上がり、結果として声がかかりやすくなるというのが実際のところです。
既存客からの紹介を仕組みにします
次に取り組んでいただきたいのが、既存のお客様からの紹介を「お願いしたら出てくるもの」から「自然に生まれる仕組み」に変えることです。多くの個人事業主の方は、紹介を完全にお客様の善意に任せてしまっています。これでは、紹介が発生するかどうかが運次第になってしまいます。
仕組み化というと難しく聞こえますが、実際は次のような積み重ねです。サービスが終わったタイミングで、どんな方にお役に立てそうか具体的にお伝えする。満足度が高かったお客様には、率直に「同じようなお悩みの方がいたらご紹介いただけると助かります」と伝えてみる。紹介してくださったお客様には、必ず感謝の連絡をする。これを毎回欠かさず続けるだけで、紹介の発生頻度は変わってきます。紹介は信頼の橋渡しですから、新しいお客様にとっても安心感があり、成約までのハードルが低いという利点もあります。
紹介をお願いするタイミングも大切です。仕事の満足度が高いうちに伝えるのが基本ですが、だからといってその場で強く迫る必要はありません。「何かお役に立てそうな場面があれば、お気軽にお声がけください」程度の軽い伝え方で十分で、むしろ繰り返し自然に伝え続けることの方が効果があります。紹介を受けた後は、紹介してくれたお客様にも結果を報告するなど、関係が循環する形を意識すると、紹介が一度きりで終わらず続いていきます。
自分の仕事を発信する場を持ちます
三つ目は情報発信です。新規開拓というと、どうしても「誰かに営業をかける」という発想になりがちですが、個人事業の場合はむしろ、こちらから探さなくても見つけてもらえる状態を作る方が効率的です。そのために、自分の仕事の内容や考え方を発信する場を持つことをお勧めしています。
発信する内容は、特別な宣伝文句である必要はありません。日々の仕事の中で気づいたこと、よくある質問への答え、お客様の声(個別の内容が特定されない範囲で)といった、地道な積み重ねで十分です。継続して発信していると、見ている方の中に「この人はこういう分野に詳しい」という認識が蓄積されていきます。すぐに反応が出るものではありませんが、半年、一年という時間軸で見ると、問い合わせのきっかけになっていることが多いものです。発信の手段は一つに絞らず、ご自身が続けやすい形を選んでいただければと思います。
発信を続けるうえで大事なのは、更新の頻度よりも「誰に向けて書いているか」をはっきりさせることです。先ほど絞り込んだターゲットの悩みに直結する内容を選ぶと、発信を見た相手が「自分ごと」として受け取りやすくなります。逆に、幅広い層に向けた一般論ばかりを発信していると、せっかく継続していても印象に残りにくく、問い合わせにつながりにくい傾向があります。
他社・異業種との提携も検討します
四つ目は、他社や異業種との提携です。同じお客様層を相手にしていて、提供しているサービスが競合しない事業者とは、お互いにお客様を紹介し合う関係を作れる可能性があります。例えば、同じ業種のお客様を相手にしていても、提供している内容が異なる事業者同士であれば、片方の仕事が終わったタイミングでもう片方を紹介するという流れが自然に生まれます。
提携先を探すときは、まず普段から付き合いのある事業者の中で、お客様層が重なりそうな相手に声をかけてみるのが現実的です。いきなり正式な契約を結ぶ必要はなく、まずは「お互いのお客様に合いそうな場面があれば紹介し合いましょう」という緩やかな約束から始めて、実際に紹介が発生した段階で関係を深めていけば十分です。
提携のよい点は、紹介と違って相手も積極的に動いてくれることです。お互いのお客様層に合わせて紹介し合う関係ができると、自分一人で新規開拓に動く以上の広がりが生まれます。普段の仕事のつながりの中に、意外と提携できそうな相手がいるものですので、身近な範囲から探してみてください。
一つずつ積み重ねていただければと思います
ターゲットの絞り込み、紹介の仕組み化、情報発信、提携。この四つはそれぞれ独立した取り組みではなく、順番に積み重ねていくことで効果が出やすくなります。ターゲットが絞れていないまま発信や提携を始めても、相手に伝わる言葉が弱くなりますし、紹介をお願いする際の説明もぼやけてしまいます。まずはターゲットを言葉にするところから始め、それができたら紹介のお願いの仕方を整え、発信や提携は無理のない範囲で少しずつ広げていくという進め方が、個人事業の規模感には合っています。
どれも一度にすべてをやる必要はなく、まずは取り組みやすいものから一つずつ積み重ねていただければと思います。ご自身の事業の状況に合わせて優先順位を考えたいという場合は、営業戦略の相談という形でお話を伺うこともできますので、お気軽にご相談ください。
【無料相談のご案内】
弊社では、中小企業診断士・元補助金審査員の三浦を中心とした専門家チームが、業種を問わない幅広い起業・新規事業のご相談に対応しております。何から始めればいいかわからないという段階でも、適切なアドバイスを無料にて行っております。無料相談も行っているので、ぜひ一度ご相談ください。お問い合わせお待ちしております!

この記事を監修した人
三浦高/Takashi Miura
元創業補助金(経済産業省系補助金)審査員・事務局員
中小企業診断士、起業コンサルタント®、
1級販売士、宅地建物取引主任者、
融資・資金調達コンサルタント
行政書士法人V-Spirits 補助者
産業能率大学 兼任教員
2024年現在、各種補助金の累計支援件数は300件を超える。
融資申請のノウハウも蓄積し、さらに磨きを掛けるべく日々事業計画書に向き合っている。




























