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コラム

旅館・宿泊業の新規事業に補助金は使える?新事業進出枠の判断基準

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旅館・宿泊業が新事業に進出するとき、補助金は使えるか

結論:宿泊業の延長では使いにくく、別事業への進出が条件になる

旅館・宿泊業の経営者の中には、既存の宿泊事業の延長で新しいサービスを始めようとする際に、新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 新事業進出枠を検討する方がいます。しかし、この補助金は既存事業とは異なる新市場・高付加価値事業への進出を支援する枠であり、宿泊業内でのサービス拡充、たとえば客室のグレードアップや宿泊プランの追加といった計画は、対象として認められにくい傾向があります。新事業進出枠が使いやすいのは、宿泊業とは異なる飲食店・物販・体験プログラムといった、宿泊以外の事業に進出する計画です。

経営者としては、既存の宿泊事業で培った設備や人員をそのまま活かしたいという発想から、宿泊業の延長で企画を組み立てたくなるのは自然なことです。しかし、この補助金が重視しているのは「既存事業の売上の延長線上にない、新しい市場への進出」かどうかという点であり、設備や人員の活用方法そのものではありません。計画を立てる前に、まずこの枠の性質を理解しておくことが遠回りを避けるポイントになります。本記事では、新事業進出枠が使える計画かどうかを判断する目安と、建物費を使う際の注意点を整理します。

判断の目安①:新規性は「宿泊以外の事業」かどうかで見る

新事業進出枠の対象になるには、新たに手がける事業が自社にとって新規性のある製品・サービスであり、かつその事業が対象とする市場が自社にとって新しい市場である必要があります。ここで言う新しい市場とは、既存事業では対象にしていなかったニーズや属性、法人・個人、業種、行動特性などを持つ顧客層を指します。

旅館・宿泊業に当てはめると、既存の宿泊プランの種類を増やしたり、客室の一部をグレードアップしたりする計画は、対象とする市場が既存事業と同一とみなされやすく、新事業進出として説明しにくい可能性があります。既存の宿泊客に向けた単純な上乗せのサービスは、需要が新サービスに置き換わるだけとみなされるおそれがあるためです。一方で、宿泊客以外の新しい顧客層に向けて、飲食店や物販、体験プログラムなど宿泊以外の事業を新たに始める計画であれば、新規性のある市場への進出として説明しやすくなります。

たとえば、館内の空きスペースを活用して、宿泊の有無にかかわらず地域住民や日帰り客も利用できる飲食店を新設する、あるいは宿泊客以外にも販売する物販事業を立ち上げるといった計画は、既存事業では対象にしていなかった顧客層に向けた事業として整理しやすくなります。自社の計画が、既存の宿泊客向けサービスの延長なのか、それとも宿泊以外の新しい顧客層を対象にした事業なのか、まず切り分けて確認しておくことが判断の出発点になります。

判断の目安②:新事業の売上高10%・付加価値額15%をどう見込むか

新規性の要件を満たしていても、事業計画の数値面で求められる基準があります。事業計画期間の最終年度において、新たに始める事業の売上高または付加価値額が、申請時点の総売上高の10%、または総付加価値額の15%を占めることが見込まれる必要があります。なお、直近決算の売上高が10億円以上で、かつ新事業部門の売上高が3億円以上の場合は、算定の基準となる売上高の範囲が異なります。

旅館・宿泊業の場合、宿泊事業全体の売上規模に対して、新しく始める事業がどの程度の売上を見込めるかを、事業計画の数値として具体的に示す必要があります。宿泊事業の売上が大きい旅館ほど、新事業側にもそれに比例した売上計画が求められる点は、計画を立てる際に意識しておきたいポイントです。

この基準を満たすには、新事業の立ち上げから事業計画期間の最終年度までの間に、どのくらいの顧客を獲得し、どの程度の売上規模まで育てられるかを、現実的な数値で見積もっておく必要があります。宿泊事業に比べて新事業の規模が小さすぎると、要件を満たせないまま計画が進んでしまうこともあるため、早い段階で売上の見通しを数値に落とし込んでおくことが欠かせません。

💬 無料相談のご案内

中野裕哲
V-Spiritsグループ代表 中野裕哲

弊社は、V-Spiritsグループ代表の中野裕哲を中心に、元補助金審査員の三浦をはじめとした専門家チームが補助金支援を行っております。「このケースは補助金の対象になるのか?」といった疑問にも、無料でお答えしております。お気軽にご相談ください。

建物費の注意点:改修はOKだが転用は一切不可

新事業として飲食店や物販の施設を新設・改修する場合、建物費を使える可能性があります。ただし建物費は単独では計上できず、機械装置費やシステム構築費のいずれかとあわせて使う経費という位置づけです。対象になるのは、専ら補助事業のために使う生産・加工・販売・検査施設や作業場などの建設・改修に要する費用、建物の撤去費、建物に付随する構築物の建設費です。建物を単に購入したり賃貸したりする費用は対象外で、建設・改修を行う際には入札または相見積もりが必要になります。

旅館の空きスペースを飲食店向けに改修する、あるいは物販の作業場を新設するといった計画であれば、この建設・改修費の対象として検討できる可能性があります。一方で、既存の建物をそのまま使って賃借するだけの計画や、建物を購入するだけの計画は、建物費の対象にはなりません。

特に注意したいのが、補助事業で取得した建物を後から不動産賃貸などに転用することは一切認められていない点です。転用した場合は目的外使用とみなされ、残存簿価相当額などを国庫に返納する必要があります。旅館・宿泊業が新事業で建物を新設・改修する際は、この転用禁止の制約を資金計画にあらかじめ織り込んでおく必要があります。なお、補助上限は従業員規模に応じて2,500万円から7,000万円まで(特例適用時は最大9,000万円)、補助下限は750万円、補助率は1/2(地域別最低賃金引上げ特例適用時は2/3)です。

三浦高

💬 執筆者の三浦から一言

新事業進出枠の建物費は、改修が終わった後の使い方まで制約が続く点が見落とされがちです。経営状況が変わって賃貸に転用したくなっても、それは認められていません。建物を使う計画を立てる際は、取得後の使い方まで含めて資金計画を考えておくと安心です。

まとめ:国の枠と自治体補助金では対象のねらいが異なる

新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 新事業進出枠は、宿泊業内のサービス拡充ではなく、宿泊以外の事業への進出を後押しする制度です。自社の計画が新規性のある市場への進出かどうか、新事業の売上高・付加価値額の基準を満たせるかどうか、建物費を使う場合は転用禁止の制約をクリアできるかどうかを、順に確認していくことが判断の出発点になります。

なお、旅館・宿泊業向けには自治体が独自に用意している補助金もありますが、これらは改修・多言語化・省人化など、宿泊業の現状改善を支援するものが多く、対象のねらいが新事業進出枠とは異なります。既存の宿泊事業そのものをてこ入れしたい場合は自治体の補助金を、宿泊以外の新しい事業に進出したい場合は新事業進出枠を、というように、計画の方向性に合わせて検討先を分けて考えると整理しやすくなります。

新規性や売上高の要件をどう満たすか、建物費を含めた事業計画をどう組み立てるかは、個々の計画によって判断が変わる部分も多いため、具体的な申請を検討する段階では、認定支援機関や専門家に計画の内容を確認してもらうことをおすすめします。

【無料相談のご案内】

弊社は、V-Spiritsグループ代表の中野裕哲を中心に、元補助金審査員の三浦をはじめとした各種専門家チームが全面的にサポートいたします。このケースは補助金の対象になるのか?といった疑問に対して適切なアドバイスを無料にて行っております。無料相談も行っているので、ぜひいちどご相談ください。お問い合わせお待ちしております!

フリーダイヤル 0120-335-523
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三浦高

この記事を書いた人

三浦高/Takashi Miura

元創業補助金(経済産業省系補助金)審査員・事務局員
中小企業診断士、起業コンサルタント®、
1級販売士、宅地建物取引主任者、
融資・資金調達コンサルタント
行政書士法人V-Spirits 補助者

産業能率大学 兼任教員
2024年現在、各種補助金の累計支援件数は300件を超える。

融資申請のノウハウも蓄積し、さらに磨きを掛けるべく日々事業計画書に向き合っている。

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中野裕哲

この記事を監修した人

中野裕哲/Nakano Hiroaki

税理士法人V-Spiritsグループ代表/税理士/行政書士/特定社会保険労務士/採用定着士/ファイナンシャルプランナー/起業コンサルタント/経営コンサルタント/大正大学招聘教授

税理士法人V-Spiritsグループ代表の中野裕哲は、中小企業経営者のために、税務・会計だけでなく、採用、人事、資金繰り、融資、補助金、助成金、営業、Webマーケティング、売上導線設計まで横断的に支援する実戦型経営税理士です。

経営の悩みは、突き詰めると「人・金・売上」に集約されます。中野裕哲は、大企業人事部、人材紹介会社の採用エージェント、中小企業の財務責任者、大手不動産会社での営業、出版・Web制作による集客導線構築など、幅広い実務経験をもとに、経営者の意思決定を支援します。

【対応領域】

税理士顧問、社労士顧問、補助金支援、助成金支援、資金調達支援、採用力診断、売上導線診断、経営参謀顧問。税務・会計・決算・節税に加えて、経営分析、労務管理、社会保険、助成金、採用体制づくり、融資、補助金、事業計画、営業戦略、Webマーケティング、出版、メディア活用まで一体的に相談できます。

中野裕哲は、家業の倒産危機からの壮絶な貧乏体験を原点に、お金で苦しむ経営者をひとりにしないことを掲げています。資金繰り、採用、売上づくりの壁に対して、経営者目線で伴走します。

【主な実績】

  • 起業支援・経営支援の豊富な実績
  • 起業相談件数3,000件以上
  • 資金調達支援1,000件以上
  • 大企業Webサイト多数監修
  • 商業出版著書監修約32冊(累計30万部超)

V-Spiritsグループでは、融資・補助金・金融機関対応に詳しい社内役員チームも伴走します。元経済産業省系補助金審査員・事務局員、元日本政策金融公庫支店長、元信用金庫融資担当営業などの専門家が、補助金申請、事業計画、資金繰り、金融機関対応を実務面から支援します。

税理士顧問、社労士顧問、融資、補助金、助成金、採用、営業、マーケティングまで、経営者が本当に悩む領域をワンストップで相談できます。V-Spiritsグループは、起業支援・会社設立・創業融資・補助金助成金・税務会計・人事労務・許認可・経営顧問をワンストップで支援する、起業家・中小企業向けの専門家グループです。

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