
共同経営とは?起業前に知っておきたい代表者間トラブルの原因と回避策
今回は、起業相談の現場で年々ご相談が増えているテーマ、
**「共同経営」**についてお話したいと思います。
近年は、
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一人で起業するのが不安
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得意分野が分かれている
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資金・人脈・スキルを補い合いたい
といった理由から、
複数人での起業を検討される方が非常に多くなっています。
考え方としては、とても自然ですし、
決して間違っているわけではありません。
ただ、ズバリ言います。
共同経営は「始めやすい反面、壊れやすい」経営形態でもあります。
目次
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共同経営とは何か
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共同経営の代表的なパターン
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起業当初は関係性が良好な理由
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共同経営が崩れる主な原因
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人数別に見た代表者間トラブルの傾向
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共同経営のリスクを理解する重要性
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よくある質問(FAQ)
共同経営とは何か
「二人以上で意思決定をする」経営スタイル
「共同経営」とは、
二人以上の方が代表者となり、会社または事業の経営を行うことを指します。
ここで重要なのは、
**人数の問題ではなく「意思決定の構造」**です。
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法的に代表権を持つ人が複数いる
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実質的な経営判断を複数人で行っている
この状態であれば、
たとえ登記上の代表者が一人であっても、
実態としては「共同経営」と言えます。
共同経営とは、
責任と判断を分かち合う経営なのです。
共同経営の代表的なパターン
関係性はバラエティに富んでいる
共同経営を選択される方々の関係性は、実にさまざまです。
代表的なものとして、次のようなケースがあります。
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ご夫婦
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ご友人
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恋人
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先輩・後輩
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現経営者と後継者
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専門性による役割分担型
(例:営業担当と開発担当、企画と現場など)
これらのどのパターンであっても、
共通しているのは、
「この人となら、一緒に会社をやれる」
と強い信頼関係を前提にスタートしているという点です。
起業当初は関係性が良好な理由
スタート時は「夢」と「期待」で満ちている
共同経営では、起業当初、
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モチベーションが高い
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将来の話が楽しい
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お互いの強みしか見えない
という状態になりやすく、
関係性は非常に良好です。
この時期は、
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売上が出ていなくても
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仕組みが整っていなくても
「これから良くなる」という
前向きな期待がすべてを覆ってくれます。
しかし、これはあくまで
「ストレスが少ない状態」だからこそ保たれている関係性です。
共同経営が崩れる主な原因
経営ストレスが人間関係を変えていく
事業を続けていくと、
必ずと言っていいほど、次のようなストレスに直面します。
業況悪化による資金面のストレス
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売上が思うように伸びない
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資金繰りに追われる
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借入や返済のプレッシャー
お金の問題は、
人の本性をあぶり出すと言われるほど、
人間関係に強い影響を与えます。
ミッションや成果に対する不満
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「自分の方が働いている気がする」
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「相手の成果が見えない」
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「役割分担が形骸化している」
こうした感情は、
口に出さないまま溜まりがちです。
コミュニケーション不全
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忙しくて話す時間がない
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本音を言うと揉めそう
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問題を先送りにする
結果として、
小さなズレが修復不能な溝に変わっていきます。
人数別に見た代表者間トラブルの傾向
代表者が二人の場合
二人の場合は、
どちらも「自分が正しい」と思いやすいという特徴があります。
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判断が割れる
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折衷案が出ない
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第三者がいない
結果として、
譲れずに空中分解するケースが非常に多くなります。
代表者が三人以上の場合
三人以上になると、
今度は派閥が生まれやすくなります。
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多数派と少数派
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意見が通らない側の不満
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孤立感
最終的には、
少数派が離脱する形で決着することが多く見られます。
共同経営のリスクを理解する重要性
うまくいっている時ほど「危機感」が薄れる
事業が順調な間は、
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不満も表に出にくい
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問題が先送りされる
ため、リスクは見えません。
しかし現実には、
経営は最初から順調に進むケースの方が少数派です。
共同経営を検討されている方は、
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本当に一人ではできないのか
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共同経営でなければならない理由は何か
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将来の対立を想定できているか
を、起業前に一度、冷静に考えてみてください。
よくある質問(FAQ)
Q1. 共同経営は絶対に避けるべきですか?
A. いいえ。ただし「覚悟」と「準備」がない共同経営は非常に危険です。
Q2. 夫婦や友人同士なら安心では?
A. むしろ感情が絡みやすく、こじれると修復が難しいケースも多いです。
Q3. 起業前に最低限やるべきことは?
A. 役割・責任・最終判断者を明確にしておくことが重要です。
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この記事を書いた人
中野裕哲/Nakano Hiroaki
起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、サーティファイドファイナンシャルプランナー・CFP(R)、1 級FP技能士。大正大学招聘教授(起業論、ゼミ等)
V-Spiritsグループ創業者。税理士法人V-Spiritsグループ代表。東京池袋を本拠に全国の起業家・経営者さんを応援!「ベストセラー起業本」の著者。著書20冊、累計25万部超。経済産業省後援「DREAMGATE」で12年連続相談件数日本一。
【まるごと起業支援(R)・経営支援】
起業コンサル(事業計画+融資+補助金+会社設立支援)+起業後の総合サポート(経理 税務 事業計画書 融資 補助金 助成金 人事 給与計算 社会保険 法務 許認可 公庫連携 認定支援機関)など
【略歴】
経営者である父の元に生まれ、幼き頃より経営者になることを目標として過ごす。バブル崩壊の影響を受け経営が悪化。一家離散に近い貧困状況を経験し、「経営者の支援」をライフワークとしたいと決意。それに役立ちそうな各種資格を学生時代を中心に取得。同じく経営者であるメンターの伯父より、単に書類や手続を追求する専門家としてではなく、視野を広げ「ビジネス」の現場での経験を元に経営者の「経営そのもの」を支援できるような専門家を目指すようアドバイスを受け、社会人生活をスタート。大手、中小、ベンチャー企業、会計事務所等で営業、経理、財務、人事、総務、管理職、経営陣等、ビジネスの「現場」での充実した修行の日々を送ったあと、2007年に独立。ほかにはない支援スタイルが起業家・経営者に受け入れられ、経済産業省「DREAM GATE」にて、面談相談12年連続日本一。補助金・助成金支援実績600件超。ベストセラー含む起業・経営本20冊を出版。累計25万部超。無料相談件数は全国から累計3000件を超す。

この記事を監修した人
多胡藤夫/Fujio Tago
元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。



























