
【債務超過が解消できる!?】資本性ローンの驚きの仕組みと活用法を解説!
みなさんこんにちは!
V-Spiritsチェック系中小企業診断士の三浦です。
「チェック系って何者なんだ?」
と思われた方は、ぜひ弥生さんの公式YouTubeチャンネルをご覧ください(笑)
👉 https://www.youtube.com/@yayoitv
さて、今回は少し刺激的で、
でも知っているかどうかで会社の未来が変わりかねないテーマです。
「債務超過が消せる融資がある」
普通に考えたら、あり得ない話ですよね。
-
融資=借金
-
借金=負債
-
負債が増えれば、債務超過は悪化
誰が考えてもそうです。
「三浦、さすがに盛りすぎじゃない?」
「それ、金融の基本に反してない?」
……はい、分かります。
でも、本当にあるんです。
しかも、
国が公式に認めている制度として。
目次
-
債務超過なのに融資で解消できる?
-
日本政策金融公庫の「資本性ローン」とは
-
なぜ返さなくていい融資が存在するのか
-
債務超過が解消される仕組み【具体例】
-
資本性ローンの効果とメリット
-
どんな会社に向いている制度か
-
利用する際の注意点
-
よくある質問(FAQ)
債務超過なのに融資で解消できる?
「常識的にはおかしい」からこそ価値がある
まず、前提として整理しておきましょう。
債務超過とは、
負債 > 資産
の状態です。
つまり、
-
借金を全部返したら
-
会社にはマイナスが残る
という状態。
この状態になると、
-
銀行評価は一気に悪化
-
新規融資は極端に難しくなる
-
取引先や関係者からの見え方も悪くなる
など、経営の自由度が大きく制限されます。
通常であれば、
「債務超過を解消したいなら、利益を出して自己資本を積み上げましょう」
これが王道です。
しかし、それには時間がかかる。
そして時間がない会社ほど、資金が必要。
このジレンマを打破するために用意されたのが、
資本性ローンなのです。
日本政策金融公庫の「資本性ローン」とは
見た目は融資、中身はほぼ資本
資本性ローンとは、
日本政策金融公庫が取り扱う、極めて特殊な融資制度です。
最大の特徴は、次の3点に集約されます。
特徴① 長期間、元金返済が不要
-
5年
-
7年
-
10年
といった長期にわたり、元金の返済が不要です。
この期間中は、
-
元金返済なし
-
利息のみ支払い
という形になります。
特徴② 金融機関の評価上「資本」とみなされる
ここが最大のポイントです。
会計上は確かに「負債」ですが、
金融検査・金融機関の評価では、
「このお金は、自己資本と同等に扱っていい」
とされます。
特徴③ 経営改善・成長前提の制度
この制度は、
-
延命目的
-
ただの穴埋め
では使えません。
「立て直し」や「成長」を前提とした会社に向けた制度です。
なぜ返さなくていい融資が存在するのか
「返さなくていい」のではなく「返させない」
ここで誤解しないでいただきたいのは、
資本性ローンは「返さなくていい融資」
ではありません。
正確には、
「一定期間、返させない融資」
です。
なぜそんな仕組みが許されるのか。
理由は明確で、
-
返済がない
-
キャッシュが社外に出ていかない
-
財務体質が安定する
この性質が、
資本金(自己資本)とほぼ同じ役割を果たすからです。
そのため、
-
会計上:負債
-
金融評価上:資本
という、二重の性格を持つことになります。
債務超過が解消される仕組み【具体例】
数字で見ると「なるほど」と納得できます
では、実際にどういうことが起きるのか。
数字で見てみましょう。
ケース
-
現在:800万円の債務超過
-
資本性ローン:1,000万円借入
通常の融資なら、
-
負債が増えて
-
債務超過は1,800万円
になるはずです。
しかし、資本性ローンでは違います。
金融機関の評価では、
-
1,000万円が「資本」として加算
されます。
結果として、
▲800万円(債務超過)
+1,000万円(資本性ローン)
= +200万円(資産超過)
債務超過、解消です。
これは数字のマジックではなく、
制度として認められた評価方法です。
資本性ローンの効果とメリット
本当の価値は「その次」にある
資本性ローンの本当の価値は、
単に債務超過が消えることではありません。
最大のメリットは、次です。
民間金融機関の見え方が一変する
銀行は、
-
債務超過かどうか
-
実質自己資本があるか
を非常に重視します。
資本性ローンにより、
-
債務超過が解消
-
財務が安定
すると、
「あ、この会社、次いけるかも」
という評価に変わります。
結果として、
-
民間銀行の融資が通りやすくなる
-
条件も改善されやすくなる
という**“追っかけ融資”**が起きやすくなります。
どんな会社に向いている制度か
「ダメな会社」ではなく「これからの会社」
資本性ローンは、
誤解されがちですが、
「ヤバい会社を救う制度」
ではありません。
むしろ向いているのは、
-
一時的な赤字で債務超過になった
-
事業自体は回っている
-
成長のための投資をしたい
-
でも財務が足を引っ張っている
こうした、
**“惜しい会社”**です。
「潰れそうだから使う」のではなく、
**「伸ばすために使う」**制度です。
利用する際の注意点
万能薬ではありません
ここまで読むと、
「じゃあ、全社使えばいいじゃん」
と思われるかもしれません。
しかし、注意点もあります。
-
事業計画の完成度が厳しく見られる
-
将来の返済を見据えた設計が必要
-
一定の経営管理能力が求められる
特に重要なのは、
満了時に、どう返すのか
ここまで含めて、
戦略として考える必要がある点です。
よくある質問(FAQ)
Q1. 赤字決算でも使えますか?
A. はい。可能です。ただし「なぜ赤字なのか」「どう立て直すか」が明確である必要があります。
Q2. 民間銀行との取引がなくても使えますか?
A. はい。むしろ、その後の取引につなげるために使われるケースも多いです。
Q3. 資本性ローンだけで経営は楽になりますか?
A. 単独では不十分です。融資・利益改善・経営管理とセットで考える必要があります。
まとめ|資本性ローンは「経営を立て直す土台」
最後にまとめます。
-
資本性ローンは、債務超過を解消できる特殊な融資
-
会計上は負債、金融評価上は資本
-
財務体質を一気に改善できる
-
民間金融機関の融資につながりやすい
-
ただし、戦略的な使い方が必須
債務超過だからといって、
終わりではありません。
正しい制度を、正しい形で使えば、
再スタートの土台は作れます。
「うちの会社でも使えるのか?」
「今の状況で意味があるのか?」
そう感じたら、
一度、専門家に相談してみてください。
知っているかどうかで、
選択肢は大きく変わります。
【無料相談のご案内】
起業の手続きって何から始めればいいの?といった疑問に対して適切なアドバイスを無料にて行っております。
無料相談も行っているので、ぜひ一度、ご相談ください。お問い合わせお待ちしております!

この記事を書いた人
三浦高/Takashi Miura
元創業補助金(経済産業省系補助金)審査員・事務局員
中小企業診断士、起業コンサルタント®、
1級販売士、宅地建物取引主任者、
補助金コンサルタント、融資・資金調達コンサルタント、
産業能率大学 兼任教員
2024年現在、各種補助金の累計支援件数は300件を超える。
融資申請のノウハウも蓄積し、さらに磨きを掛けるべく日々事業計画書に向き合っている。

この記事を監修した人
多胡藤夫/Fujio Tago
元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。


























