
中小企業経営で本当に大切な2つの資源──「現金」と「選択肢」の真価とは
中小企業経営において、
「何が一番大事か?」という質問を受けることがあります。
売上でしょうか。
利益でしょうか。
それとも人材でしょうか。
もちろん、どれも欠かせません。
しかし、数多くの経営相談を受けてきた中で、
私が確信している答えがあります。
それは――
現金!
選択肢!
この2つが揃っていない会社は、
どれだけ理念が立派でも、
どれだけ商品が良くても、
環境変化が起きた瞬間に一気に苦しくなります。
今回は、この2つの資源がなぜそこまで重要なのかを、
できるだけ現場感覚でお話ししていきます。
目次
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中小企業経営で最も大切な2つの資源
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現金は最強の経営資源
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次に大事なのは「選択肢」
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選択肢を増やす仕組みとは
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現金=自己資金とは限らない
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「借金=悪」という思い込み
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現金と選択肢の比較──A社とB社のケース
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選択肢が多いのはどちらか?
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借入は「攻めの現金」を得る手段
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よくある質問(FAQ)
中小企業経営で最も大切な2つの資源
それは「現金」と「選択肢」
改めて強調します。
中小企業経営で本当に重要な資源は、
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現金
-
選択肢
この2つです。
売上や利益は「結果」であり、
人材や商品力は「手段」です。
しかし、
現金と選択肢は「生き残るための前提条件」
と言っても言い過ぎではありません。
現金と選択肢があれば、
多少の失敗や売上減少があっても、
会社は立て直す時間を確保できます。
現金は最強の経営資源
社長のストレスを一気に減らす「特効薬」
現金がある会社と、
現金がない会社では、
同じ出来事が起きても景色がまったく違います。
例えば売上が一時的に落ちたとき。
-
現金がある会社
→「少し様子を見よう」「対策を考えよう」 -
現金がない会社
→「来月の支払いは大丈夫か…」
この差は、
社長の判断力と精神状態に直結します。
現金は、
単なる数字ではありません。
社長の冷静さを保つための装置
とも言えるのです。
次に大事なのは「選択肢」
常に「選べる立場」にいること
次に大事なのが、選択肢です。
経営が苦しくなると、
意思決定がこう変わります。
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本当はAをやりたい
→ でも資金がないからB -
本当は今が攻め時
→ でも怖いから何もしない
これは「判断」ではなく、
追い込まれた末の反応です。
経営において一番危険なのは、
「選べない状態」に陥ることなのです。
選択肢を増やす仕組みとは
最強のツールは「現金」、次点が「信用」
では、どうすれば選択肢を増やせるのか。
答えはシンプルです。
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最強のツール:現金
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次に効くのが:信用
現金があれば、
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やる・やらないを自分で決められる
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チャンスに即応できる
-
断る自由を持てる
信用があれば、
-
融資という「後出しの現金」を引き出せる
つまり、
現金と信用は、選択肢を生む源泉なのです。
現金=自己資金とは限らない
お金に「色」はついていない
ここで多くの方が勘違いしている点があります。
「現金は大事」
=
「自己資金が大事」
これはイコールではありません。
金融機関の視点、
取引先の視点で見れば、
そのお金が
自己資金か借入金か
は、ほぼ関係ありません。
払うべきものを、きちんと払えるか。
それだけです。
「借金=悪」という思い込み
無借金経営は立派。でも戦略とは限らない
日本では、
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借金は怖い
-
無借金は正義
という価値観が根強くあります。
無借金経営は確かに立派です。
しかし、それが経営戦略として最適かどうかは別問題です。
借金を避けるあまり、
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現金が薄い
-
攻められない
-
選択肢が少ない
という状態に陥っていれば、
それは「安全」ではなく「硬直」です。
現金と選択肢の比較──A社とB社のケース
数字で見ると、違いは一目瞭然
次の2社を見てください。
A社
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現金:3,000万円
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借入金:0円
B社
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現金:3億3,000万円
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借入金:3億円
両社とも、
純資産は3,000万円で同じです。
会計的な体力は同じ。
しかし、経営の自由度はまったく違います。
選択肢が多いのはどちらか?
現金量の差は、未来の差
感覚的には、
「B社は借金が多くて危なそう」
と感じるかもしれません。
しかし、
選択肢が多いのは圧倒的にB社です。
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新規事業に挑戦できる
-
市場が落ちた瞬間に買いに行ける
-
不況期に人材を確保できる
現金量は約10倍。
選択肢は体感で数百倍です。
借入は「攻めの現金」を得る手段
借金はリスクではなく、レバレッジ
借入は、
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苦しいときの延命策
ではありません。 -
選択肢を増やす
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経営を自由にする
-
チャンスを掴む
ための、戦略的な道具です。
もちろん、
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返せない借入
-
目的のない借入
は論外です。
しかし、
返済計画が立ち、目的が明確な借入は、
経営を一段上に引き上げます。
よくある質問(FAQ)
Q1. 借入が多いと倒産リスクは上がりませんか?
A. 借入額より「現金残高」と「返済余力」が重要です。
Q2. 無借金経営は目指さない方がいいですか?
A. 目指しても構いませんが、それが目的化しないよう注意しましょう。
Q3. 借入を考えるベストなタイミングは?
A. **「まだ余裕があるとき」**がベストです。
まとめ|現金と選択肢は、経営の保険
最後にまとめます。
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中小企業経営の生命線は「現金」と「選択肢」
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現金は自己資金でなくてもいい
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借入は、選択肢を増やすための戦略
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借りられるときに借りるのが鉄則
経営とは、
選び続ける仕事です。
そのための武器として、
現金と選択肢をどう持つか。
ぜひ、一度立ち止まって考えてみてくださいね。
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起業の手続きって何から始めればいいの?といった疑問に対して適切なアドバイスを無料にて行っております。
無料相談も行っているので、ぜひ一度、ご相談ください。お問い合わせお待ちしております!

この記事を書いた人
三浦高/Takashi Miura
元創業補助金(経済産業省系補助金)審査員・事務局員
中小企業診断士、起業コンサルタント®、
1級販売士、宅地建物取引主任者、
補助金コンサルタント、融資・資金調達コンサルタント、
産業能率大学 兼任教員
2024年現在、各種補助金の累計支援件数は300件を超える。
融資申請のノウハウも蓄積し、さらに磨きを掛けるべく日々事業計画書に向き合っている。

この記事を監修した人
多胡藤夫/Fujio Tago
元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。


























