
いまさら聞けない「マーケットイン」と「プロダクトアウト」ってどっちがいいの?──顧客視点と企業視点のバランスがカギ!
起業家や経営者の方が新しい商品やサービスを立ち上げるとき、まず迷うのが「マーケットインでいくか?」「プロダクトアウトでいくか?」という方針です。聞いたことはあるけど、何となくしかわからない…という方も多いのではないでしょうか。今回はこのふたつの考え方を、わかりやすく整理してみましょう。
◆ マーケットインとは?
ズバリ言います。マーケットインとは「市場の声を聞いてから商品をつくる方法」です。
つまり、顧客のニーズを起点にして、そこにピッタリ合う商品やサービスを開発していく考え方。簡単にいえば「売れるモノをつくる」ですね。
たとえば、「このエリアでは低カロリーのお弁当が流行っている」「SNSでこのカラーがバズっている」といった情報を元に商品設計をする。こういったやり方がマーケットインです。
【特徴】
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ニーズが明確なので売れやすい
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初期の売上が安定しやすい
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差別化が難しい場合もある
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競合が増えると価格競争になりやすい
◆ プロダクトアウトとは?
一方、プロダクトアウトは「自分たちの技術やアイデアをベースに商品をつくる方法」です。
つまり、企業や起業家が「これがいい!」「これが未来だ!」と信じるものを、先に作って市場に投げかけていく。言ってみれば「つくりたいモノをつくる」というやり方です。
たとえば、まだ誰も知らない革新的な健康素材を使って商品開発をする。「便利さ」より「感動」を重視するような商品設計も、プロダクトアウト的ですね。
【特徴】
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他にない独自性を打ち出しやすい
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当たれば爆発的ヒットになる可能性も
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ただしニーズとズレると売れないリスクもおおいにあり
◆ どちらが正しい?→実は両方大事なんです
「じゃあ結局どっちが正しいの?」と思われたかもしれません。でも、ここが大事なポイント。
実は、マーケットインとプロダクトアウトはどちらも必要なんです。
起業初期や小規模事業では、まずはマーケットイン的に「売れる」商品を作ることが重要です。キャッシュフローが安定しないと、せっかくの事業も途中でストップしてしまいます。
そのうえで、自社の強みや技術が明確になってきたら、プロダクトアウト的に「自分たちらしい」商品をつくって差別化していく。こういうステップが理想的です。
◆ 実務ではどう考える?
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顧客の声を聞く習慣を持つ
日常的にアンケートやSNSのコメントをチェックし、ニーズを探ることは基本です。カフェを開業する人なら、来店者の年齢層や注文傾向を観察するだけでもヒントが得られます。 -
小さく試す「テスト販売」をする
マーケットイン型の商品も、プロダクトアウト型の商品も、いきなり本格展開せずに、まずは少量・短期間で試してみる。これで反応が良ければ拡大すればOKです。 -
“らしさ”を見失わない
マーケットインに偏りすぎると、他社と同じような商品ばかりになる。プロダクトアウトに偏りすぎると、自己満足になりがちです。「自分たちらしさ」と「市場の声」のバランスがカギです。
◆ ハイブリッド型が成功の鍵
実際、成功している会社は「両者のいいとこどり」をしています。
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スタートはマーケットインで売上を確保
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一定の安定基盤をつくったらプロダクトアウトで差別化
この流れがうまくハマれば、ブランド力もアップし、ファンも増えます。
◆ まとめ:自社のステージに応じて選ぼう
起業したての段階では、まず「売れること」が何より大切。その意味で、マーケットインから始めるのがセオリーです。
でも、長期的には「自社らしさ」「自分たちの哲学」も磨いていかないと、価格競争に巻き込まれてしまいます。そういう意味で、プロダクトアウトも大事な戦略です。
「自分は今、どちらの段階にいるか?」をしっかり見極めながら、最適な戦略を選んでいきましょう。
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この記事を書いた人
中野裕哲/Nakano Hiroaki
起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、サーティファイドファイナンシャルプランナー・CFP(R)、1 級FP技能士。大正大学招聘教授(起業論、ゼミ等)
V-Spiritsグループ創業者。税理士法人V-Spiritsグループ代表。東京池袋を本拠に全国の起業家・経営者さんを応援!「ベストセラー起業本」の著者。著書20冊、累計25万部超。経済産業省後援「DREAMGATE」で12年連続相談件数日本一。
【まるごと起業支援(R)・経営支援】
起業コンサル(事業計画+融資+補助金+会社設立支援)+起業後の総合サポート(経理 税務 事業計画書 融資 補助金 助成金 人事 給与計算 社会保険 法務 許認可 公庫連携 認定支援機関)など
【略歴】
経営者である父の元に生まれ、幼き頃より経営者になることを目標として過ごす。バブル崩壊の影響を受け経営が悪化。一家離散に近い貧困状況を経験し、「経営者の支援」をライフワークとしたいと決意。それに役立ちそうな各種資格を学生時代を中心に取得。同じく経営者であるメンターの伯父より、単に書類や手続を追求する専門家としてではなく、視野を広げ「ビジネス」の現場での経験を元に経営者の「経営そのもの」を支援できるような専門家を目指すようアドバイスを受け、社会人生活をスタート。大手、中小、ベンチャー企業、会計事務所等で営業、経理、財務、人事、総務、管理職、経営陣等、ビジネスの「現場」での充実した修行の日々を送ったあと、2007年に独立。ほかにはない支援スタイルが起業家・経営者に受け入れられ、経済産業省「DREAM GATE」にて、面談相談12年連続日本一。補助金・助成金支援実績600件超。ベストセラー含む起業・経営本20冊を出版。累計25万部超。無料相談件数は全国から累計3000件を超す。
この記事を監修した人
多胡藤夫/Fujio Tago
元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。