
いまさら聞けない「原価」ってなに?──経営の土台をしっかり固める第一歩
経営や起業を考えるとき、耳にする「原価」。けれど、正確な意味や必要性は「あいまい…」という方も多いはず。この記事では、専門用語をできるだけ抑えて、「原価とは何か」「どう計算するのか」「なぜ大切なのか」を丁寧に整理しました。
① 原価とは何か? わかりやすく
ズバリ言います。原価とは、『商品やサービスを提供するためにかかった費用』のことです。
たとえば飲食店なら、仕入れた食材、厨房スタッフの人件費、光熱費の一部なども含まれます。商品を売るときに、その背景で使ったお金が「原価」です。
② 原価の種類・分類
原価には主に以下の2種類があります:
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売上原価:売れた商品のために使った費用。たとえば商品仕入れや直接労務費など。
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製造原価:ものづくりタイプの事業であれば、「材料費+作業員の労賃+機械を動かす費用」などを含む費用。
また、分類に応じて「変動原価」「固定原価」といった視点もありますが、まずは上記の理解で十分です。
③ どう計算するの?
一般的に「売上原価」を計算する方法は次の式です:
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期首在庫+仕入高−期末在庫=売上原価
売れた分だけを費用として計上するため、在庫管理がとても重要になります。
製造業では、さらに製造原価を使って、1個当たりの商品にどれだけ原価がかかったかを算出する「原価計算」を行います。
④ どう活用するの? 意味・目的
原価を正しく把握しておくことには、以下のような意味があります:
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適正な販売価格の設定
原価を知らずに価格を決めると、利益が出ずに赤字になってしまう恐れがあります。 -
利益構造の把握
「売上-原価=粗利」で、経営効率を見る指標になります。 -
ムダな費用の洗い出し
原価の中身を分析すると、省ける無駄なコスト(仕入れ過多、人件費の過剰など)が見えてきます。 -
経営判断の根拠に
資金繰り計画や価格戦略、新事業の採算判断に不可欠です。
⑤ 原価と「経費・販管費」との違い
「原価」は商品の提供に直接関わる費用。一方で「経費」や「販管費(販売費および一般管理費)」は、広告費・家賃・管理部門の人件費など、販売や運営全体のために必要な費用です。間接部門の経費が多いですね。
原価と経費を混同しないことが、利益管理の第一歩となります。
⑥ 小規模事業にとっての原価管理のポイント
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仕入れと棚卸の記録をきちんとする
仕入量、在庫残高を定期的に記録し、原価を正確に把握。 -
人件費と消耗品費の割り振りを意識する
原価として計上する対象は、商品の提供に直接関わるもののみに限定。 -
価格設定に活かす
原価を最低ラインとして、利益を乗せて販売価格を決定。 -
原価低減策を考える
仕入先の見直し、作業効率改善、無駄ロスの削減などを検討。
⑦ よくある誤解と注意点
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原価=仕入れ価格ではない:配送費、保管費、製造に係るコストまで含まれることも。
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原価が安ければいい、と安易に考えない:品質を下げない範囲での効率化が前提。
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原価を軽視すると利益が見えず、将来の成長が難しくなる:小さな利益の積み重ねが企業の原動力。
■まとめ:原価は経営の“土台”
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原価とは、商品やサービスを提供するためにかかった直接費用のこと。
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正確な原価計算は、利益構造を理解し、価格を決め、効率的に経営するために欠かせません。
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特に起業や小規模事業では、「原価を知る」「原価を管理する」ことが、黒字経営の第一歩になります。
事業計画書を書くときの原価の整理や計算式に迷ったとき、見直しておきたい項目の洗い出しや、適切な価格設定・利益構造のアドバイスもお気軽にどうぞ。あなたの事業を堅実に成長させるお手伝いができます。
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この記事を書いた人
中野裕哲/Nakano Hiroaki
起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、サーティファイドファイナンシャルプランナー・CFP(R)、1 級FP技能士。大正大学招聘教授(起業論、ゼミ等)
V-Spiritsグループ創業者。税理士法人V-Spiritsグループ代表。東京池袋を本拠に全国の起業家・経営者さんを応援!「ベストセラー起業本」の著者。著書20冊、累計25万部超。経済産業省後援「DREAMGATE」で12年連続相談件数日本一。
【まるごと起業支援(R)・経営支援】
起業コンサル(事業計画+融資+補助金+会社設立支援)+起業後の総合サポート(経理 税務 事業計画書 融資 補助金 助成金 人事 給与計算 社会保険 法務 許認可 公庫連携 認定支援機関)など
【略歴】
経営者である父の元に生まれ、幼き頃より経営者になることを目標として過ごす。バブル崩壊の影響を受け経営が悪化。一家離散に近い貧困状況を経験し、「経営者の支援」をライフワークとしたいと決意。それに役立ちそうな各種資格を学生時代を中心に取得。同じく経営者であるメンターの伯父より、単に書類や手続を追求する専門家としてではなく、視野を広げ「ビジネス」の現場での経験を元に経営者の「経営そのもの」を支援できるような専門家を目指すようアドバイスを受け、社会人生活をスタート。大手、中小、ベンチャー企業、会計事務所等で営業、経理、財務、人事、総務、管理職、経営陣等、ビジネスの「現場」での充実した修行の日々を送ったあと、2007年に独立。ほかにはない支援スタイルが起業家・経営者に受け入れられ、経済産業省「DREAM GATE」にて、面談相談12年連続日本一。補助金・助成金支援実績600件超。ベストセラー含む起業・経営本20冊を出版。累計25万部超。無料相談件数は全国から累計3000件を超す。
この記事を監修した人
多胡藤夫/Fujio Tago
元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。