
いまさら聞けない「ポジショニング」―起業や経営の基本
「ポジショニング」――経営やマーケティング領域では耳にする言葉ですが、具体的には「他社とどう違うのか」「顧客の心にどう印象づけるか」という戦略づくりの中核です。ただ流行りや雰囲気だけで構築するのではなく、“顧客の選択肢の中で自社が真ん中に立つための設計図”として捉えることが大切です。
① ポジショニングとは何か?
簡単に言えば、「市場の中で、自社・自社商品はどんな立ち位置なのか」を明確にすることです。消費者は常に比較・選択をしており、その中で「あなたはどんな立場にいますか?」という問いに答えるのがポジショニングです。
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価格重視?高級志向?
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地元密着?業界特化?
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技術特化?デザイン重視?
この“立ち位置の感覚”を明文化できていないと、ウェブサイト・パンフレット・会話のメッセージがすべてブレてしまいます。
② なぜ起業でも重要なのか?
起業時は、資金も人材も限られています。そんな中、「すべての人に受け入れられる企業」は存在しません。だからこそ、“誰に何を届けるか”をはっきりさせることで、逆に集中した顧客獲得が可能になります。
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ターゲットの心に響く言葉づかい
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接客や商品・サービスの設計が明確
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広告・PR活動がムダなく進む
結果として「見込み客と信頼関係を築くスピードや深い刺さり方が違う」という成果につながります。
③ ポジショニングの3つの要素
A. ターゲットを明確にする
「誰に焦点を合わせるか」がブレの元。性別・年齢・職業・ライフスタイル…これを具体化してください。
例:
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「30~40代共働き家族」
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「40代独立志向の士業系ビジネスパーソン」
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「健康志向のシニア女性」
B. 顧客が求める価値を理解する
顧客のニーズや痛み(ペインポイント)を把握し、その要求に応えられる価値を自社が提供できるか?を明らかにしましょう。
例:
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教える仕組みが欲しい(スクール系)
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業務を代行して欲しい(BPO系)
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同業目線の相談相手が欲しい(士業連携)
C. 他社との違いを意識する
競合の差別化ポイントを軸にしながら、自社の立ち位置を決めます。強みを生かして「自分たちらしい差別化軸」を磨きましょう。
例:
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「IT×士業」でオンライン特化
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「健康食品+フィットネス」で生活改善支援
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「ワンストップで補助金・融資・経理を丁寧に」
④ ポジショニングの明文化:キャッチコピー設計
“自分たちは何屋さんなのか”を伝える自己紹介=キャッチコピーは、ポジショニングの整理を文章化したものです。例を挙げましょう。
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「ゼロからの独立を専門に支援するITコンサルタント」
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「忙しいワーキングママ向け時短パン教室」
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「地元密着×身体に優しい自然派リフォーム専門業者」
こんな一行で、「誰に何をどう届ける人か」が伝わるものがよいポジショニングです。
⑤ ポジショニングを日々の行動に反映する
明文化されたポジショニングは、日々の行動・判断の基準になります。
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商品をつくるか迷ったら、「ターゲットに響くか」を確認
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広告戦略を考えるときは、「競合との差は何か」を意識
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メンバーに仕事を任せるときは、「立ち位置を伝えるためにどう説明するか」も大切
実務場面での思考がブレず、成果に一貫性が出ます。
⑥ ポジショニング策定のステップ
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現状の整理:自社の強み・顧客・競合をSWOTやVRIOで先に分析
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ターゲット選定:数ある中からジャストな顧客像を絞り込む
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自社価値設計:強みを活かしながら、顧客に刺さる価値を言語化
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差別化要素を明確にする
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キャッチコピーに落とし込み、社内共通言語にする
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仮説をもとに行動に落とし込み、PDCAで改善する
✅まとめ:「ポジショニング」は“戦略の羅針盤”
ポジショニングは、単なるマーケティング用語ではなく、
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顧客との出会いから信頼構築
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商品やサービスの方向性設計
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集客・営業・ブランディングすべての軸
として機能する“自社の選ばれる理由の整理図”です。
「うちは何屋さんなんだろう?」と悩む方は、キャッチコピーから入って、一度整理してみてください。明確な立ち位置は、自信とストーリーを伴った選ばれる存在につながります。
気になる方は、「自分の立ち位置を見える化したい」「キャッチコピーを一緒に考えて欲しい」という場合にも、いつでもお気軽にご相談ください。あなたの“選ばれる会社”を共につくります。
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この記事を書いた人
中野裕哲/Nakano Hiroaki
起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、サーティファイドファイナンシャルプランナー・CFP(R)、1 級FP技能士。大正大学招聘教授(起業論、ゼミ等)
V-Spiritsグループ創業者。税理士法人V-Spiritsグループ代表。東京池袋を本拠に全国の起業家・経営者さんを応援!「ベストセラー起業本」の著者。著書20冊、累計25万部超。経済産業省後援「DREAMGATE」で12年連続相談件数日本一。
【まるごと起業支援(R)・経営支援】
起業コンサル(事業計画+融資+補助金+会社設立支援)+起業後の総合サポート(経理 税務 事業計画書 融資 補助金 助成金 人事 給与計算 社会保険 法務 許認可 公庫連携 認定支援機関)など
【略歴】
経営者である父の元に生まれ、幼き頃より経営者になることを目標として過ごす。バブル崩壊の影響を受け経営が悪化。一家離散に近い貧困状況を経験し、「経営者の支援」をライフワークとしたいと決意。それに役立ちそうな各種資格を学生時代を中心に取得。同じく経営者であるメンターの伯父より、単に書類や手続を追求する専門家としてではなく、視野を広げ「ビジネス」の現場での経験を元に経営者の「経営そのもの」を支援できるような専門家を目指すようアドバイスを受け、社会人生活をスタート。大手、中小、ベンチャー企業、会計事務所等で営業、経理、財務、人事、総務、管理職、経営陣等、ビジネスの「現場」での充実した修行の日々を送ったあと、2007年に独立。ほかにはない支援スタイルが起業家・経営者に受け入れられ、経済産業省「DREAM GATE」にて、面談相談12年連続日本一。補助金・助成金支援実績600件超。ベストセラー含む起業・経営本20冊を出版。累計25万部超。無料相談件数は全国から累計3000件を超す。
この記事を監修した人
多胡藤夫/Fujio Tago
元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。