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コラム

採用後に定着率を上げるための仕組み:採用〜入社後フォローの一気通貫設計

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「採用してもすぐ辞めてしまう」「定着率がなかなか上がらない」という悩みは、中小企業の経営者から特によく聞かれる声です。厚生労働省の令和6年雇用動向調査によれば、常用労働者の離職率は14.2%。平均的な定着率は約86%ですが、中小企業ではこれを下回るケースも珍しくありません。

定着率を上げるには、採用段階から入社後フォローまでを一気通貫で設計する仕組みが必要です。この記事では、定着率が低い原因を構造的に整理し、採用基準の見直しからオンボーディング、職場環境の整備まで、実践できる施策を順を追って解説します。

定着率とは?中小企業が注目すべき理由

定着率とは、一定期間内に入社した社員のうち、離職せずに在籍し続けている社員の割合です。計算式は次のとおりです。

定着率(%)=(入社人数 − 離職人数)÷ 入社人数 × 100

定着率が低いと、採用コストの増大、業務の属人化、現場の士気低下といった問題が連鎖的に発生します。中小企業は大企業と比べて採用に使える予算や知名度に限りがあるため、一人の離職が経営に与えるインパクトはより大きくなります。

「採用を増やす」のではなく、「辞めない仕組みを作る」ほうが、費用対効果の面でも圧倒的に有利です。

 定着率が下がる原因は「仕組みの欠如」にある

定着率の低い会社に共通しているのは、個別の施策が不足しているのではなく、採用から定着までの一連の仕組みが設計されていないことです。

 採用段階のミスマッチ

入社前に聞いていた仕事内容や社風と実態にギャップがあると、早期離職に直結します。求人票に現実から乖離した条件を書いている、面接で業務のリアルな面を伝えていないといったケースが典型です。

入社後フォローの不在

入社初日に簡単な説明をして「あとは見て覚えて」という体制では、新入社員は放置されたと感じます。とくに入社後1〜3か月は、環境への適応に最もエネルギーを使う時期です。この期間にフォローの仕組みがないと、不安が蓄積して離職につながります。

評価・キャリアパスの不透明さ

「頑張っても評価が変わらない」「何年経ってもキャリアの見通しが立たない」という状態が続くと、モチベーションは徐々に下がっていきます。評価基準や昇進・昇給のルールが明文化されていない会社では、この問題が起こりやすい傾向にあります。

 採用段階でできる定着率向上の打ち手

定着率を上げるための仕組みは、実は採用のプロセスから始まっています。

求人票と面接での情報開示を正直にする

求人票には、条件面だけでなく業務の実態や職場の雰囲気が伝わる情報を載せましょう。面接では、仕事の大変な部分も含めて率直に伝えるほうが、入社後のミスマッチを防げます。

「RJP(Realistic Job Preview)」と呼ばれる手法で、入社前にリアルな仕事像を提示することが定着率向上に効果的であることが複数の研究で確認されています。

 採用基準を明文化する

「なんとなく良さそうだから」で採用すると、現場との相性が合わないケースが発生しがちです。求めるスキル、人柄、価値観を言語化し、面接時の評価基準を事前に整備しておくことが大切です。

評価シートを用意し、面接官が複数いる場合でも判断軸がブレないようにします。これだけで、採用の精度は大きく変わります。

💬 無料相談のご案内

V-Spiritsでは、大企業人事・採用エージェント・中小企業支援の三つの現場を経験した特定社会保険労務士中野裕哲を中心とした採用定着士チームが、採用・定着に悩む中小企業・個人事業主の方を無料でサポートしています。「なぜ採れないのか」「なぜ辞めるのか」を現場目線で診断し、再現性のある仕組みづくりをご支援します。まずはお気軽にご連絡ください。

 入社後フォロー(オンボーディング)の設計

採用した人材が早期に力を発揮できるよう、入社後のフォロー体制を仕組みとして設計しましょう。

 入社後90日間のフォロー体制をつくる

入社から3か月間は、新入社員が最も不安を感じやすい期間です。この「最初の90日」を乗り越えられるかどうかが、定着の分かれ目になります。

具体的には、以下のような取り組みが有効です。

・初日〜1週間:業務の全体像と社内ルールの説明、職場メンバーとの顔合わせ
・2週目〜1か月:実務への段階的な移行、上司との週次面談
・2〜3か月目:独り立ちに向けた業務範囲の拡大、振り返り面談

スケジュールを事前に組んでおくことで、現場の担当者も「何をすればいいか」が明確になり、属人的なフォローから脱却できます。

メンター制度の活用

配属先の先輩社員がメンターとして新入社員を日常的にサポートする体制は、心理的な安心感を生みます。業務上の疑問だけでなく、職場での人間関係や働き方の不安に対しても相談できる存在がいることで、孤立感が大きく軽減されます。

メンターには「教える」スキルだけでなく「聴く」姿勢が求められます。メンター向けの簡易研修を実施しておくと、制度がより機能しやすくなります。

 定期面談を仕組み化する

1on1面談を月1回程度のペースで仕組み化し、上司と部下が定期的に対話する場を設けます。面談の目的は評価ではなく、困っていることの早期発見と解決です。

面談の型をある程度決めておくと、上司が代わっても継続しやすくなります。「最近の仕事で気になっていること」「困っていることはあるか」「次の1か月でチャレンジしたいこと」の3点を毎回確認する、といったシンプルなフォーマットで十分です。

定着を支える職場環境と評価制度

オンボーディングだけでは、長期的な定着にはつながりません。日常の職場環境と評価制度の整備も同時に進める必要があります。

 社内コミュニケーションの活性化

離職理由の上位に「人間関係」が入ることは、多くの調査で共通しています。日常的なコミュニケーションの機会を意識的につくることが、離職予防の基本になります。

朝礼やチームミーティング、ちょっとした声かけなど、大がかりな施策でなくても効果はあります。「相談しやすい雰囲気がある」と感じられるだけで、社員の安心感は大きく変わります。

評価制度とキャリアパスの見える化

「何を頑張れば評価されるのか」「将来どんなポジションを目指せるのか」が明確になっていると、社員は長く働くイメージを持ちやすくなります。

評価基準の明文化、昇給・昇格ルールの開示、年1〜2回のキャリア面談の実施など、できることから着手しましょう。完璧な制度を一度に作る必要はなく、まずは「基準を見える化する」だけでも効果があります。

定着率向上の仕組みは、採用基準の設計からオンボーディング、評価制度まで多岐にわたります。「何から手をつければいいか分からない」という場合は、採用・定着に精通した外部の専門家に相談し、自社の課題を整理するところから始めるのも有効な方法です。

採用・定着の戦略と仕組みづくりをまるごとサポート

V-Spiritsの採用定着支援サービスでは、給与・条件の競合リサーチ、求人原稿の改善、応募後24時間以内の初動対応など、採用がうまくいく会社が実践している型を全国2,000社超の支援実績をもとに採用定着士が伴走で組み立てます。「なぜ採れないのか」「なぜ辞めるのか」を現場目線で診断し、5ステップで仕組み化します。

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よくある質問

Q. 定着率はどのくらいあれば「良い」と言えますか?
A. 業種や企業規模によって異なりますが、一般的に90%以上であれば比較的良好とされています。まずは自社の現状を把握し、改善目標を設定することが大切です。

Q. オンボーディングの仕組みは中小企業でも導入できますか?
A. 導入可能です。大企業のような研修プログラムを用意する必要はありません。入社後の90日間に上司や先輩が定期的に声をかける体制を整えるだけでも、効果は十分に見込めます。

Q. 定着率向上の施策はどこから着手すればいいですか?
A. まずは直近1〜2年の離職者について「いつ、なぜ辞めたか」を整理し、離職の集中時期や共通する理由を特定することから始めてください。原因が分かれば、優先すべき施策が見えてきます。

Q. 外部の専門家に採用・定着の相談はできますか?
A. 可能です。採用定着士などの専門資格を持つコンサルタントに依頼すれば、自社の課題を客観的に診断し、優先度をつけた改善プランを提案してもらえます。

まとめ

定着率を上げるためには、採用時の情報開示、入社後90日間のオンボーディング、評価制度とキャリアパスの見える化という3つの仕組みを一気通貫で設計することが重要です。

どれか一つだけを改善しても効果は限定的です。採用の入口から、入社後のフォロー、そして日常の職場環境までをひとつの流れとして設計し、継続的に改善していくことが定着率向上の近道になります。

「何をどこから始めればいいか分からない」という場合は、まず直近の離職データを振り返り、自社の課題を整理するところから取り組んでみてください。

中野裕哲 採用定着関係紹介画像

この記事を監修した人


中野裕哲

中野裕哲/Nakano Hiroaki

起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、サーティファイドファイナンシャルプランナー・CFP(R)、1 級FP技能士。大正大学招聘教授(起業論、ゼミ等)

V-Spiritsグループ創業者。税理士法人V-Spiritsグループ代表。東京池袋を本拠に全国の起業家・経営者さんを応援!「ベストセラー起業本」の著者。著書20冊、累計25万部超。経済産業省後援「DREAMGATE」で12年連続相談件数日本一。

【まるごと起業支援(R)・経営支援】
起業コンサル(事業計画+融資+補助金+会社設立支援)+起業後の総合サポート(経理 税務 事業計画書 融資 補助金 助成金 人事 給与計算 社会保険 法務 許認可 公庫連携 認定支援機関)など

【略歴】
経営者である父の元に生まれ、幼き頃より経営者になることを目標として過ごす。バブル崩壊の影響を受け経営が悪化。一家離散に近い貧婚状況を経験し、「経営者の支援」をライフワークとしたいと決意。それに役立ちそうな各種資格を学生時代を中心に取得。

同じく経営者であるメンターの伯父より、単に書類や手続を追求する専門家としてではなく、視野を広げ「ビジネス」の現場での経験を元に経営者の「経営そのもの」を支援できるような専門家を目指すようアドバイスを受け、社会人生活をスタート。

大手、中小、ベンチャー企業、会計事務所等で営業、経理、財務、人事、総務、管理職、経営陣等、ビジネスの「現場」での充実した修行の日々を送ったあと、2007年に独立。

ほかにはない支援スタイルが起業家・経営者に受け入れられ、数々の実績を残しています。V-Spiritsグループは、起業支援・会社設立・創業融資・補助金助成金・税務会計・人事労務・許認可・経営顧問をワンストップで支援する、起業家・中小企業向けの専門家グループです。

  • 経済産業省「DREAM GATE」にて、面談相談12年連続日本一
  • 補助金・助成金支援実績600件超
  • ベストセラー含む起業・経営本20冊を出版(累計25万部超)
  • 無料相談件数は全国から累計3,000件超

この記事を書いた人

坂井 優介(Yusuke Sakai)

起業コンサルタント® / 採用定着士 / 行政書士法人V-Spirits 補助者

1988年東京都生まれ。転勤族の父の影響で幼少期を愛知・長野・岩手・埼玉で過ごす。転入するたびに方言や文化の違いをからかわれつつも、1週間もあれば現地に溶け込む適応力を身につける。

大学在学中に公認会計士試験にチャレンジするも挫折し、アルバイト先だった埼玉の大手学習塾に就職。塾業界特有の過酷な労働環境の中でも10年間勤務を続けるが、成果を上げても給与が変わらない状況に限界を感じ、在職中に会計士試験に再挑戦。再び挫折するも、学んだ会計知識を活かせる職場を求めて転職活動を開始。2021年にV-Spiritsグループに参画し、2022年よりV-Spirits総合研究所の常務取締役に就任。

現在は、中小企業の経営者向けに補助金・助成金の支援から採用定着の仕組みづくりまで幅広く担当。「制度を使いこなす中小企業を増やす」をテーマに、現場に寄り添ったサポートを行っている。

役職:V-Spirits総合研究所株式会社 常務取締役 / 税理士法人V-Spirits 業務部長 / 社会保険労務士法人V-Spirits 業務部長
担当業務:経済産業省系補助金支援・厚生労働省系助成金支援・マーケティング・人事労務・採用定着支援

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