
なぜあなたの会社に人材は定着しないのか?求人に応募が来ない本当の理由と一気通貫の改善策
【この記事でわかること】
- 売り手市場が続く現在、中小企業の採用がなぜ年々難しくなっているのか
- 求人に応募が来ない理由と、入社後すぐ辞められる理由が「同じ根因」にある理由
- 給与を上げるだけでは解決しない「働く環境」重視の採用市場の実態
- SNSと口コミが採用に与える無視できない影響
- 求人→採用→定着を一気通貫で改善するために、なぜ「社長マター」なのか
結論
採用難・定着難の本質的な原因は「外に出す情報と社内の実態の乖離」にあります。求人票に書かれた条件や発信する企業イメージと、実際の職場環境が一致していないとき、応募は集まらず、入社しても人は定着しません。
「求人を出しても応募が来ない」「採用してもすぐに辞めてしまう」——この二つの悩みを別々の問題として対処しようとする限り、根本的な解決は難しい状況です。採用難と定着難は同じ一本の根っこから生えており、改善も同じ軸で考える必要があります。
本記事では、一次資料に基づく市場データと現場の実態を整理しながら、中小企業の経営者・採用担当者が今すぐ取り組むべき視点を体系的にお伝えします。
「また辞めた」「また応募が来ない」——その繰り返しに心当たりはありませんか
採用の現場では、こうした声をよく耳にします。
- 求人サイトに掲載して1か月経つのに、応募がほとんどない
- 費用をかけてやっと採用できたのに、3か月も経たずに退職された
- 採用予算を増やして給与条件を引き上げたが、状況は変わらない
- 面接では「御社に入りたい」と言っていたのに、入社後のギャップが大きかったようだ
- ハローワークも転職サイトも試したが、どこも反応が薄い
このような状況に直面している中小企業の経営者・採用担当者は、今や珍しくありません。問題は「採用の打ち手が足りない」のではなく、「打ち手の方向性がずれている」ケースが大半です。
その方向性のズレを生んでいる背景として、まず現在の採用市場の構造を確認しておきましょう。
採用市場の現実——データが示す「売り手市場」の深刻さ
求人数は求職者数を大きく上回っている
現在の採用市場は、求職者よりも求人数が多い「売り手市場」が続いています。
厚生労働省の「一般職業紹介状況」によると、有効求人倍率は令和7年(2025年)平均で1.22倍です(厚生労働省「一般職業紹介状況(令和7年分)」(参照日:2026年6月3日)、参照日:2026年6月3日)。つまり、仕事を探している1人に対して1.22件の求人が存在しています。求職者は複数の求人の中から自分に合った企業を選べる立場にあり、企業側が「選ばれる側」であることを意味します。
また、総務省統計局の労働力調査によると、2025年の完全失業率は2.5%と低水準で推移しています(総務省統計局「労働力調査2025年平均結果」(参照日:2026年6月3日)、参照日:2026年6月3日)。求職者にとって「どこかに採用される」こと自体のハードルは下がっており、企業は同業他社との激しい競争の中で応募者を獲得しなければならない状況です。
中小企業に限ると、状況はさらに厳しくなります。帝国データバンクの調査(2025年7月)では、中小企業の正社員における人手不足率は50.8%に達しており(帝国データバンク「人手不足企業動向調査(2025年7月)」(参照日:2026年6月3日)、参照日:2026年6月3日)、2社に1社以上が人手不足を感じています。
人手不足は「倒産」にまで直結している
人材の問題はHR部門だけの悩みではなく、経営存続に関わる問題です。
帝国データバンクの調査によると、2024年度に人手不足を直接の原因とする倒産は350件で、2年連続過去最多を記録しました(帝国データバンク「人手不足倒産動向調査(2024年度)」(参照日:2026年6月3日)、参照日:2026年6月3日)。そのうち従業員10人未満の小規模事業者が約8割を占めており、中小企業・小規模事業者にとって人手不足は事業継続リスクそのものです。
「採用できなくて困っている」という段階から、「採用できないために会社が立ち行かなくなる」という段階への移行は、思いのほか早く訪れます。
給与だけで選んでいない求職者の実像
「給与水準を上げれば応募が来る」と考えている経営者は少なくありません。しかし、求職者の意識は変化しています。
東京商工会議所「2025年度新入社員意識調査」(JILPT掲載)によると、就職先を決める際に重視したこととして1位に挙げたのは「社風・職場の雰囲気」(58.8%)で、「給与・待遇(52.7%)」を約6ポイント上回っています(東京商工会議所「2025年度新入社員意識調査」(参照日:2026年6月3日)、参照日:2026年6月3日)。
給与は重要な要素ですが、職場の雰囲気・文化・人間関係を重視する求職者の割合が給与を超えている事実は、採用戦略を考え直す上で重要な示唆です。給与条件を競合他社と横並びにするだけでは、応募数の改善に直結しないことがあります。
SNSと口コミが採用の「前段階」で機能している
現代の求職者は、企業の求人票だけを見て応募を決めるわけではありません。
エン・ジャパンの「転職活動時のクチコミ閲覧実態調査(2024年)」によると、転職活動中に社員の口コミを「見る」と回答した割合は50%で、そのうちクチコミを見ると答えた転職者の91%が「応募前」に確認しているとされています(エン・ジャパン「転職活動時のクチコミ閲覧実態調査(2024年)」(参照日:2026年6月3日)、参照日:2026年6月3日)。口コミを確認する求職者の大半が、応募を決める前の段階で企業評価を行っているわけです。
さらに、クチコミを見ると答えた転職者のうち、口コミを見て応募・選考・内定を「辞退したことがある」と答えた割合は67%にのぼります(出典:エン・ジャパン「転職活動時のクチコミ閲覧実態調査(2024年)」、参照日:2026年6月3日)。辞退に影響した口コミの内容として、「人手不足・人が辞める」「従業員の士気の低さ・人間関係の悪さ」が共に47%で同率2位・3位となっています(出典:エン・ジャパン「転職活動時のクチコミ閲覧実態調査(2024年)」、参照日:2026年6月3日)。
つまり、職場内の実態が口コミとして外に漏れ出た瞬間に、それが応募数を左右する強力なシグナルになっているのです。
また、2024年に転職した正社員の51.3%が転職後にSNSや口コミサイトに前職について投稿しているというデータ(マイナビ「転職者のSNS発信と企業対応に関する実態調査(2025年)」)もあり(マイナビ「転職者のSNS発信と企業対応に関する実態調査(2025年)」(参照日:2026年6月3日)、参照日:2026年6月3日)、採用担当者の65.9%が自社のネガティブ情報をSNS・口コミサイトで見かけたことがあると回答しています(出典:マイナビ「転職者のSNS発信と企業対応に関する実態調査(2025年)」、参照日:2026年6月3日)。退職者が生み出す「負の情報資産」は、採用活動に静かに影響し続けます。
求人・採用・定着を「一気通貫」で考える必要がある理由
応募が来ない理由と、定着しない理由は同じ根っこにある
多くの企業が採用と定着を別々の問題として対処します。「応募数が少ない」→求人媒体を変える、「早期退職が多い」→オンボーディングを見直す、といった対応です。
しかし本質的な問題はひとつです。
「外に出している情報(求人票・SNS発信)と、社内の実態が一致していない」
この乖離こそが、応募が来ない理由であり、採用しても定着しない理由でもあります。
求人票には「風通しの良い職場」「残業少なめ」と書きながら、実際の職場は慢性的な人手不足で残業が常態化している——このような状態では、たとえ採用できたとしても入社後すぐに離脱が起きます。そして離脱した従業員が口コミに「求人情報と全然違った」と投稿すれば、次の採用はさらに難しくなります。
これは悪循環の構造です。悪循環を断ち切るには、入り口(求人票・発信情報)を変えるだけでも、出口(退職防止施策)を変えるだけでも不十分です。「情報と実態の一致」という軸で全体を再設計する必要があります。
採用設計の上流が定着率を決めている
競合他社の採用改善策の多くは「入社後施策」(オンボーディング強化・メンター制度・研修充実)に集中しています。それらも重要ですが、定着率に最も影響するのは「入社前の採用設計」です。
| 確認項目 | チェックの視点 |
|---|---|
| 求人票の記載内容 | 仕事内容・労働環境・待遇が、今この瞬間の社内実態と一致しているか |
| 採用基準の設計 | 「自社の実態に合う人材」を選ぶ基準になっているか。「誰でも歓迎」になっていないか |
| 面接での情報提供 | 応募者に伝えている職場情報は、実際に働いている社員が感じているリアルと合っているか |
これらが誤っていると、「入ってほしくない人が入り」「入ってほしい人が来ない」という状態が慢性化します。採用基準と採用メッセージを見直すことが、定着率改善の最上流にある施策です。
なぜこれは「社長マター」なのか
求人票の文言や採用基準の設定は、採用担当者だけで変えられる問題ではありません。なぜなら、「どんな職場を作りたいのか」「どんな人に来てほしいのか」「今の職場環境の何を変えるのか」という判断は、経営判断そのものだからです。
採用広報の内容や採用基準の変更、職場環境の改善投資——これらを束ねて意思決定できるのは経営トップだけです。人手不足倒産が現実に起きている今、採用・定着問題を「担当者に任せておけばいい」として経営課題から外しておくことには大きなリスクがあります。
採用・定着の戦略と仕組みづくりをまるごとサポート
V-Spiritsの採用定着支援サービスでは、給与・条件の競合リサーチ、求人原稿の改善、応募後24時間以内の初動対応など、採用がうまくいく会社が実践している型を全国2,000社超の支援実績をもとに採用定着士が伴走で組み立てます。「なぜ採れないのか」「なぜ辞めるのか」を現場目線で診断し、5ステップで仕組み化します。
陥りやすい「部分最適」の落とし穴
失敗例① 給与アップだけで改善しようとした
「給与を上げれば応募が来るはず」と採用予算を投入したが、応募数が思ったほど増えなかった——という事例は少なくありません。前述のとおり、現在の求職者は職場の雰囲気や人間関係を給与以上に重視しています。給与水準の引き上げは一定の効果はあるものの、それだけでは職場環境の問題は解決されません。
失敗例② 求人票を「よく見せる」方向に磨いた
求人票のキャッチコピーを洗練させ、会社の魅力を強調した結果、応募数は一時的に増えたが離職率が上がった——これは「情報と実態の乖離」を広げる方向に進んだ典型です。応募数を増やすための情報と、定着につながる情報は別物ではなく、同じ「実態をそのまま伝えること」から生まれます。
失敗例③ 離職対策を「オンボーディング」だけで解決しようとした
入社後のフォロー施策を充実させたにも関わらず、早期離職が止まらなかった——この場合、問題の根は採用段階にある可能性が高いです。入社前の情報と入社後の実態にギャップがある限り、どれだけ丁寧に迎え入れても「こんな会社だと思っていなかった」という離脱は防ぎにくい状況です。
失敗例④ 中小企業の3年以内離職率を軽視していた
厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒)」によると、大卒3年以内離職率の全国平均は33.8%です(厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒)」(参照日:2026年6月3日)、参照日:2026年6月3日)。しかし事業所規模5人未満では57.5%、5〜29人では52.0%と、中小企業では大企業(27.0%)の約2倍に達します(出典:厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒)」、参照日:2026年6月3日)。「うちの会社は仕方がない」と受け入れてしまうのではなく、この数値を「改善できるもの」として捉えることが出発点です。
FAQ
失敗パターンまとめ
| 失敗パターン | 陥りやすい状況 | 本質的な問題 |
|---|---|---|
| ① 給与アップだけで対処 | 採用予算を増やしたが応募数が変わらない | 求職者は環境・雰囲気を給与以上に重視している |
| ② 求人票を「よく見せる」 | 応募は増えたが離職率が上がった | 情報と実態の乖離をさらに広げる |
| ③ オンボーディングだけ強化 | 入社フォローを手厚くしても早期離職が止まらない | 問題の根は入社前の採用設計にある |
| ④ 離職率を「仕方ない」と放置 | 中小企業だから仕方ないと諦めている | 5〜29人規模の離職率52%は改善できる数値 |
| ⑤ 面接を「見定める場」にする | 履歴書を当日初読みで質問を繰り返す | 優秀な人材ほど複数社を比較。面接が内定辞退の原因になる |
V-Spirits が現場でよく見る「外と内の乖離パターン」
採用・定着の支援を通じて、中小企業の現場でよく目にする乖離のパターンを3つ紹介します。自社に当てはまる項目がないか、確認してみてください。
パターン① 昔の制度・ルールが求人票に残っている
以前は実施していたが、現在は社内で形骸化・廃止されている制度が、求人票にそのまま書かれているケースです。「資格取得支援あり」「育休取得実績100%」など、かつては事実だったが今は運用されていない記述が代表例です。
入社した社員が「求人に書いてあったのに実際はなかった」と感じた瞬間、信頼は大きく損なわれます。求人票の記載内容は、少なくとも半年に1回は社内の実態と照らし合わせて見直すことをおすすめします。
パターン② 「未経験者歓迎」と書きながら、受け入れ体制がない
「未経験者歓迎」「丁寧に指導します」と記載しながら、実際には教育担当者が決まっていない、指導マニュアルがない、OJTの流れが設計されていない——というケースは少なくありません。
未経験者は入社直後のサポートが定着率に直結します。「歓迎する」と発信するなら、受け入れ側の体制を先に整えることが必要です。求人票の文言と社内の準備状況を同時に見直すことがポイントです。
パターン③ 「ほしい人材」に向けた求人になっていない
「人手不足だから誰でもいい」という状態で求人を出すと、ミスマッチが起きやすくなります。ほしい人材像が曖昧なままの求人票は、自社に合わない人材を引き寄せ、定着率を下げる原因になります。
採用活動の前に「どんな人に来てほしいのか」「その人が入社後に違和感を感じないか」を具体的に描くことが、採用精度と定着率を同時に改善する出発点です。
乖離パターン早見表
| 乖離パターン | よくある状況 | 改善の方向性 |
|---|---|---|
| ① 昔の制度が残っている | 「資格取得支援あり」など形骸化した記述が求人票に残る | 半年に1回、求人票と社内実態を照合して更新する |
| ② 未経験歓迎だが受け入れ体制がない | OJT担当・指導マニュアルが未整備のまま募集している | 求人票の文言と受け入れ体制を同時に整備する |
| ③ 「ほしい人材」が不明確 | 「誰でもいい」で出した求人がミスマッチを生んでいる | 採用前にターゲット像を定義し、その人向けの求人文を作る |
求人票を見直す3つのチェックポイント
求人票の改善は、費用をかけずに取り組める採用改善の第一歩です。以下の3つの観点で確認してみてください。
| チェックポイント | 確認する問い |
|---|---|
| ① ほしい人材に向けた内容になっているか | 「誰でも歓迎」ではなく、自社が求める人物像に刺さる言葉・表現になっているか |
| ② 入社後の受け入れ体制と一致しているか | 「未経験歓迎」「丁寧な指導」と書いた場合、実際に指導の流れ・担当者が用意されているか |
| ③ 求人票の記載と社内の実態が一致しているか | 労働時間・残業・休日・制度・雰囲気など、書かれている内容が今この瞬間の実態と合っているか |
この3つのどれか一つでも「ずれている」と感じた場合、そこが採用難・定着難の根因になっている可能性があります。
失敗例⑤ 面接を「見定める場」にしている
多くの中小企業で見られる採用の失敗パターンが、面接を「求職者を見定める場」として使ってしまっていることです。
本来、面接は求職者を自社のファンにするための営業の場です。優秀な人材ほど複数社を並行して選考しており、面接の印象が「この会社に入りたい」という意思決定に直結します。
面接官が履歴書を初めて読みながら「なぜ転職を?」「長所は?」と聞き続けていると、求職者は「この会社は私のことを大切にしてくれない」と感じます。
改善のポイント:
| やめること | 代わりにやること |
|---|---|
| 面接当日に初めて履歴書を読む | 事前に熟読し、基本確認を最小限にする |
| 「なぜ転職を?」「長所は?」を繰り返す | 事前に性格診断・価値観診断を受けてもらい、人物像を把握して臨む |
| 面接=見定める場として設計する | 「入社後のビジョンを一緒に描く」「会社の魅力を伝える」営業の場にする |
| 「選ぶ側」の意識で進行する | 「選んでもらう」意識で、求職者が「ここで働きたい」と感じる設計にする |
採用基準の確認は面接の一部として組み込みつつ、「ファン化」に軸足を置いた面接設計が、採用精度と定着率を同時に高める近道です。
よくある質問(FAQ)
Q1. 有効求人倍率が高いとはいえ、業種によっては違うのではないですか?
A. 確かに業種や地域によって有効求人倍率には差があります。ただし、1.22倍という数値は全業種・全国平均であり(出典:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和7年分)」、参照日:2026年6月3日)、特に製造・建設・介護・飲食などの分野では平均を大きく上回る求人倍率が続いています。自社の業種における求人倍率も確認したうえで、採用戦略を検討することをおすすめします。
Q2. 給与を上げずに採用力を高めることはできますか?
A. 可能です。就職先を決める際に「社風・職場の雰囲気(58.8%)」が「給与・待遇(52.7%)」を上回っているデータが示すとおり(出典:東京商工会議所「2025年度新入社員意識調査」、参照日:2026年6月3日)、給与以外の要素——人間関係・働き方・成長機会・職場の透明性——を丁寧に伝えることで応募数を改善できるケースがあります。ただし「伝え方」だけでなく「実態」が伴うことが前提です。
Q3. SNSや口コミに書かれたネガティブな情報は削除できますか?
A. 原則として、第三者が口コミサイトやSNSに投稿した内容を企業側が削除することは難しい状況です。対応策としては、公式情報で誠実な発信を続けること、問題の根本にある職場環境の実態を改善することが現実的なアプローチです。採用担当者の65.9%がネガティブ情報を見かけている(出典:マイナビ「転職者のSNS発信と企業対応に関する実態調査(2025年)」、参照日:2026年6月3日)という現実に対して、「消す」より「作らない・減らす」という姿勢が重要です。
Q4. 求人票と実態の乖離はどうやって確認すればよいですか?
A. まず、自社の求人票に書かれている内容(労働時間・休日・職場の雰囲気など)と、現在働いている社員の実感を比較することが有効です。在職者へのヒアリングや匿名アンケート、既存社員が書いた口コミ情報を客観的に読む、といった方法で現状把握ができます。乖離がある項目は、「求人票を修正する」か「実態を変える」かのいずれかを選ぶことになります。
Q5. 小さな会社では採用・定着改善に大きな予算をかけられません。どこから着手すればよいですか?
A. 費用をほとんどかけずに取り組めることとして、まず「求人票の内容の見直し」があります。実態と乖離している表現を修正し、働く現場のリアルを伝える内容に変えるだけでも、応募者の質や入社後のミスマッチが改善するケースがあります。次いで、離職した社員がどのような理由で辞めたかを整理し、採用基準や条件の見直しに活かすことも有効です。
Q6. 定着率改善は採用担当者の仕事ではないのですか?
A. 採用担当者が実務を担うことは間違いありません。しかし、職場環境の改善・採用基準の設定・求人票のメッセージ変更・採用予算の配分など、本質的な改善には経営判断が必要です。これらを「担当者の問題」として経営者が距離を置くと、改善の速度と深度が大きく制約されます。採用・定着問題は、経営者が当事者として関与することで初めて機能する課題です。
Q7. 競合他社より条件が悪い場合、採用できないのは仕方がないですか?
A. 給与・福利厚生などの条件面での差は確かに影響します。ただし、求職者が企業を選ぶ際には、条件だけでなく「ここで働きたいか」という総合的な判断が行われています。職場の透明性・誠実な情報発信・職場の雰囲気・自分の成長機会などは、大企業との条件差を補える要素です。「条件で勝てないから無理」と諦める前に、条件以外で差別化できる要素を洗い出すことをおすすめします。
まとめ
採用難・定着難に悩む中小企業に共通するのは、「問題を別々に解決しようとしている」という点です。しかし、求人に応募が来ない理由と、採用しても定着しない理由は同じ根っこにあります。それは「外に出す情報と社内の実態の乖離」です。
ここで整理した内容を振り返ります。
| 視点 | 現状の課題 | 改善の方向性 |
|---|---|---|
| 市場環境 | 売り手市場(有効求人倍率1.22倍)(出典:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和7年分)」、参照日:2026年6月3日) | 企業が「選ばれる側」であることを前提に戦略を立てる |
| 求職者の意識 | 社風・雰囲気(58.8%)が給与(52.7%)を上回り1位(出典:東京商工会議所「2025年度新入社員意識調査」、参照日:2026年6月3日) | 職場環境・文化の整備と正直な発信 |
| SNS・口コミ | クチコミを見た転職者の91%が応募前に確認、67%が辞退経験あり(出典:エン・ジャパン「転職活動時のクチコミ閲覧実態調査(2024年)」、参照日:2026年6月3日) | 実態を伴った職場づくりと透明性ある発信 |
| 離職率 | 中小企業(5〜29人)の3年以内離職率52.0%(出典:厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒)」、参照日:2026年6月3日) | 採用基準・求人設計の上流から見直す |
| 経営リスク | 人手不足倒産350件(2024年度、2年連続過去最多)(出典:帝国データバンク「人手不足倒産動向調査(2024年度)」、参照日:2026年6月3日) | 経営者自らが採用・定着改善を主導する |
求人票の改善・採用基準の見直し・職場環境の整備——これらはすべてつながっています。そして、それをつなげて動かせるのは経営トップだけです。採用・定着の問題を「担当者に任せる課題」ではなく「社長マターの経営課題」として再定義することが、最初の重要な一歩です。
V-Spirits の採用・定着支援について
V-Spiritsでは、中小企業の経営者・採用担当者を対象に、求人票の見直しから採用基準の設計・職場環境改善のアドバイザリーまで、採用・定着を一気通貫でサポートしています。「何から手をつけていいかわからない」という段階からご相談いただけますので、お気軽にお問い合わせください。

この記事を監修した人

中野裕哲/Nakano Hiroaki
起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、サーティファイドファイナンシャルプランナー・CFP(R)、1 級FP技能士。大正大学招聘教授(起業論、ゼミ等)
V-Spiritsグループ創業者。税理士法人V-Spiritsグループ代表。東京池袋を本拠に全国の起業家・経営者さんを応援!「ベストセラー起業本」の著者。著書20冊、累計25万部超。経済産業省後援「DREAMGATE」で12年連続相談件数日本一。
【まるごと起業支援(R)・経営支援】
起業コンサル(事業計画+融資+補助金+会社設立支援)+起業後の総合サポート(経理 税務 事業計画書 融資 補助金 助成金 人事 給与計算 社会保険 法務 許認可 公庫連携 認定支援機関)など
【略歴】
経営者である父の元に生まれ、幼き頃より経営者になることを目標として過ごす。バブル崩壊の影響を受け経営が悪化。一家離散に近い貧婚状況を経験し、「経営者の支援」をライフワークとしたいと決意。それに役立ちそうな各種資格を学生時代を中心に取得。
同じく経営者であるメンターの伯父より、単に書類や手続を追求する専門家としてではなく、視野を広げ「ビジネス」の現場での経験を元に経営者の「経営そのもの」を支援できるような専門家を目指すようアドバイスを受け、社会人生活をスタート。
大手、中小、ベンチャー企業、会計事務所等で営業、経理、財務、人事、総務、管理職、経営陣等、ビジネスの「現場」での充実した修行の日々を送ったあと、2007年に独立。
ほかにはない支援スタイルが起業家・経営者に受け入れられ、数々の実績を残しています。V-Spiritsグループは、起業支援・会社設立・創業融資・補助金助成金・税務会計・人事労務・許認可・経営顧問をワンストップで支援する、起業家・中小企業向けの専門家グループです。
- 経済産業省「DREAM GATE」にて、面談相談12年連続日本一
- 補助金・助成金支援実績600件超
- ベストセラー含む起業・経営本20冊を出版(累計25万部超)
- 無料相談件数は全国から累計3,000件超
この記事を書いた人
坂井 優介(Yusuke Sakai)
起業コンサルタント® / 採用定着士 / 行政書士法人V-Spirits 補助者
1988年東京都生まれ。転勤族の父の影響で幼少期を愛知・長野・岩手・埼玉で過ごす。転入するたびに方言や文化の違いをからかわれつつも、1週間もあれば現地に溶け込む適応力を身につける。
大学在学中に公認会計士試験にチャレンジするも挫折し、アルバイト先だった埼玉の大手学習塾に就職。塾業界特有の過酷な労働環境の中でも10年間勤務を続けるが、成果を上げても給与が変わらない状況に限界を感じ、在職中に会計士試験に再挑戦。再び挫折するも、学んだ会計知識を活かせる職場を求めて転職活動を開始。2021年にV-Spiritsグループに参画し、2022年よりV-Spirits総合研究所の常務取締役に就任。
現在は、中小企業の経営者向けに補助金・助成金の支援から採用定着の仕組みづくりまで幅広く担当。「制度を使いこなす中小企業を増やす」をテーマに、現場に寄り添ったサポートを行っている。
役職:V-Spirits総合研究所株式会社 常務取締役 / 税理士法人V-Spirits 業務部長 / 社会保険労務士法人V-Spirits 業務部長 担当業務:経済産業省系補助金支援・厚生労働省系助成金支援・マーケティング・人事労務・採用定着支援
脚注(出典一覧)
- 厚生労働省「一般職業紹介状況(令和7年分)」(参照日:2026年6月3日)
- 総務省統計局「労働力調査2025年平均結果」(参照日:2026年6月3日)
- 帝国データバンク「人手不足企業動向調査(2025年7月)」(参照日:2026年6月3日)
- 帝国データバンク「人手不足倒産動向調査(2024年度)」(参照日:2026年6月3日)
- 東京商工会議所「2025年度新入社員意識調査」(参照日:2026年6月3日)
- エン・ジャパン「転職活動時のクチコミ閲覧実態調査(2024年)」(参照日:2026年6月3日)
- マイナビ「転職者のSNS発信と企業対応に関する実態調査(2025年)」(参照日:2026年6月3日)
- 厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒)」(参照日:2026年6月3日)




























