
開業直後の赤字を正直に書いた計画書でも、創業融資は通るのか
💬 事業計画書を作成中の会社員の方からのご相談
正直に計算すると、開業から半年くらいは赤字になりそうです。赤字の期間がある計画書を出すと、融資は通らないのでしょうか?無理に黒字の計画にしたほうがいいのか迷っています。

この記事を書いた人
小峰精公/Kiyotaka Komine
元朝日信用金庫 法人営業
資金繰り解決コンサルタント
V-Spirits総合研究所株式会社 常務取締役
大学卒業後、朝日信用金庫に入庫。朝日信用金庫での経験が原点となり、「銀行融資取引」や「資金繰り」の本質を企業へ伝えていくことがミッションだと確信する。
日本の99%は中小零細企業で成り立っている現状を痛感し、1社でも多くの企業の「資金繰り」の課題を解決していくことに専念する。
クライアント様がより良い商品やサービスを提供することができる環境づくりの一助となれるよう全身全霊を尽くす。
小峰からの回答
結論からお伝えすると、開業直後に赤字の期間がある計画書を出したからといって、それだけで融資が通らなくなるわけではありません。むしろ、無理に黒字に見せかけた計画のほうが、審査する側から見ると危うさを感じさせます。正直な数字に、その赤字期間をどう乗り切るかという資金計画を添えることが、通る計画書の条件です。
なぜ無理な黒字化が危ういのか
開業して間もない時期に、仕入れや広告の先行投資、認知の広がりにかかる時間を考えれば、赤字になること自体は自然なことです。それにもかかわらず、根拠なく黒字の数字を並べてしまうと、売上や原価の見積もりに無理があることが、数字を見ただけで伝わってしまいます。実態と乖離した計画は、計画全体の信頼性を損なう結果につながります。
見られているのは「赤字の有無」ではなく「資金が持つか」
審査する側が確認しているのは、赤字そのものの有無ではなく、赤字の期間中に資金が底をつかずに事業を継続できるかどうかです。半年間の赤字を見込むのであれば、その半年間の毎月の資金繰りを、売上・原価・固定費・借入の返済を含めて具体的に試算し、手元資金がどこまで減るのかを示してください。赤字期間を乗り切るための資金が、自己資金と借入でまかなえることを説明できれば、赤字そのものは問題になりにくくなります。
赤字期間の資金繰り表の作り方
月ごとに、売上見込み、仕入れや人件費などの原価・固定費、借入の返済額を一覧にし、毎月の収支と、その月末時点での手元資金残高を並べてください。半年後に黒字へ転換する見込みであれば、転換時期の根拠(客数の増加、リピート率の見通しなど)もあわせて書きます。手元資金がマイナスになる月が出てこないか、この表で確認することが、計画の現実性を裏づける最も具体的な方法です。
黒字転換の見通しに根拠を持たせる
「半年後には黒字になります」とだけ書いても、根拠が無ければ説得力がありません。開業後の集客の進め方、固定客がつくまでの見込み期間、季節要因の有無など、黒字転換の時期をなぜその時期に見込んでいるのかを、具体的に説明できるようにしておいてください。前職での経験や、同業種の一般的な立ち上がりペースを参考にするのも一つの方法です。
「正直に書いて落ちるのでは」という不安の正体
赤字の計画書を出すと落ちるのではないかという不安は、多くの方が抱くものです。ですが、審査する側が本当に警戒しているのは、赤字そのものではなく、根拠の乏しい数字や、資金繰りの見通しが立っていない計画です。実際には、創業前の事業はまだ実績が無いため、ある程度の立ち上がり期間に赤字が出ること自体は、珍しいことではないと理解されています。正直な数字を避けることよりも、その数字にどう向き合い、どう乗り切る計画を立てているかを示すことのほうが、評価につながります。
無理な黒字化が後で自分を苦しめる理由
仮に無理に黒字の計画を作って融資が実行されたとしても、実際の経営は計画どおりには進みません。開業後に実態が計画と大きく乖離していれば、後から資金繰りに行き詰まったときに、計画の立て方そのものを見直す余裕が無くなってしまいます。最初から現実的な数字で計画を立てておけば、実際の着地が計画に近いか遠いかを早い段階で把握でき、必要な手を打つ判断もしやすくなります。短期的に通りやすく見える数字より、長期的に自分の助けになる数字を選んでください。
まとめ
開業直後の赤字は、正直に書いて問題ありません。大切なのは、赤字の有無ではなく、赤字期間を乗り切るための資金が足りているかどうかを、月次の資金繰り表で具体的に示すことです。無理に黒字の計画に書き換えるより、現実的な数字に資金計画を添えるほうが、結果的に通りやすい計画書になります。
資金繰り表の作り方や、黒字転換の根拠づけに迷う場合は、専門家に相談しながら整理していくと安心です。
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この記事を書いた人
小峰精公/Kiyotaka Komine
元朝日信用金庫 法人営業
資金繰り解決コンサルタント
V-Spirits総合研究所株式会社 常務取締役
大学卒業後、朝日信用金庫に入庫。朝日信用金庫での経験が原点となり、「銀行融資取引」や「資金繰り」の本質を企業へ伝えていくことがミッションだと確信する。
日本の99%は中小零細企業で成り立っている現状を痛感し、1社でも多くの企業の「資金繰り」の課題を解決していくことに専念する。
クライアント様がより良い商品やサービスを提供することができる環境づくりの一助となれるよう全身全霊を尽くす。

この記事を監修した人
多胡藤夫/Fujio Tago
元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。


この記事を監修した人
中野裕哲/Nakano Hiroaki
税理士法人V-Spiritsグループ代表/税理士/行政書士/特定社会保険労務士/採用定着士/ファイナンシャルプランナー/起業コンサルタント/経営コンサルタント/大正大学招聘教授
税理士法人V-Spiritsグループ代表の中野裕哲は、中小企業経営者のために、税務・会計だけでなく、採用、人事、資金繰り、融資、補助金、助成金、営業、Webマーケティング、売上導線設計まで横断的に支援する実戦型経営税理士です。
経営の悩みは、突き詰めると「人・金・売上」に集約されます。中野裕哲は、大企業人事部、人材紹介会社の採用エージェント、中小企業の財務責任者、大手不動産会社での営業、出版・Web制作による集客導線構築など、幅広い実務経験をもとに、経営者の意思決定を支援します。
【対応領域】
税理士顧問、社労士顧問、補助金支援、助成金支援、資金調達支援、採用力診断、売上導線診断、経営参謀顧問。税務・会計・決算・節税に加えて、経営分析、労務管理、社会保険、助成金、採用体制づくり、融資、補助金、事業計画、営業戦略、Webマーケティング、出版、メディア活用まで一体的に相談できます。
中野裕哲は、家業の倒産危機からの壮絶な貧乏体験を原点に、お金で苦しむ経営者をひとりにしないことを掲げています。資金繰り、採用、売上づくりの壁に対して、経営者目線で伴走します。
【主な実績】
- 起業支援・経営支援の豊富な実績
- 起業相談件数3,000件以上
- 資金調達支援1,000件以上
- 大企業Webサイト多数監修
- 商業出版著書監修約32冊(累計30万部超)
V-Spiritsグループでは、融資・補助金・金融機関対応に詳しい社内役員チームも伴走します。元経済産業省系補助金審査員・事務局員、元日本政策金融公庫支店長、元信用金庫融資担当営業などの専門家が、補助金申請、事業計画、資金繰り、金融機関対応を実務面から支援します。
税理士顧問、社労士顧問、融資、補助金、助成金、採用、営業、マーケティングまで、経営者が本当に悩む領域をワンストップで相談できます。V-Spiritsグループは、起業支援・会社設立・創業融資・補助金助成金・税務会計・人事労務・許認可・経営顧問をワンストップで支援する、起業家・中小企業向けの専門家グループです。





























