
ネットショップと実店舗、両方同時に開業するときの創業融資の考え方
ネットショップと実店舗を同時に立ち上げたいと考える方にとって、悩ましいのが資金計画です。それぞれ単体で開業する場合とは異なり、両方の初期費用・運転資金を一つの事業計画にまとめる必要があります。
この記事では、ネットショップと実店舗を同時開業する場合の創業融資の考え方と、資金計画を立てるうえでのポイントを解説します。
ネットショップと実店舗、それぞれの資金の特徴
ネットショップは、パソコンやインターネット環境、サイト構築費用、在庫の仕入費用などが主な資金使途になり、実店舗に比べて初期費用を抑えやすいのが特徴です。一方、実店舗は物件契約に伴う初期費用や内装工事費、什器の購入費などが加わり、必要資金が大きくなりやすくなります。両方を同時に開業する場合は、この2つの資金使途を合算して事業計画を組み立てる必要があります。
創業融資の基本と申請額の考え方
日本政策金融公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」は、原則として無担保・無保証人で利用でき、融資限度額は最大7,200万円(うち運転資金4,800万円)です。審査では、事業として創業した実績がなくても、事業計画書と自己資金などをもとに判断されます。ネットショップと実店舗を同時開業する場合も、この基本的な仕組みは変わりません。
申請額を検討するときは、ネットショップと実店舗、それぞれに必要な設備資金・運転資金を分けて見積もったうえで、総額から自己資金を差し引いた額をベースに考えます。両方を同時に立ち上げる分、単体開業より必要資金の総額が大きくなりやすいため、事業計画書で「なぜ両方同時に必要なのか」を具体的に説明できるようにしておくことが重要です。
事業計画書で押さえておきたいポイント
ネットショップと実店舗を両方運営する場合、事業計画書では次のような点を整理しておくと、審査対応がしやすくなります。
- ネットショップと実店舗、それぞれの売上見込みとその根拠
- 在庫をどう共有・管理するか(実店舗とネットショップで在庫を分けるか、一括管理するか)
- それぞれのチャネルにかかる運転資金(実店舗の家賃・人件費、ネットショップの物流費など)
- 両方を同時に立ち上げる場合と、どちらかを先行させる場合の比較
運転資金については、従業員の人件費や役員報酬は事業活動に必要な経費として資金使途の対象になります。ネットショップと実店舗の両方を運営する場合、発送作業やスタッフの配置など、人件費の見積もりが単体開業より複雑になりやすいため、丁寧に整理しておくことをおすすめします。
同時開業と段階的開業、どちらが資金計画上有利か
資金計画の観点では、ネットショップと実店舗を同時に立ち上げるのではなく、どちらかを先行して開業し、軌道に乗ってからもう一方を始めるという進め方も選択肢になります。同時開業は初期の資金負担が大きくなる一方、早期に両方のチャネルで売上を作れる可能性があります。段階的な開業は資金負担を分散できる一方、もう一方のチャネルを立ち上げるまでに時間がかかります。
どちらが適しているかは、自己資金の額や事業の性質によって変わるため、事業計画を作成する段階で複数のシナリオを比較検討しておくとよいでしょう。自己資金は面談時点で口座に確認できる形にしておくことが基本です。
融資限度額・金利・据置期間の基本
基準利率は2026年6月1日時点で、創業期(税務申告を2期終えていない場合)で年3.45〜5.15%です。制度・審査条件によって実際の適用利率は変わるため、申請時点の最新情報を確認してください。元金返済の据置期間は5年以内で設定でき、据置中は利息のみの支払いとなるため、両チャネルの売上が安定するまでのキャッシュフローに余裕を持たせることができます。
V-Spiritsの創業融資支援実績
V-Spiritsグループは、これまでに712件(2026年6月時点)の創業融資を支援してきました。幅広い業種の創業者を支援してきた実績があり、複数チャネルを組み合わせた事業計画の相談にも対応しています。資金計画の作り込みに不安がある場合は、こうした支援実績を持つ専門家に相談してみるのも一つの方法です。
よくある質問
Q. ネットショップと実店舗、両方同時に融資を申請できますか
A. 一つの事業計画として両方の資金使途をまとめて申請することができます。それぞれの必要資金と根拠を明確に整理しておくことが重要です。
Q. 在庫は実店舗とネットショップで別々に用意すべきですか
A. 在庫の管理方法は事業の運営方針によって異なります。一括管理する場合と分けて管理する場合それぞれのメリット・デメリットを事業計画に反映させておくとよいでしょう。
Q. 同時開業のほうが融資審査で不利になりますか
A. 同時開業だから一律に不利になるわけではありません。必要資金の総額が大きくなる分、事業計画の説得力がより重要になります。
まとめ
ネットショップと実店舗を同時に開業する場合、両方の資金使途を合算した事業計画を組み立てる必要があります。それぞれの売上見込みと運転資金を分けて整理し、同時開業と段階的開業のどちらが自社に合うかを比較検討することが、資金計画を成功させるポイントです。
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この記事を書いた人
小峰精公/Kiyotaka Komine
元朝日信用金庫 法人営業
資金繰り解決コンサルタント
V-Spirits総合研究所株式会社 常務取締役
大学卒業後、朝日信用金庫に入庫。朝日信用金庫での経験が原点となり、「銀行融資取引」や「資金繰り」の本質を企業へ伝えていくことがミッションだと確信する。
日本の99%は中小零細企業で成り立っている現状を痛感し、1社でも多くの企業の「資金繰り」の課題を解決していくことに専念する。
クライアント様がより良い商品やサービスを提供することができる環境づくりの一助となれるよう全身全霊を尽くす。

この記事を監修した人
多胡藤夫/Fujio Tago
元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。

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中野裕哲/Nakano Hiroaki
税理士法人V-Spiritsグループ代表/税理士/行政書士/特定社会保険労務士/採用定着士/ファイナンシャルプランナー/起業コンサルタント/経営コンサルタント/大正大学招聘教授
税理士法人V-Spiritsグループ代表の中野裕哲は、中小企業経営者のために、税務・会計だけでなく、採用、人事、資金繰り、融資、補助金、助成金、営業、Webマーケティング、売上導線設計まで横断的に支援する実戦型経営税理士です。
経営の悩みは、突き詰めると「人・金・売上」に集約されます。中野裕哲は、大企業人事部、人材紹介会社の採用エージェント、中小企業の財務責任者、大手不動産会社での営業、出版・Web制作による集客導線構築など、幅広い実務経験をもとに、経営者の意思決定を支援します。
【対応領域】
税理士顧問、社労士顧問、補助金支援、助成金支援、資金調達支援、採用力診断、売上導線診断、経営参謀顧問。税務・会計・決算・節税に加えて、経営分析、労務管理、社会保険、助成金、採用体制づくり、融資、補助金、事業計画、営業戦略、Webマーケティング、出版、メディア活用まで一体的に相談できます。
中野裕哲は、家業の倒産危機からの壮絶な貧乏体験を原点に、お金で苦しむ経営者をひとりにしないことを掲げています。資金繰り、採用、売上づくりの壁に対して、経営者目線で伴走します。
【主な実績】
- 起業支援・経営支援の豊富な実績
- 起業相談件数3,000件以上
- 資金調達支援1000件以上
- 大企業Webサイト多数監修
- 商業出版著書監修約32冊(累計30万部超)
V-Spiritsグループでは、融資・補助金・金融機関対応に詳しい社内役員チームも伴走します。元経済産業省系補助金審査員・事務局員、元日本政策金融公庫支店長、元信用金庫融資担当営業などの専門家が、補助金申請、事業計画、資金繰り、金融機関対応を実務面から支援します。
税理士顧問、社労士顧問、融資、補助金、助成金、採用、営業、マーケティングまで、経営者が本当に悩む領域をワンストップで相談できます。V-Spiritsグループは、起業支援・会社設立・創業融資・補助金助成金・税務会計・人事労務・許認可・経営顧問をワンストップで支援する、起業家・中小企業向けの専門家グループです。





























