
創業融資の成功事例5選:業種別・金額別に中小企業診断士が解説
「創業融資の審査に通るか不安」「自分の業種で実際に借りられた人はいるのか知りたい」——これから創業融資を申請しようとしている方にとって、実際の成功事例は最も参考になる情報です。
この記事では、日本政策金融公庫の創業融資で実際に採択された事例を、業種別・金額別に5つ紹介します。それぞれの事例から、審査に通るためのポイントも併せて解説しますので、事業計画書の作成や融資面談の準備にお役立てください。
※個人情報保護の観点から、事例の業種・金額・概要は一般化して紹介しています。
創業融資の成功事例を業種別に紹介する意味
日本政策金融公庫の創業融資は、業種を問わず申請できます。しかし実際の審査では、業種ごとに「重点的に見られるポイント」が異なります。
- 飲食店なら立地と経験と客単価・回転率の根拠
- 美容室なら技術経験と固定客の見込み
- IT系なら受注見込みと売上の再現性
成功事例を業種別に見ることで、「自分の業種では何を準備すればよいか」が具体的にイメージできます。金額の目安も業種によって大きく異なるため、自己資金とのバランスを考える際にも参考になります。
事例1:飲食店(居酒屋)開業 — 融資額700万円
概要
- 業種:居酒屋(個人事業主)
- 自己資金:約250万円
- 融資額:700万円(日本政策金融公庫・新規開業・スタートアップ支援資金・生活衛生新企業育成資金)
- 資金用途:居抜き物件の取得費・内装工事・運転資金
成功のポイント
飲食業界での勤務経験が8年あり、店長としてのマネジメント実績が評価されました。事業計画書では、商圏分析に基づいた客単価と1日の来店数予測を具体的に記載し、損益分岐点を明示したことが審査通過の鍵になっています。
居抜き物件を活用して初期投資を抑えた点も、資金繰りの堅実さとして評価されました。
事例2:美容室開業 — 融資額500万円
概要
- 業種:美容室(1人サロン・個人事業主)
- 自己資金:約200万円
- 融資額:500万円(日本政策金融公庫・新規開業・スタートアップ支援資金・生活衛生新企業育成資金)
- 資金用途:内装工事・美容機器購入・運転資金(3か月分)
成功のポイント
美容師としての実務経験が10年以上あり、前職で指名客を多く抱えていた点が強みでした。事業計画書では、開業後に見込める指名客数を具体的にリストアップし、初月からの売上見通しを裏付けました。
1人サロンとして固定費を抑える設計にしたことで、損益分岐点が低く設定されており、返済余力が十分と判断されました。
事例3:ITサービス業 — 融資額1,000万円
概要
- 業種:Webシステム開発(法人設立)
- 自己資金:約300万円
- 融資額:1,000万円(日本政策金融公庫・新規開業・スタートアップ支援資金)
- 資金用途:開発環境整備・人件費(エンジニア採用)・運転資金
成功のポイント
前職でのシステム開発の実績に加え、創業前にすでに2社から受注内定を得ていた点が大きく評価されました。IT系は設備投資が少ない反面、売上の再現性が見えにくい業種です。受注見込みを書面で示せたことが、融資額1,000万円の決め手になりました。
法人設立により信用力を高め、将来の追加融資も視野に入れた計画を提示した点もプラスに働いています。
事例4:整骨院開業 — 融資額600万円
概要
- 業種:整骨院(個人事業主)
- 自己資金:約200万円
- 融資額:600万円(日本政策金融公庫・新規開業・スタートアップ支援資金)
- 資金用途:施術ベッド・医療機器・内装工事・運転資金
成功のポイント
柔道整復師としての実務経験が6年あり、前職の整骨院での施術実績(1日あたりの施術人数・リピート率)を数字で示しました。開業予定地の商圏には競合が少なく、人口動態データをもとに来院数の予測を行った点が審査で評価されました。
保険施術と自費施術の売上比率を明確にし、保険改定リスクへの対応策も計画に盛り込んだことで、事業の安定性を説得力を持って伝えることができました。
事例5:ECサイト運営 — 融資額300万円
概要
- 業種:オリジナル雑貨のEC販売(個人事業主)
- 自己資金:約150万円
- 融資額:300万円(日本政策金融公庫・新規開業・スタートアップ支援資金)
- 資金用途:初期仕入れ・ECサイト構築・広告費・運転資金
成功のポイント
副業としてハンドメイド雑貨のネット販売を1年間続けており、月商15万円程度の販売実績がありました。この「すでに売れている」という事実が、事業の実現可能性を裏付ける最大の根拠になっています。
EC事業は実店舗に比べて固定費が低い反面、広告費の見通しが甘いと資金ショートしやすい業種です。広告費の月次予算と期待するROAS(広告費用対効果)を計画に明記したことで、資金繰りの見通しが立っていると判断されました。
成功事例に共通する3つのポイント
5つの事例を通じて、共通する成功の要因をまとめます。
1. 業界経験を具体的な数字で示している
すべての事例で、申請者は関連業界での実務経験を持っていました。しかし「経験がある」だけでは不十分です。施術人数、売上実績、指名客数、受注件数など、経験を裏付ける数字を事業計画書に盛り込んでいる点が共通しています。
2. 損益分岐点と返済余力を明示している
審査で最も重視されるのは「貸したお金が返ってくるか」です。売上予測だけでなく、損益分岐点の売上がいくらで、月々の返済額に対してどれだけ余裕があるかを示すことが、審査通過の決め手になっています。
3. 専門家のサポートを受けて事業計画を練り上げている
成功事例の多くは、中小企業診断士や融資に詳しい専門家のサポートを受けて事業計画書を作成しています。自分では気づかない計画の弱点や、審査で重点的に見られるポイントを事前に補強できることが、専門家を活用する最大のメリットです。
V-Spiritsでは、元日本政策金融公庫支店長の多胡や元信用金庫法人営業の小峰を中心とした専門家チームが、創業融資の申請支援を行っています。業種ごとの審査ポイントを熟知したチームが、事業計画書の作成から面談対策までを一貫してサポートします。
まとめ
創業融資の成功事例を5業種にわたって紹介しました。飲食店・美容室・IT・整骨院・ECとジャンルは異なりますが、審査に通るための本質は共通しています。
業界経験を数字で示すこと、損益分岐点と返済余力を明確にすること、そして専門家の力を借りて計画の精度を高めること。この3つを押さえれば、創業融資の審査通過率は大きく上がります。
日本政策金融公庫の新規開業・スタートアップ支援資金は、無担保・無保証で最大7,200万円まで対応しています。「自分の業種・金額で融資が通るか不安」という方は、まず専門家に相談して事業計画の方向性を確認するところから始めてみてください。
【無料相談のご案内】
融資を受けるには何から始めればいいの?といった疑問に対して適切なアドバイスを無料にて行っております。
無料相談も行っているので、ぜひ一度、ご相談ください。お問い合わせお待ちしております!

この記事を書いた人
小峰精公/Kiyotaka Komine
元朝日信用金庫 法人営業
資金繰り解決コンサルタント
V-Spirits総合研究所株式会社 常務取締役
大学卒業後、朝日信用金庫に入庫。朝日信用金庫での経験が原点となり、「銀行融資取引」や「資金繰り」の本質を企業へ伝えていくことがミッションだと確信する。
日本の99%は中小零細企業で成り立っている現状を痛感し、1社でも多くの企業の「資金繰り」の課題を解決していくことに専念する。
クライアント様がより良い商品やサービスを提供することができる環境づくりの一助となれるよう全身全霊を尽くす。

この記事を監修した人
多胡藤夫/Fujio Tago
元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。

この記事を監修した人

中野裕哲/Nakano Hiroaki
税理士法人V-Spiritsグループ代表/税理士/行政書士/特定社会保険労務士/採用定着士/ファイナンシャルプランナー/起業コンサルタント/経営コンサルタント/大正大学招聘教授
税理士法人V-Spiritsグループ代表の中野裕哲は、中小企業経営者のために、税務・会計だけでなく、採用、人事、資金繰り、融資、補助金、助成金、営業、Webマーケティング、売上導線設計まで横断的に支援する実戦型経営税理士です。
経営の悩みは、突き詰めると「人・金・売上」に集約されます。中野裕哲は、大企業人事部、人材紹介会社の採用エージェント、中小企業の財務責任者、大手不動産会社での営業、出版・Web制作による集客導線構築など、幅広い実務経験をもとに、経営者の意思決定を支援します。
【対応領域】
税理士顧問、社労士顧問、補助金支援、助成金支援、資金調達支援、採用力診断、売上導線診断、経営参謀顧問。税務・会計・決算・節税に加えて、経営分析、労務管理、社会保険、助成金、採用体制づくり、融資、補助金、事業計画、営業戦略、Webマーケティング、出版、メディア活用まで一体的に相談できます。
中野裕哲は、家業の倒産危機からの壮絶な貧乏体験を原点に、お金で苦しむ経営者をひとりにしないことを掲げています。資金繰り、採用、売上づくりの壁に対して、経営者目線で伴走します。
【主な実績】
- 起業支援・経営支援の豊富な実績
- 起業相談件数3,000件以上
- 資金調達支援1000件以上
- 大企業Webサイト多数監修
- 商業出版著書監修約32冊(累計30万部超)
V-Spiritsグループでは、融資・補助金・金融機関対応に詳しい社内役員チームも伴走します。元経済産業省系補助金審査員・事務局員、元日本政策金融公庫支店長、元信用金庫融資担当営業などの専門家が、補助金申請、事業計画、資金繰り、金融機関対応を実務面から支援します。
税理士顧問、社労士顧問、融資、補助金、助成金、採用、営業、マーケティングまで、経営者が本当に悩む領域をワンストップで相談できます。V-Spiritsグループは、起業支援・会社設立・創業融資・補助金助成金・税務会計・人事労務・許認可・経営顧問をワンストップで支援する、起業家・中小企業向けの専門家グループです。





























