
介護施設の融資を成功させる事業計画書の作り方|公庫の創業融資で押さえる7項目
介護施設の開業では、施設の改修・設備費に加えて、介護報酬が入金されるまでの運転資金など、まとまった資金が必要になります。その多くは融資でまかなうことになり、審査の成否を大きく左右するのが「事業計画書」です。
介護事業は制度や報酬の仕組みが特殊なため、一般的な創業計画書の書き方だけでは説得力が不足しがちです。この記事では、これから介護施設を始める方に向けて、開業に使える主な融資、介護事業ならではの資金繰りの注意点、そして審査に通る事業計画書の書き方を、日本政策金融公庫の創業融資を中心に整理します。
介護施設の開業に使える主な融資
創業期の介護施設がまず検討したいのが、日本政策金融公庫の融資です。なかでも創業者向けの「新規開業・スタートアップ支援資金」は、これから事業を始める方や開業して間もない方が利用しやすい制度です。なお、かつての「新創業融資制度」は廃止され、現在は新規開業・スタートアップ支援資金へ一本化されています。制度の詳細や金利・限度額は見直されることがあるため、申請時点の公式情報を確認してください。
このほか、各都道府県・市区町村と金融機関・信用保証協会が連携する制度融資も選択肢になります。公庫と制度融資を組み合わせて、必要額を分けて調達するケースも少なくありません。
介護事業の融資で特に重要な「運転資金」
介護事業の資金計画で最も注意すべきなのが、介護報酬の入金タイミングです。介護報酬は国民健康保険団体連合会(国保連)を通じて支払われますが、サービスを提供してから実際に入金されるまで、おおむね2~3か月程度かかります。
つまり開業直後は、職員の給与や家賃などの支払いが先に発生し、売上の入金は後からという状態が続きます。この時間差を見落とすと、利用者が順調に集まっていても資金がショートしかねません。そのため事業計画書では、開業資金だけでなく、入金が軌道に乗るまでの運転資金を十分に見込んでおくことが重要です。審査する側も、ここを理解した計画かどうかを必ず見ています。
事業計画書(創業計画書)で押さえるべき7項目
- 創業の動機:なぜ介護事業を始めるのか。理念だけでなく、地域のニーズや自身の原体験と結びつけて具体的に書きます。
- 経営者の経歴・資格:介護・福祉分野での実務経験や管理者経験、保有資格は審査で重視されます。経験が事業の信頼性を裏づけます。
- 提供するサービス内容:施設の種類(デイサービス、訪問介護、グループホーム等)、定員、サービスの特徴を明確にします。
- 市場・競合と利用者の見込み:商圏内の高齢者人口や要介護者数、競合施設の状況をふまえ、利用者をどう確保するかを示します。
- 人員体制:介護事業は人員配置基準があります。必要な有資格者を確保できる見通しを具体的に書きます。
- 数値計画(収支計画):稼働率の前提を置き、介護報酬を中心とした売上と経費を月次で見積もります。根拠のある数字にすることが大切です。
- 資金計画:開業資金と運転資金の内訳、自己資金と借入の割合、返済計画を整理します。
審査に通るための3つのコツ
1. 自己資金をしっかり準備する。創業融資では、自己資金の有無が計画の本気度と準備状況を示す指標として見られます。コツコツ貯めてきた経緯が分かる資金は、特に評価されやすい傾向があります。
2. 数字に根拠を持たせる。「稼働率◯%」「利用者◯人」といった数値は、商圏の高齢者数や近隣施設の実態など、客観的な裏づけとセットで示します。希望的観測だけの計画は説得力を欠きます。
3. 介護報酬の入金遅れを織り込む。前述の約2~3か月の入金タイムラグを資金計画に反映できているかどうかは、介護事業の理解度を示す重要なポイントです。ここを押さえた計画は、審査担当者の信頼を得やすくなります。
なお「必ず借りられる」という保証はどの制度にもありません。だからこそ、事前準備で計画の完成度を高めることが、結果として通過の可能性を引き上げます。
よくある質問(FAQ)
Q. 介護の実務経験がなくても融資は受けられますか?
A. 経験は重視されますが、必須とは限りません。経験のある管理者やパートナーを置く、研修を受けるなど、不足を補う体制を計画で示すことが大切です。
Q. 法人を設立してから申請すべきですか?
A. 介護事業は指定基準の関係で法人格が必要になるため、法人設立と融資申請のスケジュールを合わせて進めるのが一般的です。
Q. 補助金と融資は併用できますか?
A. 制度の要件を満たせば併用できる場合があります。ただし対象経費の重複には制限があるため、組み合わせ方は専門家に確認すると安心です。
まとめ
介護施設の融資審査では、介護事業の特性を理解した事業計画書をつくれるかどうかが鍵になります。とりわけ、介護報酬の入金が約2~3か月遅れることを踏まえた運転資金の確保と、経歴・市場・数値計画の根拠づけは欠かせません。日本政策金融公庫の新規開業・スタートアップ支援資金や制度融資を上手に組み合わせ、無理のない返済計画を立てましょう。事業計画書の作成や資金調達に不安がある場合は、融資に詳しい専門家に早めに相談することをおすすめします。
【無料相談のご案内】
融資を受けるには何から始めればいいの?といった疑問に対して適切なアドバイスを無料にて行っております。
無料相談も行っているので、ぜひ一度、ご相談ください。お問い合わせお待ちしております!

この記事を書いた人
小峰精公/Kiyotaka Komine
元朝日信用金庫 法人営業
資金繰り解決コンサルタント
V-Spirits総合研究所株式会社 常務取締役
大学卒業後、朝日信用金庫に入庫。朝日信用金庫での経験が原点となり、「銀行融資取引」や「資金繰り」の本質を企業へ伝えていくことがミッションだと確信する。
日本の99%は中小零細企業で成り立っている現状を痛感し、1社でも多くの企業の「資金繰り」の課題を解決していくことに専念する。
クライアント様がより良い商品やサービスを提供することができる環境づくりの一助となれるよう全身全霊を尽くす。

この記事を監修した人
多胡藤夫/Fujio Tago
元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。

この記事を監修した人

中野裕哲/Nakano Hiroaki
税理士法人V-Spiritsグループ代表/税理士/行政書士/特定社会保険労務士/採用定着士/ファイナンシャルプランナー/起業コンサルタント/経営コンサルタント/大正大学招聘教授
税理士法人V-Spiritsグループ代表の中野裕哲は、中小企業経営者のために、税務・会計だけでなく、採用、人事、資金繰り、融資、補助金、助成金、営業、Webマーケティング、売上導線設計まで横断的に支援する実戦型経営税理士です。
経営の悩みは、突き詰めると「人・金・売上」に集約されます。中野裕哲は、大企業人事部、人材紹介会社の採用エージェント、中小企業の財務責任者、大手不動産会社での営業、出版・Web制作による集客導線構築など、幅広い実務経験をもとに、経営者の意思決定を支援します。
【対応領域】
税理士顧問、社労士顧問、補助金支援、助成金支援、資金調達支援、採用力診断、売上導線診断、経営参謀顧問。税務・会計・決算・節税に加えて、経営分析、労務管理、社会保険、助成金、採用体制づくり、融資、補助金、事業計画、営業戦略、Webマーケティング、出版、メディア活用まで一体的に相談できます。
中野裕哲は、家業の倒産危機からの壮絶な貧乏体験を原点に、お金で苦しむ経営者をひとりにしないことを掲げています。資金繰り、採用、売上づくりの壁に対して、経営者目線で伴走します。
【主な実績】
- 起業支援・経営支援の豊富な実績
- 起業相談件数3,000件以上
- 資金調達支援1000件以上
- 大企業Webサイト多数監修
- 商業出版著書監修約32冊(累計30万部超)
V-Spiritsグループでは、融資・補助金・金融機関対応に詳しい社内役員チームも伴走します。元経済産業省系補助金審査員・事務局員、元日本政策金融公庫支店長、元信用金庫融資担当営業などの専門家が、補助金申請、事業計画、資金繰り、金融機関対応を実務面から支援します。
税理士顧問、社労士顧問、融資、補助金、助成金、採用、営業、マーケティングまで、経営者が本当に悩む領域をワンストップで相談できます。V-Spiritsグループは、起業支援・会社設立・創業融資・補助金助成金・税務会計・人事労務・許認可・経営顧問をワンストップで支援する、起業家・中小企業向けの専門家グループです。





























