
資金繰りの要!「支払サイト」の賢い管理術でキャッシュフローを守る
こんにちは。起業コンサルタント®、税理士、行政書士、社会保険労務士、ファイナンシャルプランナーの中野裕哲です。
今回は、意外と見落とされがちな資金繰りのキーワード「支払サイト」について、わかりやすく解説します。
想定読者(ペルソナ)
名前:田村一樹さん(仮名) 年齢:33歳 職業:デザイン系フリーランス(個人事業主2年目) 家族構成:独身、一人暮らし 課題と悩み:
- クライアントによって支払サイトがバラバラで、月末の資金繰りにいつもヒヤヒヤ
- 入金よりも先に外注費やサーバー代が発生し、カードリボで回している状態
- 支払サイト交渉は失礼にならないか不安
第1章 「支払サイト」とは?
まず、支払サイトとは何かを明確にしておきましょう。
ズバリ言います。
支払サイトとは、「請求書の発行から実際に支払いが行われるまでの期間」のことです。
例えば、請求書の締めが月末で、翌月末に支払いが行われる契約であれば、「支払サイト=30日」になります。
関連用語も押さえておこう!
- 締日(しめび):請求書の集計対象となる最終日
- 支払日(しはらいび):実際にお金が振り込まれる日
- サイト:取引における期間全体のことを指す
この「サイト」が長いか短いかで、資金繰りの難易度が大きく変わってきます。
第2章 なぜ支払サイトが資金繰りに直結するのか?
資金繰りとは、簡単に言うと「お金の出入りのタイミングをどう調整するか」ということ。
支払サイトが長い=入金まで時間がかかる
支払サイトが短い=すぐに現金化できる
これ、地味に見えて超重要です。
フリーランスや小規模事業者では、**「売上はあるのに手元にお金がない」**という状況が頻発します。
たとえばこんなケース:
- クライアントA:月末締め、翌々月末支払い(支払サイト60日)
- 外注先:納品から7日以内に支払い(支払サイト7日)
→ 自分が入金を受けるよりもずっと前に、外注費を支払わなければならない……という資金ギャップが発生するのです。
第3章 「支払サイト」は交渉できるのか?
ズバリ言います。
交渉は可能です。ただし“交渉の仕方”が重要です。
特に創業初期のうちは、クライアント側が一方的に条件を提示してくることが多いものですが、実はその多くが「社内ルールというより慣習」だったりします。
交渉のタイミング例:
- 契約時点で「締日・支払日」を明示的に相談
- 1年継続した実績ができたタイミングで見直し依頼
- 相見積もりを取られているタイミングでの差別化ポイントとして提示
交渉の言い回し例:
「弊社の資金繰りの都合で恐縮ですが、支払サイトを月末締め翌月20日払いにご調整いただくことは可能でしょうか?」
→ 「無理」と言われたら、代替案を用意することも大切です。
第4章 支払サイトの改善がもたらすメリット
1.キャッシュフローが安定する
資金繰りに余裕ができ、支払い遅延や借入リスクを減らせます。
2.他の投資(広告、備品など)がしやすくなる
先にお金が手に入ることで、戦略的な経営判断ができるようになります。
3.精神的な余裕ができる
実はこれが一番大事かもしれません。「お金が足りるかな……」という不安が軽減されることで、仕事に集中できます。
第5章 フリーランスや小規模事業者ができる対策法
1.「前払い」「着手金」方式を取り入れる
「30%前金」「半金着手・半金納品後」など、段階的に入金がある仕組みにします。
2.クラウド請求サービスを活用
マネーフォワード、Misoca、freeeなどのクラウド会計サービスは、請求書の発行から支払サイトの管理まで一元管理できます。
3.売掛金保証サービスを検討
万が一、未回収になった場合の備えとして、ファクタリングや売掛保証サービスを活用するのも手です。
4.複数の収益源を確保する
収入源を1社に依存していると、支払サイトの不利な条件に従わざるを得なくなります。副業・商品販売・サブスク型収益などを検討しましょう。
FAQ:よくある質問
Q. 「支払サイトが90日」って普通ですか? → 一部の大企業では存在しますが、基本的には長すぎます。交渉の余地ありです。
Q. 契約書に支払サイトが書かれていない場合は? → 書面での確認がないとトラブルの元です。早めに確認をとりましょう。
Q. 支払サイトの短縮を依頼すると関係が悪化しませんか? → 丁寧な言い方とタイミングを見れば問題ありません。自社の継続的な健全経営を支援してもらう形で伝えましょう。
Q. 自分の支払サイトも整えるべきですか? → はい。外注先や仕入れ先への支払サイトもきちんと整えることは、信頼と長期的取引につながります。
まとめ:支払サイトは“キャッシュの呼吸”
支払サイトとは、まさにキャッシュフローの呼吸です。
- 長すぎれば資金が詰まる
- 短すぎれば回転資金が苦しくなる
最適なサイト設計を行い、交渉と調整を重ねながら、自社のペースで経営をコントロールしていきましょう。
お金の出入りを見える化し、不安のない資金繰りを実現することが、安定経営の第一歩です。
ご不安な方は、ぜひ一度ご相談くださいね。
【無料相談のご案内】
起業の手続きって何から始めればいいの?といった疑問に対して適切なアドバイスを無料にて行っております。
無料相談も行っているので、ぜひ一度、ご相談ください。お問い合わせお待ちしております!
この記事を書いた人
中野裕哲/Nakano Hiroaki
起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、サーティファイドファイナンシャルプランナー・CFP(R)、1 級FP技能士。大正大学招聘教授(起業論、ゼミ等)
V-Spiritsグループ創業者。税理士法人V-Spiritsグループ代表。東京池袋を本拠に全国の起業家・経営者さんを応援!「ベストセラー起業本」の著者。著書20冊、累計25万部超。経済産業省後援「DREAMGATE」で12年連続相談件数日本一。
【まるごと起業支援(R)・経営支援】
起業コンサル(事業計画+融資+補助金+会社設立支援)+起業後の総合サポート(経理 税務 事業計画書 融資 補助金 助成金 人事 給与計算 社会保険 法務 許認可 公庫連携 認定支援機関)など
【略歴】
経営者である父の元に生まれ、幼き頃より経営者になることを目標として過ごす。バブル崩壊の影響を受け経営が悪化。一家離散に近い貧困状況を経験し、「経営者の支援」をライフワークとしたいと決意。それに役立ちそうな各種資格を学生時代を中心に取得。同じく経営者であるメンターの伯父より、単に書類や手続を追求する専門家としてではなく、視野を広げ「ビジネス」の現場での経験を元に経営者の「経営そのもの」を支援できるような専門家を目指すようアドバイスを受け、社会人生活をスタート。大手、中小、ベンチャー企業、会計事務所等で営業、経理、財務、人事、総務、管理職、経営陣等、ビジネスの「現場」での充実した修行の日々を送ったあと、2007年に独立。ほかにはない支援スタイルが起業家・経営者に受け入れられ、経済産業省「DREAM GATE」にて、面談相談12年連続日本一。補助金・助成金支援実績600件超。ベストセラー含む起業・経営本20冊を出版。累計25万部超。無料相談件数は全国から累計3000件を超す。
この記事を監修した人
多胡藤夫/Fujio Tago
元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。