
起業前の転職戦略としてはどんなことが理想?
起業を志す方の中には、「いきなり独立するのは不安。いったん転職してから準備した方がいいのでは?」と考える方も多いでしょう。
ズバリ言います——起業前の転職戦略をどう描くかで、その後の成功確率は大きく変わります。
1. なぜ起業前に転職を考えるのか?
理由は人それぞれですが、主に次のようなものがあります。
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独立に必要なスキルや経験を積みたい
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起業資金を貯めたい
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人脈を広げたい
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リスクを減らしたい
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起業分野を見極めたい
つまり、転職を「単なるキャリアの延長」ではなく、起業への布石として考えることが大切です。
2. 起業前に理想的な転職先の条件
起業を目指す人にとって、どんな職場が理想的か? ポイントは次のとおりです。
(1) 起業したい分野に近い業界・職種
例えば飲食で独立したいなら飲食業界、WebサービスならIT企業へ。
現場感覚を肌で学べることは大きな財産になります。
創業融資でも有利に働きます。
(2) 経営に近いポジション
小規模企業やベンチャー企業なら、1人で複数の業務を担当することも多く、経営者視点が磨かれます。
(3) 成功している経営者のもと
すでに軌道に乗っている経営者の近くで働くことで、成功のパターンをリアルに体感できます。
(4) ワークライフバランスが取りやすい環境
起業準備を並行するには、自由度の高い勤務形態(リモート、フレックスなど)も有利です。
3. 転職を起業準備に活かす方法
① スキル習得
マーケティング、営業、マネジメント、資金管理など、起業後に必要なスキルを意識的に身につける。
② 人脈形成
取引先、同僚、上司など、将来的に顧客や協力者になる可能性があります。
「独立後に相談したい」と思ってもらえる関係性を築きましょう。
③ 資金づくり
生活費を抑えつつ、転職先の給与で起業資金を積み立てる。
収入の一部を「独立資金口座」に自動で移す仕組みを作るのがおすすめです。
④ 業界研究
実際に働くことで、表からは見えない課題や商機を発見できます。
これは独立後の商品設計に直結します。
4. 理想的な転職タイミング
起業まで3〜5年を見据える
すぐに独立したい場合は、短期間でスキルが学べる職場へ。
少し先を見据えるなら、腰を据えて経験を積める職場が理想です。
景気や業界動向を考慮
転職先の業界が衰退期なら、学べることも限られます。成長市場を選びましょう。
5. 実例
事例① 飲食業で独立
30代男性は、大手チェーンから人気個人店に転職。仕入れから店舗運営まで幅広く経験を積み、3年後に独立。オープン初月から黒字化。
事例② IT起業準備
20代女性は、大企業からスタートアップに転職。短期間で営業・企画・資金調達を経験し、2年後に独立。学んだスキルを活かし、自社サービスを成功に導く。
6. よくある失敗パターン
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給与だけで転職先を選ぶ:資金は貯まるが、スキルや人脈が得られない
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大企業に安住する:経営全体を見渡す経験ができず、独立後にギャップに苦しむ
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あまりにも短期間に転職を繰り返しすぎる:腰を据えて学ぶ時間がなくなる
7. 起業前転職戦略の作り方
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独立の目的と分野を明確化
「なぜ起業するのか」「どんな事業をしたいのか」を整理。 -
必要スキルと経験をリスト化
営業力、商品設計、財務などを洗い出す。 -
転職先候補を選定
業界、規模、経営者の姿勢などで比較。 -
在籍期間とゴールを設定
何年働き、何を得たら独立するかを明確にする。
まとめ
起業前の転職は「逃げ」ではなく、「準備の戦略」として考えることが重要です。
理想は、起業分野に近く、経営に触れられ、スキル・人脈・資金を同時に得られる職場です。
経営者になる前にどんな環境で経験を積むかが、その後の独立の成功率を大きく左右します。
もし今、転職を検討しているなら——「その職場は起業準備の学校になるか?」という視点で選んでみてください。
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この記事を書いた人
中野裕哲/Nakano Hiroaki
起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、サーティファイドファイナンシャルプランナー・CFP(R)、1 級FP技能士。大正大学招聘教授(起業論、ゼミ等)
V-Spiritsグループ創業者。税理士法人V-Spiritsグループ代表。東京池袋を本拠に全国の起業家・経営者さんを応援!「ベストセラー起業本」の著者。著書20冊、累計25万部超。経済産業省後援「DREAMGATE」で12年連続相談件数日本一。
【まるごと起業支援(R)・経営支援】
起業コンサル(事業計画+融資+補助金+会社設立支援)+起業後の総合サポート(経理 税務 事業計画書 融資 補助金 助成金 人事 給与計算 社会保険 法務 許認可 公庫連携 認定支援機関)など
【略歴】
経営者である父の元に生まれ、幼き頃より経営者になることを目標として過ごす。バブル崩壊の影響を受け経営が悪化。一家離散に近い貧困状況を経験し、「経営者の支援」をライフワークとしたいと決意。それに役立ちそうな各種資格を学生時代を中心に取得。同じく経営者であるメンターの伯父より、単に書類や手続を追求する専門家としてではなく、視野を広げ「ビジネス」の現場での経験を元に経営者の「経営そのもの」を支援できるような専門家を目指すようアドバイスを受け、社会人生活をスタート。大手、中小、ベンチャー企業、会計事務所等で営業、経理、財務、人事、総務、管理職、経営陣等、ビジネスの「現場」での充実した修行の日々を送ったあと、2007年に独立。ほかにはない支援スタイルが起業家・経営者に受け入れられ、経済産業省「DREAM GATE」にて、面談相談12年連続日本一。補助金・助成金支援実績600件超。ベストセラー含む起業・経営本20冊を出版。累計25万部超。無料相談件数は全国から累計3000件を超す。
この記事を監修した人
多胡藤夫/Fujio Tago
元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。