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コラム

倉庫・梱包事業に進出する運送業者へ|新事業進出枠の新規性と売上高要件

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運送業が倉庫・梱包事業に進むときの新事業進出枠、数字で見る判断基準

運送業から倉庫保管や梱包事業へ手を広げたいと考えたとき、「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 新事業進出枠」の対象になるかどうかは、感覚ではなく決められた条件と数字で線引きされています。既存の配送網を使った延長なのか、補助金の対象になる「新事業」なのか。この記事では申請実務の観点から、運送業が倉庫・梱包事業へ進むときに確認しておきたい判断基準を整理します。

結論:新規性と新事業売上高要件の2つで判断する

新事業進出枠では、①製品等の新規性要件、②市場の新規性要件、③新事業売上高要件という3つの要件をすべて満たすことが前提になっています。運送業が倉庫・梱包事業に進むケースでは、①と②は「今の運送業務の延長になっていないか」という線引きの問題であり、③は「新事業の売上をどれだけの規模で計画するか」という数字の問題です。計画書を作る前に、この2段階の判断を自社の事業内容に当てはめておくことが欠かせません。

運送業は荷物を運ぶ過程で保管や積み降ろし、仕分けといった作業に自然と関わるため、倉庫・梱包事業は発想として近いところにあります。しかし「近い」ことと「新事業として認められる」ことは別の話です。既存の運送業務の延長として小さく始めるのか、独立した新事業として投資計画を組むのかによって、補助金の対象になるかどうかが変わってくるため、最初の段階で線引きを確認しておく価値があります。

線引き①:倉庫・梱包事業は既存顧客・既存市場の延長になっていないか

製品等の新規性要件

製品等の新規性要件は、事業により提供するサービスが、その事業者にとって新規性を持つものであることを求めています。既存のサービスの提供量を単に増やす場合や、提供方法を変えただけの場合は、この要件に該当しないとされています。運送業で言えば、既存の配送に付帯していた積み降ろしや一時保管を少し拡張しただけでは、新規性があるとは評価されにくいということです。倉庫保管・梱包という独立したサービスとして計画できているかどうかが、最初の分かれ目になります。

市場の新規性要件

市場の新規性要件は、提供するサービスが対象とする市場が、その事業者にとって新しい市場であることを求めています。既存事業では対象としていなかったニーズや属性を持つ顧客層が対象になっている必要があり、既存の製品等と対象市場が同一である場合や、既存のサービスの対象市場の一部だけを対象にしている場合、単に商圏が異なるだけの場合は、この要件に該当しないとされています。「既存の輸送先の荷主から、ついでに倉庫保管も頼まれるようになった」という程度では、既存の顧客・市場の延長とみなされる可能性がある点に注意が必要です。倉庫・梱包事業を、既存の荷主とは異なるニーズを持つ顧客層に向けたサービスとして設計できるかどうかを、事業計画の段階で詰めておく必要があります。

例えば、これまで付き合いのあった荷主の荷物を、運送の合間に自社の空きスペースで一時的に預かる程度であれば、既存の運送業務に付随した延長とみなされるリスクがあります。一方で、これまで取引のなかった業種・規模の荷主を対象に、保管から梱包・出荷までを一括で請け負うサービスとして事業を切り出す場合は、対象とする顧客層やニーズが既存事業とは異なると説明しやすくなります。どちらに近い計画になっているかを、事業計画書を書き始める前に整理しておくことをおすすめします。

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中野裕哲
V-Spiritsグループ代表 中野裕哲

弊社は、V-Spiritsグループ代表の中野裕哲を中心に、元補助金審査員の三浦をはじめとした専門家チームが補助金支援を行っております。「このケースは補助金の対象になるのか?」といった疑問にも、無料でお答えしております。お気軽にご相談ください。

線引き②:新事業売上高要件(10%・15%)をどう満たすか

新事業売上高要件は、事業計画期間の最終年度において、新たに提供するサービス(倉庫・梱包事業)の売上高または付加価値額が、応募申請時の総売上高の10%、または総付加価値額の15%を占めることが見込まれる必要があるという条件です。なお、応募申請時の直近の決算で売上高が10億円以上あり、かつ新事業を行う事業部門の売上高が3億円以上である場合は、全社の総売上高ではなく、その事業部門の売上高・付加価値額に対する10%・15%という別の算定式が使われます。いずれの場合も、倉庫・梱包事業の売上計画を、全体の事業計画の中でどの程度の比重に置くかを、事業計画期間の最終年度の数字として具体的に示すことが申請実務上のポイントになります。

三浦高

💬 執筆者の三浦から一言

「総売上高の10%」「総付加価値額の15%」という数字は、事業計画の最終年度における倉庫・梱包事業の位置づけを逆算するための手がかりになります。全社計画の中で新事業の売上をどこまで積むかを先に決め、そこから必要な投資額や体制を組み立てていく順番で考えると、計画の数字に無理が出にくくなります。

対象経費の中心は機械装置・建物。車両購入は対象外

新事業進出枠の対象経費は、機械装置・システム構築費または建物費のいずれかが必須経費となっており、単価10万円(税抜)以上であることが条件です。建物費については単純な購入や賃貸は対象外とされています。運送業が倉庫・梱包事業に進む場合、仕分け・梱包のための機械装置や、倉庫として使う建物の新設・改修にかかる費用が、投資計画の中心になります。これに加えて、技術導入費や知的財産権等関連経費(それぞれ上限1/3)、外注費(上限1/4)、専門家経費(上限1/5、1日1人5万円)、運搬費やクラウドサービス利用費、原材料費、広告宣伝・販売促進費なども対象になり得ます。

一方で、自動車等車両(税法上の車両及び運搬具に該当しないものを除く)、船舶、航空機等の購入費・修理費・車検費用・内装に係る費用は、補助対象外経費として明記されています。倉庫・梱包事業のために配送用のトラックや車両を新たに購入する費用は、原則としてこの補助金の対象経費にはなりません。運送業の場合、倉庫・梱包事業の立ち上げに合わせて集荷・配送用の車両を増やしたくなる場面もあると思いますが、その部分は補助対象外経費にあたると考えておく必要があります。倉庫・梱包事業のための投資計画を立てる際は、機械装置・建物への投資と、車両への投資を分けて考え、車両分は別の自己資金や手段で用意する前提で計画を組むことが欠かせません。

まとめ

運送業が倉庫・梱包事業に新事業進出枠で挑戦する場合、まず製品等の新規性要件と市場の新規性要件によって、既存の運送業務の延長になっていないかを確認し、次に新事業売上高要件によって、事業計画期間の最終年度における新事業の売上・付加価値額の比重を数字で示す必要があります。そのうえで、対象経費は機械装置・建物が中心であり、車両購入は対象外という前提で投資計画を組むことが、申請実務の土台になります。制度の詳細な要件は改定される可能性があるため、実際の申請にあたっては最新の募集要領を確認し、専門家にも相談しながら進めることをおすすめします。

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三浦高

この記事を書いた人

三浦高/Takashi Miura

元創業補助金(経済産業省系補助金)審査員・事務局員
中小企業診断士、起業コンサルタント®、
1級販売士、宅地建物取引主任者、
融資・資金調達コンサルタント
行政書士法人V-Spirits 補助者

産業能率大学 兼任教員
2024年現在、各種補助金の累計支援件数は300件を超える。

融資申請のノウハウも蓄積し、さらに磨きを掛けるべく日々事業計画書に向き合っている。

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中野裕哲

この記事を監修した人

中野裕哲/Nakano Hiroaki

税理士法人V-Spiritsグループ代表/税理士/行政書士/特定社会保険労務士/採用定着士/ファイナンシャルプランナー/起業コンサルタント/経営コンサルタント/大正大学招聘教授

税理士法人V-Spiritsグループ代表の中野裕哲は、中小企業経営者のために、税務・会計だけでなく、採用、人事、資金繰り、融資、補助金、助成金、営業、Webマーケティング、売上導線設計まで横断的に支援する実戦型経営税理士です。

経営の悩みは、突き詰めると「人・金・売上」に集約されます。中野裕哲は、大企業人事部、人材紹介会社の採用エージェント、中小企業の財務責任者、大手不動産会社での営業、出版・Web制作による集客導線構築など、幅広い実務経験をもとに、経営者の意思決定を支援します。

【対応領域】

税理士顧問、社労士顧問、補助金支援、助成金支援、資金調達支援、採用力診断、売上導線診断、経営参謀顧問。税務・会計・決算・節税に加えて、経営分析、労務管理、社会保険、助成金、採用体制づくり、融資、補助金、事業計画、営業戦略、Webマーケティング、出版、メディア活用まで一体的に相談できます。

中野裕哲は、家業の倒産危機からの壮絶な貧乏体験を原点に、お金で苦しむ経営者をひとりにしないことを掲げています。資金繰り、採用、売上づくりの壁に対して、経営者目線で伴走します。

【主な実績】

  • 起業支援・経営支援の豊富な実績
  • 起業相談件数3,000件以上
  • 資金調達支援1,000件以上
  • 大企業Webサイト多数監修
  • 商業出版著書監修約32冊(累計30万部超)

V-Spiritsグループでは、融資・補助金・金融機関対応に詳しい社内役員チームも伴走します。元経済産業省系補助金審査員・事務局員、元日本政策金融公庫支店長、元信用金庫融資担当営業などの専門家が、補助金申請、事業計画、資金繰り、金融機関対応を実務面から支援します。

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