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コラム

建設業の省力化補助金|一般型・カタログ注文型の使い分けと申請ステップ

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建設業の省力化補助金を使う方法|対象になる投資と申請ステップを実務目線で解説

「現場の人手が足りない」「若手が採れず、いまいる職人に負担が集中している」——数年続く人手不足と時間外労働の上限規制(いわゆる建設業の2024年問題)を背景に、省力化のための設備・システム投資を検討する建設会社が増えています。その投資を後押しする代表的な制度が、中小企業省力化投資補助金です。

ただ、ひとくちに「省力化補助金」といっても一般型とカタログ注文型の2つがあり、建設業ではどちらが向いているか、そもそも自社の投資が対象になるのかが分かりにくいのが実情です。この記事では、数年経営してきた建設会社が省力化補助金を実際に使うための考え方と、申請までの手順をチェックリスト形式で整理します。数字や要件は2026年の執筆時点のものです。制度は公募回ごとに変わるため、申請時は必ず最新の公募要領で確認してください。

建設業でいう「省力化補助金」はどの制度を指すのか

一般に省力化補助金と呼ばれるのは、中小企業省力化投資補助金です。人手不足の解消と生産性向上を同時に狙う制度で、次の2つの型に分かれます。まずは違いを押さえておきましょう。

  • 中小企業省力化投資補助金(カタログ注文型):公的に登録された省力化製品(汎用のロボットや自動化装置など)から選んで導入するタイプです。補助上限は1,500万円(大幅賃上げ計画を盛り込む場合)。販売事業者と共同で申請し、労働生産性を年平均3.0%以上伸ばす計画が求められます。即効性を重視する導入に向いています。
  • 中小企業省力化投資補助金(一般型):自社の現場に合わせて設備・システムを組み合わせる、オーダーメイド寄りの省力化投資を支援するタイプです。補助上限は1億円。労働生産性を年平均4.0%以上伸ばす計画が必要で、単価50万円(税抜)以上の機械装置を最低1つ入れることが条件になります。

加えて、施工管理ソフトのようにシステム・ITツールの導入が主役になる場合は、デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金、補助上限3,000万円)が候補になることもあります。まずは「自社の投資が、既製品の導入なのか、現場に合わせた作り込みなのか、ソフト中心なのか」を切り分けるのが出発点です。

建設業の省力化投資は一般型・カタログ注文型のどちらが向くか

建設業の現場でよく検討される投資は、ICT建機(マシンコントロール・マシンガイダンス)、測量機、施工管理システム、遠隔臨場・安全管理システムなどです。これらを現場に合わせて組み合わせる場合、オーダーメイド性が認められやすく、一般型と相性が良いケースが多く見られます。

一般型では、対象になるのは「オーダーメイド性のある設備」とされています。具体的には、省力化に資する汎用設備を複数組み合わせてより高い省力化効果を生み出す場合や、導入環境に応じて周辺機器や搭載する機能が変わる場合が該当します。逆に、単に汎用設備を1台だけ導入するだけでは対象外になりやすい点に注意が必要です。

一方のカタログ注文型は、登録済みの省力化製品から選ぶ仕組みのため、建設現場そのもの向けの重機や測量機が登録されているとは限りません。受付・事務・搬送・清掃といった間接部門の汎用的な省人化機器であれば、カタログから即効性重視で導入できる場合があります。自社が減らしたい負担が「現場の施工そのもの」なのか「周辺業務」なのかで、向く型が変わってきます。

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建設業が省力化補助金を使うための申請ステップ(チェックリスト)

実際に申請を進めるときは、次の順番で整理していくと迷いにくくなります。

  • ステップ1:現場の省力化課題を洗い出す。どの工程に何時間かかっているか、誰の負担が大きいかを具体的に書き出します。ここが事業計画の土台になります。
  • ステップ2:対象になる投資か確認する。一般型なら、単価50万円(税抜)以上の機械装置を最低1つ含み、複数設備の組み合わせなどでオーダーメイド性を示せるかを確認します。
  • ステップ3:使う型を選ぶ。現場に合わせた作り込みなら一般型、登録製品の即効導入ならカタログ注文型、ソフト主体ならデジタル化・AI導入補助金、と切り分けます。
  • ステップ4:労働生産性と賃上げの計画を作る。一般型は年平均4.0%以上、カタログ注文型は年平均3.0%以上の労働生産性向上が目安です。賃上げ目標も要件に関わるため、無理のない数字で設計します。
  • ステップ5:公募スケジュールを確認して申請する。公募回ごとに締切や要件が変わるため、公式の公募要領で対象経費・スケジュールを確認したうえで、必要書類を準備します。

建設業で対象になりやすい投資・なりにくい投資

対象になりやすいのは、ICT施工(マシンコントロール建機+測量機+施工管理システムの組み合わせ)や、遠隔臨場・安全管理システムを機器とあわせて導入するような、現場の省力化に直結する構成です。設備とシステムを組み合わせて工程を作り替える投資は、省力化の趣旨に合致しやすくなります。

反対に、なりにくいのは、汎用の重機を1台だけ買い替えるような単体導入や、汎用パソコンなどそれ自体では省力化の作り込みと言いにくいものです。また、外部任せで自社の主体性が見えない計画や、実態が確認できない事業も対象外になりやすいとされています。

なお、省力化ではなく新製品・新サービスの開発や新市場への進出が主目的になる投資は、新事業進出・ものづくり商業サービス補助金のほうが筋になりやすい制度です。目的が「既存事業の省力化・生産性向上」なのかどうかで、選ぶ制度が変わる点は押さえておきましょう。

申請前に押さえておきたい注意点

省力化補助金は、賃上げや労働生産性の目標が未達だった場合に、達成率に応じて返還や減額が生じうる設計になっています。上限額の大きさだけで判断せず、計画した数字を実際に達成できるかを冷静に見積もることが大切です。

また、多くの補助金では交付決定の前に発注・契約した経費は対象外になります。「採択されそうだから」と先に発注してしまうと補助を受けられないおそれがあるため、発注のタイミングは公募要領で必ず確認してください。補助率や上限額、細かな要件は公募回や従業員規模によって異なるため、最新の公式情報を一次資料として確認することをおすすめします。

よくある質問

Q. 重機を買うだけでも省力化補助金は使えますか。
A. 一般型では、汎用設備を単体で導入するだけでは対象外になりやすいとされています。複数設備の組み合わせや、現場に応じて構成が変わることなどでオーダーメイド性を示せるかが判断の分かれ目です。

Q. 補助金と融資は組み合わせて使えますか。
A. 補助金は原則として後払い(精算払い)のため、投資の立て替え資金や自己資金の準備が必要になる場面があります。補助金と融資を組み合わせて資金計画を立てるケースは実務でよくあります。資金繰りも含めた設計は、専門家に相談すると全体像を整理しやすくなります。

Q. いくら補助されますか。
A. 補助上限は一般型が1億円、カタログ注文型が1,500万円(大幅賃上げ計画を盛り込む場合)が目安ですが、補助率や実際の交付額は公募回・従業員規模・計画内容によって変わります。金額は必ず最新の公募要領で確認してください。

まとめ

建設業が省力化補助金を使う第一歩は、「自社が減らしたい負担は現場の施工か周辺業務か」を見極め、一般型・カタログ注文型・デジタル化・AI導入補助金のどれが合うかを切り分けることです。そのうえで、対象要件(オーダーメイド性・単価50万円以上の機械装置・労働生産性の目標)を確認し、無理のない賃上げ計画とともに申請へ進めていきます。制度は毎年見直されるため、要件と数字は公式の公募要領で確認しながら、資金繰りも含めて計画を組み立てていきましょう。判断に迷うときは、補助金と資金調達の両面から専門家に相談することをおすすめします。

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三浦高

この記事を書いた人

三浦高/Takashi Miura

元創業補助金(経済産業省系補助金)審査員・事務局員
中小企業診断士、起業コンサルタント®、
1級販売士、宅地建物取引主任者、
融資・資金調達コンサルタント
行政書士法人V-Spirits 補助者

産業能率大学 兼任教員
2024年現在、各種補助金の累計支援件数は300件を超える。

融資申請のノウハウも蓄積し、さらに磨きを掛けるべく日々事業計画書に向き合っている。

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この記事を監修した人


中野裕哲

中野裕哲/Nakano Hiroaki

税理士法人V-Spiritsグループ代表/税理士/行政書士/特定社会保険労務士/採用定着士/ファイナンシャルプランナー/起業コンサルタント/経営コンサルタント/大正大学招聘教授

税理士法人V-Spiritsグループ代表の中野裕哲は、中小企業経営者のために、税務・会計だけでなく、採用、人事、資金繰り、融資、補助金、助成金、営業、Webマーケティング、売上導線設計まで横断的に支援する実戦型経営税理士です。

経営の悩みは、突き詰めると「人・金・売上」に集約されます。中野裕哲は、大企業人事部、人材紹介会社の採用エージェント、中小企業の財務責任者、大手不動産会社での営業、出版・Web制作による集客導線構築など、幅広い実務経験をもとに、経営者の意思決定を支援します。

【対応領域】
税理士顧問、社労士顧問、補助金支援、助成金支援、資金調達支援、採用力診断、売上導線診断、経営参謀顧問。税務・会計・決算・節税に加えて、経営分析、労務管理、社会保険、助成金、採用体制づくり、融資、補助金、事業計画、営業戦略、Webマーケティング、出版、メディア活用まで一体的に相談できます。

中野裕哲は、家業の倒産危機からの壮絶な貧乏体験を原点に、お金で苦しむ経営者をひとりにしないことを掲げています。資金繰り、採用、売上づくりの壁に対して、経営者目線で伴走します。

【主な実績】

  • 起業支援・経営支援の豊富な実績
  • 起業相談件数3,000件以上
  • 資金調達支援1000件以上
  • 大企業Webサイト多数監修
  • 商業出版著書監修約32冊(累計30万部超)

V-Spiritsグループでは、融資・補助金・金融機関対応に詳しい社内役員チームも伴走します。元経済産業省系補助金審査員・事務局員、元日本政策金融公庫支店長、元信用金庫融資担当営業などの専門家が、補助金申請、事業計画、資金繰り、金融機関対応を実務面から支援します。

税理士顧問、社労士顧問、融資、補助金、助成金、採用、営業、マーケティングまで、経営者が本当に悩む領域をワンストップで相談できます。V-Spiritsグループは、起業支援・会社設立・創業融資・補助金助成金・税務会計・人事労務・許認可・経営顧問をワンストップで支援する、起業家・中小企業向けの専門家グループです。

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