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コラム

居抜き物件での飲食店開業に使える創業融資|造作譲渡料も借りられる

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居抜き物件での飲食店開業に使える創業融資|造作譲渡料も借りられる

飲食店を開業するとき、初期費用を抑える手段として人気なのが「居抜き物件」です。前のお店の内装や厨房設備をそのまま引き継げるため、ゼロから工事するより費用を大きく圧縮できます。一方で、「居抜きの取得費用は創業融資で借りられるのか」「造作譲渡料はどう扱われるのか」と不安に感じている方も多いはずです。この記事では、これから飲食店を開く個人事業主・小規模事業者の方に向けて、居抜き物件の取得に使える創業融資の仕組みと、審査で見られるポイント、申請の進め方までを実務目線で整理します。

居抜き物件とは|飲食店開業で選ばれる理由

居抜き物件とは、前のテナントが使っていた内装・厨房設備・什器などが残った状態で引き渡される店舗物件のことです。飲食店の場合、ダクトや給排水、グリストラップ、厨房機器などがそのまま使えるケースが多く、開業準備を大幅に短縮できます。

居抜き物件のメリット

居抜き物件が飲食店開業で選ばれる理由は、主に次の3つです。

  • 内装・設備工事費を圧縮できる:スケルトン(空っぽの状態)からの開業に比べ、内装・厨房工事の費用を大きく抑えられる
  • 開業までの期間が短い:工事期間が短く済むため、家賃の発生から売上が立つまでの空走期間を短縮できる
  • 初期投資が小さくなる:必要資金の総額が下がるため、結果として借入額も抑えられ、返済負担が軽くなりやすい

飲食店の開業費用のうち、内装・厨房設備は特に比重が大きい部分です。ここを抑えられる居抜きは、自己資金が限られる開業者にとって有力な選択肢になります。

注意したいデメリット

一方で、居抜きには見落としがちな注意点もあります。残された設備が 古く、開業後すぐに故障・買い替えが必要になることもあります。引き継ぐ設備の年式や状態、前店舗がなぜ閉店したのか(立地・客層の問題ではないか)を確認することが大切です。また、前のお店の業態・イメージが地域に残っている場合、それが集客にプラスにもマイナスにも働く点には注意しましょう。

居抜き物件の取得費用は創業融資で借りられる

結論から言うと、居抜き物件の取得にかかる費用は創業融資の対象になります。自己資金だけで開業資金をまかなうのは現実的でないことが多く、多くの開業者が自己資金に融資を組み合わせて準備しています。

造作譲渡料も融資の対象になる

居抜き物件では、前テナントが残した内装・設備・什器を買い取る費用として「造作譲渡料」が発生します。これは設備資金として、創業融資の対象に含めることができます。ただし、融資審査では金額の妥当性が見られるため、造作譲渡の内容と金額を示す「造作譲渡契約書」や物件・設備の明細、見積書をそろえておくことが重要です。何が・いくらで引き継がれるのかを書面で説明できる状態にしておきましょう。

このほか、保証金などの物件取得費、追加の内装工事費、食器や仕入れなどの備品費、開業後の運転資金も、あわせて融資で調達できます。

創業融資の代表格は日本政策金融公庫

創業時にもっとも利用されているのが、政府系金融機関である日本政策金融公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」(旧・新規開業資金)です。融資限度額は最大7,200万円(うち運転資金4,800万円)で、飲食店のような小規模開業から幅広く使われています。

なお、かつて創業者向けに使われていた「新創業融資制度」は2024年に廃止され、現在は新規開業・スタートアップ支援資金へ一本化されています。これにより、以前あった「創業資金の10分の1以上の自己資金を用意する」という形式的な自己資金要件はなくなりました。ただし、要件がなくなった=自己資金ゼロでよい、という意味ではなく、自己資金が極端に少ないと審査では不利になりやすい点に注意が必要です。

このほか、都道府県や市区町村が信用保証協会・金融機関と連携して提供する「制度融資」も創業時に使えます。金利の一部を自治体が補助してくれるケースもあるため、公庫と比較・併用を検討する価値があります。

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弊社では、元日本政策金融公庫支店長の多胡や元信用金庫法人営業の小峰を中心とした専門家チームが、幅広い融資を含む資金調達支援・起業支援・経営支援を行っております。「何から始めればいいかわからない」という段階でもお気軽にご相談ください。

V-Spiritsでは年間1,000件以上の融資などの資金調達支援や起業・経営支援を行っております。専門チームが伴走支援を行います。

居抜き物件で創業融資を申請するときのポイント

融資は申し込めば必ず通るものではありません。居抜きならではの点も含め、審査で重視される代表的なポイントを押さえておきましょう。

造作譲渡の内容と金額を書面で示す

前述のとおり、居抜きでは造作譲渡料の妥当性が見られます。何を引き継ぎ、いくら支払うのかを造作譲渡契約書・設備明細・見積書で示せるようにしておきましょう。引き継ぐ厨房機器の年式や状態がわかる資料があると、金額の説明に説得力が出ます。逆に、内訳が不明なまま「造作一式◯◯円」とだけ伝えても、審査では評価されにくくなります。

自己資金の準備

形式的な自己資金要件はなくなりましたが、自己資金は「計画性」と「本気度」を示す材料として今も重視されます。日本政策金融公庫の2025年度新規開業実態調査によると、開業時の資金に占める自己資金の割合は平均22.9%(平均279万円)でした。総額のおおむね2〜3割程度を自己資金で用意できると、計画に説得力が出ます。居抜きは必要資金そのものが小さくなるため、同じ自己資金額でも自己資金比率を高めやすいという利点があります。

飲食業の経験と事業計画書の具体性

飲食店での勤務経験や経営経験があるかどうかも見られます。未経験での開業がだめというわけではありませんが、その場合はメニュー設計や仕入れ先の確保といった準備を計画書で具体的に示すことが大切です。そして審査の決め手になるのが事業計画書です。売上の根拠(席数×回転数×客単価×営業日数)、原価率や人件費の見込み、返済計画までを、数字の裏付けとともに具体的に書けているかが問われます。居抜きで引き継ぐ立地の人通りや前店舗の客層といった現実も踏まえて組み立てましょう。

居抜き物件×創業融資の申請手順

日本政策金融公庫を例にすると、申請から融資実行までの流れは次のとおりです。

  • 居抜き物件の造作譲渡契約書・設備明細・見積書をそろえる
  • 事業計画書・創業計画書を作成する
  • 必要書類(自己資金の通帳、本人確認書類など)を準備する
  • 公庫に申し込む(インターネット申込・支店窓口など)
  • 担当者との面談を受ける
  • 審査
  • 融資決定・契約・着金

申し込みから着金までは、おおむね1か月前後が目安です。居抜き物件は人気が高く、申込みが重なると先に押さえられてしまうこともあります。物件契約と融資のスケジュールが噛み合うよう、余裕をもって早めに動き始めることが大切です。

よくある質問

居抜きの造作譲渡料は創業融資で全額借りられますか

造作譲渡料は設備資金として融資の対象になりますが、必ず全額が認められるとは限りません。金額の妥当性や事業計画全体とのバランスで判断されます。造作譲渡契約書や設備明細で内訳を示せるよう準備しておきましょう。

居抜き物件だと融資審査で有利になりますか

居抜きは必要資金の総額が小さくなりやすく、自己資金比率を高めやすいため、結果として審査で説明しやすくなる面はあります。ただし、引き継ぐ設備の状態や事業計画の中身が評価されるため、「居抜きだから必ず通る」というわけではありません。

融資が下りるまでどのくらいかかりますか

日本政策金融公庫の場合、申し込みから着金まで1か月前後が目安です。書類に不備があるとさらに時間がかかるため、物件のスケジュールから逆算して早めに準備を進めましょう。

まとめ

居抜き物件は、内装・厨房設備を引き継ぐことで飲食店の開業費用を大きく抑えられる手段です。取得にかかる造作譲渡料も設備資金として創業融資の対象になり、日本政策金融公庫の新規開業・スタートアップ支援資金や自治体の制度融資で調達できます。審査では、造作譲渡の内容と金額を書面で示せること、自己資金の準備、そして事業計画書の具体性が重視されます。居抜き特有の確認ポイントや資金計画づくりに不安がある場合は、創業融資にくわしい専門家へ早めに相談することをおすすめします。

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小峰

この記事を書いた人

小峰精公/Kiyotaka Komine

元朝日信用金庫 法人営業
資金繰り解決コンサルタント
V-Spirits総合研究所株式会社 常務取締役
大学卒業後、朝日信用金庫に入庫。朝日信用金庫での経験が原点となり、「銀行融資取引」や「資金繰り」の本質を企業へ伝えていくことがミッションだと確信する。
日本の99%は中小零細企業で成り立っている現状を痛感し、1社でも多くの企業の「資金繰り」の課題を解決していくことに専念する。
クライアント様がより良い商品やサービスを提供することができる環境づくりの一助となれるよう全身全霊を尽くす。

この記事を監修した人

多胡藤夫/Fujio Tago

元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。

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この記事を監修した人


中野裕哲/Nakano Hiroaki

税理士法人V-Spiritsグループ代表/税理士/行政書士/特定社会保険労務士/採用定着士/ファイナンシャルプランナー/起業コンサルタント/経営コンサルタント/大正大学招聘教授

税理士法人V-Spiritsグループ代表の中野裕哲は、中小企業経営者のために、税務・会計だけでなく、採用、人事、資金繰り、融資、補助金、助成金、営業、Webマーケティング、売上導線設計まで横断的に支援する実戦型経営税理士です。

経営の悩みは、突き詰めると「人・金・売上」に集約されます。中野裕哲は、大企業人事部、人材紹介会社の採用エージェント、中小企業の財務責任者、大手不動産会社での営業、出版・Web制作による集客導線構築など、幅広い実務経験をもとに、経営者の意思決定を支援します。

【対応領域】
税理士顧問、社労士顧問、補助金支援、助成金支援、資金調達支援、採用力診断、売上導線診断、経営参謀顧問。税務・会計・決算・節税に加えて、経営分析、労務管理、社会保険、助成金、採用体制づくり、融資、補助金、事業計画、営業戦略、Webマーケティング、出版、メディア活用まで一体的に相談できます。

中野裕哲は、家業の倒産危機からの壮絶な貧乏体験を原点に、お金で苦しむ経営者をひとりにしないことを掲げています。資金繰り、採用、売上づくりの壁に対して、経営者目線で伴走します。

【主な実績】

  • 起業支援・経営支援の豊富な実績
  • 起業相談件数3,000件以上
  • 資金調達支援1000件以上
  • 大企業Webサイト多数監修
  • 商業出版著書監修約32冊(累計30万部超)

V-Spiritsグループでは、融資・補助金・金融機関対応に詳しい社内役員チームも伴走します。元経済産業省系補助金審査員・事務局員、元日本政策金融公庫支店長、元信用金庫融資担当営業などの専門家が、補助金申請、事業計画、資金繰り、金融機関対応を実務面から支援します。

税理士顧問、社労士顧問、融資、補助金、助成金、採用、営業、マーケティングまで、経営者が本当に悩む領域をワンストップで相談できます。V-Spiritsグループは、起業支援・会社設立・創業融資・補助金助成金・税務会計・人事労務・許認可・経営顧問をワンストップで支援する、起業家・中小企業向けの専門家グループです。

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