- 2025.7.14
- インボイス・電子帳簿保存法Q&A, 中野裕哲, 会社設立, 創業融資

いまさら聞けない|見積書・注文書・請求書の違い――基本から実務まで整理
個人事業や会社を始めると、「見積書ってなに?注文書は?請求書は?」と混乱しがちです。実務に必要な書類ですが、「なんとなく同じじゃないの?」と思っている方も多いはず。そこで今回は、それぞれの役割、作成・受け取るタイミング、注意点を、わかりやすく整理してお届けします。
① 見積書:取引をスタートさせるための提示書
A. 見積書とは?
見積書とは、これから取引をする前に、「どのような品目・期間・内容・金額」で提供できるかを顧客に示す文書です。
B. 見積書の主な項目
項目 | 内容例 |
---|---|
宛名 | 取引先企業名や担当者名 |
有効期限 | 「○月△日まで有効」と書いて約束の期限を示す |
商品・サービス内容 | 品名、数量、単価、金額、備考 |
消費税 | 合計金額に対する税の記載 |
C. 見積書の目的と注意点
- 取引前に「条件が整った内容」を明示し、双方の取り違いを減らします。
- 契約ではないため、「御見積もりいたします」と明記。
- 有効期限を記載して価格の期限を明確に。
② 注文書:取引内容の正式な「意思表示」と証拠
A. 注文書とは?
見積内容をもとに、顧客が「これを買います・やってください」と意思表示する公式文書です。
B. 注文書の構成
- 発注番号や日付
- 納品先・支払い条件
- 署名・押印による承認
C. 注文書の役割と注意点
- 顧客の正式な注文の証拠。
- 見積内容との整合性を確認。
- メール注文にも確認返信と署名を。
③ 請求書:取引の“最後”に出す代金請求文書
A. 請求書とは?
取引が完了した後、代金を請求するための正式な書類。
B. 請求書に記載すべき主な事項
- 請求書番号・日付
- 取引先情報(宛名・住所・担当者)
- サービス名・期間・数量・単価・金額
- 消費税内訳
- 支払い期限(例:請求日から30日以内)
- 振込先口座情報
- 署名や会社印(電子化でも必要)
C. 請求書発行のタイミングと注意点
- 納品後または提供完了後に発行。
- 支払サイトに応じた設定。
- 電子請求や請求書アプリも有効。
④ 三書類の「流れ」と整理
フェーズ | 書類 | 主な目的 |
---|---|---|
取引開始前 | 見積書 | 取引条件の提示 |
顧客が発注する段階 | 注文書 | 正式な発注証拠 |
取引完了後 | 請求書 | 代金請求の明示 |
⑤ 電子化・テンプレート運用のすすめ
- テンプレート化で抜けやミスを防止。
- クラウド型請求書サービスで効率化。
- ペーパーレスと法令対応が可能に。
⑥ トラブル回避のための基本ルール
- 「有効期限」「注文番号」「支払条件」の明記。
- 口頭の約束は書面でも残す(メールでもOK)。
- 書類の保存年限に注意。
- インボイス適格要件に留意。
✅まとめ:書類の違いを押さえて信頼を築こう
- 見積書:条件を提示するスタート段階
- 注文書:顧客からの注文の意思表示
- 請求書:サービス提供後の代金請求
これらを整理・活用することでトラブルが減り、信頼が積み上がります。
「請求書テンプレートを一緒に作りたい」「電子化の流れを相談したい」といったことがあれば、いつでもお気軽にご相談くださいね。
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この記事を書いた人
中野裕哲/Nakano Hiroaki
起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、サーティファイドファイナンシャルプランナー・CFP(R)、1 級FP技能士。大正大学招聘教授(起業論、ゼミ等)
V-Spiritsグループ創業者。税理士法人V-Spiritsグループ代表。東京池袋を本拠に全国の起業家・経営者さんを応援!「ベストセラー起業本」の著者。著書20冊、累計25万部超。経済産業省後援「DREAMGATE」で12年連続相談件数日本一。
【まるごと起業支援(R)・経営支援】
起業コンサル(事業計画+融資+補助金+会社設立支援)+起業後の総合サポート(経理 税務 事業計画書 融資 補助金 助成金 人事 給与計算 社会保険 法務 許認可 公庫連携 認定支援機関)など
【略歴】
経営者である父の元に生まれ、幼き頃より経営者になることを目標として過ごす。バブル崩壊の影響を受け経営が悪化。一家離散に近い貧困状況を経験し、「経営者の支援」をライフワークとしたいと決意。それに役立ちそうな各種資格を学生時代を中心に取得。同じく経営者であるメンターの伯父より、単に書類や手続を追求する専門家としてではなく、視野を広げ「ビジネス」の現場での経験を元に経営者の「経営そのもの」を支援できるような専門家を目指すようアドバイスを受け、社会人生活をスタート。大手、中小、ベンチャー企業、会計事務所等で営業、経理、財務、人事、総務、管理職、経営陣等、ビジネスの「現場」での充実した修行の日々を送ったあと、2007年に独立。ほかにはない支援スタイルが起業家・経営者に受け入れられ、経済産業省「DREAM GATE」にて、面談相談12年連続日本一。補助金・助成金支援実績600件超。ベストセラー含む起業・経営本20冊を出版。累計25万部超。無料相談件数は全国から累計3000件を超す。
この記事を監修した人
多胡藤夫/Fujio Tago
元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。