
コロナ融資の返済が本格化|借換制度の活用と早期対応の重要性
目次
2023年から返済開始の企業が増加
返済額の増加と企業の厳しい現状
事前準備が返済対策のカギ
金融機関による主な対応策
借換制度の詳細と注意点
早期相談の重要性とアドバイス
よくある質問(FAQ)
1. 2023年から返済開始の企業が増加
2020年2月より開始されたコロナ特別融資は、据置期間(返済を一時的に免除する期間)を3年間設けているケースが多く、2023年に入り元金返済が本格的に始まる企業が増加しています。
この融資は「実質無利子・無担保」「通常融資とは別枠」などの特徴があり、多くの中小企業・個人事業主が活用してきました。
2. 返済額の増加と企業の厳しい現状
コロナ融資は従来の融資よりも借入額が大きくなりがちです。そのため、返済額も月々数万円〜数十万円規模で発生します。
ところが、3年経過した現在でも以下のような状況にある企業も多く見られます。
売上がコロナ前まで戻っていない
原材料費や光熱費が高騰している
人件費・社会保険料の負担が増えている
業種によっては需要がまだ低迷している
つまり「返済開始=資金繰り悪化のリスク」が高まりつつあるのです。
3. 返済対策は“事前準備”がカギ
ここで重要なのが、「返済が苦しくなってから動く」のではなく、事前に資金計画を立てておくことです。
遅れてからでは、次のような不利な状況になることがあります。
金融機関からの信用が下がる
滞納履歴が記録に残る
条件変更に時間がかかり、資金ショートする
逆に、早めに行動すれば、選択肢が多く残っているのです。
4. 金融機関による主な対応策
現在、金融機関が行っている主な支援策のひとつが、「借換制度」の活用です。
これは、既存のコロナ融資を新たな融資に切り替えることで、次のような措置を講じることが可能になります。
据置期間の再設定(例:さらに1〜2年の返済猶予)
返済期間の延長(例:5年→10年)
毎月の返済額を軽減し、資金繰りを改善
これにより、元金返済が始まっても急な資金負担を回避することができます。
5. 借換制度の詳細と注意点
■ 借換と条件変更の違い
実際のところ、借換制度の内容は「条件変更」と似ていますが、書類上は新たな融資として扱われるため、信用情報にネガティブな履歴がつきにくいというメリットがあります。
■ 借換制度を利用するための要件
ただし、以下のような要件があるため注意が必要です。
一定の業績見通しがあること(完全に赤字継続では難しい)
適切な事業計画書が作成されていること
他の金融機関との協調姿勢があること(必要な場合)
そのため、まずは金融機関に早めの相談を行い、要件に合致するかどうかを確認しましょう。
6. 早期相談の重要性とアドバイス
返済開始後のトラブルを防ぐためには、早期に資金繰り表を作成し、金融機関との相談機会を持つことが何よりも重要です。
月々の資金収支を明確にする
今後の支払い予定とキャッシュ残高を把握する
必要であれば借換を視野に入れて交渉する
多くの金融機関もこの状況を把握しており、柔軟な対応をとる姿勢を持っています。「返済できません」となる前に、ぜひ相談を始めましょう。
7. よくある質問(FAQ)
Q1. 借換制度を使えば必ず返済が軽くなりますか?
A. 必ずしも全てのケースで返済が軽減されるわけではありません。審査により、借換が難しいケースもあります。
Q2. 借換はどの金融機関で対応してくれますか?
A. 主に日本政策金融公庫や地銀・信金などが対応しています。まずは元の借入先に相談してみましょう。
Q3. 据置期間の延長だけをお願いすることはできますか?
A. 可能ですが、借換とのセットで対応するケースが多いです。早めに相談して判断を仰ぎましょう。
まとめ
コロナ融資の返済が本格化し、資金繰りへの影響が懸念される
借換制度を利用することで返済条件の緩和が可能
ただし、利用には要件があり、早期の準備と相談が不可欠
「返済が始まってから」ではなく、「始まる前」に動く。
これが、経営を守る最大のポイントです。
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この記事を書いた人
三浦高/Takashi Miura 元創業補助金(経済産業省系補助金)審査員・事務局員 中小企業診断士、起業コンサルタント®、 1級販売士、宅地建物取引主任者、 補助金コンサルタント、融資・資金調達コンサルタント、 産業能率大学 兼任教員 2024年現在、各種補助金の累計支援件数は300件を超える。 融資申請のノウハウも蓄積し、さらに磨きを掛けるべく日々事業計画書に向き合っている。
この記事を監修した人
多胡藤夫/Fujio Tago 元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役 同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。 支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。 日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。 長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。