
はじめに
「経理とか財務って苦手なんですけど…」
起業を考えている方の多くから、こんな声をよく聞きます。
でも、ズバリ申し上げます。
財務状態が把握できていない起業は“運任せ”と同じです。
数字がすべてではありませんが、数字を知らずして“経営”は語れません。
この記事では、起業準備中の方に向けて、「財務状態」とは何か、どうやって見える化するか、そして数字にどう向き合えばいいのかを、やさしく、でも実務に即して丁寧に解説していきます。
第1章 財務状態とは何か?
1-1. 「財務」と「会計」は何が違う?
「会計」は記録と整理、「財務」はその情報を元に“経営判断”をすることです。
つまり、財務状態とは、会社のお金の健康状態を指します。
1-2. 財務状態を知るための3大書類
- 貸借対照表(B/S):会社の“財産の棚卸し表”
- 損益計算書(P/L):会社の“儲けの成績表”
- キャッシュフロー計算書:会社の“お金の動きの記録表”
この3つを読めれば、あなたは立派な経営者の入り口に立っています!
第2章 貸借対照表の読み方とポイント
2-1. “資産”と“負債”と“純資産”
貸借対照表は、「資産 = 負債 + 純資産」という式で成り立ちます。
- 資産:現金、売掛金、在庫、設備など
- 負債:借入金、買掛金、未払費用など
- 純資産:資本金や利益の蓄積など
このバランスを見ることで、会社がどんなお金を持っていて、どこから調達して、どれだけ余裕があるかがわかります。
第3章 損益計算書で「稼ぐ力」を把握する
3-1. 売上だけ見ていてもダメ
たとえば「月商100万円!」と聞くとすごい印象ですが、
- 原価が80万円
- 経費が30万円
だったら赤字です。
損益計算書では次のポイントを見ます:
- 売上総利益(粗利)
- 営業利益
- 経常利益
- 当期純利益
数字が苦手でも、この流れだけは押さえておきましょう!
第4章 キャッシュフローの罠に注意!
4-1. 儲かってるのにお金がない!?
「利益が出ているのに倒産する会社がある」と聞いたことはありませんか?
これは“黒字倒産”といって、キャッシュ(現金)が足りなくなる現象です。
原因の多くは、
- 売掛金の未回収
- 在庫の増加
- 借入金の返済タイミング
などです。利益だけでなく、現金の流れ(キャッシュフロー)にも注目しましょう。
第5章 財務状態を改善するための基本行動
5-1. まずは現金の出入りを「見える化」する
ノートでもエクセルでもOK!
- 毎月の収入(売上)
- 毎月の支出(仕入れ・経費)
これを日々記録するだけで、資金繰りの「見通し」がつきます。
5-2. 売掛金・買掛金の管理もポイント
- 請求書は発行したら必ず「入金予定日」まで管理
- 支払いのタイミングはなるべく延ばす(ただし信頼は損なわない範囲で)
よくある質問(FAQ)
Q1. 財務状態を改善するためにまず何から始めれば?
A. 毎月のキャッシュフローを把握する「資金繰り表」づくりが最初の一歩です。
Q2. 経理ソフトを使った方がいいですか?
A. 可能であれば導入をおすすめします。freeeやマネーフォワードなど、起業初期にも対応したものがあります。
Q3. 数字が本当に苦手で…
A. 「お金の流れをつかむ」だけでも立派な財務管理です!細かい処理は税理士さんに任せましょう。
Q4. 財務状態が悪化したらどうすれば?
A. すぐに資金繰りの見直し、場合によっては専門家(税理士・資金調達アドバイザーなど)に相談しましょう。
まとめ
起業の夢を現実に変えるには、「数字」という武器が欠かせません。
「財務状態」は、会社の“健康診断書”のようなもの。
難しく考える必要はありません。
まずはお金の流れを“見える化”すること。
それができれば、あなたはもう立派な“経営者の仲間入り”です!
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この記事を書いた人
中野裕哲/Nakano Hiroaki
起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、サーティファイドファイナンシャルプランナー・CFP(R)、1 級FP技能士。大正大学招聘教授(起業論、ゼミ等)
V-Spiritsグループ創業者。税理士法人V-Spiritsグループ代表。東京池袋を本拠に全国の起業家・経営者さんを応援!「ベストセラー起業本」の著者。著書20冊、累計25万部超。経済産業省後援「DREAMGATE」で12年連続相談件数日本一。
【まるごと起業支援(R)・経営支援】
起業コンサル(事業計画+融資+補助金+会社設立支援)+起業後の総合サポート(経理 税務 事業計画書 融資 補助金 助成金 人事 給与計算 社会保険 法務 許認可 公庫連携 認定支援機関)など
【略歴】
経営者である父の元に生まれ、幼き頃より経営者になることを目標として過ごす。バブル崩壊の影響を受け経営が悪化。一家離散に近い貧困状況を経験し、「経営者の支援」をライフワークとしたいと決意。それに役立ちそうな各種資格を学生時代を中心に取得。同じく経営者であるメンターの伯父より、単に書類や手続を追求する専門家としてではなく、視野を広げ「ビジネス」の現場での経験を元に経営者の「経営そのもの」を支援できるような専門家を目指すようアドバイスを受け、社会人生活をスタート。大手、中小、ベンチャー企業、会計事務所等で営業、経理、財務、人事、総務、管理職、経営陣等、ビジネスの「現場」での充実した修行の日々を送ったあと、2007年に独立。ほかにはない支援スタイルが起業家・経営者に受け入れられ、経済産業省「DREAM GATE」にて、面談相談12年連続日本一。補助金・助成金支援実績600件超。ベストセラー含む起業・経営本20冊を出版。累計25万部超。無料相談件数は全国から累計3000件を超す。
この記事を監修した人
多胡藤夫/Fujio Tago
元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。