
使われなくなった廃校や廃工場を個人で起業に活用する進め方とは
地域活性化に関心を持ちながら、個人で独立を考えている方から、次のようなご相談をいただくことがあります。
「使われなくなった学校や工場を活用して、個人でビジネスを始めたいと考えています。どう進めればいいでしょうか?」

この記事を書いた人
三浦高/Takashi Miura
元創業補助金(経済産業省系補助金)審査員・事務局員
中小企業診断士、起業コンサルタント®、
1級販売士、宅地建物取引主任者、
融資・資金調達コンサルタント
行政書士法人V-Spirits 補助者
産業能率大学 兼任教員
2024年現在、各種補助金の累計支援件数は300件を超える。
融資申請のノウハウも蓄積し、さらに磨きを掛けるべく日々事業計画書に向き合っている。
中小企業診断士の三浦です。以前は補助金の審査員もしていましたが、今は業種を問わず起業相談の窓口として、こうした「空き施設を使って何かやりたい」というご相談を数多く受けています。夢のある話ですし、地域にとっても意味のある取り組みだと思います。ただ、個人で進める場合は、法人や自治体主導のプロジェクトとは違う進め方が必要です。ここでは、公募情報の探し方と、改修費を含めた収支の考え方という、最初に押さえておきたい二つのポイントを中心にお話しします。
自治体の公募・利活用情報はどこで探すか
廃校や廃工場のような遊休施設は、国や自治体にとっても「このままでは維持コストだけがかかる」という悩みの対象になっています。そのため、多くの自治体が活用事業者を募る公募や、利活用希望者向けの情報発信を行っています。まず見るべきなのは、施設がある市区町村の公式サイトです。「廃校活用」「遊休資産」「空き施設」といったページ名で、現在募集中の施設や過去の活用事例がまとめられていることが多くあります。見つからない場合は、総務課や企画政策課、産業振興課といった部署に直接問い合わせるのが確実です。
加えて、国が運営する地方創生関連の情報サイトでも、全国の廃校・遊休施設の活用事例や募集情報が集約されています。こうしたサイトは、自分が住んでいる地域以外の施設も横断的に調べられるので、特定のエリアにこだわらない場合は視野を広げる助けになります。民間の空き物件・遊休不動産を紹介するサイトも増えていますので、自治体情報と合わせて確認すると選択肢が広がります。
公募には「事業計画書の提出」や「面談・プレゼン」が条件になっているケースが多く、個人であっても法人と同じ土台で審査されることが一般的です。応募前に、どんな事業を、どのくらいの規模で、どんな収支で行うのかを整理したメモを用意しておくと、担当窓口との最初のやり取りがスムーズになります。
また、公募は年に一度しか出ないものや、募集期間が短いものも少なくありません。気になる施設を見つけたら、応募が出ていなくても一度窓口に連絡を入れておき、次の募集予定や検討中の案件を教えてもらうようにすると、動き出しが早くなります。地域の商工会や観光協会、まちづくり団体が施設の情報を把握している場合もあるので、自治体窓口と並行して声をかけてみるのもよい方法です。
改修費を含めた収支計画をどう考えるか
廃校や廃工場の活用で一番つまずきやすいのが、改修費の見積もりです。賃料や取得費が安く見えても、建物自体が古いために、電気・水道・空調といった設備の更新や、雨漏り・耐震性への対応で、想定以上の費用がかかることがよくあります。築年数が古い建物ほど改修費が膨らみやすい、というのはまず前提として持っておいてください。
そこで大切なのが、最初から全体を完璧に改修しようとせず、段階的に手を入れていく考え方です。たとえば、まずは一部の教室や工場の一区画だけを最低限の改修で使える状態にし、事業を動かしながら利用範囲を広げていく、という進め方は個人でも取り組みやすい方法です。自治体によっては、改修費の一部を補助する制度や、低廉な賃料で貸し出す仕組みを用意している場合もありますので、公募情報を確認する際に合わせて調べておくとよいでしょう。
収支計画を立てる際は、改修費などの初期費用、賃料や管理費などの固定費、そして想定する売上を、月単位・年単位で並べてみることをお勧めします。特に、売上が立つまでの期間は想像より長くなりがちです。手元資金がどのくらい持つのか、最初の半年から一年は数字で確認しておくと、あとで資金不足に慌てることが少なくなります。
可能であれば、契約前に建物の状態を専門家に見てもらう「建物診断」のような調査を受けておくと、改修費の見積もりの精度が上がります。自治体によっては、応募前の施設見学や内覧の機会を設けていることもありますので、そうした機会を活用して、床・屋根・配線といった見えにくい部分の状態を確認しておくと、後からの想定外の出費を減らせます。この段階で、自分だけで数字を組むのが不安な場合は、商工会議所や自治体の創業相談窓口、私のような起業相談の窓口に、計画の相談をしていただくのも一つの方法です。
個人でも進めやすい小さな始め方
廃校や廃工場というと、どうしても「大規模な改修をして、大きな事業を始める」というイメージを持たれがちですが、個人で進める場合は、むしろ逆の発想が向いています。施設全体ではなく一部のスペースから、イベントや期間限定の利用といった小さな実績を積むところから始める事業者は少なくありません。実際に使ってみて、地域の反応や運営上の課題を把握したうえで、本格的な改修や契約に進むという順番は、個人で進める際のリスクを抑えるうえで有効です。
最初の小さな取り組みには、地域の住民や近隣の事業者を巻き込む形を意識してみてください。一人で施設を抱え込むよりも、清掃や運営を手伝ってくれる協力者が見つかったり、地域のイベントと連携できたりすることで、無理のない範囲で活動の幅を広げやすくなります。こうした協力関係は、後日自治体に活用実績を説明する際の材料にもなります。
なお、学校や工場を別の用途で使う場合、建築基準法上の用途変更の手続きや、消防法上の設備要件が関わってくることがあります。この部分は細かい条件によって対応が変わるため、私からあいまいな案内をするよりも、早い段階で自治体の建築・消防の窓口や、専門家に確認していただくことをお勧めします。公募への応募を考えている段階であれば、自治体の担当課に相談すれば、必要な手続きの窓口も案内してもらえるはずです。
私のところにも、「廃校を使って何かしたいが、何から手をつけていいかわからない」というご相談がよく来ます。そうしたときは、まずやりたいことを整理したうえで、事業計画の相談をしながら、公募情報の探し方や収支の組み方を一緒に確認していくようにしています。地域活性化への思いを形にするためにも、情報収集と収支計画の二つを丁寧に進めていただきたいと思います。
廃校や廃工場の活用は、公募情報を地道に探すことと、改修費を含めた収支を具体的な数字で確認することの積み重ねで、個人でも実現に近づけていけるテーマです。焦らず、小さく始めながら形にしていってください。
【無料相談のご案内】
弊社では、中小企業診断士・元補助金審査員の三浦を中心とした専門家チームが、業種を問わない幅広い起業・新規事業のご相談に対応しております。何から始めればいいかわからないという段階でも、適切なアドバイスを無料にて行っております。無料相談も行っているので、ぜひ一度ご相談ください。お問い合わせお待ちしております!

この記事を監修した人
三浦高/Takashi Miura
元創業補助金(経済産業省系補助金)審査員・事務局員
中小企業診断士、起業コンサルタント®、
1級販売士、宅地建物取引主任者、
融資・資金調達コンサルタント
行政書士法人V-Spirits 補助者
産業能率大学 兼任教員
2024年現在、各種補助金の累計支援件数は300件を超える。
融資申請のノウハウも蓄積し、さらに磨きを掛けるべく日々事業計画書に向き合っている。




























